長鎖有機分子のデカン、ウンデカン、ドデカンを示す図。これまで火星で発見された有機分子としては最大の大きさである。出典:NASA
NASAの火星探査機キュリオシティが収集・分析した火星表面の岩石サンプルから、赤い惑星でこれまでに発見された有機物サンプルで最大のコレクションが発見された。
米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences)に3月24日発表された調査結果によると、有機物はデカン、ウンデカン、ドデカンの分子化合物で、それぞれ炭素数10、11、12で構成されている。
これらは、分析されたサンプルに保存されていた脂肪酸の断片であると考えられている。NASAゴダード宇宙飛行センターが3月24日に発表した最新情報によると、脂肪酸は地球上で生命の構成要素として認識されている有機分子のひとつである。
しかし、アップデートでは、非生物学的な説明が可能であるとしている。
「生物は、細胞膜の形成やその他さまざまな機能を果たすため脂肪酸を生成する。しかし、脂肪酸は、熱水噴出孔における水と鉱物の相互作用を含む、様々な地質学的プロセスによって引き起こされる化学反応によって、生命体なしでも作られる可能性がある。「同定された分子の出所を確認する方法はないが、それらをまったく発見できなかったことは、いくつかの理由からキュリオシティの科学チームにとってエキサイティングなことである」。
キュリオシティ・ミッションの科学者たちは、これまでにも赤い惑星で小さくて単純な有機分子を同定してきたが、今回のより大きな分子化合物の発見は、火星の有機化学が、火星の生命の起源となるのに必要な複雑さに向かって進化したことを示す最初の証拠となる、とゴダード宇宙飛行センターは述べている。
この発見は、「バイオシグネチャー」としても知られる、生命が存在する場合にのみ作られる大型有機分子が、火星の寒冷で砂漠のような環境で、何千万年もの間、強い放射線にさらされる過酷な地表の化学物質によって酸化されても破壊されず、火星に保存されている可能性を示唆している。
「我々の研究は、現在でも火星のサンプルを分析することによって、火星に生命が存在していたとしても、過去の生命の化学的痕跡を検出できることを証明している」。
NASAは現在、火星の古代のクレーター湖と河川デルタがあるジェゼロ・クレーターで、探査機パーセバランスが収集した火星表面のサンプルを入手し、地球に持ち帰るための、タイムリーでコストのかからないマーズ・サンプルリターンミッション戦略の選択肢を評価している。
パーセバランスは2021年2月18日にジェゼロに軟着陸した。
2011年11月26日に打ち上げられたキュリオシティは、2012年8月5日に火星のゲール・クレーターに着陸し、ロボットアームとドリルを装備して、クレーター底から約3.4マイル(5.5km)上にそびえるシャープ山を登りながら、過去に居住可能な環境であった証拠を示すサンプルを採取した。■
NASA’s Curiosity Mars Rover Finds Large Organic Molecules
Mark Carreau March 24, 2025
マーク・カロー
ヒューストンを拠点に25年以上にわたり航空宇宙関連の記事を執筆。 ヒューストン・クロニクル紙に在籍していた2006年には、報道を通じてアメリカの宇宙開発計画を一般の人々に理解してもらうことに専門的に貢献したとして、ロータリー宇宙功労賞財団から表彰された。
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