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Showing posts from June, 2022

ボーイングが進めるデジタル生産は設計から生産現場までを対象とする広範な概念だが、どこまで実現しているのか。MBEに注目

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  新型機でボーイングが次に狙う目標は、航空機設計と生産工程を統一フレームワークMBEで結合することだ。 Credit: Boeing ボ ーイング の最近の製品開発戦略の浮き沈みを通して、2015年以来一貫しているメッセージがある。次の新型民間航空機の開発開始は、旅客機自体の設計とあわせ、より低コストの生産システムの完成にかかっている、ということだ。 MBEを軍用から民間へ拡大するのが重要課題 デジタル計画には業界標準のインターフェイスが重要  この戦略の中核となるのが、ボーイングが進めているデジタルトランスフォーメーションだ。これは、情報交換の障壁がすべて取り除かれてどのように仕事が達成されるかを、再構築するボーイングの基本概念だ。この移行は、ボーイング社がモデルベースエンジニアリング model-based engineering (MBE)システムを全面採用し、システム要件、設計、分析、検証から概念設計、開発、運用まで、新型航空機の開発をモデリングでサポートすることに代表される。      ボーイングのMBEフレームワークを示す図では、下半分が従来の物理システムエンジニアリングに基づく設計と納品のプロセス。上半分がモデリングとシミュレーションで物理システムを仮想的に表現している。現実世界と仮想世界の間にはデジタルの糸が通り、モデルを物理システムの設計にリンクさせ、2つのパスが継続的に相互に情報を提供し、同時進行を可能にしている。  ボーイングは,数十年にわたる軍事および商業プログラムにおける高度な計算機設計の取り組みをもとに、T-7A 高度練習機、MQ-25 無人空中給油機、オーストラリアのATS (Airpower Teaming System) など最近のプロジェクト開発を加速するため、本格的なデジタルMBEの取り組みを実施している。T-7Aでは、品質検査に合格した部品数が75%増加し、開発サイクルが36カ月に短縮され、フルサイズの確定組立技術を使用し組立時間が80%短縮された。  しかし、ボーイングの課題は、このプロセスを民間に移管することだ。ボーイングの技術・試験・テクノロジー部門のチーフエンジニア兼上級副社長グレッグ・ヒスロップ Greg Hyslop は、「軍用機の要件は大型商用機の要件と大きく異なります」「私たちが次の民間航空機で行っているの

5月のアジア太平洋航空旅客利用数は急増したものの、中国市場は依然閉鎖状態

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  Photo: Vincenzo Pace I Simple Flying ア ジア太平洋地域の航空輸送量は増加中とはいえ、COVID前の25%以下で、週当たり輸送量は900万席減少している。  パンデミック以前のアジア太平洋地域は、商業航空で世界で最も急速に成長中の地域だった。中国は例外だが、国境移動で規制が大幅に緩和された今、この地域で国際旅行は急速に勢いを増している。  アジア太平洋航空協会(AAPA)は、アジア太平洋地域に拠点を置く国際定期航空会社の業界団体。マレーシアのクアラルンプールに本部を置き、航空会社40社のトラフィックデータを集計している。 エアインディア 、 チャイナエアライン 、 中国南方航空、キャセイパシフィック航空、カンタス航空 、 シンガポール航空 、 アシアナ航空 、 日本航空 が加入している。 アジア太平洋地域は成長中だが、追加の余地は大きい アシアナ航空は韓国を拠点とし、AAPAに加盟している。 Photo: Vincenzo Pace | Simple Flying AAPAが昨日発表した数字によると、5月の国際線旅客数は前月の5倍だった。4月の130万人に対し、5月は733万人がアジア太平洋地域の国際定期便で移動した。5月の伸びは非常に心強いが、2019年5月の実績3040万人と比較すれば見劣りする。  今年1月から5月までの期間、同地域で2190万人が国際線を利用し、昨年の590万人を大きく上回った。2019年の同期間は1億5510万人で、2018年の1億4790万人を5%上回った。2018年にアジア太平洋地域で移動した国際線旅客数は3億5660万人で、2020年は7000万人、昨年は1670万人だった。  この数字について、AAPA事務局長サバス・メノン Subhas Menon は本日、Simple Flyingに以下語った。  「検疫や検査が不要の完全開放地域は、高い成長率を示しています。中華圏は閉鎖的なままで、日本と韓国は暫定的に開放しているものの、韓国では出国前と到着後の検査が今も必要です。シンガポールは国際市場だけあって、制限がないため、力強く伸びています。ASEANの国内市場は絶好調ですが、閉鎖的なところは国内市場でも軟調です」。  ASEAN東南アジア諸国連合は、東南アジアの政治・経済連合でブルネイ、カンボジ

空前の需要増で業績上昇のスピリットエアラインズはコロナ後の新顧客像「ブレンデッドトラベラー」にも対応を怠らない。

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  Photo: Vincenzo Pace | Simple Flying ス ピリットエアラインズ は、空前の需要増に直面し、新路線を追加しながら、直前予約に対処する新方法を見出そうとしている。 2月にフロンティアエアラインズとの合併案が発表されて以来、スピリットをめぐるニュースのほとんどは、財務欄で扱われてきた。しかし、スピリットは新路線やサービスを提供し続てきた。 フロンティアとジェットブルーの騒動が終息に向かうなか、プエルトリコで最近開催されたCAPAのAmericas Aviation and LCCs Summitで、スピリットのEVP兼チーフ・コマーシャル・オフィサー、マット・クライン Matt Klein は、27年のキャリアで最大の乗客需要だったと語った。3月に春休みやイースターの旅行予約が殺到し、現在は非常に高水準の予約が高止まりしていると語った。また、価格設定は非常に健全で、この時期には考えられないレベルの予約カーブだと述べた。「つまり、夏の旅行で普通考えられないくらい高い運賃を設定できるようになったのです」。 ブレンデッドトラベラーとは? スピリット航空はここ数十年で最も需要が高く、非常に高い稼働率で航空機を運航している。 Photo: Getty Images ブレンデッドトラベラーとは、レジャーとビジネス旅行を組み合わせる顧客を表す概念で、クラインは、自宅からリモートで仕事する人にも当てはまることが多いという。転職やリモートワーク、研修など、従来の出張と異なる形で飛行機を利用する顧客が多くなっているという。これにより、多くの旅行が生まれ、VFR(友人や親戚を訪ねる)旅行とビジネス旅行がひとつになった新しい顧客層が生まれたという。一例として、クラインはこう語った。 「以前ニューヨークに住んでいて、仕事のためナッシュビルへ引っ越して、家族や友人はニューヨークにいる場合、前は純粋に休暇やVFRの交通手段だったかもしれないが、両方向のフライトが多くなる」。 パンデミックで多くが変わったが、そのひとつが、予約からフライトまでの時間だ。米国、ラテンアメリカ、カリブ海諸国について、クラインは、COVIDの発生時、予約曲線は「極めて異常な」7日間に短縮されたと述べています。今日、「正常に戻る」はほとんど意味がないが、スピリットはCOVIDの影響に対応

制裁を続ければISSが軌道を外れるとのロシア宇宙機関の脅かしは正当なものなのか

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      NASA         ロ シアが国際宇宙ステーション(ISS)を地球に衝突させると脅しているとの主張は、正当なものとはいえない。ロシア宇宙機関のトップは、ISSが軌道から落ちる可能性があるとツイートしたが、専門家はその可能性は極めて低いと考えている。     一部のソーシャルメディアユーザーは、米国がロシアとの戦争でウクライナを支援することが裏目に出ると心配している。ツイートには、アメリカがウクライナを支援し続けるなら、ISSを落下させるかもしれないとロシアが発言したとある。このツイートでは、ロシア版NASAであるロスコスモスのトップが、アメリカがウクライナを支持し続ければ、国際宇宙ステーションがアメリカ、ヨーロッパ、インド、中国に落下することを示唆したと主張している。  これらの主張には真実があるのだろうか?そして、我々は今すぐパニックになるべきなのだろうか?事実確認を行った。  まず、背景を少し説明する。ロシアとアメリカが長年にわたり政治的に対立してきたことは周知の事実だが、宇宙では友好的な関係を保っている。Axiosの記事によると、宇宙ステーションは米露が協力している数少ない分野の一つだ。NASAの国際協力のページによると、ISSは1998年に打ち上げられ、アメリカ、ロシア、カナダ、日本、欧州宇宙機関が参加した。   キーワード検索してみる このツイートでは、このニュースはロスコスモスのトップから直接来たということだが、このような脅しが本当にあったのかキーワード検索してみた。「head of roscosmos says ISS could fall out of sky because of sanctions」というキーワードで検索すると、Newsweek記事がヒットした。  Newsweekによると、ロシアの宇宙機関のトップであるドミトリー・ロゴジン Dmitry Rogozin は、Twitterで、ISSが軌道から落ちるかもしれないと警告していた。  記事によると、ロゴジンは2月24日に「もし我々との協力を妨害したら、制御不能な軌道離脱と米国や欧州への落下から誰がISSを救うのか」とツイートしている。「インドや中国に500トン級の構造物を落とす選択肢もある。そんな見通しで彼らを脅すのか?」とある。  確かにロスコスモスのトップは、アメ

ウクライナ戦のとばっちりを受けた格好のZIPAIRが機体デザインの一新を迫られている。合わせてサンノゼ直行便開設を発表。

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  Photo: ZIPAIR 日 本の格安航空会社ZIPAIRは火曜日、今年12月にカリフォーニア州サンノゼ直行便を就航させると発表した。また、「Z」を取り除く新しいカラーリングを発表した。 ロシアのウクライナ侵攻を受けての変更だ。 新しい機体カラーリング ZIPAIRの現在のカラーリングは、機体の尾翼に「Z」が描かれているが、この記号は現時点では、ブランディングに悪影響を与えかねない。 ロシアのウクライナ侵攻以来、"Z"は戦車や軍服に描かれ、ロシアでは戦争推進のシンボルになっている。さらに、"Z"はロシアの侵略への支持を示すためにも使われ、ロシア政府は同シンボル使用を奨励している。 ZIPAIRには、シンボルマークから、ロシアと関係があるのかと疑問視する声が上がっている。ZIPAIRの西田真悟社長は、この問題を収束させるべく、次のように語った。 「説明受けずに見れば、そう感じる人もいると思います」 Zマークには否定的な意味合いがあるため、ZIPAIRはカラーリングを変更すると発表し、2段階による変更を公開した。第一段階では、機体の尾翼にある「Z」の上にデカールを貼る。第1段階は今月開始する。2022年12月から2023年春の第2段階では、尾翼の完全な塗装が行われる。 ZIPAIR サンノゼ(SJC)直行便を就航 ZIPAIR東京は2日、成田で記者会見を行い、2022年に国際線ネットワークをさらに拡充することを決定し、その詳細を発表した。2022年12月より、ZIPAIRは東京成田(NRT)-北カリフォルニアのサンノゼ国際空港(SJC)間に直行便を就航させる。  同路線は今年12月就航を予定しており、秋ごろから予約受付を開始する。同航空のプレスリリースでは、「就航は政府の認可を条件とする」と記されている。スケジュールや運賃はまだ発表されていない。  ミネタ・サンホセ国際空港の航空部門ディレクター、John Aitken氏は次のように述べた。「ZIPAIRが今年後半にミネタ・サンホセ国際空港の一員となる予定と本日発表し、大変うれしく思います。ZIPAIRは、テクノロジーを活用して効率的で利用しやすい旅行体験を提供する新しいタイプの航空会社であり、サンホセとシリコンバレーに最適な航空会社です。SJCと東京-成田を結ぶ直行便の計画

ダイナミックプライシングで航空業界、利用客双方が恩恵を受ける。その推進役はデータでありAIだ。

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  この価格モデルは柔軟性を提供する一方で、その利点については多くの議論がある。 航 空会社は収益の最大化を目指し、 ダイナミックプライシング が航空業界に浸透しつつある。このトレンドを全員が歓迎しているわけではないが、市場関係者は、乗客と航空会社双方に利益をもたらすと言う。 航空会社は乗客をよく理解しており、ダイナミックプライシングはその知識を活用するものだ。  ダイナミックプライシングとは、市場状況を反映して、製品やサービスの価格を変化させる取り組みだ。一般のビジネスでは、需要が高まったときに価格を上げることがある。例えば、Uberは移動需要のピーク時に価格を上げることがある。  航空業界では、利用客で分かっていること、あるいは分かっていると思われることに基づき、運賃を提示するプロセスになってきた。航空会社はデータ収集の達人だ。マイレージのデータを収集し、クッキーでユーザーの検索内容や興味を追跡する。  機内で飲み物を買ったアメリカン・エキスプレスの情報を渡したり、航空会社のワインショップでワインのケースを買えば、その航空会社は客の飲み物の好みを把握できる。このように何百、何千もの行動が追跡され、それが積み重なっていく。  ブラウザをクリーンアップし、 ブリティッシュ・エアウェイズ (または他の航空会社のウェブサイト)のウェブサイトにログインすると、次のようなメッセージがポップアップ表示される。  「ba.comを使い続けることで、あなたはウェブサイトの利用規約と、ウェブサイトと当社のサービスを使用する際のクッキーの使用に同意することになります。また、記載されている範囲内で、あなたが同意することになる個人データの処理ついての当社プライバシーポリシーもお読みください」。  航空会社は乗客について多くを知っている。利用客は、プライバシーの戦いにほとんど負けたか、降伏している状況だ。現在、多くの航空会社がデータを活用し、収益を上げる使い方を学んでいる。個々の乗客のレベルで、ダイナミックプライシングは、次の日曜日にマドリードからヒースローまで飛ぶために、乗客がいくら払うかを判断しようとするものだ。 ある日ある時間の航空移動に乗客はいくら支払うのか。 デジタルコマースプラットフォームPROS のプロダクトマネジメント担当ディレクターであるジャスティン・ジャンダー Just

航空機インテリアエキスポAIXで見つけたクールな展示5点

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  オ クトーバーフェスト同様に航空機インテリアエキスポAIXが2年ぶりに復活した。 Photo: Panasonic ハンブルクでAIX航空機インテリアエキスポが開催される。素材からシート、スクリーン、OEMまで、あらゆるものが一堂に会する展示会で非常に革新的なアイデア数点を見つけた。 会場には何百ものブースがあり、すべてを見ることはできないが、シンプルフライングチームが見たクールな展示5点をご紹介する(順位は関係ありません)。 5  フィンエアーの新型シート フィンランドのフラッグキャリア、 フィンエアー は、エアバスA330とエアバスA350の新しいビジネスクラスシートを発表したところだ。シートは、リクライニング機能を備えないという点で、かなり革新的だ。シンプルフライングチームはこのシートの快適さに頭を悩ませていた。 フィンエアーの新しいビジネスクラス、エアバスA330のシート。写真 Tom Boon - シンプルフライング このシートはすでに供用中だが、ショーでその座り心地を初めて体験し、エアバスA330のバージョンを試した。ロンドンへの短距離飛行や大陸横断飛行で、このシートに座れたら幸せになりそうだ。 4  レカロがトレイテーブルを再発明 シートメーカーのレカロは、新しいトレイテーブルのデザインに取り組んでいる。前の座席から折りたたむのではなく、必要な用途に応じたトレイを乗客に配り差し込むデザインだ。 レカロはトレイテーブルの新しいコンセプトを予告した。写真 Tom Boon - シンプルフライング このデザインは非常にクールで、合理的と見たが、コンセプトにはまだ短所がある。シンプルフライング読者のコンセンサスは、概して否定的だった。 3  サステイナビリティは、エンジン排気ガス以外にもある サステナビリティは、航空業界全体のホットトピックで、今年のショーの中心テーマでもある。しかし、サステナビリティは、航空機エンジンの排気ガスだけを指すのではない。 ELeatherの顧客であるWizz Air向け製品。写真 ELeather 廃棄された革を製品化し航空会社やその他の関係者に販売するのが英企業、ELeatherだ。同社は、アメリカン、デルタ、イージージェット、KLMオランダ、サウスウエストなどの航空会社を顧客としている。同社は2011年以来、7996トンの