2024年6月18日火曜日

好調なエンブラエル。受注残は過去最大の211億ドルに膨れ上がり、同社はエアバス、ボーイングに次ぐ世界第三位の民生機メーカーになった。

AA E175 OCJ launch2

エンブラエルの受注残が過去最高の211億ドルに


2024年はエンブラエルにとって良い年になりそうだ。受注残が増える一方で、納入機数も過去最多となった



  • エンブラエルの受注残は、アメリカンエアラインズの大量発注により211億ドルにふくれあがった

  • 2024年第1四半期の納入実績はEジェット機やプライベート機を含む合計25機の対前年比67%増

  • 同社の時価総額は上昇しており、2026年から利用可能となる生産枠で競争力を高める


ブラジルを拠点とする航空機メーカー、エンブラエルは航空機に対する旺盛な需要で株価が上昇している。今年、アメリカンエアラインズはエアバスA321neoを85機、ボーイング737 MAX 10を85機、エンブラエルE175を90機(オプションで合計133機)の発注を決定した。受注だけでなく、納入も増加している。エンブラエルE2の納入数は2023年には2倍以上に増加した。


受注残が増加

エンブラエルは最近、受注が急増しており、受注残は7年ぶりの高水準となる211億ドルに達している。リージョナル機の受注残に加え、プライベートジェットの受注残も伸びている。


エンブラエルによると、昨年四半期比で13%の増加だ。増加の大部分は、アメリカンエアラインズがエンブラエルE175ジェット機を最大133機発注したことだ。3月4日、アメリカンは90機のE175を発注し、さらに43機をオプションとした。エンブラエルE2の受注残は194機(E19-E2 179機、E190-E2 15機)。


ブラジルの航空会社アズール航空が、E195-E2の受注残の30%、51機を占めている。ポーター航空(カナダの航空会社)もさらに43機を予定している。リパブリック航空、スカイウエスト航空、ホライズン航空もE195-E2を発注している。アゾラはE190-E2の大半(12機)を発注している。


エンブラエルは2024年第1四半期に、2023年第1四半期比で約67%多い航空機を納入した。納入機数は25機で、うち18機がエグゼクティブ向け、7機が旅客向けEジェット機であった。Eジェット7機の内訳は、E195-E2が4機、E175が3機であった。


時価総額の回復

エンブラエルの生産枠は2026年から利用できる。エンブラエルのリージョナル航空機がボーイングやエアバスの小型機と競合できるため、エンブラエルの競争力をいくらか高めることにもつながる。ボーイングとエアバスは10年後分まで完売している。ある時点で、合理的な時間枠で航空機を受け取ることがより魅力的になる。


エンブラエルはボーイング、エアバスに次ぐ第3位の航空機メーカーで、リージョナル航空機やビジネス航空機を製造している。CompanyiesMarketCapによると、エンブラエルの時価総額は今年約70%増加し、約35億ドルから50億ドル以上に上昇した。これは、時価総額が10億ドルを下回った2020年の最安値からの力強い回復である。とはいえ、時価総額が90億ドル近くまで上昇した2007年の最高値からは大幅に下回っている。エンブラエルの株式はサンパウロ証券取引所で取引されている。


エンブラエルは、A-29スーパートゥカーノやC-390ミレニアムなどの航空機を供給する防衛請負業者でもある。ハンガリー空軍の最初のC-390ミレニアムは最近初飛行を終え、エンブラエルは他の防衛契約にも取り組んでいる。同社の防衛・安全保障関連の受注残は、2024年第1四半期に24億ドルに達している。■


Embraer Reaches Record $21.1 Billion Order Backlog

BY

AARON SPRAY



 

2024年6月17日月曜日

ブーム・スーパーソニックがノースカロライナでオーバーチュア・スーパーファクトリーを公開。日本航空も発注の民生超音速旅客機生産の準備が同地で行われる

 


The Boom Supersonic Overture factory ribbon cutting

Photo: Jonathan E. Hendry




「航空発祥の地」で米国初の超音速旅客機が製造され、地域に数千名分の雇用をもたらす


  • Boom Supersonicがノースカロライナ州にOverture Superfactoryを開設し、雇用を創出するとともに超音速航空機の新時代を切り開く

  • 歴史的意義、人材プール、経済成長の可能性からノースカロライナがそのオーバーチュアに選ばれた

  • オーバーチュア・スーパーファクトリーは、年間33機を生産し、組立ラインを増やす可能性もある


音速の次世代旅客機を開発中のブーム・スーパーソニックは、ノースカロライナ州にオーバーチュア・スーパーファクトリーを本日正式に開所した。同施設は、地元に数千名相当の雇用を創出し、コンコルド以来の旅客用超音速航空機を生産する。

 オーバーチュア・スーパーファクトリーは、ノースカロライナ州グリーンズボロのピードモント・トライアド国際空港(GSO)内にある。

A Boom Overture flying above the clouds.


  ブームの超音速旅客機オーバーチュアは、最大100%の持続可能な航空燃料(SAF)で現在の民間機の2倍の速度で飛行する。

 新しく完成した施設のお披露目は、オーバーチュアの超音速実証機であるブームのXB-1の初飛行に続くものだ。同機は、米連邦航空局(FAA)からマッハ1を超える特別飛行許可を受けた初の民間機で、現在は亜音速での試験飛行を行っている。

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 工場は予定より早く、安全上の事故もなく建設された。180,000平方フィートの施設には、10,000立方ヤードのコンクリート、1,700トンの構造用鋼鉄、120マイルの電線、4.5エーカーの金属壁パネルが含まれる。本日のテープカットセレモニーで、ブーム・スーパーソニックの創設者兼CEOであるブレイク・ショルは、この場所が歴史的見地からいかに重要であるかを指摘し、このイベントが超音速航空旅行の将来にとっていかに重要であるかを強調した:

 「私たちは、ライト兄弟が見つけたものをここで見つけました超音速飛行の未来に興奮し、その未来を共に創るために手を取り合う準備ができている情熱的なコミュニティです」。

 「当社がここグリーンズボロで建設しているものは、トライアドの外でも重要な意味を持つ。全国的に、いや、世界的に影響を与えるだろう」。


 グリーンズボロでの作業は、製造工程の開発、組立ラインの流れの最適化、オーバーチュア生産に向けたスタッフの準備に使用される先進的なテストセルユニットから始まる。オーバーチュアの初号機は2030年までに納入の予定だ。


ノースカロライナ州の航空ブーム

「航空発祥の地」として知られるノースカロライナ州は、120年以上前にライト兄弟が最初のテスト飛行に選んだ場所である。それ以来、アメリカンエアラインズのような航空会社がシャーロットにハブを設置し、国際航空会社がローリー・ダーラム国際空港(RDU)に集まるなど、同州は航空面で大きく成長した。

 組み立てラインは、地元経済に大きな影響を与えると予想されている。ノースカロライナのエコノミストは、ブームの製造プログラムが本格稼働することにより20年間で少なくとも323億ドルの経済成長が見込まれ、スーパーファクトリーが直接雇用を2,400人以上生むと見積もっている。

 同施設では、オーバーチュアを年間33機生産でき、同じ敷地内で2つ目(そして3つ目の可能性もある)の組立ラインを開発する計画がある。オーバーチュア・スーパーファクトリー・キャンパスには、ユナイテッドエアラインズ、アメリカンエアラインズ、日本航空含む航空会社の顧客が超音速機を引き取るデリバリー・センターも設置される。

 同地が選ばれたのには、準備の整ったスペースや地元の人材プールなど多くの理由がある。ノースカロライナ州は、デューク大学やノースカロライナ大学をはじめとする研究機関で知られ、イノベーションに情熱を燃やす高度な人材を輩出している。ロイ・クーパー・ノースカロライナ州知事は、このイベントで関係者やジャーナリスト(Simple Flyingを含む)を前に、この施設の完成の早さを強調した:

 「2年半前、私たちはこの素晴らしいプロジェクトを発表するためこの空港に来ました。1年半前、私たちはこのプロジェクトに着工し、そして今日、テープカットを行いました。プロジェクトの進行について語るなら、超音速と言えるでしょう」。

 BRPHによって設計され、BE&K Building Groupによって建設されたオーバーチュア・スーパーファクトリーは、LEED認定を受け、同等の製造施設と比較して少なくとも40%以上のエネルギー効率向上が見込まれている。■


https://simpleflying.com/boom-supersonic-factory-opens-in-nc/


2024年6月14日金曜日

787で新たに見つかった不具合で引き渡し前機体のファスナーを検査に入ったボーイング 作業員の虚偽記録がきっかけ(FlightGlobalより)

 




ボーイングは、787の生産で新たな問題が発覚したことを確認した。今回発覚した問題は、構造用ファスナーの締め付けが不適切であったことである。


この問題は6月13日にロイター通信が報じており、ボーイングは未納の787型機の点検を開始したが、納入を一時停止することはないと、6月14日に発表した。


ボーイングは、「787ドリームライナー未納機の一部で、当社の技術仕様に適合しているか確認するため、胴体側面のファスナーを点検している。就航中の航空機は安全に運航を続けることができる」と発表した。


ボーイングは数年前から、サウスカロライナ州ノースチャールストンにある787組立工場での生産関連問題の解決に取り組んできた。


この問題は、ボーイング作業員が、接着や接地に関する787の検査を実施していないのに、完了したかのように記録していたとして、米連邦航空局が調査に乗り出したという先週のニュースに続くものだ。


ボーイングは今回の問題について、「当社の品質管理システムの一環として、機体側面のロンジョロンとストラップに共通するファスナーの締め付けが不適切であることが判明した」と述べている。


しかし、ロンジョロンは胴体の長さ方向に伸びる構造要素である。ボーイングは以前、胴体の胴体部分を互いに固定するために「ストラップ」を使用していると発表しているが、今回のトルク不足の問題がこれらのストラップに関連したものであるかどうかは不明である。


同社は現在、「在庫の全航空機について手直しが必要かどうか」を判断するため見直しを行っている。


また、「引き渡しへの影響は限定的か、まったくないかもしれない。新型787の納入は一時停止されていない」と述べている。


ロイター通信によると、1機あたり900個のファスナーの締め付けに誤りがあった。


FAAはFlightGlobalからのコメント要請に応じず、ロイターに対し、調査中であると述べた。■


New 787 production hitch prompts Boeing to inspect fasteners on undelivered 787s

By Jon Hemmerdinger15 June 2024


https://www.flightglobal.com/airframers/new-787-production-hitch-prompts-boeing-to-inspect-fasteners-on-undelivered-787s/158774.article


2024年6月9日日曜日

Z世代とミレニアル世代は従来の航空会社ロイヤリティ・プログラムへの関心が低いと判明、イノベーションが必要だ

 




Z世代は自分の旅行の好みや予約パターンに合わせた特典を好む傾向


  • 従来のロイヤリティ・プログラムが、旅行スタイルに合わせた柔軟性と特典を優先するZ世代とミレニアル世代に苦戦している

  • 航空会社は、デジタル・ネイティブの価値主導型の宿泊施設の嗜好にアピールするため、提携カードや他社とのパートナーシップで革新を図っている

  • データ収集の透明性を高めることは、航空会社が若い乗客との信頼を築き、プライバシーの懸念に対処する上で極めて重要だ


OAGの最新レポートによると、Z世代で61%)とミレニアル世代の49%の旅行者がロイヤルティプログラムに参加しない主な理由として、一社の航空会社やブランドで一貫した旅行ができないことがあり、次いで特典利用に時間がかかることが判明した。さらに、Z世代の8%は、旅行の好みや予約パターンに合わせた特典を好む。

 また、Z世代とミレニアル世代の8%は、自分のデータに航空会社がアクセスすることに反対しており、ベビーブーマー世代が10%だったのに対し、X世代はわずか5%だった。


航空会社はブランド・ロイヤルティ問題にどのように対処できるのだろうか?


私たちはすでに、航空会社が自社便の利用実績だけに基づいて顧客に報酬を与える方法を徐々に放棄していくのを見てきた。最もポピュラーな方法は、マイルを獲得できる提携カードを発行することである。これは、Z世代とミレニアル世代の主な課題であるブランド・ロイヤルティに航空会社が対応するのに役立つだろう。例えば、行きはサウスウエスト航空、帰りはデルタ航空を利用したい人は、スカイマイル口座でマイルを貯めることができる。


航空会社はデジタルネイティブの旅行習慣にどのように適応すべきか?


デジタルネイティブは航空会社だけでなく、ホテルに対しても忠誠心が少ない。ほとんどの人は通常、自分の条件を満たす最安値の宿泊施設を探す。マリオットや他のチェーンで予約するのではないく、Trip.comや他の安い第三者のウェブサイトを探す人もいる。

 航空会社は、こうした方法で予約した旅行者にポイント/マイルを提供することで、これを利用することができる。例えば、エールフランスとフライング・ブルーは、Booking.comで1ドル支払うごとにフライング・ブルーのアカウントに2マイルが貯まるキャンペーンを実施している。

 同サイトの説明によると、顧客はロイヤリティ特典、具体的には利用額1ユーロにつき2フライング・ブルー・マイルを獲得でき、特定の宿泊施設で最低15%の割引を受けることができる。

 これらの特典を利用するには、Booking.comのフライング・ブルー会員専用ポータルからの予約が必要だ。予約の最終段階で、支払い方法を選択した直後にフライング・ブルー会員番号を入力する必要がある。獲得されたマイルは、滞在完了後に自動的に加算されます。


航空会社はデータ収集方法をもっと透明性をもって伝えるべき


前述したように、ミレニアル世代、特にインターネット以前を知らないZ世代は、企業が顧客データの使用方法を明確に伝えることを期待している。Z世代は日常的にインターネットを利用しており、オンライン上のプライバシーを強く意識している。安全や出入国管理上の理由から関係当局に送信しなければならないデータもあるが、航空会社はその理由を説明すべきだろう。

 航空会社の新しい取り組みは、間違いなく創造的だ。

 例えば、ピーター・ブッティギーグ米運輸長官が昨年3月、国土安全保障省(DOT)が国内の大手航空会社10社を利用する乗客の個人データの安全性を見直すと発表した。この見直しは、航空会社が乗客の情報をどのように収集し、扱い、維持し、利用しているかを評価するものだ。

 読者にとって重要なことのひとつは、EUの航空会社ではすでに、顧客データ保護に関するGDPR法によって、データがどのように処理されているかの説明義務が生まれている。


今後の展望


OAG報告書によると、従来のロイヤリティ・プログラムは若い旅行者の間で魅力を失い、エアライン一社に固執するよりも、旅行の習慣に合わせた柔軟性と特典を優先している。Z世代とミレニアル世代は、一貫性のない旅行パターンと長い特典交換時間を抑止力として挙げている。

 これに対して航空会社は、マイルを貯めるための提携カードを提供したり、デジタルネイティブの価値重視の宿泊嗜好にアピールするためにサードパーティプラットフォームと提携するなど革新的な取り組みを行っている。さらに、EUのGDPRのような規制によって強化されたデータ使用に関する透明性のあるコミュニケーションは、プライバシーの懸念に対処し、若い層との信頼を築くため不可欠といえよう。■


Innovation Needed: Gen Z & Millenials Are Less Interested In Traditional Airline Loyalty Programs

BY

BENJAMIN COOPER




2024年6月8日土曜日

愛犬と同乗可能な米チャーター航空会社バーク・エアが初フライト後に当局から訴えられた

 



同社のガルフストリーム機がチャーター便で9人以上の乗客を輸送していたとされる。

  • バーク・エアBark Air は、ガルフストリーム機による空港規制違反でニューヨークで訴訟を起こされた

  • 同社は東部ウェストチェスター郡とロサンゼルスを結んでおり、12匹以上の犬を乗せた航空機でロンドン進出を計画している。

  • Barkは主に高品質のドッグフードと犬用おやつを扱う会社で、2024年4月に航空業界に進出した。

CBSニュースによると、ニューヨーク当局がバーク・エア社に対し、同社のガルフストリーム機がウエストチェスター郡の空港使用規則に違反したとして法的措置を取ったことが明らかになった。

何があったのか?

訴訟の概要は、チャーター便で9人以上の乗客を輸送する航空機は、商業用ターミナルの運営プロトコルに従わなければならないというもの。これに対してバーク・エアー社は、同社の航空機は人間の同伴者とともに15匹の犬を収容できる設計と述べた。それでも、1回のフライトで販売されるチケットはせいぜい10枚である。

バークエアの広報担当者はCBSニュースに対し、この特定の問題についてはコメントしないが、この訴訟が同社の業務に影響を与えるとは考えていないと顧客を安心させた。愛犬と飼い主を専用機で輸送することに特化した新興プライベート・ジェット・チャーター・ブローカーとしてバーク・エアは、数週間前に初フライトを祝ったばかりだ。ニューヨーク近郊のウェストチェスター郡とロサンゼルスを結び、まもなくイギリスのロンドンへの国際便を就航させる予定だ。

写真 バークエア

フライトに使用する機材はガルフストリームG5で、通常12人から15人が搭乗できる設計だ。本誌はバークエアに問い合わせたが、回答は得られていない。

プライベートターミナル・FBOとは?

Fixed Base Operator」(FBO)という用語は、空港内にある民間航空およびビジネス航空のみを対象とする指定されたエリアと施設を指す。FBOは、旅客設備、航空機の給油、整備、駐車、タイダウン、航空機の格納庫スペースなど、各種サービスの提供を空港から許可された営利団体として機能する。俗にプライベート・ターミナルと呼ばれ、VIPチャーター便がよく利用する。

小規模な公営空港では、給油サービスや基本的なFBO施設を提供している場合もあるが、大規模な空港のFBOのほとんどは、民間企業が運営している。FBOは、標準的な空港ターミナルと提供する機能は同様だが、パーソナライズされたサービス体験を乗客へ提供することで差別化を図っている。

バークエアとは?

バークのCEOマット・ミーカーMatt Meekerは、同社フライトのローンチイベントで、起業の理由についてこうFoxに語っていた:

「私は愛犬と一緒の長距離移動ができなかった経験があり、犬向けの航空会社があってよいと思ったのです」。

「当社は、犬の不安やストレスを軽減し、飛行機で最も快適で、恐怖のない体験をさせるために、すべてを犬の基準に合わせます」。■

US Dog Charter Airline Bark Air Faces Lawsuit Following 1st Flight

BY

BENJAMIN COOPER




2024年6月2日日曜日

乱気流にいきなり突入したSQ321便で発生した事象について予備調査から浮き上がった事実(T4と共通記事)

 


New York Times



シンガポール航空機を襲った乱気流: SQ321便に何が起こったのか?


乱気流の中でSQ321便に何が起こったのか、新たな詳細情報が明らかになった。この事故では乗客1名が死亡、数十名が負傷している。


5月20日、シンガポール航空SQ321便は現地時間午後10時15分、乗客211人と乗員18人を乗せてロンドンのヒースロー空港を離陸した。

 同便はミャンマー南部のイラワジ流域に到達するまで事故はなかったが、午後3時49分21秒(シンガポール時間)、高度37,000フィートで飛行中、機体が振動し始めた。おそらく対流活動(雷雨に伴う上昇気流と下降気流)に入った後と思われる。

 同時に、機体は急上昇を始めた。

 これに対し、オートパイロットは機体を下降させ、高度37,000フィートに戻した。

 午後3時49分32秒、パイロットの一人がシートベルト着用サインが点灯した。

 それから10秒も経たないうちに機体は急激な高度低下に見舞われ、ベルトをしていなかった乗客と乗員が空中に放り出された。

 調査によると、4秒以内に飛行機の垂直加速度は1.5Gに戻り、座席から投げ出された乗客は落下し、乗客・乗員に負傷が発生した。

この間21秒間、パイロットは機体を安定させるため手動操縦を行った。午後3時50分5秒に自動操縦を再開した。

 午後3時50分23秒に本来の巡航高度である37,000フィートに達するまで、飛行機は緩やかではあったが変動を続けた。

 客室乗務員から乗客の負傷について報告を受けたパイロットは、バンコクにあるスワンナプーム空港にダイバートした。その途中、パイロットからは到着時に医療サービスを要請した。

 乱気流発生から約17分後の午後4時45分12秒、同機はスワンナプーム空港に着陸した。

 シンガポール運輸安全調査局が発表した予備調査結果では、ボーイング777-300型機に影響を与えた乱気流の3分間のに何が起こったのかを説明する技術的な詳細が明らかになった。

 このデータは、航空機のトランスポンダーからの情報を受信する受信機、衛星、レーダーのグローバルネットワークから得られた。

 このデータによると、航空機は午後3時49分から午後3時51分までの62秒間に2回、急上昇と急降下を繰り返している。

 フライトの高度は1分足らずの間に362フィート以上変化した。

 Gフォースの急激な変化により、シートベルトをしていなかった乗客は座席から浮き上がった。Gフォースとは、地球上の通常の重力(1G)と比較して、何かがどれだけ速くなったり遅くなったりするかを測定するものである。

 4.6秒間の出来事では、こうしたG力の急激な変化により、飛行機は高度を178フィート(37,362フィートから37,184フィート)下げた。

 これは、わずかな高度変化ではなく、乱気流が上昇と下降の間に急激な移行を引き起こし、機内に乱れを生じさせたことを示している。

 機体の垂直速度は毎分1,664フィート(fpm)まで急上昇し、その後数秒で毎分-1,536フィート(fpm)まで低下した。



New details emerge about security breach after stowaway takes photo of another passenger's boarding pass - ABC13 Houston

PUBLISHED: MAY 30, 2024



2024年5月25日土曜日

ホンダ・エアクラフトは10名乗りエシュロンの生産開始に備え準備中。飛行性能と燃料消費が他社より優位となり、再び人気機種になりそうだ。型式証明取得を2028年と想定。

 


ホンダ・エアクラフト、新型機エシュロンの試験・生産用にグリーンズボロ施設の改修を開始

HondaJet Echelon

Source: Honda Aircraft


ンダ・エアクラフトは今年のEBACEショー(5月28-30日、ジュネーブ)に、航続距離2,625nm(4,862km)の新型軽ビジネスジェット機エシュロンの開発着手で臨む。

ノースカロライナ州グリーンズボロのピードモント・トライアド国際空港内にある本社と製造キャンパスで、大きな変化が進行中だ。

ホンダ・エアクラフトがHA-420 HondaJetを組み立てる施設内にエシュロンを組み立てるスペースが確保されている。

ホンダ・エアクラフトは、新型ライトジェット機エシュロンの認証を2028年後半までに取得することを目指している。

一方で同社は、システム試験や実物大の構造試験を実施する巨大な験スタンドをキャンパス内に建てている。他のチームは、エシュロンのコンポーネントを開発・試験し、連邦航空局との認証作業を調整している。

ホンダ・エアクラフトの製造・生産組立担当シニア・マネージャー、ミゲル・アルメンタは4月、HA-420の組立のみを行なうグリーンズボロの最終組立現場を歩きながら、「現在は移行期」と語った。

アルメンタは、建物の北側に広がる空っぽのフロアスペースを指差した。以前はHA-420のラインがそのスペースを占めていたが、HA-420の生産を建物の南側に集約し、北側にエシュロンのラインのスペースを確保した。

「古い(床の)表示をすべて取り除いて、(エシュロン用の)新しい表示を......床に貼り付けるつもりです」とアルメンタは言う。

床面積24,155平方メートル(260,000平方フィート)は両ラインにとって十分な広さだとアルメンタは主張し、同社が最近、コンピューター・ステーションをフロアから撤去し、ラインを見下ろす新設の中二階に移動させたことを指摘した。

ホンダ・エアクラフトは、来年早々にはエシュロンの最初のアルミニウム製主翼の組み立てを開始する予定であり、作業はHA-420のアルミニウム製主翼を製造しているグリーンズボロ工場で行われる。

ホンダ・エアクラフトは2021年にエシュロンライトジェットのコンセプトを発表し、当時は「2600」と呼んでいた。昨年6月に開発に着手し、昨年は重要なプログラム作業を静かに進めていた。飛行試験は2026年開始し、認証を2028年後半に予定されている。

エシュロンは、ホンダ・エアクラフトの唯一の航空機である7人乗りのHA-420を進化させたもので、航続距離は1,547nm、推力2,050ポンド(9.1kN)のGEホンダ エアロエンジン製HF-120ターボファンを2基搭載する。ホンダ・エアクラフトの創業者で元最高経営責任者の藤野道格が、1990年代後半にHA-420開発を指揮した。ホンダ・エアクラフトは250機以上を納入している。

2022年に就任した山崎秀人CEOが率いるホンダ・エアクラフトは、次のビジネスチャンスを引き出そうとしている。その鍵となるのがエシュロンだ。

この新型機は、HA-420と同じユニークなオーバーウイングマウントエンジン、ガーミンG3000ベースのエイビオニクスを搭載したほぼ同じコックピットなど、類似点が多い。

エシュロンは、乗客定員10名(パイロット1名を含む)、翼幅17.3m(56.7フィート)、機首から尾翼までの長さ17.6mと、兄弟機よりも大幅に大型化される。(HA-420は翼幅12.1m、全長13m)。

新型機の最大巡航速度は450kt(833km/h)(HA-420は422kt)、実用最高高度は47,000ft(HA-420は43,000ft)。エシュロンの4人乗り時の航続距離は2,625nmで、アメリカ大陸横断飛行が可能だ。

ホンダ・エアクラフトのチーフ・コマーシャル・オフィサーであるアモッド・ケルカーは、「2600海里の航続距離は、現時点では(ライトジェット機の)カテゴリーには存在しません」と言う。

現在HA-420を所有している顧客を含め、大きな販売の可能性があると彼は予測している。しかし決定的に重要なのは、エシュロンはホンダ・エアクラフトにジェットチャーターやフラクショナルオーナーシップ会社などフリートオペレーターからの注文を可能にするということだ、とケルカーは付け加える。ホンダ・エアクラフトは、これまでHA-420を米国のフリートオペレーターのヴォラート1社に販売してきたが、そうした会社は大型の機体を好み、大口の注文を出す傾向がある。

ケルカーはアメリカが最も販売の見込みがあると言う。彼はまた、中東、東南アジア、そしておそらく中国もエシュロンの主要市場であると見ている。ホンダ・エアクラフトはすでに、複数のジェット機を発注する予想のフリートオペレーター含む410社ほどの潜在顧客からエシュロンの発注意向書を受け取っている、とケルカーは言う。「仮に30%から40%の転換率だったとしても......非常に大きなことです」。

エシュロンの販売価格は未定のため、確定注文はまだない。ケルカーは、今年中に完了する見込みの重要なデザイン・レビューを受け、2025年に確定する見込みだという。エシュロンの生産数については明言を避けた。ホンダ・エアクラフトは毎月約2機のHA-420を生産している。

エシュロンとHA-420は似ているが、違いもある。

GKNエアロスペースがノースカロライナでHA-420のカーボンコンポジット胴体を生産しているのに対し、ホンダ・エアクラフトはウィチタのスピリット・エアロシステムズにエシュロンのコンポジット胴体の生産を依頼した。この計画では、スピリットがエアバスA350の複合材部品を生産しているノースカロライナ州キンストンで構造体を製造することになっていた。

しかし今年、ボーイングがスピリット製737胴体の品質向上のためにスピリットの買収に関心を示したため、不確実性が生じた。この取引が進展するかどうかはまだ不明だが、アナリスト陣は、スピリットがエアバスの仕事を手放した場合にのみ前進する可能性があると見ている。

そのシナリオでは、スピリットはエシュロンの機体を米国内外のどこかで生産せざるを得なくなる可能性がある、とケルカーは懸念を否定する。また、ホンダ・エアクラフトは別の機体サプライヤーを探すつもりはなく、「スピリットに対し非常に忠実」であると付け加えた。

「彼らが話し合っている計画は...当社にとって問題ないものなので、大きな疑問や心配はありません」とケルカーはスピリットについて語った。「私たちは、機体が私たちの仕様通りに正確に製造され、納期が守られる限り、機体をどこで製造しようが何とも思わない。

スピリットは生産に必要な工具の調達を開始し、ホンダ・エアクラフトは2025年8月にエシュロン1号機を受け取る予定だとケルカーは言う。「サプライチェーンはすべて、1号機製造に着手しています」。

もうひとつの変化として、GEホンダ・エアロ・エンジンはエシュロンのターボファンを供給しない。代わりに、ミシガン州を拠点とするウィリアムズ・インターナショナル製のFJ44-4Cターボファンを2基搭載する。FJ44は、セスナ・サイテーションCJ3、CJ4、ピラタスPC-24など、他の小型ジェット機に搭載されている。ホンダ・エアクラフトがウィリアムズを起用したのは、クリーンシートのエンジンを開発することも、エシュロンのニーズを満たすためHF-120をスケールアップすることも、現実的でないと判明したからだとケルカーは述べている。

新たなライバルとの対決

エシュロンはホンダ・エアクラフトをライトジェット・セグメントに引き上げ、CJ、PC-24、エンブラエル・フェノム300との競争にさらされることになる。これらの競合機の航続距離はおよそ2,000nmであるため、エシュロンが優位に立つことになるとケルカーは言い、エシュロンは中型ジェット機セグメントともある程度まで競合すると付け加えた。

また、エシュロンの燃料消費量は他の小型ジェット機より20%、中型ジェット機より40%少なくなるという。これは、カーボンファイバー製の軽量な機体と、機体周囲の空気の「層流」を最大化する独自のオーバーウィング・エンジン設計のおかげである。層流とは、乱気流(乱気流は抵抗を発生させる)を最小限に抑え、スムーズに流れる空気を意味する。

「層流と乱流の(空気の)通過点は翼面上ではかなり遅くなり、その結果、燃料が減り、抗力が減り、摩擦が減る」とケルカーは言う。エシュロンは「おそらく史上最高の自然層流翼」を持つことになるだろう。

ホンダ・エアクラフトは静かに認証キャンペーンを進めている。FAAがエシュロンをHA-420の派生型として修正型式証明を取得し、HA-420と同様にシングルパイロットとして承認すること、そしてエシュロンが小型ジェット機と共通のパイロット等級を取得することを目指している。

これらの承認は、現在のHA-420オーナーからの注文を確保する上で貴重なものである。

しかし、737MAX危機を受けてFAAが認証プロジェクトをより厳しく精査し、ボーイングやガルフストリームのようなメーカーがプログラムの延期を余儀なくされていることを考えると、認証取得を期限内に達成することは容易ではないかもしれない。ホンダ・エアクラフト社自身も認証の遅れには慣れており、HA-420は初飛行から12年後の2015年にFAAの認証を取得した。

しかし、ケルカーは自信を持っている。HA-420の経験から得た教訓はホンダ・エアクラフトがエシュロンのために準備したものであり、HA-420との類似点は修正型認証ルートをサポートすると彼は言う。「パイロットの経験はほとんど同じとなります」。

ホンダ・エアクラフトは、FAAがこの計画を支持する意思と能力があることを確認するため、FAAに確認しているという。今年初め、ホンダ・エアクラフトの従業員約40名がアトランタで開催されたFAAの暫定型式認証委員会に出席し、約35~40名のFAA出席者にエシェロンの概要を説明し、「システムごとの」最新情報を提供し、エシェロンのデザインレビューについて議論したとケルカーは付け加えた。

また、ホンダ・エアクラフトはウィチタ州立大学の非営利部門で航空機の開発と認証を専門とする国立航空研究所(NIAR)にフィードバックを求めた。NIARはホンダ・エアクラフトに対し、「システム統合試験施設で可能な限り多くの(試験を)行う」ことを推奨したとケルカーは言う。「私たちは、可能な限りそのようなアプローチを取ろうとしています......そうすることで、飛行試験プログラムは、航空機の設計に関する未知の部分がほとんどない状態で始められるのです」。

エシュロンは、ホンダ・エアクラフトにとってリスクがないわけではない。親会社であるホンダの航空機および航空機エンジン事業は、3月期決算で329億円(2億1000万ドル)の損失を計上した。

しかし、幹部はエシュロンを山崎新CEOの下での再建の中心と見ている。創業者である藤野CEOがエンジニア出身であるのに対し、山崎は堅実なビジネス経歴を持つ。彼は1985年にホンダに入社し、自動車部門で働いた後、航空機メーカーの経営に異動した。

ホンダ・エアクラフトのグリーンズボロ研究開発拠点のエンジニアたちも、エシュロンの仕事に深く関わっている。

材料研究所では、エシュロンの試作部品をテストしている。22,000ポンド(9,979kg)の荷重をかけることができる4台と55,000ポンドの荷重をかけることができる1台を含む "ロードフレーム"マシンを使って試験を行う、とホンダ・エアクラフトの構造エンジニアリング担当シニアディレクター、ブラッド・トンプソンは言う。

チームはまた、極端な高温・低温や高湿度という、金属よりも複合材の完全性に影響する条件に部品をさらすために、環境チャンバーも使用している。

R&Dにはホンダ・エアクラフトの本格的な構造試験施設もあり、2019年にはHA-420の機体疲労試験を終えた。

同社は最近、計画されている巨大な鉄製リグ2基のうち1基目を建設した。各リグにエシュロンの機体が1機搭載され構造評価を行う。

チームは最初のリグを静的構造試験に使用する。「主翼、胴体、尾翼、それぞれを1回ずつ曲げなければなりません」とトンプソンは言う。例えば、エシュロンの主翼が "極限荷重"に耐えられることを証明しなければならない。"極限荷重 "とは "荷重限界 "の150%と定義され、主翼が経験する可能性のある最大の荷重である。

機体を加圧し、約90個のアクチュエータを使い飛行段階を模倣するように機体を動かすことによって達成される、とトンプソンは言う。機体に取り付けられた約2000個のセンサーが動きを測定する。

「主翼を上に曲げたり、胴体を下に曲げたり」、「垂直尾翼を横に押して」胴体をひねったりする、とトンプソンは言う。「飛行機が飛行中に目にする可能性のあるものは何でも、私たちは(試験しなければならない)」。

疲労試験は認証取得後も長く続けられ、模擬飛行の回数は実際の飛行回数を上回らなければならない。規則では、複合材料と金属材料で異なる疲労試験を義務づけている。

ホンダ・エアクラフトは、HA-420の疲労試験に試験装置1台しか使わず、複合材と金属材料の試験を切り替える必要があった。その結果、7年間続き、10万回の模擬飛行が行われた。

当初は静的試験に使用したリグで金属疲労試験を行い、もう1つのリグ(数年以内に建設予定)は複合材疲労試験に使用する予定である。この2つのリグにより、ホンダ・エアクラフトはエシュロンの疲労試験プログラムを3年半から4年で完了できるはずだとトンプソンは見ている。

システム試験の準備

最も複雑な航空機開発作業として、機内の複数のシステムを適切に統合することが含まれる。ホンダ・エアクラフトは、物事を正しく進めるため、研究開発センター内にエシュロン用の新しい統合試験施設(ITF)を建設する。

ホンダのITFのシニアエンジニアであるマイケル・ホジソンは言う。「電気的な要素を含むものはすべて、ここでテストしています」。

ホジソンが指差す先には、新設された "統合テストプラットフォーム"がある。このプラットフォームの一端にはHA-420のコックピットが設置されており、ホンダ・エアクラフトはもう一端にもHA-420のコックピットを設置する予定だ。

これらのコックピットは、エシュロンのフライトデッキを完全に再現したもので、エシュロンの各種システムが飛行中にどのように作動し、相互作用するかをシミュレートすることを目的とした、ハードウェア、ソフトウェア、実際の航空機部品の非常に複雑な組み合わせの一部である。HA-420のコックピットは、エシュロンのコックピットより少し短いだけで、中身は同じなので、このプロジェクトには理想的だ。

コックピットにはエシェロンのエイビオニクスが搭載され、実際のエシェロンのコントローラー・モジュールや主要な航空機システムにリンクされる。その中には、着陸ギアのタイミングを評価するための "着陸ギア試験治具"や、"フラップ・スポイラー試験治具...フラップとスポイラーの作動、負荷、タイミングの検証に使用"とホジソンは言う。

さらに、ウィリアムズが提供している "エンジンダイナミクス"シミュレーターがネットワークに供給され、プラットフォームの下にあるアクチュエーターがコックピットのコントロールに "フィードバックフォース"を提供し、パイロットにジェット機が飛んでいるかのように感じさせる。大まかには、パイロットとエンジニアが地上でエシュロンのシステムをテストすることで、あたかもジェット機が飛行しているかのように感じられる。

「すべてのデータを取得し、統合し、ホンダジェット480が飛ぶように空力モデルに組み込む、完全で忠実度の高いリアルタイム・シミュレータを持っています」とホジソンは言う。

ホジソンは、チームが今年中に統合テストを開始し、おそらくエンジンテストから始めるだろうと予想している。年末か2025年初頭までに、チームはITFでエシュロンの最初のシミュレーション飛行を完了させることを目指している。

「その後、真の統合試験を開始し......本当にすべてのシステムの実証を開始します」とホジソンは言う。■

Honda Aircraft begins transforming Greensboro site for new-jet Echelon’s testing and production | News | Flight Global

By Jon Hemmerdinger26 May 2024