ラベル 宇宙太陽光発電所 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 宇宙太陽光発電所 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2023年7月3日月曜日

宇宙太陽光発電所SBSPが実現に近づいてきた。大量のクリーンエナジーが宇宙から地上へビーム送信されればエナジー供給の構造は大きく変わる。さらに、地球以外に月屋小惑星での資源掘削にも効果を発揮しそう。

 


ターミナル1・2共通記事です。


宇宙からの太陽光発電こそ米国が行うべき世界を変える賭けなのだ


リフォーニア工科大学の研究者たちは、科学的に初めて、宇宙空間で発電された電力を地球に送り返してくるのに成功した。▼宇宙太陽光発電実証機は、長く望まれていた新しいエナジー源、宇宙太陽光発電(SBSP)の科学的根拠を証明するものだ。▼SBSPは、地上の太陽光を断続的にしている要因を排除し宇宙空間で太陽エナジーを回収することにより、クリーンなエナジーを供給し二酸化炭素排出量を削減する、まったく新しいベースロードエナジー技術を解き放つ。▼商業宇宙セクターの成長により打ち上げコストの急速な削減が見えてきたことで、今後数十年以内に経済的な事業になる可能性がある。▼欧州宇宙機関、中国、日本が、この研究開発を積極的に進めている。▼宇宙活動で世界のリーダーであるにもかかわらず、米国はSBSPで遅れをとり、地政学的な競争相手にこの新興分野を奪われる恐れがある。▼要するに、米国には、官民一体で複雑な工学的、経済的、規制的課題を解決し、宇宙太陽光発電を開発・商業化する包括的戦略が必要なのである。▼エナジー市場が比較的安定していた10年間を経て、現代経済のエナジー・サービス依存が浮き彫りになりつつある。▼石油ブームと不況の加速など、パンデミックによるエナジー市場の混乱は、エナジー供給への短期投資を弱体化させた。▼ロシアのウクライナ侵攻は、エナジー価格の変動をさらに悪化させ、ヨーロッパが大きなエナジー供給国を失い、世界が第2位の石油供給国を失う見通しを高めた。▼さらに言えば、世界的な地政学的競争、特に米中間の競争が再燃し、エナジーや宇宙を含む戦略的産業をめぐる競争が激化している。▼こうしたことはすべて、悪化の一途をたどる気候変動と、可能な限り早く二酸化炭素排出量を削減する必要性に常に迫られている背景のもとで起きている。▼風力発電や太陽光発電の成長、その他先進的なエナジー技術の出現を考慮しても、世界はあらゆるクリーンエナジーを必要としている。▼さらに、レガシー火力発電所の引退が加速中で、発送電システムやベースロード電源システムの必要性はますます高まっている。▼宇宙空間での太陽光発電は、こうしたニーズすべてを1つのパッケージで満たすことができる。▼すなわち、システムのランピングをサポートするために迅速に発送電でき、非常に高い容量係数でベースロード電力を供給でき、直接排出がゼロで、回復力があり、これらすべてを同時に達成することができる。▼科学的な第一原理は単純だ。宇宙空間での太陽光発電は、大気を通過する必要がなく、雲に遮られることもなく、夜間もないため、地表の約8倍も強力である。▼この太陽光発電を地球に送り返すことができれば、つまり波長の長いマイクロ波で送り返すことができれば、地上市場は24時間365日クリーンなエナジー源を利用できるようになる。▼もちろん、このような事業の複雑さは些細なレベルではない。▼SBSPは1970年代に宇宙物理学者のジェラード・オニールにより初めて一般化されたが、コストが高止まりしていたこともあり、進展は一時的なものに過ぎなかった。▼スペースXのような商業宇宙イノベーターの台頭により、SBSPの経済方程式は逆転し始めている。▼再利用可能なロケット、既製の衛星機器、規模の経済が、宇宙へのアクセスコストを引き下げている。▼商業宇宙ステーションや宇宙空間での組立・製造のような新たな技術革新は、大規模で複雑な衛星設備の建設をサポートすることができる。▼月や小惑星から採掘される宇宙資源の可能性は、材料費をさらに削減する。▼多くの地域、特に絶望的なエナジー事情に直面している地域が気づき始めている。▼欧州宇宙機関(ESA)は、SBSP開発の野心的なカシオペア計画に着手した。▼根底にあるのは、ESAによる2つの研究結果で、最初の実用規模の実証プロジェクトのコストは200億ドル以下である。▼コストがかかるとはいえ、この価格設定は、ジョージア州における新型原子炉2基の建設など、エナジー巨大プロジェクトと同レベルである。▼中国は、SBSPをエナジーと宇宙大国になるための手段と考えている。▼2028年に地球低軌道、2030年に静止軌道での実験を計画している。



今後数十年間で、数百ギガワットのベースロード発電所を建設できる。▼特定の構成であれば、SBSP発電所が電力市場間で切り替えを可能にし、システムの信頼性を高め、可変的な再生可能エナジー源を柔軟に補完することができる。▼エナジー資源の経済的優位性に恵まれない国々は、自国のエナジーを安全に生産できるだけでなく、余剰の宇宙発電を世界市場に送ることで、輸出市場を開拓することができる。▼グリッド規模の電力だけでなく、SBSPは遠隔防衛活動から軌道衛星、月や火星の地表にある基地まで、さまざまな種類の高度なエナジー活動を支えることができる。▼宇宙ステーションはロケット打ち上げを必要とするが、ライフサイクルでの排出量は他のクリーン・エナジー源に匹敵すると思われる。▼しかし、アメリカは現在、この豊富なエナジー源に参加するめどが立っていない。▼アメリカでSBSPに取り組んでいるのは、国防総省とカリフォルニア工科大学というほんの一握りの団体だけである。▼NASAはパワービーミングに焦点を当てたプロジェクトに資金提供しているが、宇宙用途に限られている。▼米国機関および民間セクターに研究開発・商業化のロードマップが存在しない。▼広範な協調と需要の推進がないと、ユーティリティ・スケールのSBSP開発を支援する投資は不十分なままに終わる。▼広範なアメリカのイノベーション・エコシステムは未発展だ。▼エナジー省、国立研究所、電力部門の顧客といった、商業化エナジー技術を開発する上で最も重要な主体が、開発から抜け落ちていることが注目に値する。▼宇宙産業だけでは、この技術を解き放つことはできない。▼さらに、国務省、連邦エナジー規制委員会、連邦通信委員会のような、宇宙エナジーシステムに対する重要な政策・規制の場は、まだ十分な法的基盤を確立していない。


包括的な戦略とはどのようなものだろうか?▼今年初め、両著者は『Space Policy』誌に論文を発表し、技術開発プログラムがそのような戦略の要だと主張した。▼私たちは、官民パートナーシップの活用を提案し、価格を下げながら技術のリスクを段階的に取り除いていくことを提案した。▼小規模活動から始め、積極的だが実現可能なプログラムにより、2040年代に実用規模のコスト競争力のあるシステムに到達する。▼最近のインフラ法案で新設されたエナジー省クリーンエナジー実証室は、そのようなプログラムの完璧なホストとなるだろう。


技術実証とコスト削減だけでなく、このようなプログラムがあれば、長期的規制の枠組みを確立する持続的な政策立案も可能となる。▼規制上の課題としては、他の衛星や地上ユーザーが現在使用中の電波スペクトルの利用、マイクロ波ビームの安全性やセキュリティに関する懸念への対応、規制の厳しいエナジー市場へのSBSPの統合などがある。▼なかでも最も重要な出発点は、バイデン政権と議会が、宇宙を利用した太陽光発電の開発を気候変動との戦い、エナジー安全保障の強化、2つの戦略分野における国際競争力の確保の国家的優先事項だと宣言することである。▼NASA、国防総省、エナジー省にまたがる省庁間調整により、政府投資を実験室での実現技術に向けることができる。▼民間主導のイノベーションは、学界と密接に協力し、イノベーションを実際の展開へ導き、段階的な展開でコストを削減できる。


最終的には、SBSPは21世紀のエナジー源のひとつになる可能性がある。▼風力、太陽光、原子力といった他のクリーンエナジー源を補完することで、米国とその同盟国のエナジー安全保障を確保しながら、今世紀半ばの世界的な脱炭素化を実現することができる。▼また、たとえ核融合のようなカーボンフリー技術が実用化されても、SBSPのユニークな特性が、SBSPへの投資を正当化するだろう。▼空想的に聞こえるかもしれないが、宇宙から送られる太陽光発電は、まさに今世紀の米国が行うべき、リーダーシップを定義し、世界を変える賭けなのである。■


July 2, 2023  Topic: Energy  Region: World  Blog Brand: Techland  Tags: EnergySpaceSolarSpace-Based Solar PowerRenewable EnergyTechnologyEnergy Security



Alex Gilbert is a Fellow and Ph.D. student at the Colorado School of Mines, and Director of Space and Planetary Regulation at Zeno Power.

Leet W. Wood currently works in energy policy and regulation at a DC not-for-profit. He received his doctorate from George Mason University in 2019.

Image: Shutterstock.


2022年9月5日月曜日

宇宙配備の太陽光発電システムが原油ガス価格上昇の折、再び注目を集めている

 

欧州宇宙機関は、宇宙太陽光発電のフィージビリティスタディを11月に開始したいとする (ESA Image Credit, Andreas Treuer)


60年代の太陽光発電構想が、国防総省やNASAなど米国内だけでなく、北京を含む世界各地で再注目されている



工衛星を使い宇宙空間で太陽放射を集め、それを地球に転送しエナジーに利用するアイデアは、1968年に初めて提案され、1970年代半ばから後半にかけての「エナジー危機」で米国政府の関心を引いた。

 NASAやエナジー省による技術開発構想が、技術的・資金的な問題で頓挫した後、40年書経過して国防総省がバトンを引き継ぐ。 国家安全保障宇宙局による2007年報告書では、宇宙を利用した太陽光発電は「米国とパートナーの安全保障、能力、行動の自由を著しく向上させる戦略的機会」としていた。

 しかし、結局のところ、当時の国防総省指導部は、この問題を「担当課題ではない」とし、報告書はペンタゴンの奥深くの棚にしまわれていた。

 しかし、運用上効果的なシステム技術的な挑戦開発は続いており、また、それを支えるアーキテクチャの高い投資コストに関する疑問も残ったままだ。

 例えば、欧州宇宙機関(ESA)は8月中旬、SOLARISと呼ばれるフィージビリティ・スタディ・プログラムを立ち上げるべく11月の理事会で資金提供を求めると発表した。ESAは8月16日にYouTubeで、この取り組みは、気候危機を緩和するのに役立つ将来のクリーンなエナジー源を求める欧州の動きの一環と説明している。 

 成功すれば、SOLARISは2025年からフル予算の開発プログラムになる。

 オランダにあるESAの欧州宇宙技術研究センター関係者がBreaking Defenseに語ったところによると、ESAはSOLARISの予算案を発表しておらず、ESA関係者は加盟国代表と関心の度合いを探っているという。

 「既存のエナジーソリューションに依存した場合、2050年までにネットゼロの目標達成で大きな課題を抱える国からの関心を期待している」と、同関係者は電子メールで述べた。

 実地経験を持つ欧米関係者によると、今のところヨーロッパ軍部はこのコンセプトに関心を示していない。代わりに、大陸の焦点は気候や将来のエナジー自立に当てられている。後者の問題は現在、ドイツのようにロシア天然ガスに大きく依存するヨーロッパを悩ませている。現在進行中の戦争で、モスクワはウクライナ支援国への輸出を減らし続けている。

 しかし、EUには未加盟だがESAには参加しているイギリスでは、イギリス宇宙局、国防省の双方が構想を支持している。

 英国宇宙局は8月26日、最大600万ポンド(約6億9000万ドル)相当のプロジェクトの計画の「宇宙太陽光発電イノベーションコンペティション」の7月のガイダンス文書を更新した。そして7月14日にロンドンで開催された Global Air and Space Chiefs' Conference で、国防省初の宇宙作戦部長は、同コンセプトの将来性について雄弁に語った。

 特に Harv Smyth 航空副司令官は、中国が太陽光発電を利用する運用可能な衛星を配備する予定を当初の 2030 年予定より 2 年前倒ししていると指摘し、宇宙太陽光発電構想の支持者が表明している、北京がこれからのエナジー市場を支配する意図を有しているとの懸念に同調した。

 The Aerospace Corporationが発表した2020年レポートによると、中国は太陽光発電衛星の開発において「グローバルリーダー」をめざし、その利用を「化石燃料や外国産石油依存から転換するための戦略的必須事項」と見なしている。

 日本、ロシア、インドも開発を進めているが、北京ほど野心的ではないと、同誌は指摘する。

 米国ではここ数年、政府の関心を再び高めたのは軍であった。結局のところ、米軍は安価なエナジー源を見つけることに大きな財政的な利害関係がある。DoDは米国で最大の単一エナジー消費者であり、世界最大の組織的石油消費者であると、ブラウン大学ワトソン国際公共問題研究所の2019年研究が明らかにした。2001年から2018年にかけ、軍は「米国政府の全エナジー消費の77~80%を一貫して消費してきた」と同研究は述べている。

 しかし、今のところ、米国における宇宙配備型太陽光発電の取り組みは、小規模で、科学的な研究と実証の領域、つまり運用能力の開発への道に立ちふさがる技術的障害を解決することを目的としたものに留まっている。

 例えば、マイクロ波やレーザーを使い、太陽放射から変換された高周波エナジーを衛星に転送できる。5月28日付けのSpace Newsによると、NASAは宇宙を利用した太陽光発電を地上の場合と比較し、打ち上げコストの低下などの技術的進歩に照らして潜在的なコストを検討する予定だという。

 一方、空軍研究本部AFRLは、一連の基礎技術を開発する野心的な宇宙太陽光発電増設実証研究(SSPIDR)構想の下で、次のテストに向け準備を進めている。

 ノースロップグラマンは、SSPIDRでAFRLと提携し、自社研究資金として約1500万ドルをこのプロジェクトに投入している。同社はまた、このイニシアチブの目玉ミッションである、2025年に打ち上げ予定の「Arachne」実験衛星のため、2018年にAFLRから1億ドルをわずかに上回る金額を受け取っている。

 今月末に予定さの同テストでは、地上で電磁エナジーを使用可能な電気に変換するために必要な整流アンテナ(rectennas)に焦点を当てると、AFRLの広報担当者は述べている。

 AFRLとノースロップグラマンは、最初に「2022年5月初旬にRFからレクテナの無線電力ビーミングを成功させた」それは「SSPIDRが完全に機能する宇宙ベースの飛行実験に向けて進行する際に完了した作業を検証する重要なステップだった」と、プロジェクトに従事するノースロップグラマン研究フェロー、ポール・マシューズは述べています。

 「より完全なデモンストレーションは9月下旬に行われ、RFビームを制御し、エナジーを遠隔地のレクテナ数カ所に送る能力を証明します」と彼は電子メールで付け加えました。

 もうひとつのSSPIDRサブ実験は、SPIRRAL(Space Power Infrared Regulation and Analysis of Lifetime)と呼ばれ、2023年夏の打ち上げに向け進行中だ。

 SPIRRALは、「国際宇宙ステーションに搭載される可変放射率材料VEM」をテストすると、AFRL広報担当者は述べている。この材料は、衛星システムを襲う太陽放射の強烈な熱を管理するため必要だ。■


The next energy frontier: A race for solar power from space? - Breaking Defense


By   THERESA HITCHENS

on September 02, 2022 at 10:14 AM