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2025年3月13日木曜日

「関税によりボーイング787の価格が4000万ドル上昇する可能性」(航空機リース会社幹部)―ボーイングが苦しむ間にエアバスが一人勝ちになるのではたまりません。トランプのねらいは反グローバル化なので簡単に答えは出ません

 


Boeing logo on the manufacturer's livery on a Boeing 787 shutterstock_514875412

Photo: vaalaa | Shutterstock


世界最大の航空機リース会社AerCapのエンガス・ケリー最高経営責任者(CEO)によると、ボーイングの主力機787ドリームライナーを含む航空機は、ドナルド・トランプ米大統領の関税がもたらした貿易摩擦が続いているため、最悪のシナリオでは1機あたり最大4000万ドルものコストがかかる可能性があるという。


水曜日に行われたCNBCとのインタビューで、ケリーCEOは、アメリカとヨーロッパが一律25%の報復関税を課せば、ボーイング787の価格は高騰し、すでに狭い利益率に苦しんでいる航空会社に悪影響を及ぼすと強調した。「ボーイング787の価格は4000万ドル上昇するでしょう。「誰もそれを払いたがらないでしょう」。


エアバスが世界市場を支配する可能性

このシナリオでは、多くの航空会社はヨーロッパのライバルであるエアバスに頼ることになるだろうとケリーは指摘する。 「最悪のシナリオでは、ボーイングは世界市場の20%から25%を獲得することになる。一方エアバスは、世界市場の75%から80%々を手にすることになる」。

 ケリーによれば、エアキャップは、昨年ボーイングから150機の飛行機、ヘリコプター、予備エンジンを購入した。 ボーイングにとっては問題だらけで激動の年であったが、ケリーは、ボーイング製品の品質、信頼性、安全性は、最近改善されてきていると述べた。 ケリーはまた、ボーイングが2025年に航空機を安定納入するためには、キャッシュフローが重要であることを強調した。

 「ボーイングは昨年、品質、安全性、信頼性の面で大きな進歩を遂げました」。(ケリー)。

 トランプ大統領の就任以来、米国はカナダとメキシコに25%、中国に20%、輸入アルミニウムと鉄鋼に25%の関税を課してきた。大統領は早ければ4月2日にもさらなる措置を講じると見られている。

 ボーイングはすでに、世界中のベンダーから入手した重要部品を含む広範なサプライチェーンで貿易戦争の影響を目の当たりにしている。 同社はカナダとメキシコに大規模拠点を持っており、着陸装置やエンジン、その他の部品を含む民間航空機の部品を調達していると、国際的なビジネスニュースサイト『Quartz』は報じている。

 同社のファクト・シートによると、ボーイングはサプライヤー・チェーンを通じてメキシコで最大10億ドルを費やしており、メキシコの製造業者のトップ10に入っている。 主要部品の関税を引き上げると、生産コストが上昇し、ボーイングは納期を守ることが難しくなる。


ボーイングのサプライチェーンへの懸念

先週、ボーイングのケリー・オートバーグCEOはトランプ大統領の関税によって着陸装置を含むカナダ輸入品の価格が上昇すると語った。同CEOは、関税がもたらす出費増を考えると、航空機の価格競争力を維持するのは難しいと認めた アラバマ州、ミシシッピ州、フロリダ州に生産施設を持つエアバスは、米国の関税の最悪の事態から自社を守る予防措置をすでに講じている。

「当社が製品を製造する上で、サプライチェーン部品がなければ、製造コストは本当に、本当に高価になる」とオルトバーグは語った。この関税は、ボーイングが737MAXの地中墜落事故や他の安全事故を含む困難な時期から立ち直るために続けている努力に続いてのしかかる。

 エアバスは2月末、関税によって欧州の航空機メーカーの輸入が途絶えた場合、米国以外の顧客への納入を優先する可能性があると述べた。

 同社の通期業績に関するCNBCのインタビューで、ギヨーム・フォーリーCEOは、「当社は世界の他地域からの需要が大きいので、(もし)米国への納入が非常に困難になった場合、機体を非常に欲しがっている他国の顧客への納入を前倒しすることもありうる」と述べた。■


Aircraft Leasing Executive Says Tariffs Could Cause Boeing's Prices To Increase By $40 Million

By 

Mia Ping-Chieh Chen


https://simpleflying.com/aircraft-leasing-executive-says-tariffs-could-cause-boeings-prices-to-increase-by-40-million/


2022年3月11日金曜日

ロシアからのチタン供給が期待できない今、機体メーカーは今後の増産に対応したチタンを確保できるか

 


Photo: Getty Images


航空宇宙産業のサプライチェーンは、ウクライナ紛争でロシア制裁が課される前からぎくしゃくしていいた。ロシアからのチタン供給が閉められた今、ボーイングとエアバスはチタンをロシアに大きく依存してきたが、他の市場からの調達をめざす。


エアバスとボーイングは、2022年以降の増産を目指しており、必要なチタンの確保が、最重要課題となっている。


エアバスとサフランは独自にチタンのサプライチェーンを確保

ボーイングはロシアに依存せずニーズが満たせるとしている。フランス政府の支援を受け、エアバスはエンジンOEMのサフランSafran、プライベート・エクイティ企業のティケハウ・エース・キャピタルTikehau Ace Capitalと提携し、チタンなど専門金属と超合金のフランスのサプライヤー、オーベル&デュバルAubert & Duvalを買収し、サプライチェーンの保護を狙っている。



オーベール&デュバルは、航空宇宙、防衛、原子力、医療機器などの分野への戦略的サプライヤーで、年間売上は約5億ユーロ(5億4900万ドル)、従業員は3600人。航空宇宙分野製品は、航空構造物、着陸装置、航空機エンジン、ヘリコプター、宇宙船などの一部を構成する。エアバスのギョーム・フォリーCEOは、次の声明を発表した。

「我々は、オーベール&デュバルの優れた経営と市場の信頼を回復し、中長期的に、グローバルな競争に立ち向かえる有力企業を欧州で創出するとともに、供給への地政学的リスクを軽減することをめざす」


オーベル&デュバルは、合金の基本となる純粋なチタンであるスポンジチタン生産に加え、チタンスクラップを航空宇宙品質のインゴットに再生するシステムのエコチタンを開発した。


チタンの主原料は、ルチルとイルメナイトの鉱石二種類。生産量の約90%を占めるチタン含有チタン鉄鉱は、南アフリカ、オーストラリア、カナダ、中国、ノルウェー、シエラレオネ、インド、モザンビークに多く存在するが、ロシアはチタン鉱物資源が少なく、チタンの埋蔵量は豊富ではない。


中国がスポンジチタン市場を支配

米国地質調査所(USGS)によると、2021年の米国外のスポンジチタン生産量は21万トンで、2020年の23万トンから減少した。中国が市場を独占し、2021年生産量で57%を占め、次いで日本が17%、ロシアが13%、カザフスタンが8%、ウクライナが3%となっている。


ロシアとウクライナのスポンジ生産が消えることは懸念されるが、USGSによると、ロシアとウクライナ除く2021年の世界の生産能力は291,500トンで、実際の生産量の21万トンを超えている。


余力の大半は中国、日本、カザフスタンにあり、サウジアラビアでは日本・サウジアラビア合弁のAMIC東邦株式会社が年間15,600MTのスポンジチタン生産能力を整備しつつある。


輸入品依存で米国家安全保に悪影響

2019年、米国はチタン消費の95%を輸入した。このため、米国商務省は、米国へのスポンジチタンの輸入は国家安全保障を損なう恐れを注意喚起した。

しかし、価格が大きく回復し、ロシアが退場した今、米政府は考え直すかもしれない。


787の機体重量の約15%を占めるチタン合金。写真 ボーイング



航空宇宙産業は世界のチタン消費で約90%を占めるため、業界関係者がロシアとウクライナの事態を懸念し、サプライチェーンを確保するため世界市場を探し回るのは当然だろう。■



Where Are Manufacturers Sourcing Titanium With Russia Off Limits?

BY SF STAFF