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Showing posts from January, 2023

米国の人材不足はここまで深刻だ。貨物チャーター企業アメリフライトが遠隔操縦機発注に至った。

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  Photo: Natilus ア メリフライト Ameriflight(本社テキサス州ダラス・フォートワース空港)は運航コスト削減と航空貨物業界の革新のために、 ネイティラス 3.8Tを20機発注した。 Photo: Natilus 新興航空機メーカーの ネイティラス Natilus(本社カリフォーニア州サンディエゴ)は、貨物航空会社アメリフライトと契約したと金曜日に発表した。チャーター便会社のアメリフライトは、支線用小型機20機を購入すると同意し、ネイティラスと購入注文契約を結ぶ最初の米国のリージョナル航空会社になった。同社は、パイロット不足が深刻化する中、遠隔操縦機を活用し運航効率を高めていく計画だ。 自律型航空機を貨物輸送に投入する アメリフィライトは約134百万ドルを投入し、遠隔操縦機3.8Tを発注した。今回の受注でネイティラスは次世代航空機460機以上の受注を確保し、航空会社へ68億ドル以上のコミットメントを有することになる。アメリフライトは、効率的な機材を活用することで、運航コストを削減し、輸送能力増強と事業拡大を進める。  アメリフライトはPart135区分の航空会社として、大型機を飛ばすだけの貨物需要がない地点で貨物チャーター便を運航している。  過去数十年で同社はPart 135貨物航空会社として最大規模にまで成長し、米国の航空貨物業界で欠くことのできない存在になった。小型機による短距離路線が得意分野で、国内各地の夜間郵便を一手に引き受けている。  同社は、3.8Tを20機発注しただけだが、これがネイティルスとの長い旅路の第一歩になることを期待している。アメリフライトの社長兼最高執行責任者のアラン・ルシノウィッツ Alan Rusinowit は、次のように述べている。  「今回の戦略的パートナーシップで、アメリフライトは貨物輸送の未来へのロードマップを構築し、米国におけるナティラスの最初の地域運航会社となる」「当社の目標は、イノベーションとコラボレーションを通じ成長し、ビジネスを変革することです。ネイティラスとの新しいパートナーシップを通じて、アメリフライトは持続可能なビジネスモデルで世界を安全につないでいきたい」。  ネイティラスの共同設立者兼CEOであるアレクセイ・マチューシェフAleksey Matyushevは、今回の受注でアメリフラ

デルタが路線網拡充でコロナ後の需要拡大に備える。LA-オークランド線、アトランタ-ニース線新設、NY-パリ増便など

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  Source: viper zero/Shutterstock.com デルタエアラインズ は、10月にオークランドとロサンゼルスを結ぶ初の直行便を開設し、両都市路線で唯一の米国の航空会社となる。  デルタは10月28日からオークランド-ロサンゼルス線をデイリー運航し、エアバスA350-900を使用する。  同都市間には他の米系航空会社は就航していないが、ニュージーランド航空は現在、同路線を1日1~2便運航している。  アトランタを拠点とする同社は1月20日、この新路線のほか、国際線ネットワークで追加を行うと明らかにした。  1月20日にデルタ航空はアトランタから南仏ニースへのフライトを開始すると発表した。5月には、米国とテルアビブ線でデイリー運航を開始し、ニューヨーク=パリ線で追加し1日3便とする。  この拡張は、デルタ航空がCOVID-19の大流行で打撃を受けた国際ネットワークの回復に取り組む中で行われる。Ciriumによると、今夏の欧州・アジア行き航空会社のキャパシティ(利用可能座席マイル数)は、2019年夏から約3%減少する。 Delta to begin Los Angeles-Auckland flights in October | News By Jon Hemmerdinger 21 January 2023

水素エンジンの航空機応用で実証試験への動き。欧州、エアバスの動向に注目。CO2排出ゼロでもNOX増加では困るのでは。

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  環境にやさしい航空機 技術開発の一つとして水素燃焼がクローズアップされてきました。この分野では欧州が一歩リードしているように見えますが、これからどうなるかわかりませんね。Aviationweek記事からのご紹介です 。 エアバスとCFMは水素燃焼ターボファンをA380に搭載しテストする予定だ。Credit: Airbus 欧 州クリーン・ハイドロジェン・パートナーシップ・プログラムが、短・中距離商業航空の脱炭素化への望ましい方法として、タービンエンジンでの水素直接燃焼を挙げ、技術実証で入札を募集中だ。 水素をターボファンで燃焼すると、CO2排出はなくなるが、ジェット燃料エンジンに比べ窒素酸化物(NOx)が増加する可能性がある。NOxは、気候や大気質に悪影響を及ぼすので、水素燃焼が脱炭素化の手段として受入れられなくなる可能性があるとクリーンハイドロジェンClean Hydrogen Joint Undertakingは述べている。 クリーンハイドロジェンは航空用の超低NOx燃焼システム開発の入札で最大800万ユーロ(860万ドル)の欧州連合資金を利用し、欧州で計画中の100%水素燃焼ターボファンエンジンの飛行試験を支援する。 水素の燃焼は、ジェット燃料の燃焼に比べ火炎温度が高く、空気中で燃焼させた場合の水素の反応性が高いため、NOxが多く発生しやすい。NOxはオゾンの生成やメタンの破壊によって気候変動に寄与し、温暖化効果が強い。 クリーンエイビエーションのフェーズ1では、既存のターボファンを水素作動用に改造し、液体水素タンクから燃料・制御システム、改造した燃焼器まで、全システムの実現可能性を実証する地上試験を行う。 地上試験の成功が、フェーズ2で最初に予定される飛行試験実証の前提条件で、100%水素を燃焼させたターボファンで発生する飛行機雲を機内で測定する。 クリーンエイビエーションのフェーズ1は「非常にタイトなスケジュール」のため、「低NOx燃焼技術の開発は限られる」とクリーンハイドロジェンは言い、フェーズ2では、製品開発への準備レベル(TRL)の開発の時間が十分でないとある。 そのため、クリーンエイビエーションでは、超低NOx 燃焼技術を TRL 4まで開発しフェーズ 2 で TRL 6 まで成熟させたいとする。最終目標は、水素燃料旅客機を2035年までに開発

オーロラフライトサイエンシズのD8はダブルバブル機体構造、エンジン配置の変更で短距離路線の運行効率を大幅向上しそうなコンセプトだが....

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  大手OEMのボーイング、エアバスがもたもたしている間に新興メーカーが次々に新型機の構想を発表していますね。もちろん、すべて実現しないとしても航空業界の活力維持のためにもこうした勢力が着実に生まれてくることが必要です。Simple Flying記事のご紹介です。 このコンセプトは短距離路線の運行効率を画期的に変える可能性を秘めている Photo: NASA 航 空機の今の形状にわれわれは慣れきっている。初のジェット旅客機コメットから、民間航空機は主翼と尾翼がついたチューブ構造が基本だ。翼は高くなったり低くなったり、尾翼はT字型やフィン型になっても、基本的には70年以上にわたり飛行機は同じ形状だ。 その中で エアバス は混合翼機を提案し、他社は空気力学を改善するため翼をより細くしたり、胴体を狭くしたりしてきた。しかし、 オーロラ・フライト・サイエンシズ のD8コンセプトは、一歩先を進んでいる。 ダブルバブルの機体構造 環境に優しい亜音速旅客機の概念設計は、2008年にオーロラ、MIT、Pratt & Whitneyが専門知識を結集し、新しい機体を開発する狙いで開始された。NASAから助成金290万ドルを受け、チームは2017年半ばにD8の開発を開始した。 同コンセプトは、ユニークな機体デザインから「ダブルバブル」との呼称がついた。ボーイング737をほぼベースにしているが、ほぼ二倍の胴体幅の機体で、180人乗りで航続距離は3,000海里、短距離路線機としてまずまずの設計だ。ワイドボディなので、空港でのターンアラウンドも現在の単通路機より速くなる可能性がある。 D8は、その他コンセプト機と同様に、二酸化炭素排出量と騒音の問題に取り組む設計だ。マッハ0.74で飛行することで、標準的なボーイング737-800との比較で、当初は燃料消費量を70%、騒音を71dB削減できると開発者は考えていた。しかし、設計変更で、マッハ0.82で標準的なジェット機と同等の速度で飛行することにした結果、燃料消費量は49%、騒音で40dBの低減となる。 オーロラD8の特徴は? オーロラD8の美しさは、特異な機体形状にある。一見しても、普通の機体とは違う。効率的な設計の特徴である高アスペクト比の主翼と広い胴体で、揚力が自然に得られる。さらに、エンジンは機体の摩擦抵抗を減らすために、境界層吸収

従来型ワイドボディを極限まで改革するとこうなる。SE200はまだ設計図上の存在だが注目に値する

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  Photo: SE Aeronautics 理論的なスペックは、かなり驚異的。モノコック構造で窓がないのが難点。 航空業界は、当分の間、チューブ&ウィング式のクラシックな航空機の設計に固執するようだが、より環境に優しい運航手段への移行という課題に対応するため革新にも目を向けているす。電動垂直離着陸機(eVTOL)や超音速の新型機「Boom」など新興企業の話題を聞いたことがある人も多いはずだ。2021年3月、SE Aeronauticsとして知られるアラバマ州のスタートアップが新コンセプトのワイドボディ機を発表したが、その姿は滑走路で見慣れた機体と大きく異なっていた。  SE Aeronautics(SEはSuper Efficientの略)は、旅客機コンセプトを一新し、従来機より燃料消費量を70%、二酸化炭素排出量を80%削減する革新的な3翼機を発表した。現在はまだ理論に過ぎないが、実現すれば、そのスペックはまさにゲームチェンジャー的な航空機になる。このSE200について紹介する。 ワイドボディの再設計 パンデミックの影響で、ワイドボディ機の受注は減少している。しかし、業界筋によれば、あと2、3年で正常な状態に戻るという。また、航空業界は脱炭素化の圧力に一層直面しており、燃費と低排出が航空会社の希望リストの上位に位置づけられることになるう。乗客1キロメートルあたりのCO2排出量を追いかけるのは大変な作業だが、もし新しいコンセプトの飛行機が、安全性や積載量を犠牲にせずCO2排出量を大幅に削減できれば、民間航空会社は間違いなく満足するはずだ。  しかし、SE200はまだ図面上の存在であり、技術者が夢見た航空機がすべて実際に生産ラインに乗るわけではない。しかし、コンポジットで夢を見ることは悪いことではない。 写真:SE Aeronautics SE Aeronautics  航空が環境に与える影響を軽減するために、新しい技術や戦略の開発が続いている。これまでのところ、こうした解決策は、新しいエンジン技術、新しい素材、の新しい動力源を中心に展開されている。しかし、航空機が、抜本的な再設計の時期を迎えているとしたらどうでしょう?  SE200は、より効率的な飛行、より低い運航コスト、乗客の安全性の向上、そして従来型航空機の2倍の耐用年数を約束します。SE Aeronaut

民間航空業界に漂う閉塞感を払拭できるか。Aviation Week主筆の見解を聞きましょう。

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  民間航空の機体メーカーに閉塞感が漂っている、というのが本記事の論旨です。かねてから当ブログで主張しているように今の航空業界は既存ビジネスモデルで利益を最大化しようという金融筋の思惑に支配されており、冒険、ベンチャー精神が衰退し、失敗を恐れているように見えますね。軍事航空で予算が潤沢にあればスピンオフも期待できるのですが、そうはいきません。突破口となる画期的な素材、エンジン、機体の技術が切望されます。Aviation Weekの記事です。   Credit: Embraer     航 空業界は、持続可能な社会へ向け強いプレッシャーにさらされているが、 エンブラエル が最近次世代ターボプロップ計画を凍結したように、既存の機体メーカーはこうした圧力に対応する新型旅客機を市場に投入できない、あるいはしたくないようである。       ボーイング のデビッド・カルフーンCEOは11月、新型旅客機開発の開始は2030年代からと発言し、シアトルを震撼させた。このような無策は、 エアバス がボーイングから奪ったナローボディ機の市場シェアを考えれば、ラインアップを刷新するインセンティブにならないのは明らかだ。  また、ターボプロップ旅客機の活性化につながるはずだったエンブラエルの環境に優しい航空機の開発中止で、業界唯一の希望だった完全新型機の将来が危ぶまれているように映る。  2022年を通じ、企業や航空会社は、持続可能な航空燃料の使用の増加、電気推進、環境に優しい客室内装など、航空をより環境に優しいものにするため献身的な取り組みを宣言し、互いにしのぎを削っていた。しかし、悲しいことに、次世代旅客機の実現にはほど遠いのが現実だ。747やコンコルドを生み出し、長年にわたり燃料効率と騒音低減を執拗に追い求めてきた業界が麻痺状態におちいっているように見える。  推進力の面では、GE-Safranの CFMパートナーシップ が、100%持続可能な燃料または水素で走行可能なオープンローターRISEエンジンで、燃料使用量と排出量の20%削減を目指している。しかし、RISEの実用化は、2030年代半ばという。 プラット&ホイットニー は、2016年に稼働を開始したギヤードターボファンエンジンの効率を高めることに注力しており、 ロールス・ロイス は財政難から、未稼働のアルトラファン実証機を含む

中国製のARJ21がいつのまにか100機納入されていた。国際的に通用しない機体のはずなのだがインドネシアも導入。

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  Photo: Su Wu ARJ21は2022年下半期に32機納入され、年間納入記録が34機になった。 中国商用飛機集団 (COMAC)は12月29日、ARJ21の100機目納入を発表した。COMACはこのマイルストーンについて、ARJ21プログラムが「大量生産、大規模運用、連続開発」の新段階を迎えたと説明している。  COMACはさらにコメントしている。  「量産100機目の納入は、あらゆる民間航空機にとって重要なマイルストーン。これはARJ21航空機群の運航性能と運航レベルが基本的に主流機と同等であることを意味し、同機の安全性と信頼性が航空会社と民間航空市場に十分に検証されたことを示している」と述べている。 . 急成長する納入数 Simple Flyingは今年6月28日未明、COMACが成都航空と中国南方航空に67機目と68機目のARJ21を納入したことを報じたのが2022年上半期納入で唯一のARJ21だった。  今回の100機目納入の正式発表により、COMACは2022年下半期にARJ21を32機納入したことになり、半期で最高の数字であるだけでなく、2020年達成の年間納入記録の23機を上回る。  COMACの公式発表によると、ARJ21の年間生産能力は現在50機で、年間30機のバランス生産を行っているとある。 顧客と受注状況 COMACのARJ21は現在、8社が顧客で成都航空Chengdu Airlines、チンギスハーン航空 Genghis Khan Airlines 、江西航空Jiangxi Air、中国国際航空 Air China 、OTT航空 OTT Airlines (中国東方航空100%出資)、中国南方航空China Southern Airlines、中国速達 China Express 、中国飛行総合航空公司China Flight General Aviation Company(CFGAC)、海外1社だ。このうち海外顧客は、インドネシアのトランスヌサ航空TransNusa。  成都航空は2015年11月29日に最初のARJ21を受領して以来、34機受領しているが、COMACは2020年以降、様々な理由(貨物構成の変更、チャーター便など)で7機を回収し、現在の成都航空のARJ21保有機数は27機となっている。  興味深い事実は、COM

デルタが乗客全員に無料WiFiサービスを開始すると発表。

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  機内WiFiサービスはこれまでもありましたが、米大手デルタが無料提供を乗客全員にはじめることで他社にも影響が出そうですね 。 デルタエアラインズ は、米「ビッグ4」航空会社で初めて、乗客に無料WiFiを提供する。  同社CEOのエド・バスティアンは携帯電話会社 T-Mobile と提携し、2月1日から約8割の機体で乗客全員に無料WiFiを展開すると発表した。 T-Mobile、Viasatと提携し、無料WiFiを全員に提供  全乗客への無料WiFi提供は、デルタが数年前から計画していたもので、ようやく実現する。GoGoとの独占提携からWiFiプロバイダーを変更し、デルタは航空機に Viasat 機器を設置し始めた。フライト試験で、ヴァイアサットの技術で乗客全員の同時接続が可能と証明した。 コンシューマー・エレクトロニクス・トレードショーで、デルタCEOは次のように述べた。  「職場、家庭、あらゆる場所で、接続性は日常生活に欠かせない存在であり、デルタエアラインズでの旅も同じであるべきです。当社のビジョンは、3万フィート上空で、お客様に地上と同様の体験を提供することです。  「無料Wi-Fiは基本的なサービスだけでなく、機内体験全体を変革するべきと考えました。機内のお客様全員が、自宅と同じようにお気に入りコンテンツを楽しめることが不可欠であり、それを可能にするためこのシステムを綿密にテストしてきました」。  T-MobileのCEO、Mike Sievertはこう付け加えた。 「T-Mobileは、旅行中の接続は簡単かつシームレスな体験であるべきと考えています。T-モバイルのお客様は無料機内Wi-Fiをご利用いただいていますが、今回デルタエアラインズとの提携で、プロバイダーと関係なく、すべてのお客様にこの体験をお届けします。これにより、デルタ航空をご利用のお客様は離陸から着陸までオンラインアクセスを楽しむことができます」。 どう機能するのか? 2月1日から、デルタの機材8割で乗客は、この新しいアメニティを利用可能となる。デルタは、来月時点で、国内線の主要機のほとんどで無料WiFiを利用でき、2024年までに国際線とリージョナル機も含まれる。  デルタの無料WiFiは、スカイマイル会員かT-Mobileの顧客であることが条件。スカイマイル会員になるのは無料で、乗客は