2022年4月8日金曜日

ボーイング、ルフトハンザ....マイクロソフトとの協業で航空業界に生まれる変化に注目。

 

クノロジーの巨大企業マイクロソフトは、OEMのインフラからパーソナライズされた機内食まで、あらゆるものに影響を与えるAIソリューションを提供している。

 デジタル化自体は、コンピュータの登場した当初から進行している(作業の自動化、より複雑な作業を解決するためのコンピュータプログラムの採用など)。今日、航空業界は、デジタル変革の次の章として人工知能(AI)に注目している。

 2020年12月、国際民間航空機関(ICAO)主催の「航空におけるイノベーションの実施に関するグローバルシンポジウム」で、欧州連合航空安全機関(EASA)事務局長主席顧問のジャンマルク・クルーゾJean-Marc Cluzeauは、次のように述べた。

「人工知能は迅速に実現し、航空分野含め広く採用されている。AIの概念は1950年代から存在していたが、大量のデータを収集・保存する能力、演算能力の向上、強力なアルゴリズムとアーキテクチャの開発という3つの並列要因により、ここ10年で発展が著しく加速している」


イノベーションとサステナビリティが拡大する

ボーイングとマイクロソフトは4月1日、両社の戦略的パートナーシップを深化させると発表した。ボーイングはMicrosoft CloudのAI機能を活用し、データ駆動アプローチで技術インフラとミッションクリティカルなアプリケーションの更新を進める。

 ボーイング社がデジタルソリューションのポートフォリオをMicrosoft Azureに移行し始めた2016年から開始した協力関係をさらに拡大するものとなる。ボーイングの最高情報責任者兼情報技術・データ分析担当上級副社長スーザン・ドニズSusan Donizは、次のようにコメントした。

「本日の発表は、ボーイングでのデジタルの未来に向けた重要な投資となります。マイクロソフトとの戦略的パートナーシップは、インフラの制約を取り除き、イノベーションを引き出す適切なスケーリングを行い、持続可能な運用への取り組みをさらに強化することで、当社のクラウド戦略の実現に貢献します」


空の旅の新時代はパーソナライズされる

大西洋の反対側では、ルフトハンザも、フライトの前、最中、後に、乗客向けにパーソナライズされた体験を提供するためMicrosoft Azureに注目している。ルフトハンザ・グループのITデジタル化責任者であるクリスチアン・スパンバウアChristian Spannbauerは、次のようにコメントしてる。

 「2人として同じ乗客はいないということです。よく旅行に行く人もいれば、初めて飛行機に乗る人もいます。搭乗2時間前にゲートに到着する人もいれば、ぎりぎり到着する人もいます。私たちは、すべてのお客様がそれぞれのニーズに合わせて、ストレスのない旅を楽しんでいただけるサービスを提供したいと考えています。そうすれば、次回の旅行でも当社を信頼していただけるはずです」

 ルフトハンザはこれまでも、フライトが時間通りに運行されているか、乗り継ぎ便はあるか、誰がどんな荷物を預けたかなど、運航に関するデータを収集してきた。しかし、従来は、情報は別々のデータベースに分散し保存されていた。

 このようなやり方は、スタッフ向けの標準的な報告書の作成では問題なかった。しかし今後は、データをもとに意思決定をリアルタイムで行い、お客様一人ひとりのニーズに応えていきたいと考えている。来年初頭までには、ルフトハンザ・グループの全運航会社がルフトハンザ・グループのワン・データ・プラットフォーム(ODP)にアクセスできるようになる。


データは「新しい石油」だ

データは新しい石油と呼ばれる。残念ながら、この比較は「採掘」や精製後の儲けだけでなく、おそらく無駄になるデータの保存で生まれる膨大なエナジーによる環境への影響でも当てはまる。

 マイクロソフトは、2012年から企業としてカーボンニュートラルを実現している。しかし、「カーボンニュートラル」を掲げる多くの企業と同様、カーボンオフセットへの依存が伴う。一方で、2030年までにカーボン・マイナスを公約している。さらに、マイクロソフトは2050年までに、CO2排出量をすべて取り除く意向だ。

 また、ワシントン州に拠点を置く同社は、「AI for Earth」プログラムも実施している。このプラットフォームを通じ、AIで人々や組織の地球や自然界にへの関わり方を変えるプロジェクトに助成金を提供している。70カ国以上のプロジェクトで700件以上が助成金の対象となっている。


データに基づくムダの削減

AIの導入による最適化は、(燃料効率などより明白な用途以外にも)航空業界全体の環境負荷の低減にも大きな可能性を有する。

 ルフトハンザのスパンバウアーは、ミュンヘンからロンドンへのフライトで、女性出張者と休暇を過ごすカップルを乗せた例を挙げた。それぞれが空港に向かう間に、航空会社はデータに基づき選択肢を提供できる。

 「ビジネスウーマンでは、当社をよくご利用いただいているので、食べ物の好みがすでにわかっています。食べられるとわかっている食事だけを提案します。機内食はセルフサービスのアプリで注文していただき、クリック数回でお席へお持ちします。一方、お二人の食の好みはまだ分からないので、別のプロセスでご案内します。このようなサービス飲食物を事前に計画できれば、廃棄物の発生を減らすことができます」


クラウドコンピューティングの活用範囲が広まる

ケンブリッジに拠点を置く英国のスタートアップ企業Sataviaは、AIを活用した飛行計画ソリューションにより、航空が気候に与える影響の60%を排除できると考えている。同社のクラウドベースのソフトウェアプラットフォームもMicrosoft Azureで構築されている。信じられないほどの大量の演算処理能力で高度なアルゴリズムを実行し、CO2排出量の削減と、航空が気候に与えるCO2以外の影響の大部分を占める飛行機雲の形成の抑制を支援する。



これ以外にマイクロソフトとクラウドサービスで提携している航空会社や航空宇宙企業としてアビアンカイベリアエキスプレスGEエイビエーションロールス・ロイスがある。また、ドバイ空港やスウェダヴィアなど、空港も同じプラットフォームを利用する。スウェダヴィアはスウェーデンで10空港を運営し、事業全体でネットゼロを2020年に達成した。

 マイクロソフトのEVP兼チーフ・コマーシャル・オフィサー、ジャドソン・アルソフJudson Althoffは、同社とボーイング間の最新の展開について、以下のように述べている。

「ボーイングとマイクロソフトは20年以上にわたり協業しており、今回のパートナーシップは実績に基づき、業務の最適化と世界の航空業界に有益なデジタルソリューションの開発支援により、ボーイングのデジタルの未来を支えます」■


How Microsoft's Partnerships With Boeing And Lufthansa Are Transforming Aviation

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BY LINNEA AHLGREN

PUBLISHED 10 HOURS AGO


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