ウクライナ政府のVIP機エアバスA319の動きが活発になってきた

 


ウクライナ政府で「エアフォースワン」に相当するのはエアバスA319-100一機のみだ

Photo: Alec Wilson via Wikimedia Commons


国には大統領専用機としてボーイング747-200を2機があり、他にも政府用にVIP仕様のジェット機を多数保有する。しかし、ウクライナ政府が保有するVIP用ジェット機ははるかに少ない。    

Planespotters.netのデータによると、エアバスA319-100 1機とアントノフAn-148 1機がある。ウクライナ政府の2機について見てみよう。

ウクライナ政府が保有する2機は以下の通りである。

  • 機齢14.6年のエアバスA319-100(登録番号:UR-ABA)。

  • 11.3年前のアントノフAn-148(登録番号:UR-UKR)

このうちA319が先週からかなり活発に動いているのに対して、An-148は2月下旬にロシア侵攻が始まって以来、活動を停止中だ。An-148の最後のフライトは2022年2月19日のようだ。キエフ・ボリスピル国際空港に保管されており、アントノフAn-225 Mriyaと同じ運命をたどっていないことを祈るのみだ。

先日アメリカへの大西洋横断から帰国したA319のに焦点を当てよう。

UR-ABA


2010年6月、ウクライナ政府にエアバスA319-100が1機だけ仲間入りした。当初からVIP輸送用に作られた同機は、ACJ-エアバス・コーポレート・ジェットとして製造された。同機は2007年にハンブルクで組み立てられ、当初はオーストリアのチャーターサービス会社JetAllianceが運航していた。

しかし、Planespotters.netによると、JetAllianceの所有下で同機はウクライナ政府向けに運航されていたあり、就航当初からウクライナ政府が使用していた可能性もある。いずれにせよ、同機は2008年にウクライナ政府に譲渡された。一方、ジェットアライアンスは2013年に運航停止している。

興味深いことに、このA319は2008年にウクライナ政府に譲渡されたものの、少なくとも資料によると就航開始は2010年である。ウクライナへの移送は、ダラスからアイスランドのケフラヴィーク空港を経由してキーウへ向かうものだった。しかし、この「回送」フライト以上の詳細は存在しない。同機はVIP関連の改造作業を行っていた可能性もあるし、2008年から2010年半ばまでウクライナ政府が単に同機を必要としなかった、あるいは使いたくなかったということもあり得る。

大西洋横断のため、給油のためシャノンに立ち寄った。写真:RadarBox.com RadarBox.com

ウクライナA319の最近の旅

2022年の最初の4ヶ月間をオランダ空軍基地で保管されていたらしいUR-ABAは、先週から忙しくなっている*。同機は4月19日に保管場所を離れ、クラクフ(ポーランド)へ向かった。ウクライナのシュミハルDenys Shmyhal首相一行を乗せ、翌日にはシャノン(アイルランド)へ向かい、短い給油を行った。給油を終えたA319は大西洋を渡り、2機の米大統領専用機の本拠地であるアンドリュース共用基地に着陸した。アンドリュース基地は、首都ワシントンD.C.への玄関口だ。

ホワイトハウス報道発表によると、バイデン大統領は21日午前、シュミハル首相と会談し、ウクライナにおけるロシアの最近の動向を協議した。同首相は翌22日夜、欧州に向け帰国した。本記事掲載時点では、同機はまだトランジット中だった。


The Ukrainian Government's Lone Airbus A319

BY CHRIS LOH

PUBLISHED 1 DAY AGO



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