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Showing posts from March, 2022

戦闘で全損となったAn-225復活のクラウドファンディングが始まった

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  ANTONOV/YOUTUBE SCREENCAP 第一、第二ターミナル共通記事です キ ーウ郊外ホストメル空港での戦闘で、世界最大の6発貨物機An-225ムリーヤMriya(「夢」)が破壊された。しかし、設計・製造元の アントノフ はAn-225復活の資金募集を各国で開始した。 同社CEOゼルヒ・ビチュコフ Serhiy Bychkov は、同社Facebookで声明を発表し、呼びかけている。 「親愛なる世界各国の皆様。アントノフ国営企業のAn-225 Mriyaは特別な存在です。貨物搭載量で最大で比類ない性能を誇ります...現下の厳しい状況にもかかわらず、アントノフチームは、現代のシンボルの一つとして伝説の機体の損失は許されないと確信し、フラッグシップ貨物機An-225 Mriyaの復活に着手する信念を固めました。 当社は国際基金の設立を提案します...」 声明では、紛争前30年間にわたりAn-225が大型貨物輸送に成功し、240もの世界記録の実績を振り返っている。ビチュコフは、An-225が民間機や人道援助物資の輸送に加え、宇宙船やミサイルを空中発射する可能性を指摘している。 今回の野心的なクラウドファンディング提案は、「各国の首脳や政府、世界各地の航空メーカー、航空機やその他アントノフ製品の製造に参加し、アントノフ航空機の連続生産に製品を提供した海外のパートナー企業、銀行やその他の金融機関の経営陣、航空ファンや愛好家、世界の航空界、そしてウクライナのミリヤの偉大さを賞賛するすべての関係者 」へ支援を求めている。 声明文には、振込用の銀行口座も記されている。 ウクライナ国営通信社 ウクリンフォルム Ukrinform は、同機修復費用を30億ドル以上としており、かなり高く思えるが、近代化改修や、生産施設の分も含まれているのかもしれない。 しかし、少なくとも先月末のホストメル襲撃後に残された機体を見る限り、「修復」は空想に過ぎない。機首、主翼、エンジンが大きく破損し、大部分が破壊された。無傷で残っているのは、機首の一部だけで、この状態も疑わしい。   YOUTUBE SCREENCAP 戦闘後のAn-225の無残な姿   このためアントノフはキーウに残る未完成のAn-225を完成させるのに資金を使おうとする可能性が高いと思われる。 あるいは完全新規のAn-2

3月21日の中国東方航空MU5735便の墜落は通常では考えられない事故の様相。

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    今回の事故機B-1791登録番号のボーイング737-800。2015年ワシントン州シアトルで同社引渡しの直前の姿。Credit: Joe Walker     中 国東方航空 の ボーイング 737-800(機体番号41474、登録番号B-1791)が中国南部広西省 梧州 近くの山地に墜落したのを中国航空当局CAACが認めた。   ターミナル4航空事故専門サイトもご覧ください。 https://airaccidentsdisaster.blogspot.com/     MU5735便には乗客123名、乗員9名が乗り昆明から広州へ向かっていた。広西省緊急事態管理局は英字紙China Dailyに墜落で「山火事」が発生したが捜索救難チームが現地に向かったと述べた。死傷者数は不明だ。CAACは「緊急措置」を発動させた。   国営放送CCTVでは中国東方航空は保有する737-800全機を3月22日より飛行停止措置とすると伝えた。同社の737-800は75機あり、機材の8割に相当する。   CAACは737NGになにもアクションを示していないが、安全問題が発覚すれば躊躇なく全機を飛行停止にするとしている。ちなみに2019年3月に737MAXファミリーで人身事故が発生しCAACが世界ではじめて飛行停止措置を決めた。   「通常の状況なら、墜落事故発生後に共通問題を疑い737全機の飛行を停止するようなことはない」とCowen & Co. 社のアナリストが書いている。「ただボーイングが737MAXで問題を抱えていることを考えれば、今回の中国東方機の事故原因が判明するまで利用客も737利用を敬遠するのではないか。設計、製造いずれの問題でないとわかれば話は別だが。そうなると墜落原因の究明が待たれる」。   飛行追跡サイトFlightradar24で同機は高度30千フィートから急降下し3分で地表に激突している。同機は昆明を現地時間午後1時11分ごろ離陸し、午後2時25分頃に広州空港からおよそ170マイル地点に墜落した。Flightradar24では同じ機体が重慶から昆明に飛んでおり、最後の同区間飛行は3月18日だった。   未確認CCTV映像は近隣の建物の監視カメラと車載カメラ双方からの撮影と思われるものがオンラインに出回っており、737が急角度で地面に激突している。

NASAの赤外線望遠鏡搭載機はパンナム、ユナイテッドが使用した747SPだった

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  NASA’s amazing Boeing 747SP is currently in Chile. Photo: NASA/SOFIA/Waynne Williams N ASAの成層圏赤外線天文観測機(SOFIA)ボーイング747SPが3月18日、チリのサンチアゴ国際空港に着陸した。同機は2週間にわたり実験を行うが、南米への遠征は今回が初めてだ。なぜチリに移動したのか。南半球の緯度からしか見えない天体の観測のためだ。 NASAは、ボーイング747SP、登録番号N747NA、SOFIAを一時的に南米に配備した。ジャンボ機はサンチアゴ・デ・チリに着陸し、今後2週間滞在する FlightRadar24.comのデータによると、パームデール-サンチャゴ間の飛行時間は10時間30分近くだった。SOFIAにとって、2022年で初の海外展開となる。今年に入ってからの飛行はパームデール周辺と、2月14日のフレズノへの1回だけだった。 SOFIAは南米で何を観測するのか? SOFIAは今後2週間、サンチアゴ国際空港から科学フライト8回を実施し、主に大マゼラン星雲と小マゼラン星雲を観測する。この2つの銀河は、我々の天の川銀河に最も近い銀河、とNASAは声明で述べている。 チリでの滞在期間はわずか2週間で、SOFIAの長期展開では通常、複数の観測装置を用いて25回以上のフライトをする。 SOFIAのプロジェクトサイエンティストNaseem Rangwalaは、次のように述べている。 「チリへの展開で、科学界に南半球の空へのアクセスを提供できることを嬉しく思っています。NASAは効率と優先順位を前提にした目標に重点を置いて、展開テンポを高めており、サンチアゴで機会を得られることに感謝しています」。 臨時代理大使リチャード・グレンも「170年以上前にサンティアゴにセロ・サンタ・ルシア天文台が設立されて以来、科学協力、特に天文学分野は米国とチリの関係の礎」と述べた。 SOFIA望遠鏡を搭載したボーイング747SPは、44年前の機体。1977年にパンナムが運航を開始し、1986年にユナイテッド航空に移籍した。NASAは1997年に同機を購入し、太陽系研究用の反射望遠鏡を搭載する大幅な改造を施した。同望遠鏡は赤外線観測で、新しい星や太陽系の形成などの事象を観察する。 SOFIAは2009年

香港が今月にも渡航規制を緩和か。ゼロコロナ政策で以前の優位性が回復できなくなっている可能性。日本にとっても深刻なケースでは。

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  林鄭月娥香港行政長官は、「人々の寛容さが薄れてきている」と述べ、3月20日か21日の「どちらか」に規制を変更する予定と発言した。 林鄭月娥 行政長官は、本日の記者会見で、住民や業界の圧力のため、パンデミック規制の緩和を今後数週間で開始する可能性を示唆した。記者の質問に、長官は次のように述べた。 「その時が来たと思う。理由は感染者数の大幅減少ではなく、公衆衛生では高レベルのプラトーのまま、人々の耐性が薄れてきていると非常に強く感じているため」と述べた。 同じ記者会見で、同長官は「3月20日か21日のどちらか 」に最新情報を発表すると確認している。 航空業界への影響 香港は「ゼロコロナ」を目指し、世界でも最も厳しいパンデミック法を施行中で、イギリス、アメリカ、フランス、カナダ、インドなど9カ国への渡航制限は4月20日まで有効の設定だ。 フラッグキャリアの キャセイパシフィック は、2019年の3520万人に対し、昨年は70万人強の旅客実績だった。貨物部門も振るわず、総運搬量は昨年比で20%減少した。声明で、チーフ・カスタマー&コマーシャル・オフィサーのロナルド・ラム Ronald Lam はこう述べている。 「キャセイパシフィックの経営環境は、依然として非常に厳しい。香港の渡航制限と運航制限により、2月も旅客便のキャパシティを増やせず、COVID-19以前のレベルで2%を下回る運航となり、2022年1月比で約28%減少した。3月の旅客旅行需要にも大きな回復の兆しがない」 キャセイパシフィックは2月以降、毎月およそ10億香港ドルの損失を出しており、今年の全体損失は少なくとも56億香港ドルの予測だ。2020年以降で同社は5,900人を解雇している。 香港の未来 しかし、キャセイパシフィックの財務的な苦境よりも深刻なものがある。かつて世界で最も忙しい空港だった香港国際空港は、ほとんど空っぽで使われていない状態になっている。2019年の旅客数は月平均600万人で、2021年はこの数字にも達していない。 Financial Timesは、北米の匿名航空会社幹部が、航空会社は現在、香港線を再考しており、香港へのフライトを主張し続けると「キャリア自殺」で同じとまで言い切ってたと報じている。 パンデミック前に大きく変化した香港の経済、政治、立法環境が現在の苦境に拍車をかけている。今

ロシア制裁⇒原油高騰⇒サーチャージ値上げ⇒航空需要停滞 航空スタグネーションが現実へ。

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  Photo: Vincenzo Pace | Simple Flying 原 油価格が低下しないと燃料サーチャージが航空料金に上乗せされるのは避けられなくなるとの見解が専門家から出ている。 原油価格がこのまま上昇すると、夏休みの旅行は割高になる。燃料料金が発生する可能性があり、航空運賃は少なくとも15%上昇する可能性があると専門家は見ている。 ロシアのウクライナ侵攻はエナジーショックを引き起こし、原油価格は2008年以来の高水準に達した。 アジア中東の航空会社には、燃油チャージを導入済みのところもある。 エアエイジア は2015年以来久しぶりに燃油サーチャージを航空券価格に追加した。 マレーシアエアラインズ は不採算路線コストの相殺として3月23日から実施し、 エミレイツ 、 JAL 、 ANA もサーチャージを値上げした。 De Telegraafは、エナジーの世界市場におけるロシアの影響力から、航空業界で前代未聞の問題が生まれていると指摘している。原油1バレルは3月7日月曜日に140ドルでピークに達した。英国国会は今年の夏までに240ドルに達する恐れを表明し、フランスのブルーノ・ル・メール Bruno Le Maire 経済相は、影響は1973年の石油危機に匹敵すると警告している。水曜日に開かれた会議で、ル・メール大臣は以下のように述べた。 「現在のエナジー危機は、強度と残虐性において、1973年のオイルショックに匹敵する。1973年、インフレショックを引き起こし、中央銀行は金利の大幅な引き上げに走り、成長を断ち切った。これにスタグフレーションの名前がついた。2022年はこれを避けたい」。 航空会社にとって当面の問題は原油価格高騰であり、燃料費は航空会社の運航コストの35%を占める。航空会社は、航空運賃にサーチャージを上乗せしてダメージを軽減しようとするが、これは観光客には値上げにつながる。 ライアンエアー を筆頭に数社は、石油コストをヘッジして、短期的に燃料価格を下げている。ライアンエアーは現在価格のほぼ半分1バレル65ドルでフルヘッジしている。 現在、米国の航空会社でヘッジしているのは サウスウエスト と アラスカ だけで、しかもフルヘッジではない。むしろ多数の会社は、パンデミック時の原油価格の下落を受けヘッジ対策をやめており、今はリスクにさらされている

ロシアからのチタン供給が期待できない今、機体メーカーは今後の増産に対応したチタンを確保できるか

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  Photo: Getty Images 航 空宇宙産業のサプライチェーンは、ウクライナ紛争でロシア制裁が課される前からぎくしゃくしていいた。ロシアからのチタン供給が閉められた今、 ボーイング と エアバス はチタンをロシアに大きく依存してきたが、他の市場からの調達をめざす。 エアバスとボーイングは、2022年以降の増産を目指しており、必要なチタンの確保が、最重要課題となっている。 エアバスとサフランは独自にチタンのサプライチェーンを確保 ボーイングはロシアに依存せずニーズが満たせるとしている。フランス政府の支援を受け、エアバスはエンジンOEMのサフラン Safran 、プライベート・エクイティ企業のティケハウ・エース・キャピタル Tikehau Ace Capital と提携し、チタンなど専門金属と超合金のフランスのサプライヤー、 オーベル&デュバル Aubert & Duval を買収し、サプライチェーンの保護を狙っている。 オーベール&デュバルは、航空宇宙、防衛、原子力、医療機器などの分野への戦略的サプライヤーで、年間売上は約5億ユーロ(5億4900万ドル)、従業員は3600人。航空宇宙分野製品は、航空構造物、着陸装置、航空機エンジン、ヘリコプター、宇宙船などの一部を構成する。エアバスのギョーム・フォリーCEOは、次の声明を発表した。 「我々は、オーベール&デュバルの優れた経営と市場の信頼を回復し、中長期的に、グローバルな競争に立ち向かえる有力企業を欧州で創出するとともに、供給への地政学的リスクを軽減することをめざす」 オーベル&デュバルは、合金の基本となる純粋なチタンであるスポンジチタン生産に加え、チタンスクラップを航空宇宙品質のインゴットに再生するシステムのエコチタンを開発した。 チタンの主原料は、ルチルとイルメナイトの鉱石二種類。生産量の約90%を占めるチタン含有チタン鉄鉱は、南アフリカ、オーストラリア、カナダ、中国、ノルウェー、シエラレオネ、インド、モザンビークに多く存在するが、ロシアはチタン鉱物資源が少なく、チタンの埋蔵量は豊富ではない。 中国がスポンジチタン市場を支配 米国地質調査所(USGS)によると、2021年の米国外のスポンジチタン生産量は21万トンで、2020年の23万トンから減少した。中国が市場を独占し、2021年生産量で57%

ロシアは制裁を逆手にリース機材を返却せず、無料でその後も運行できるのか。政府が国有化する案も浮上。また制裁解除をにらみ、エアバス、ボーイングを秤にかける動きも。

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報道によればロシア政府に国内エアラインで稼働中の西側リース機材を国有化する案が浮上している。制裁措置への対応とされる。 Photo: Getty Images さらに記事では欧州連合による制裁措置によりリース料の支払いができなくなるため、国が強制的に機材を買い上げ、国有化するとある。 西側機材を国有化できるのか FrequentFlyers.ruはアエロフロート内の取材源の話としてロシア政府がロシアエアライン各社で稼働中の西側企業のリース機材を強制買い上げする案が出てきたと報じた。 53 構想ではロシアはリース機材の返却ができず、リース契約が終了すれば、本来は機材はリース元に戻すことになる。 だが、リース契約が終了した時点で機材はロシアのものとみなされず、ロシア国外への飛行ができなくなる。ロシアが独自に欧州連合の機体をロシア領空内で飛行禁止にしているためだ。 そうなるとリース契約終了となってもロシア側は無料で機材運用が可能となる。リース元が機材を呼び戻せないためだ。 記事ではロシアのエアライン各社がボーイング、エアバス両者の動きを注目しており、ロシアに有利な条件を提示する側が制裁解除語に優遇されるとある。 中立国を利用する手がある リース機材の回収は難題だが、この解決としてロシアに制裁を課さない国を経由する手がある。 機体をトルコのような中立国に飛ばす。リース契約はそこで終了とし、機材はヨーロッパ内を自由に移動できる。 ただしそのためにはロシアのエアライン各社がこの方法に合意する必要があり、FrequentFlyers.ru記事はこのとおりにはいかないと見ており、逆に「欲しいなら取りに来い」とロシアは主張するだろうとある。 パンデミックで露呈したがロシアのエアライン各社は国際線運航の停止で打撃を受けていない。広大な国土によりエアライン各社は国内線の高需要に対応してきた。 アエロフロートも国内路線を多数抱えており、3月4日時点でモスクワのシェレメチェボ空港(SVO)から127便を運行している。■ What Will Happen To Western Aircraft Leased By Russian Carriers? BY JAKOV FABINGER PUBLISHED 11 HOURS AGO Jakov Fabinger (355 Articles Pub

世界最大の巨人機(だった)An-225はやはり破壊されていた。

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     YOUTUBE SCREENCAP   (メディア関係者の皆様へ。当ブログではロシア語発音由来のキエフではなく、ウクライナ発音に近いキーフを採用しています。また、An225という機材は存在しないのでご注意ください。)   安 否が心配されていた世界唯一のアントノフAn-225ムリーヤ(夢)の状況を示す画像が出てきた。ひどい。     巨人機はほぼ全壊で、機首、主翼、エンジンが大きく損傷している。機体後部は損傷がないようだが、実態は不明だ。数日前の衛星画像では尾部は無事で、ホストメル空港 Hostomel Airport の巨大格納庫の下に隠れていたことがわかったのが唯一の朗報だ。   TWITTER SCREENCAP   同空港に アントノフエアラインズ は拠点を置いていたが、ロシアの侵攻で戦闘の舞台になってしまい、戦いは先週を通じ展開した。その過程で空港施設や機材が大被害を受け、ムリーヤも例外ではなかった。同空港はキーフ近郊で北西に位置する。   PLANET LABS ホストメル空港の衛星画像 February 28th, 2022.   ウクライナがロシアを撃退したら、同機で無傷な部分を使い、An-225の未完成胴体と組み合わせることになるのか、まさに「夢」である。   機体、建築物や艦船は再生あるいは更新できる。だが今回の戦闘による被害の拡大、なかんずく死亡者の増大は真の悲劇だ。生命はとりかえしがきかない。   だからといって、貴重な航空機が本来起こるはずがなかった無意味な戦争で喪失されたことに怒りを悲しみを覚えないわけには行かないのである。   This Is Our First Tragic Look At All That's Left Of Ukraine's Giant An-225 Cargo jet   The entire front of what was the world's largest operational aircraft is totally destroyed and its wings and engines are badly damaged.  BY TYLER ROGOWAY MARCH 4, 2022 THE WAR ZONE