今週は2021年の空港利用実績トップ10の発表があり、米国が8、中国が2という結果だった。中国の回復が遅れているのが浮き彫りとなった。
Photo: Vincenzo Pace | Simple Flying.
昨年一年間の航空利用客は45億名だった。各地の空港は2020年を上回る利用客で賑わい、2020年が航空業界にとって最悪の一年だった。
回復は織り込み済みだった。ワクチンの完全接種者が増え、渡航規制が緩和され、自信と実需が伸びた。結果として座席提供数とフライト回数が増えた。
中国の回復が遅れている
その中で中国は例外だった。下表にあるように、2021年の実績では7箇所の空港で2020年を下回る利用客となった。中国には巨大な国内線需要があるはずだったのだが。
国際空港協議会によれば、中国の10大空港はいず れも国際ランキング外になった。米国で急成長の空港が代わりに入っており、オーランドやラスベガスが世界最大級の空港になっている。ただし一時的だろう。
広州が最悪
2020年に世界最大の空港となった広州では旅客数が8%減少し、中国10大空港で最悪の展開となった。逆に旅客数が伸びたのは重慶、上海虹橋、上海浦東のみだった。
このうち、上海浦東の回復が目立つ。同空港は巨大都市上海の主要国際玄関となっている。
中国は2021年第1四半期までは順調に回復基調にあったが、同年中頃から失速が感じられた。中国の主要エアライン各社は2021年第4四半期に巨額の赤字を計上し、財務状況は2020年より悪化した。
中国はデルタ、オミクロンの両変種に襲われ、ゼロコロナ対応で乗り切ろうとした。大規模なロックダウンでフライトのキャンセルも相次いだ。都市、観光地を閉鎖し、国民も旅行を避けた。
今はどうなっているのか
2022年も年央に近づいて、世界がいっそう正常に戻ろうとする中、航空業界では人手不足などが回復を妨げている。ロンドンのヒースローでは今年の夏のピーク需要は2019年実績並みと予測している。
だが、中国では事情が異なる。2022年4月になっても回復は遅れ気味で、COVID症例はむしろ2020年2021年より増加している。現時点で上海が一番厳しい防疫体制にあり、症例が増える中で規制緩和に期待が集まっている。
中国全土で相変わらずフライトのキャンセルが目立つのは政府の徹底した対策のためだ。
2022年4月現在の中国国内路線網 Image: OAG.
今後の展望
中国のゼロコロナ政策を無限に続けられない。国民に我慢の姿勢が消えつつあることは別としても、経済への打撃は計り知れない。
症例が減らない中で上海で制限を緩和することがこれからの選択肢で、世界各国と同じ道となる。
ACI Asia Pacificの域内ディレクター、ステファノ・バロンキが次の発言をしている。
「中国のように国内輸送量が大きいマーケットでは回復のスピードが早くなり、2023年末にはCOVID-19前の水準に戻るだろう」■
Why China's Airports Declined In 2021 While Others Were Recovering
PUBLISHED 18 HOURS AGO
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