「関税によりボーイング787の価格が4000万ドル上昇する可能性」(航空機リース会社幹部)―ボーイングが苦しむ間にエアバスが一人勝ちになるのではたまりません。トランプのねらいは反グローバル化なので簡単に答えは出ません
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世界最大の航空機リース会社AerCapのエンガス・ケリー最高経営責任者(CEO)によると、ボーイングの主力機787ドリームライナーを含む航空機は、ドナルド・トランプ米大統領の関税がもたらした貿易摩擦が続いているため、最悪のシナリオでは1機あたり最大4000万ドルものコストがかかる可能性があるという。
水曜日に行われたCNBCとのインタビューで、ケリーCEOは、アメリカとヨーロッパが一律25%の報復関税を課せば、ボーイング787の価格は高騰し、すでに狭い利益率に苦しんでいる航空会社に悪影響を及ぼすと強調した。「ボーイング787の価格は4000万ドル上昇するでしょう。「誰もそれを払いたがらないでしょう」。
エアバスが世界市場を支配する可能性
このシナリオでは、多くの航空会社はヨーロッパのライバルであるエアバスに頼ることになるだろうとケリーは指摘する。 「最悪のシナリオでは、ボーイングは世界市場の20%から25%を獲得することになる。一方エアバスは、世界市場の75%から80%々を手にすることになる」。
ケリーによれば、エアキャップは、昨年ボーイングから150機の飛行機、ヘリコプター、予備エンジンを購入した。 ボーイングにとっては問題だらけで激動の年であったが、ケリーは、ボーイング製品の品質、信頼性、安全性は、最近改善されてきていると述べた。 ケリーはまた、ボーイングが2025年に航空機を安定納入するためには、キャッシュフローが重要であることを強調した。
「ボーイングは昨年、品質、安全性、信頼性の面で大きな進歩を遂げました」。(ケリー)。
トランプ大統領の就任以来、米国はカナダとメキシコに25%、中国に20%、輸入アルミニウムと鉄鋼に25%の関税を課してきた。大統領は早ければ4月2日にもさらなる措置を講じると見られている。
ボーイングはすでに、世界中のベンダーから入手した重要部品を含む広範なサプライチェーンで貿易戦争の影響を目の当たりにしている。 同社はカナダとメキシコに大規模拠点を持っており、着陸装置やエンジン、その他の部品を含む民間航空機の部品を調達していると、国際的なビジネスニュースサイト『Quartz』は報じている。
同社のファクト・シートによると、ボーイングはサプライヤー・チェーンを通じてメキシコで最大10億ドルを費やしており、メキシコの製造業者のトップ10に入っている。 主要部品の関税を引き上げると、生産コストが上昇し、ボーイングは納期を守ることが難しくなる。
ボーイングのサプライチェーンへの懸念
先週、ボーイングのケリー・オートバーグCEOはトランプ大統領の関税によって着陸装置を含むカナダ輸入品の価格が上昇すると語った。同CEOは、関税がもたらす出費増を考えると、航空機の価格競争力を維持するのは難しいと認めた アラバマ州、ミシシッピ州、フロリダ州に生産施設を持つエアバスは、米国の関税の最悪の事態から自社を守る予防措置をすでに講じている。
「当社が製品を製造する上で、サプライチェーン部品がなければ、製造コストは本当に、本当に高価になる」とオルトバーグは語った。この関税は、ボーイングが737MAXの地中墜落事故や他の安全事故を含む困難な時期から立ち直るために続けている努力に続いてのしかかる。
エアバスは2月末、関税によって欧州の航空機メーカーの輸入が途絶えた場合、米国以外の顧客への納入を優先する可能性があると述べた。
同社の通期業績に関するCNBCのインタビューで、ギヨーム・フォーリーCEOは、「当社は世界の他地域からの需要が大きいので、(もし)米国への納入が非常に困難になった場合、機体を非常に欲しがっている他国の顧客への納入を前倒しすることもありうる」と述べた。■
Aircraft Leasing Executive Says Tariffs Could Cause Boeing's Prices To Increase By $40 Million
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