Credit: Ryanair
ヨーロッパでボーイング最大の顧客ライアンエアは、関税のコストのため、適正な価格であれば、ボーイングへの発注を見直す可能性があると警告している。
「米国政府が関税を課すという不見識な計画を進め、関税がボーイング航空機の欧州向け輸出価格に重大な影響を及ぼすようであれば、当社は現在のボーイング向け発注と、その発注を他社へ移した場合の両方を見直すことになる」と、ライアンエア・グループのマイケル・オレアリーCEOはロイターが報じた書簡の中で述べている。この発言は、アイルランドのULCCにコマックを検討対象から外すよう促したラジャ・クリシュナモオルティ米下院議員(イリノイ州選出)が「米欧の航空会社は、将来的に中国の軍事会社から飛行機を購入することを検討すべきではない」とオリアリー氏に送った書簡に対応したものだ。
米国政府は2025年初め、ARJ21とC919の製造元コマックを中国の軍事請負業者と認定した。
クリシュナモオルティ議員は、最近オリアリーCEOが、価格が十分に安ければコマックへの発注は格安航空会社にとって理にかなったものになるだろうと推測しているのを懸念し、「ライアンエアはコマックと将来的な購入やリースの可能性について話し合ったのか?」と書いている。同議員はオレアリーに、「発言を撤回し、コマック製航空機を購入しないと約束できますか?」と尋ねている。
クリシュナモオルティ議員は欧州連合航空安全局(EASA)との関連協議が進行中かどうかも尋ねている。
コマックは2020年の世界同時不況の前にC919のEASA認証を申請し、早ければ今年中に承認を受けたいと考えていた。EASAのフロリアン・ギレルメ事務局長は最近、フランスの出版社『L'Usine Novelle』に対し、2025年に認可が下りることはないだろうが、あと3~6年以上かかることはないだろうとも述べた。ギレルメのEASAでの前任者であるパトリック・カイ(Patrick Ky)はさらに楽観的だった。フランスの金融日刊紙『レゼコー』の最近の論説で、カイは、「大きな」予期せぬ問題がなければ、2028年から2029年までの認証取得は「可能性が高い」と書いている。
コマックがその間に生産を拡大し、国内発注で生産枠を埋め尽くさなければ、C919の納入を待つ時間は、同等の欧米製ナローボディより短くなる可能性がある。
ロイター報道によれば、オリアリーはクリシュナモオルティ議員への返答で、コマックと航空機発注に関する話し合いが行われたのは10年以上前のことだとしながらも、それを否定することはしなかった。
ライアンエアは2011年、2機種目の機材を保有する可能性を視野に入れ、中国の航空機メーカーに関心を示していた。同年のパリ航空ショーでは、200席のC919型機の開発について話し合う覚書をコマックと交わした。「ボーイングとエアバスに代わる真の選択肢ができたことを嬉しく思う」と当時オリアリーは述べた。2年後、ライアンエアの関心はボーイングMAXに移ったが、コマックのナローボディーのストレッチバージョンに引き続き関心を示していた。「競合他社が3社になるのは良いことだ」と2013年にオレアリーは繰り返した。
コマックは2023年にC919のストレッチバージョンとショートバージョンのコンセプトを発表した。
エイビエーション・ウィーク・ネットワークのフリート・ディスカバリー・データベースによれば、現在ライアンエアは179機のボーイング機を発注している: 未認証の737-10が150機、MAX 8の高密度バージョンである737-8-200が29機、さらに737-10が150機、737-8-200が25機のオプションがある。ボーイングの納入遅延を声高に批判するライアンエアは、737-10型機の納入が2027年春に開始されることを期待している。オレアリーは2月、本誌に対し、納入遅れにより「当社の成長はすべて1年遅れになっている」と語った。
ボーイングとライアンエアにコメントを求めたが、返答はまだない。■
Ryanair Won’t Rule Out Comac, As Tariffs Loom Over Boeing Orderbook
Christine Boynton Sean Broderick May 01, 2025
クリスティン・ボイントン
クリスティン・ボイントンは、エイビエーション・ウィーク・ネットワークのシニアエディターで、アメリカ大陸の航空輸送を担当している。
ショーン・ブロデリック
シニア・エア・トランスポート&セーフティ・エディターのショーン・ブロデリックは、エイビエーション・ウィーク・ネットワークのワシントンD.C.オフィスで航空安全、MRO、航空ビジネスを担当。
0 件のコメント:
コメントを投稿