ソロモン諸島への進出を狙い、中国が域内ハブにする甘言を同国へ持ちかけていた事が判明。

 

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中国とソロモン諸島がソロモンを南西太平洋の航空ハブにしようと画策していたことが、2019年の覚書から明らかになった。中国の露骨な太平洋進出策に航空業界が利用されていく。


ロモン諸島政府と中国の AVIC Commercial Aircrafの覚書が流出し、眠ったような太平洋の島国を航空ハブに変えようとした野望が明らかになった。2019年の覚書では、ソロモン諸島政府がAVICから飛行機を購入する見返りに、ソロモン諸島周辺の飛行場36箇所を改良し、ソロモン諸島と中国間に直行便を導入する提案があった。


ソロモン諸島をハブにする遠大な計画

覚書全文は、オーストラリア放送協会(ABC)が金曜日朝に報道した。

 ソロモン諸島は中国と安全保障条約を締結したことで、ソロモン諸島に中国軍が常駐する可能性が生まれ、米国、ニュージーランド、オーストラリアは大いに不快に感じているが、この覚書は今回の騒動の中で流出した。



 2019年11月15日、中国でソロモン諸島の通信・航空担当大臣Ped Peter Shanel AgovakaとAVICの最高顧客責任者Zhang Yongが署名した覚書は、以下のように述べている。


「BRI(一帯一路構想)と本MOUを通じ、ソロモン諸島は西太平洋の航空ハブになるよう希望し、ソロモンは既存の国内飛行場インフラを強化し、国営航空会社の機体のアップグレードを希望する。


「ソロモンは、ホニイラへ中国から直行便を受け入れ、地域ハブとなる地域航空構想の一翼を担うよう希望する。ソロモンはMA600/MA700やY-12等の新型機を入手し、飛行場施設を改修する必要がある。


「ソロモン諸島は、MA600/MA700航空機の運用に向け飛行場の改修、CAAC(中国民用航空局)とCAASI(ソロモン諸島民間航空局)間の検証認証の実施、および当事者Bによる当事者Aの能力開発支援を同時に行う」(同)。


AVICは、発展途上国に航空機販売のニッチ市場を築いた。写真:AVIC 


一般的水準の航空インフラのアップグレード

AVICは、北京に本社を置く中国国営の航空宇宙・防衛企業だ。結局、ソロモン諸島に航空インフラが整備されることはなかったが、大胆な極秘計画の詳細が南西太平洋地域に波紋を呼んでいる。

 第二次世界大戦の激戦地ソロモン諸島が、地政学の地図に再び登場してきた。同国を構成する1,000余りの島々の貧弱な航空インフラは、大国にとっては格好の餌食だ。

 ソロモン諸島の主要空港であるホニアラ国際空港(HIR)は2,200メートル滑走路しかなく、ワイドボディ機はアクセスできない。

 首都ホニアラと世界をつなぐのは、国営航空会社ソロモンエアラインズエア・ニウギニのみで、接続性の悪さも問題だ。このうちソロモンエアラインズはジェット機1機(エアバスA320-200のリース機)を保有するだけで、ブリスベン(BNE)へ週2便運航している。


ホニアラ国際空港(写真)は、ソロモン諸島で最大かつ最も利用客の多い空港である。写真 ソロモンエアラインズ


ソロモンエアラインズはMOUに入れなかった

ABC報道によると、国営ソロモンエアラインズは、極秘MoUとソロモンの航空インフラを強化するため中国資金を使用する計画に加わっていなかった。

 同社CEOブレット・ゲバースBrett Gebersは合意について知らなかったとABC取材で語った。

 「2019年の今頃、国会議員団に同行し中国に半ば強引に招待されましたが、実現しませんでした」「機体を見るという話はありましたが」

 AVICは、56席のMA60/600と74席のMA700ターボプロップに加え、各種ヘリコプター、FC-1/JF-17戦闘機を含む軍用機も製造している。AVICは、発展途上国に飛行機を販売するニッチ分野を確立している。

 中国は、中国政府とつながる民間企業を使い、対象国との貿易・経済関係を構築してから、軍事的関与など、論議を呼ぶ側面を取り込み、関係をアップグレードすることがよくある。今回流出したMOUは、中国政府が航空業界を利用する一例である。■



Leaked MoU Reveals China's Plans For Southwest Pacific Aviation Hub

BY ANDREW CURRAN

PUBLISHED 2 HOURS AGO



Source: Australian Broadcasting Corporation

Andrew Curran (2371 Articles Published)

Lead Journalist - Australasia - A Masters level education and appetite for travel combines to make Andrew an incredible aviation brain with decades of insight behind him. Working closely


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