チャトラパティ・シヴァージー国際空港に並ぶジェット機。写真提供:Captured Blinks Photography/Getty
世界のエアポートの最新情報(2026年6月29日)
Airport Updates: Latest News On The Global Market (W/C June 29, 2026)
Aviation Week
アーロン・カープ
2026年6月29日
変化していく民間航空の世界、宇宙開発や新しい技術サービスをまっさきにご紹介します。
JetZeroがBWB設計の改訂版を公開、実証機の初飛行準備も進む
Aviation Week
2026年6月18日
JetZeroのBWB実証機は、当初の翼端ラダーの代わりにV字尾翼とウィングレットを採用する。画像提供:JetZero
JetZeroは、年末に予定されている初飛行準備評価に向け、ブレンデッド・ウィング・ボディ(BWB)実証機の設計変更を明らかにした。
米空軍の資金援助を受けている実物大のデモンストレーターは、2027年後半に初飛行を行う予定だ。
BWBデモンストレーターや計画中のZ4旅客機の以前のイメージ図に描かれていた翼端ラダーは、V字尾翼とウィングレットに置き換えられた。また、後部胴体上部にエンジンを搭載する配置も変更された。
JetZeroは6月11日、サンディエゴで開催された米国航空宇宙学会(AIAA)の航空フォーラムの特別セッションで、改訂版設計の詳細を明らかにした。
チーフ・デザイン・オフィサーのジョン・ヴァスバーグによると、V字尾翼はエンジンの騒音遮蔽効果をもたらすほか、ラダーをより後方に配置することで、静的安定性マージンが5%という比較的短い機体のトリム調整を効果的に行い、巡航効率を最大化できるという。
実証機は、主にBWBの空力効率と、予測される揚力対抗力比22を検証するため製造中だ。同社は、2030年代初頭に就航する航空機で、従来型の「チューブ・アンド・ウィング」構成と比較して、ミッション時の燃料消費量を20%削減することを目指している。
JetZeroは、「Pathfinder」プログラムの一環で、6.25%スケールのSV-4モデルの動画を公開した。Z4の代理チーフエンジニアであるノーム・プリンセンによると、この縮小模型は、実機の飛行制御法則を検証するために使用されているという。
明らかになったもう一つの重要な変更点は、プラット・アンド・ホイットニー製のPW2040エンジン2基をどのように搭載するかという点である。デルタエアラインズが提供した、ボーイング757に搭載されていたエンジンは、本来は主翼下に吊り下げる設計のため、上部取り付けには改造が必要となる。
JetZeroは以前、エンジン上部の既存の主翼パイロン取り付け部に接続する湾曲したフレームを用いたデュアルパイロン配置を計画していた。しかし、今回マクドネル・ダグラスMD-11の中央エンジンを支える「バンジョー」フレームに似た設計に変更された。
荷重は、PW2040上部のエンジン支持ボックスから、バイパスダクトの内部固定構造を伝って、BWBの上部胴体に取り付けられた単一の下部パイロンへ伝達される。ナセル下部のダイバータチャネルが、境界層の吸入を防ぐ。
最悪の条件(90度の横風、最大24kt)であっても、計算流体力学(CFD)シミュレーションによれば、エンジンによる境界層気流吸入は確認されていない。「実質的に歪みは生じず、エンジンの許容限界に対しゼロである」とヴァスバーグは述べた。
JetZeroは、量産型Z4に搭載するエンジンの評価を現在も続けている。推進システム責任者のロマー・フレイジャーによると、ナセルを単一のパイロンに取り付けると、荷重状態にエンジン構造に歪みが生じる可能性があるため、傾斜パイロンやサイドマウントなど、さまざまな取り付け方法を検討しているという。
翼幅178フィート、総重量260,000ポンドの実証機の組み立ては、パートナー企業ノースロップ・グラマン傘下のスケールド・コンポジットで進められている。「予定通り、予算内です。すべてのマイルストーンを達成しています」と、JetZeroのエンジニアリング責任者フロレンティーナ・ヴィスコッチは述べた。
政府チームの主任エンジニアであるNASAのフェイ・コリアーによると、システム統合審査は5月下旬に完了している。同氏は、実証機プログラムの予算が、初飛行準備審査までの見積もりである8億ドルを下回っていることも付け加えた。
ヴィスコッチによると、チーム全員が拠点を置くカリフォーニア州モハーベで実証機の主要部品が組み合わされつつあり、スケールドでは150人が交代制で取り組んでいるという。燃料タンクは完成し、コックピットは組み立て済みで、主翼外板と機体本体の製造が進められており、着陸装置も社内で製造されている。
BWB実証機が形になりつつある一方で、JetZeroはZ4の設計を進めている。Z4は、翼幅200フィート、巡航速度マッハ0.8、航続距離5,000海里の250席中型旅客機で、利用可能座席マイルあたりの燃料消費量において、ボーイング767より30~50%優れた燃費性能をめざす。また、JetZeroは、米空軍に提案中のZ4派生型である空中給油機バージョンの設計も成熟させつつある。■
グラハムは、『Aviation Week』誌の技術関連報道を統括しており、航空宇宙業界全体のエンジニアリングと技術に焦点を当て、特に航空、航空宇宙、防衛分野において戦略的に重要な技術の特定に注力している。
Airbus(エアバス)のギヨーム・フォーリCEOへAviation Weekがインタビューしました。以下その要約です(ターミナル1・2共通記事)
タイムラインと開発状況: 現行のA320の後継機(eAction)は、2030年のプログラム立ち上げ、2030年代後半の就航を目指して計画通り進行中だ。現在はパートナー企業と翼や推進システムなどの技術検証・シミュレーションを行う研究・技術開発(R&T)の段階である。
先行優位性とサプライチェーン: 競合のボーイングが開発タイムラインを遅らせる意向であるのに対し、エアバスは市場をリードしている今こそ投資すべきだと判断し、先んじて動く方針。最初に動くことでサプライチェーンを自社に引き寄せ、主導権を握る。
増産の戦略: A320で膨大な受注残があるため、eAction導入後も新旧2つのモデルは並行生産される。初期の不具合によるレトロフィット(改修)リスクを避けるため、生産ラインの立ち上げスピードについては慎重に検討中。生産拠点はトゥールーズやハンブルクに限定せず、米国や中国など海外拠点の活用や、新システムの導入を視野に入れている。
エンジン選定のトレードオフ: 理想は顧客に2つのエンジン選択肢を提供することだが、性能や競争力を損なう場合は単一(1社)のエンジンサプライヤーに絞るリスクも受け入れる。2社提供はリスク分散になる一方で、サプライチェーンの複雑化や構成の増加というデメリットもあるため、ビジネスと技術の両面から判断する。
サプライチェーンの課題と構造改革: コロナ禍を経て期待した業界の統合(集約)が進まなかったため、エアバスはリスク分散のために複数ソース(二重・三重化)の確保に動いており、結果としてサプライチェーンがさらに断片化している。今後は地政学リスクやサイバーセキュリティ対策を考慮し、単一障害点(Single Point of Failure)の排除と多様化を徹底する。また、重要システムにおいて自社保有の知的財産(IP)や制御を強める「部分的な垂直統合」も検討中。
派生機種の検討(A220-500 / A350のストレッチ型): A220の胴体延長型(-500)やA350のストレッチ型に対する市場の需要は理解しているが、現在は既存契約の履行とA350の生産レート向上(短期間で月産12機への移行)という産業的課題が最優先だ。リソースが整うまでは新プラットフォームの立ち上げを急がない。
競合(エンブラエル)の参入について: エンブラエルが単通路機市場へ参入を検討していることに対し、ボーイング、エアバス、COMAC(中国商飛)がひしめく市場への参入は大きなリスクであり、自分なら二の足を踏む。
ヘリコプター部門: H145やH160など強力なラインナップが揃っており、現在はH145などの生産立ち上げが課題。今後は新規プラットフォームの開発よりも、既存機の軍事化や派生型、ドローンの開発にR&Dリソースを集中させる。
宇宙・衛星ビジネス(規模の経済の追求): 宇宙分野では米国(スペースXなど)が巨額資金を投じており、欧州は競争力を失いつつある。規模の経済を取り戻すため、レオナルドやタレスとの衛星事業の統合を模索している。また、欧州の産業を強めるため「欧州は欧州製ランチャー(ロケット)に資金を投じるべきだ」と主張。
戦闘機ビジネス(FCAS/将来航空戦闘システム): 欧州における次世代(第6世代)戦闘機開発の必要性は高いが、各国が国家主権や固有のニーズに固執するため、欧州内での協調や統合(スケール化)は非常に困難で、今後の見通しについては楽観視していない。ただし、エアバスを中心とする企業グループは開発の準備が整っている。
輸送機(A400M)およびドローン:
A400Mは生産レートの急激な引き上げよりも、まずは現行レートでの安定化と長期的な見通しの確保を優先したい。
ドローン市場は現在、かつてのeVTOL(電動垂直離着陸機)のように多数の企業が乱立して断片化しているが、今後淘汰と統合が進むだろう。エアバスは規模の優位性を活かし、競争力のあるラインナップを開発中だ。■
Joe Anselmo Guy Norris June 25, 2026