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2024年3月18日月曜日

英国国防相の乗機へのGPSジャミングで浮き彫りになったロシアのEW活動は民間機にも危険を及ぼす

 (この記事はターミナル2と同時掲載です)

GPSの脆弱性が目立ってきており、より強靭なシステムの運用は待ったなしでしょう。あるいはもう存在しているのかもしれません。ロシアはあらゆる手段を講じてでも西側の脆弱性をついてきます。The War Zone記事からのご紹介です。この事件は民間航空にとっても大きな脅威ですね。




英国国防相はポーランドから帰国する際、ロシアのカリーニングラード飛び地近くを飛行していた

国当局は、グラント・シャップスGrant Shapps英国国防相が乗った英空軍のダッソー900LXビジネスジェットが最近、ロシアのカリーニングラード飛び地付近を飛行中にGPS妨害に遭ったことを確認した。ロシアはヨーロッパをはじめ、世界各地で電子攻撃を行っており、民間機、軍用機(乗員なしのシステムも含む)、船舶に影響を与えていることが知られている。しかし、英空軍機が特別に意図された標的だったのか、それとも、この地域では珍しくないGPS妨害作戦が集中的に行われた地域を通過しただけなのかは定かではない。

 『タイムズ・オブ・ロンドン』が電子戦攻撃を最初に報じたのは、シャップス大臣がポーランド北東部のオルジシュを訪問した後の3月13日のことだった。同国防長官は、ポーランド国防省のウラディスワフ・コジニアク=カミシュ国防相と軍事訓練場で会談し、冷戦後最大のNATO軍事演習である「ステッドファスト・ディフェンダー24」に参加中のポーランド軍とイギリス軍と一緒に行動した。

 シャップス大臣は訓練場でのスピーチで、「より危険な世界」を踏まえ、英国は国防費を現在の国内総生産(GDP)比2.27%から3%に引き上げるべきだと訴えた。ウクライナ紛争については、プーチン大統領について、「これを解決するために必要なことは、彼が東に戻り、2年前に侵略に踏み切った民主国家から出て行くことだ。それがこの事態を収束させる方法だ」。

 3月13日発言にとどまらず、シャップスは広くイギリスとヨーロッパでロシアがもたらす脅威についてオープンに発言してきた。

 ダッソー900LXは、RAFでエンボイIV CC Mk1の呼称で軍高官と外交官を世界各地に輸送する任務を担い、合計14人の乗客を乗せることができる。RAFは2機運用している。軍所有だが、民間登録されている。4月1日から完全に軍登録で運用されるようになる。

 英首相リシ・スナクの報道官は『ガーディアン』紙に、ダッソー900LXが英国に戻る途中、ロシアのカリーニングラード付近で障害が発生したことを確認した。

 スナク政権の広報担当者は、「ポーランドから戻る途中、カリーニングラード近辺を飛行した際、一時的にGPS(全地球測位システム)が妨害された」と述べた。地理的に大ロシアから切り離された、バルト海に面した非常に戦略的なロシアの飛び地カリーニングラードは、主要軍事拠点で、オルジシュから200マイル(約8.6キロ)以内の場所に位置している。

 攻撃を受け、GPS接続は約30分間妨害され、機体位置を特定するため代替手段を使用しなければならなかった。GPSは正確な航空ナビゲーションのため広く利用されているが、航空機にはGPSが失われた場合の冗長システムがあり、乗務員は他の手段でナビゲートするよう訓練されている。機内の乗客も一時的にインターネット接続を失った。しかし、同上広報担当者は、これが "航空機の安全を脅かすものではなかった "と指摘した。

 シャップス代表団の一員でもあったテレグラフ紙の防衛担当編集者ダニエル・シェリダンによれば、同機に対する最初の、表向きはより短時間の電子戦攻撃は、3月13日の朝、オルジシュに向かう途中のカリーニングラード近辺を飛行中に経験されたという。

 記事の冒頭で述べたように、GPSジャミングは広い範囲で実行可能だ。そのため、シャップスの乗機が特別に狙われたかどうかを確実に確認することは困難で、英国は証拠を提示していない。それでも、飛行経路はロシアのレーダーで容易に追跡できただろうし、飛行追跡サイトでも確認できたはずだ。

 また、オープンソースの情報アナリスト、マーカス・ヨンソンによれば、同日、この地域で多数の航空機(約511機)が妨害されたている。ヨンソンはまた、ジャマーが個々の航空機を標的にしたものである可能性についても疑問を呈している。

 攻撃の正確な発生源を完全に特定することはできないが、「ロシア領であるカリーニングラード近郊で航空機がGPS妨害に遭うのは珍しいことではない」と同上広報担当者は指摘する。カリーニングラードは重度に軍事化されており、報告によると、複数の既知の、そして強く疑われる固定電子戦サイトがある。

 また、ロシアは携帯型、車両搭載型の電子戦システムも多数保有している。これらはGPS信号を妨害できるだけでなく、偽情報を発信することもできる。これにはGPS信号の「なりすまし」も含まれ、航空機が意図したコースから外れる可能性がある。これはGPS妨害よりも狡猾で、乗組員が異なる場所にいると信じ込まされる可能性があるため、より危険である。

 電子戦の専門家で本誌寄稿者であるトーマス・ウィジントン博士は『タイムズ』紙に、「表向き、ロシアがやろうとしていることは、主に配備、基地、兵力集中、さらにはロシア国内の戦略目標を衛星航法誘導兵器から守るため、これらの地域で自国の資産を守ることだ」と語っている。

 もちろん、RAFは過去にも同様の電子戦攻撃を経験している。おそらくロシアが仕組んだものだろうが、航空機のGPSナビゲーション・システムを妨害しようとしたのだ。以前お伝えしたように、地中海東部のキプロスにあるアクロティリ空軍から飛び立った輸送機は、そのような攻撃に対処を迫られた。英国軍用機以外にも、ロシアは近年、敵対国に対して数々の電子戦攻撃を行っており、特に米軍機を巻き込んでいる。

 3月13日、ダッソー900LXの機内で直ちに危険にさらされた者はいなかったようだが、この事件が潜在的に危険でなかったとは言えない。英国政治と欧州政治におけるシャップスの知名度を考えると、この事件はロシアの電子戦攻撃をめぐる安全保障上の懸念に再び光を当てたことになる。

 問題は、ロシアの行動が航空を妨害することによって、潜在的な標的を守る以上の結果をもたらしていることだ。別の防衛関係者も同様に、このような攻撃は「民間航空機に不必要なリスクを与え、人々の命を危険にさらす可能性がある」と同紙に語った。言い訳はできないし、ロシア側としては無責任極まりない。

 今回の事件は、はからずもロシアの電子戦能力の高さと、GPS接続を執拗に妨害する姿勢に注目させる結果となった。■


GPS Jamming Of U.K. Defense Secretary's Jet Highlights Russia's Regional EW Activities

BYOLIVER PARKEN|PUBLISHED MAR 17, 2024 3:35 PM EDT

NEWS & FEATURESLAND


2024年2月1日木曜日

民間航空にも危険が迫っている。ロシアによるGPS妨害がバルト海地区で日常茶飯事になっていることからNATOの忍耐力が試されている。なぜ日本が安全だと言い切れるのでしょうか。

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A screengrab of reported navigation issues in the airspace over eastern Europe on Jan. 19, 2023. (GPSJam screengrab)


ウクライナ戦争は、安価な無人航空機の使用からこれまでにない規模の情報戦まで、現代の戦場における新戦術を前面に押し出した。しかし、同時に最新の電子戦も展開されている。ロシアによる可能性が高い、危険な干渉らしきものについて米大統領による国家宇宙ベース測位ナビゲーション・タイミング国家諮問委員会のメンバー、デイナ・ゴワードDana Gowardが分析した。

開されている航空機追跡データベースによると、1カ月以上前から、バルト海沿岸地域を飛行する航空機は、GPS信号への各種干渉を経験している。場合によっては、GPS受信機が電子的に捕捉されたり、航空機が意図したルートから何マイルも外れているように「スプーフィング」されたりしているようだ。

妨害やなりすましは以前からあるが、この地域ではほぼ毎日何らかの妨害が行われており、定期的に広範かつ重大な妨害が行われている。ウクライナ侵攻を支援するNATO諸国への嫌がらせとして、ロシアがこの活動の背後にいることはほぼ間違いないとされてきた。

このような妨害行為は、何千機もの民間航空機に危険を及ぼすものであるが、国際的な圧力は今のところ妨害行為を止めることができないため、NATOは相応の行動をとる時期に来ている。

12月25日と26日、ポーランド北部とスウェーデン南部の広い範囲が影響を受けた。翌週の大晦日には、フィンランド南東部の広い範囲で航空機の乱れが報告された。1月10日、13日、16日にはポーランドの北半分が主な標的となった。19日には、スウェーデン南部とポーランド北部が影響を受けた。直近では1月24日にエストニアとラトビアが標的となった。

いずれの場合も、妨害は民間航空機が搭載する航空安全ADS-Bシステムによって検知され、ウェブサイトGPSJam.orgに表示された。

テキサス大学ラジオナビゲーション研究所の大学院生ザック・クレメンツによるクリスマス妨害の分析。クレメンツ氏はGPSの妨害について研究しており、地球低軌道上の衛星から発生源を突き止めることに関して発表している。

インタビューで彼は、広範囲に広がる送信機多数が関与していると判断したと述べた。あるものはGPS信号を妨害してサービスを拒否していた。しかし、少なくとも1個の送信機は、航空機を偽装し、計器が実際の位置から遠く離れ、円を描いて飛行しているように見せていた。

「サークル・スプーフィング」現象は、船舶では頻繁に観察されてきたが、航空では今回が初めての報告であった。

クレメンツによれば、ロシア国内がスプーフィングの発生源であることは間違いないという。「航空機がスプーフィングによる影響を受け始めた地点と、航空機が本物のGPSを取り戻した地点から、スプーファーはロシア西部のどこかにいることがわかる。「興味深いことに、航空機がスプーフィングされた場所は、ロシアの退役したスモレンスク軍事空軍基地から約1キロの野原である」。

スタンフォード大学のジクシー・リュウ大学院研究員は、クリスマスの妨害にはほぼ間違いなく多くの妨害機が関与していることを筆者に確認した。以前の研究でリュウは、ADS-Bデータを使ってGPS妨害の発生源を地理的に特定している。

モスクワは広範囲に及ぶ妨害行為を否定していると報じられているが、ウクライナのメディアは、「...2023年12月中旬以降、ロシアのバルチック艦隊の部隊がカリニングラード州でEW(電子戦)システムBorisoglebsk-2を使って演習を行っている 」と報じている。

米国とポーランドのアナリストによれば、この干渉は、国境付近で西側の影響力が強まっていることに対するロシアの対応の一環だという。12月中旬、米軍とポーランド軍はポーランド北部でイージス対ミサイルシステムを作動させた。その直後、トルコ議会はスウェーデンのNATO加盟に道を開く行動を開始した。

ロシアのこのような反応は前例がないわけではない。2022年、ウラジーミル・プーチン大統領はフィンランドとスウェーデンがNATOに加盟しようとするならばと脅した。その後、フィンランドのサウリ・ニーニスト大統領はジョー・バイデン米大統領と会談し、防衛関係の改善を話し合った。その後間もなく、フィンランド南部、カリニングラード、ロシア、バルト海近辺の上空を飛ぶ飛行機がGPS妨害を報告し始めたと『ガーディアン』紙が報じた。

最近の妨害やなりすまし事件でポーランドに焦点が当たっているのは、ポーランドの新しいアメリカ製対ミサイル・システムの重要性を軽視しようとするロシアの努力かもしれない。同様の妨害は、米国がウクライナに供給した精密兵器の多くにも及んでいる。ポーランドのイージス施設はGPSではなく高出力レーダーを主に使用しているとはいえ、今回の干渉はシステムに対する国民の信頼を損なう狙いの可能性がある。

また、一部オブザーバーは、ポーランドでの干渉が戦略的なスワウキ・ギャップを通る道路にも及んでいると指摘している。ポーランドのリトアニア国境に平行する全長40マイルのこのルートは、ロシアの盟友ベラルーシとバルト海に面したロシアのカリニングラードを直接結んでいる。軍事アナリストは以前から、この地域はヨーロッパの陸上紛争で重要地点になると考えてきた。

これらの攻撃は、国際空域や海域を航行する他国の航空機や船舶を標的にしてきた。また、NATO加盟国の主権領土やインフラにも影響を及ぼしている。

さらに、生命と財産に多大なリスクをもたらしている。

大手国際航空会社の上級機長ジョー・バーンズは、「GPS信号が利用できなかったり、何らかの形で危険にさらされたりすると、大きなリスクにさらされる」と語った。バーンズ機長はまた、GPSとその関連問題についてアメリカ政府に助言を与える委員会のメンバーでもある。「GPSへの干渉は事故のリスクを高め、ほとんどの場合システムの速度を落とし、フライトをより長く、より高くする」。

GPS信号への偶発的な干渉は、2019年にアイダホ州サンバレーで民間旅客機の墜落を引き起こしかけた。航空関係者はその後、国際民間航空機関(ICAO)にGPS妨害を緊急課題として挙げた。翌年、ICAOはすべての国に対し、この問題の重大性に留意し、適切な行動をとるよう呼びかけた。国際海事機関も同様の呼びかけを行っている。

安全上の懸念に加え、GPSやその他の衛星信号への意図的な干渉は、国連の国際電気通信連合(ITU)の全加盟国によって合意された国際法および規制に違反する。2022年の通達でITUは、2021年に記録された航空関連の衛星ナビゲーション干渉万件以上の事例を挙げている。同通達は、このような行為が有害な干渉に対する規則に違反することを強調し、次のように述べている。「......一般に『GNSS(全地球航法衛星システム)ジャマー』と呼ばれる装置や、航空機に有害な干渉を引き起こす可能性のあるその他の違法な干渉装置の使用は、無線規の第15.1号によって禁止されている......」。

国際社会は、バルト海で見られるような電子戦が戦争であることを認識しなければならない。そして、宣戦布告がないにもかかわらず、ロシアは他国、特にNATO加盟国を標的とした一連の低レベル攻撃を意図的かつ組織的に行っている。

国際機関による話し合いや宣言が機能していないことも明らかだ。問題は悪化するばかりだ。

NATOと国際社会には、適切かつ比例的な対応で選択肢があり、速やかに検討され、採用されるべきである。例えば、新しい衛星の周波数割当てはITUが管理している。他国の衛星の信号を日常的に妨害していると判明した国に対して、新たな割り当てを拒否することは適切であると思われ、良い第一歩となる。

増大するこの問題が大きな犠牲者を出したり、NATOが直接関与する武力紛争に発展する前に、より断固とした明白な行動をとる必要がある。■


Dana Goward is the president of the Resilient Navigation and Timing Foundation and a member of the US Presidents’s National Space-Based Positioning Navigation and Timing National Advisory Board. He formerly served as the Director of Marine Transportation Systems for the US Coast Guard.

https://breakingdefense.com/2024/01/as-baltics-see-spike-in-gps-jamming-nato-must-respond/