Posts

Showing posts from April, 2022

アエロフロートがスカイチームから「一時的」に締め出される措置を受ける

Image
  Aeroflot joined SkyTeam in 2006. Photo: Tomás Del Coro via Flickr ロシアのフラッグキャリア、アエロフロートはスカイチームアライアンス加盟を停止される ロ シアのウクライナ侵攻から2カ月余り、紛争が続いている。様々な分野のロシア企業が制裁を受けている。その一環で、フラッグ・キャリアである アエロフロート はスカイチームから締め出されることになった。 一時的措置 スカイチームグループは昨日、ウェブサイトでアエロフロートのアライアンス加盟を一時停止したと発表した。注目すべきは、アライアンスがアエロフロートと一時的な資格停止で合意した点だ。  もちろん、2ヶ月前にロシアがウクライナに侵攻して以来、アエロフロートへの制裁は今回がはじめてではない。米国商務省は同社のボーイング機の整備を禁止している。スカイチームが発表した声明は、以下の通り。 「スカイチームとアエロフロート航空は、同航空のスカイチーム加盟を一時的に停止することで合意した。お客様への影響を抑えるべく取り組んでおり、スカイチームの特典やサービスに変更がある場合は、影響を受けるお客様にお知らせいたします」 16年にわたる関係 アエロフロートとスカイチームアライアンスの関係は、16年前にさかのぼる。  2006年4月14日、旧ソビエト連邦の航空会社として初めてスカイチームに加盟し、歴史に名を刻んだ。スカイチームは2000年7月に設立され、当時はまだ6年目だった。  スカイチームは、アライアンスの接続性を大きく向上させた。Air Transport World 誌は当時、スカイチーム加盟航空会社が 149 か国、728 都市へ、1 日あたり合計約 15,000 便を運航すると報じている。アエロフロートとスカイチームは、2004年5月に最初の覚書を締結した。  アライアンスメンバーの慣例で、アエロフロートはスカイチームがテーマの特別カラーリング機を保有している。ボーイング777-300ER(VQ-BQG)、 スホーイ ・スーパージェット100-95(RA-89015)、 エアバス A320-200(VP-BDK)のほかボーイング737-800(VP-BMB)、エアバスA330-300(VQ-BCQ)もある。 アライアンスを停止されたロシアの航空会社はアエロ

ソロモン諸島への進出を狙い、中国が域内ハブにする甘言を同国へ持ちかけていた事が判明。

Image
                                                                                                                                                                       AVIC 中国とソロモン諸島がソロモンを南西太平洋の航空ハブにしようと画策していたことが、2019年の覚書から明らかになった。中国の露骨な太平洋進出策に航空業界が利用されていく。 ソ ロモン諸島政府と中国の  AVIC Commercial Aircraf の覚書が流出し、眠ったような太平洋の島国を航空ハブに変えようとした野望が明らかになった。2019年の覚書では、ソロモン諸島政府がAVICから飛行機を購入する見返りに、ソロモン諸島周辺の飛行場36箇所を改良し、ソロモン諸島と中国間に直行便を導入する提案があった。 ソロモン諸島をハブにする遠大な計画 覚書全文は、オーストラリア放送協会(ABC)が金曜日朝に報道した。  ソロモン諸島は中国と安全保障条約を締結したことで、ソロモン諸島に中国軍が常駐する可能性が生まれ、米国、ニュージーランド、オーストラリアは大いに不快に感じているが、この覚書は今回の騒動の中で流出した。  2019年11月15日、中国でソロモン諸島の通信・航空担当大臣 Ped Peter Shanel Agovaka とAVICの最高顧客責任者 Zhang Yong が署名した覚書は、以下のように述べている。 「BRI(一帯一路構想)と本MOUを通じ、ソロモン諸島は西太平洋の航空ハブになるよう希望し、ソロモンは既存の国内飛行場インフラを強化し、国営航空会社の機体のアップグレードを希望する。 「ソロモンは、ホニイラへ中国から直行便を受け入れ、地域ハブとなる地域航空構想の一翼を担うよう希望する。ソロモンはMA600/MA700やY-12等の新型機を入手し、飛行場施設を改修する必要がある。 「ソロモン諸島は、MA600/MA700航空機の運用に向け飛行場の改修、CAAC(中国民用航空局)とCAASI(ソロモン諸島民間航空局)間の検証認証の実施、および当事者Bによる当事者Aの能力開発支援を同時に行う」(同)。 AVICは、発展途上国に航

ウクライナ政府のVIP機エアバスA319の動きが活発になってきた

Image
  ウクライナ政府で「エアフォースワン」に相当するのはエアバスA319-100一機のみだ 。 Photo: Alec Wilson via Wikimedia Commons 米 国には大統領専用機として ボーイング 747-200を2機があり、他にも政府用にVIP仕様のジェット機を多数保有する。しかし、ウクライナ政府が保有するVIP用ジェット機ははるかに少ない。     Planespotters.netのデータによると、エアバスA319-100 1機と アントノフ An-148 1機がある。ウクライナ政府の2機について見てみよう。 ウクライナ政府が保有する2機は以下の通りである。 機齢14.6年のエアバスA319-100(登録番号:UR-ABA)。 11.3年前のアントノフAn-148(登録番号:UR-UKR) このうちA319が先週からかなり活発に動いているのに対して、An-148は2月下旬にロシア侵攻が始まって以来、活動を停止中だ。An-148の最後のフライトは2022年2月19日のようだ。キエフ・ボリスピル国際空港に保管されており、アントノフAn-225 Mriyaと同じ運命をたどっていないことを祈るのみだ。 先日アメリカへの大西洋横断から帰国したA319のに焦点を当てよう。 UR-ABA 2010年6月、ウクライナ政府にエアバスA319-100が1機だけ仲間入りした。当初からVIP輸送用に作られた同機は、ACJ-エアバス・コーポレート・ジェットとして製造された。同機は2007年にハンブルクで組み立てられ、当初はオーストリアのチャーターサービス会社JetAllianceが運航していた。 しかし、Planespotters.netによると、JetAllianceの所有下で同機はウクライナ政府向けに運航されていたあり、就航当初からウクライナ政府が使用していた可能性もある。いずれにせよ、同機は2008年にウクライナ政府に譲渡された。一方、ジェットアライアンスは2013年に運航停止している。 興味深いことに、このA319は2008年にウクライナ政府に譲渡されたものの、少なくとも資料によると就航開始は2010年である。ウクライナへの移送は、ダラスからアイスランドのケフラヴィーク空港を経由してキーウへ向かうものだった。しかし、この「回送」フライト以上の詳細は存在しない

ユナイテッドが過去最高の四半期収益を発表か。一方、米国内ではマスク着用をめぐり混乱も見られるが、回復基調は明らか。

Image
  ユナイテッドCEOのスコット・カービー Scott Kirby は、30年で最も強い需要があると述べている。Vincenzo Pace - Simple Flying 米 国の航空業界に記念すべき週となった今週、フェイスマスク義務化が消え、 ユナイテッド・エアラインズ は今年第2四半期に黒字化すると発表した。4月20日、ユナイテッド航空は、堅調な営業収益の見通しに基づき、第2四半期に黒字化する見込みであると発表した。  また、ユナイテッドは、国際線利用の改善に伴い、ボーイング777の運航再開を検討していると発表した。国際線19路線を再開し、2019年以降就航していなかった6都市への運航を再開した。シンガポール、グランドケイマン、ベルリン、エジンバラ、ポルト、シャノンなどが含まれる。 ユナイテッド史上最高の成績が目前? この見通しには、利用可能座席マイルあたりの総収益(TRASM)が2019年を約17%上回り、同社史上最強の第2四半期収益が含まれる。  ユナイテッドは、「最近の燃料高騰によるコスト面での逆風にもかかわらず、第2四半期は営業利益率が約10%となり、堅調に利益を確保できる」と予想している。  ただし、予測されるマージン10%は、2019年の営業利益率より2.9ポイント、2019年の調整後営業利益率より3.5ポイント低い。  燃料費高騰はユナイテッドの収益性の大きな足かせとなっている。今年第1四半期、ユナイテッドの収益は2019年第1四半期から27%減ったが、燃料代は10%高くなった。  2019年にユナイテッドが支払ったジェット燃料は1ガロン当たり平均2.05ドルだったが、今年第1四半期は2.88ドルと40%値上げとなった。  ユナイテッドを含め、パンデミック時に多くの民間航空会社を助けたのは貨物収入だ。2019年第1四半期、貨物収入は286百万ドルで、今年は627百万ドルに急増した。  スコット・カービー Scott Kirby CEOは、同社のキャパシティを徐々に戻していると述べ、スタッフが 「お客様への気遣いに優れた仕事をしている」と称賛した。さらに、「需要環境は、私がこの業界で30年間働いてきた中で最も強く、ユナイテッドと顧客は、他社よりも恩恵を受けるだろう」とも述べた。  「第2四半期が我々のビジネスにとって歴史的な変曲点となる証しが明確に見

ジェットスター・ジャパンがA321LRを導入、7月より成田-福岡、札幌線に投入

Image
  ジ ェットスター・ジャパン はA321LRの定期路線運用を7月1日より開始する。 Photo: Jetstar. 同社のA321LR運用方針が判明した。当面は国内路線運用とするのは同社が以前表明していたとおりだ。 ジェットスター・ジャパンが発注中の全席エコノミー238席仕様のA321LR3機は020年代中頃に全機そろう。カンタスグループで発注した18機の一部の位置づけで、ジェットスターはカンタスが部分所有している。パンデミックにより引き渡しが遅れている。 機体には新塗装が施され、特にオレンジ色の尾翼が目を引く。最初の二機はJA26LR、JA27LRの登録番号をつける。 同社設立10周年記念としてA321LRによる特別フライトが6月30日に実施される。富士山の周りを飛ぶ遊覧飛行として成田を起点とする。定期運行は翌日から開始する。 7月1日より3路線にデイリーで投入 7月1日から10月29日までジェットスター・ジャパンはA321を成田から福岡、札幌の各路線に投入する。 福岡、札幌はともに東京から遠隔地になり、新幹線との競争力が十分あり、両路線とも同社で利用率が最高になっている。ともに世界の国内線リストでも高需要路線となっている。 フライトスケジュールは以下の通り。 07:10-09:15: Tokyo Narita to Fukuoka , 1x daily, GK503 10:05-11:55: Fukuoka to Tokyo Narita , GK502 12:25-14:40: Tokyo Narita to Sapporo , 1x daily, GK111 15:30-17:05: Sapporo to Tokyo Narita , GK110 18:00-19:55: Tokyo Narita to Sapporo , 1x daily, GK119 20:45-22:20: Sapporo to Tokyo Narita , GK120 日本第6位のエアライン OAGではジェットスター・ジャパンは今年夏時点で日本第6位のエアラインとなっている。トップの ANA と比べれば13分の1だが、上位に 日本航空 、 ピーチ 、 スカイマーク 、 JTA 日本トランスオーシャン航空 が控える。 同社は以前関西から香港、マニラ、台北を、名古屋からマニラ、台北、成

回復の遅れが目立つ中国だが、国内需要の大きさを考えれば2023年末にコロナ以前に回復するとの見方。

Image
今 週は2021年の空港利用実績トップ10の発表があり、米国が8、中国が2という結果だった。中国の回復が遅れているのが浮き彫りとなった。 Photo: Vincenzo Pace | Simple Flying. 昨年一年間の航空利用客は45億名だった。各地の空港は2020年を上回る利用客で賑わい、2020年が航空業界にとって最悪の一年だった。  回復は織り込み済みだった。ワクチンの完全接種者が増え、渡航規制が緩和され、自信と実需が伸びた。結果として座席提供数とフライト回数が増えた。 中国の回復が遅れている その中で中国は例外だった。下表にあるように、2021年の実績では7箇所の空港で2020年を下回る利用客となった。中国には巨大な国内線需要があるはずだったのだが。  国際空港協議会によれば、中国の10大空港はいず れも国際ランキング外になった。米国で急成長の空港が代わりに入っており、オーランドやラスベガスが世界最大級の空港になっている。ただし一時的だろう。 広州が最悪 2020年に世界最大の空港となった広州では旅客数が8%減少し、中国10大空港で最悪の展開となった。逆に旅客数が伸びたのは重慶、上海虹橋、上海浦東のみだった。  このうち、上海浦東の回復が目立つ。同空港は巨大都市上海の主要国際玄関となっている。 中国は2021年第1四半期までは順調に回復基調にあったが、同年中頃から失速が感じられた。中国の主要エアライン各社は2021年第4四半期に巨額の赤字を計上し、財務状況は2020年より悪化した。  中国はデルタ、オミクロンの両変種に襲われ、ゼロコロナ対応で乗り切ろうとした。大規模なロックダウンでフライトのキャンセルも相次いだ。都市、観光地を閉鎖し、国民も旅行を避けた。 今はどうなっているのか 2022年も年央に近づいて、世界がいっそう正常に戻ろうとする中、航空業界では人手不足などが回復を妨げている。ロンドンのヒースローでは今年の夏のピーク需要は2019年実績並みと予測している。  だが、中国では事情が異なる。2022年4月になっても回復は遅れ気味で、COVID症例はむしろ2020年2021年より増加している。現時点で上海が一番厳しい防疫体制にあり、症例が増える中で規制緩和に期待が集まっている。  中国全土で相変わらずフライトのキャンセルが目立つのは政府の徹底した対

2022年、747生産が終了し、一つの時代が終わる

Image
  Photo: Getty Images ボ ーイング は、747ジャンボジェットが今年末に受注分引き渡しがすべて完了する見込みのため、同機の生産を終了する。空の女王は半世紀以上にわたる長く輝かしい生産サイクルを続けてきたが、あと数ヶ月で最後の1機が納入され、その歴史に幕を下ろす。 747がまた一機引き渡された ボーイングは UPS 向けの最後の747-8Fを引き渡したと確認した。これにより、 アトラス・エア 向けの納入は残り4機となった。 ひとつの時代の終わり ボーイングは、ジャンボ機のライフサイクルの中で、多数のバージョンを製造してきた。中でも最新かつ最高の機体は、2005年に発表され、約7年後に商業運航を開始した747-8型機だ。747-8には貨物機と旅客型の2種類があり、「インターコンチネンタル」と呼ばれ、一般的には747-8Iとして知られる。 33.8K How To Identify The Boeing 747 ボーイングは当初、同型機の需要を300機程度と見込んでいたが、受注に苦戦している。同社の資料によると、旅客機は48機、747-8Fは102機が世界の顧客に引き渡されている。8I型旅客機の生産が終了してしばらく経つが、貨物機需要により生産ラインは稼働し続けてきた。  ボーイング広報は、シンプルフライング取材に対し、747の納入は残り5機のみで、すべて貨物機だと明かした。しかも、最後の納入は今年10月、アトラス航空向けが予定されている。残り5機のうち4機はアトラス・エアの機体で、1機も貨物大手のUPSに渡る。 最後の747は今年10月にアトラス・エアに引き渡される予定。写真 アトラス・エア 緩やかな衰退 今世紀に入り、世界の航空業界に新たな潮流が生まれた。技術の進歩により双発機の性能が向上し、航空会社は燃料を大量消費する四発機から脱却し始めた。COVID-19の大流行で旅客数を抑制し、状況を悪化させたが、747-8Iの受注が本格化しなかった理由はそれだけではない。  最新型747の発表から数年後にエアバスはA380の生産を開始した。 ブリティッシュ・エアウェイズ や エミレイツ などが、747の代わりにA380を選んだため、この欧州製超大型機がボーイング社に大きな打撃となった。 ジャンボは死んだのか? パンデミックのピーク時には、ジャンボジェット