2024年3月29日金曜日

ガルフストリームG700がFAA型式証明を取得

 A Gulfstream G700 Flying In The Sky.

Photo: Gulfstream



G700はガルフストリーム最速のビジネスジェット機となった。

概要

  • ガルフストリーム・エアロスペースG700がFAAから正式に認定を受け、納入が始まった

  • 性能改修には、離着陸距離の短縮、7,750海里の航続距離の延長、マッハ0.935(時速717マイル)の最高速度などを含む

  • G700は、市場で最も低い機内高度、20枚のパノラマ窓、約57フィートの機内長で新たな基準を打ち立てた

ガルフストリーム・エアロスペースは3月29日(金)、新型ガルフストリームG700が米連邦航空局(FAA)から型式証明を取得したと発表した。この認証により、同社は新型超長距離ビジネスジェットの納入を開始した。また、FAAの認証取得により、初期の飛行試験および開発段階で予想されていた性能より一部で性能が向上した。

正式な認証

3月29日に授与されたFAA認証により、ガルフストリームは正式にG700の運航を開始可能となった。同機は、ガルフストリームがこれまで製造してきたビジネスジェット機で最大であり、また同社の航空機の中で最速となった。ガルフストリームは、現在開発中のG800がG700を上回る速度になることを期待している。

ガルフストリームのマーク・バーンズ社長は声明で次のように述べている、「当社はG700によって、会社史上最も厳しい認証プログラムを成功裏に完了しました。この偉業に貢献したガルフストリームの多くの人々とともに、飛行試験、認証、エンジニアリングの専門家で構成された世界クラスのチームに感謝したい。G700は、ビジネス航空に新たなレベルの性能とキャビンの快適性をもたらし、業界が経験したことのない高い認証基準を満たしながら、それを実現しています」。

ガルフストリームは当初、このビジネスジェット機を10機発注したカタール航空との間で、2023年後半に認証を取得し、運航を開始すると見込んでいた。このため、G700はすでに安定した生産体制に入っており、約50機が完成または完成間近となっている。今回のFAA認証取得により、同社は納入を開始することができる。Aerotime社によると、ガルフストリームは2024年にG700を50機納入し、年末までに合計160機の納入を見込んでいる。

性能仕様とアップグレード

今回の認証取得に伴い、ガルフストリームは新たにいくつかの性能向上を確認した。新たな離陸距離は5,995フィート、着陸距離は3,150フィートとなった。これらは当初予想よりも大幅に短い。

昨年末、同社は他にもいくつかの性能向上を発表した。G700の最大航続距離は7,750海里(8,919マイル)に達した。これは当初予想されていた7,500海里(8,630マイル)から大きく改善された。この新しい航続距離により、G700は、航続距離7,500海里(8,630マイル)のボンバルディア・グローバル7500を抜き、最も航続距離の長いビジネスジェット機となった。

次期ビジネスジェット機G700は、ガルフストリームが当初予想した速度、航続距離、機内高度の仕様を上回った。

飛行試験中にG700が受けたもうひとつの改善は、新たな最高速度でマッハ0.935(時速717マイル)に達した。これにより、G700はガルフストリームのビジネスジェット機で最速となった。G700の標準巡航速度はマッハ0.85(時速652マイル)からマッハ0.90(時速690マイル)。

G700はまた、41,000フィート上空を飛行する際の機内高度がわずか2,840フィート相当と、ビジネスジェット市場で最も低い。また、標準的なパノラミック・ウィンドウを20枚備え、多くのガルフストリーム・ビジネスジェットに見られる、キャビン内の新鮮な空気を再循環させるシステムも装備している。G700のキャビンはガルフストリームジェットの中で最も長く、全長約57フィート。■

The Gulfstream G700 Achieves FAA Type Certification

BY

JUSTIN FOSTER

PUBLISHED 10 HOURS AGO

The G700 is now the fastest business jet in Gulfstream's fleet.


2024年3月28日木曜日

ボーイング首脳陣交代、カルフーンCEOの退任が決定

 Boeing HQ

Credit: Sipa US/Alamy Live News




ーイングは3月25日、コマーシャル・エアプレーンズ事業部門のスタン・ディール最高経営責任者(CEO)の退任と、デイブ・カルホーン社長兼CEOとラリー・ケルナー取締役会会長の退任を発表した。

 2023年12月に最高執行責任者(COO)に任命されたステファニー・ポープは、現在ボーイング商用機のCEOである。13年間取締役を務め、4年以上議長を務めたケルナーは再選に立候補しない。取締役会は、ケルナーの後任にスティーブ・モレンコフを選出した。2020年に取締役に就任した元クアルコムCEOのモレンコフは、カルフーンの後継者探しを指揮する。

 「2019年後半にボーイングの指揮官に抜擢され、ケルナーに代わって取締役会会長に就任したカルフーンは、「私はもともと、取締役会の要請に応じてボーイングのCEOを引き受けることに同意し、その過程で取締役会会長を退任した。

「両役職を務めることは私の人生の中で最大の特権であり、やるべき仕事を終えて初めて、この旅が適切に完了したと感じるだろう」とカルフーンは続けた。「私たちは、うまくいっていないことを修正し、会社を回復と安定の軌道に戻すつもりです」。

 カルフーンの任命は、2018年と2019年の737-8の死亡事故に伴う737 MAXの接地中に行われた。COVID-19パンデミックに関連した世界的な航空旅行の減速の間、生産停止やサプライチェーンの混乱など、より困難な状況に陥った。

 737 MAXは運航を再開し、新規受注を獲得しているが、プログラムもボーイング・コマーシャル・エアプレーンズも回復していない。サプライチェーンと品質の問題が787、そして最近では737プログラムを悩ませ、納期の遅れにつながっている。1月5日、アラスカ航空の737-9型機のドアプラグが機内で紛失したことをきっかけに、FAA(連邦航空局)の監査が入り、737型機の生産拡大が事実上停止されるなど、監視の目が厳しくなった。その結果、すでに不満を抱いていた顧客はさらに不満を募らせた。

 「私たちは、シアトルで待望されていた経営陣の交代を歓迎します」と、ライアンエアーのマイケル・オレアリーCEOは語った。彼は、ボーイングの顧客であり、ここ数週間で安心感を求めてボーイング首脳部と会談した航空会社幹部の一人である。「我々はまた、ボーイングCEOのデイブ・カルフーン氏、CFO(最高財務責任者)のブライアン・ウェストと引き続き協力し、ボーイングが航空機納入数を回復させる手助けをすることを楽しみにしている」とオリアリーCEOは付け加えた。

 中期的な展望として、カルフーンは後継者には航空宇宙事業の経験と幅広い視野の両方が必要だと考えている。

 「私たちのような大きく長いサイクルのビジネスをどう扱うかを知っている人が欲しい」と彼は3月25日、CNBCに語った。「生産だけではありません。次の飛行機の開発があります。次のリーダーは、ボーイング社の次の飛行機を開発し、呼びかけることになる。500億ドルの投資となる。それはすべて、その次のリーダーの目の前で起こる。だから、私は明らかに我々の業界内で経験を積んでいる人物を望んでいる」。

 新CEOはまた、労働者との協調を図り、出張作業など、書類上は理にかなっていても現場ではしばしば品質問題につながるような工場現場の混乱を最小限に抑えなければならない。

 「アラスカでの)事故の直後、私たちはすべての従業員の声に耳を傾けました。「私たちには悪い癖がある。その仕事が移動させられたのは、不足のためかもしれないし、不適合なものを直そうとしたためかもしれない。しかし、その仕事をラインの下に移動させると、『うわあ、飛行機の移動は製品の初回品質よりも重要なんだな』というメッセージを部下に送ることになる。そして、我々はそれを......もっとバランスの取れたものにしなければならない」。

 ボーイング・コマーシャル・エアプレーンズは、無数の品質問題に対処するための包括的な計画を求めるFAAの要求に応えようと努力している最中である。ボーイングとサプライヤーであるスピリット・エアロシステムズでの複数の品質管理ミスが重なったために起こったと調査官が考えている。その他にも、737 MAXの危機に端を発し、2020年に連邦議会によって命じられた、最近完成した独立報告書で明らかになったことがある。

 連邦航空局(FAA)は3月上旬、ボーイングに5月末まで、つまりポープがボーイング・コマーシャル部門のチーフに就任してからおよそ9週間後までに計画を提出するよう命じた。

 ポープの就任により、民間航空界はボーイングの長期計画についてある程度知ることができる。しかし、カルフーンの後任が決まるまでは、会社全体のリーダーシップの方向性は不透明なままだ。

 「誰かが職を失うことはめったに喜ばしいことではないが、ボーイング取締役会としては賢明な判断だろう」と、バーティカル・リサーチ・パートナーズのアナリスト、ロバート・スタラードはディールの更迭について書いている。「ボーイングの顧客、サプライヤー、その他の利害関係者の多くは、間違いなく同社への信頼を失い、FAAやNTSBとの関係は明らかに緊張している。経営陣の交代は、同社が抱える無数の問題に対処するための良い第一歩だが、パズルに欠けている大きなピースは、誰が次のCEOになるのか、ということだ」。

 ボーイング民間航空機の長年の苦闘が最も大きな見出しを集めているが、カルフーンの後任は民間航空以外の課題にも直面することになる。

 ボーイングはロッキード・マーチンとともに米空軍の次世代戦闘機開発契約の最終候補に残っており、勝者は数十年にわたる生産と維持が可能なフランチャイズを獲得する。ボーイングはまた、自律飛行技術の新基準を定義する空軍の新型共同戦闘機の最初のインクリメントの最終候補でもある。

 一方で、ボーイングのレガシー軍用機プログラムのいくつかは、先行き不透明な状況に直面している。米海軍の契約により、F/A-18E/Fスーパーホーネット生産は2027年まで延長される。一方、米陸軍はCH-47FブロックIIの生産を支援しているが、このプログラムへの資金提供要求を数年間保留していた。

 一方でボーイングの国防部門は、2030年代半ばの次世代空中給油システム・プログラム、2040年代の次世代空輸機材プログラムを皮切りに、空軍のプラットフォームで刷新する長期キャンペーンをすでに位置づけている。

 防衛産業も変化している。国防総省は、新技術の導入ペースを劇的に加速させ、軍用機のアップグレードや修理の競争的調達を妨げている契約や知的財産の制約を断ち切りたいと考えている。■


https://aviationweek.com/aerospace/manufacturing-supply-chain/boeing-leadership-shake-has-deal-out-calhoun-set-retire

Sean Broderick Steve Trimble March 25, 2024




2024年3月27日水曜日

ユナイテッドの高収益追求で767は座席数をわずか167に設定。

 UA high-J 767 map April-October 2024

Image: GCMap



概要

  •  ユナイテッド航空のハイJボーイング767型機は、高単価を相殺できる高い単価収入をねらう

  •  通常のエコノミー席はわずかで、収益を高める

  •  4月から10月にかけ、ニューアーク、シカゴ・オヘア、ワシントン・ダレス発の15路線に投入する


ナイテッドエアラインズは世界最大の長距離路線運航会社で、パンデミックの前、同社は全面的な改修の一環として、ボーイング767-300ER型機の座席数を214席から167席へと21%削減し始めた。

 多くの航空会社がシートマイル・コストを削減するために座席数を増やし、シート密度を高めていた当時(現在もそうしている)、これは大胆な動きだった。つまり、座席数を大幅に減らすことで単価を上げ、区間コストを分散させた。しかし、同社は、プレミアムシート多数とはるかに小さなエコノミーキャビンから、さらに高い単価収入に賭けた。


ch-aviationによると、ユナイテッドはボーイング767-300ERを37機保有しているが、すべてが現役ではない。平均使用年数は28.1年で、ユナイテッド航空が保有する機材の中で最も古い。次が757-200型機(27.2年)である。


ユナイテッドは、低キャパシティ、ハイプレミアム、167席のレイアウトの767-300ERを24機保有している。もちろん、この機材は双通路の中で最も低容量の機材である。最大のワイドボディ、いわゆる国内線非拡張型777-200の半分以下の座席数しかない。


167席は、46席のポラリス・スイート、22席のプレミアム・プラス・リクライニングチェア、43席のエコノミー・プラスがあり、標準的なエコノミーはわずか56席しかない。すごい。ハイJ仕様の767は、787-9(48席)、777-200ER機(50席)、777-300ER(60席)を除きどの型機/機種よりもポラリスシートが多い。


ハイJ767が飛ぶのはどこか


OAGデータによると、167人乗り機材は2019年3月にニューアーク-ロンドン・ヒースロー間に投入されており、シカゴ・オヘア-ヒースロー間は7月に就航する。当然ながら、サブフリートのプレミアム性はヒースロー空港に有利に働く。2024年、英国で最も忙しいこの空港は、2便に1便以上(55%)が高Jフライトとなる。


ユナイテッド航空は3月31日(日)開始の夏スケジュール、10月27日から冬スケジュールに切り替わる。4月から10月を見ると、ニューアーク(フライトの73%)、シカゴ・オヘア(25%)、ワシントン・ダレス(2%)の15路線で167席仕様が使用される。この中には冬運航の以下の路線も含まれている。


  • シカゴ-ヒースロー:毎日3便

  • シカゴ-パリCDG:9月3日よりデイリー運航

  • シカゴ-チューリッヒ:デイリー

  • ニューアーク-フランクフルト:10月26日よりデイリー

  • ニューアーク-ジュネーブ:デイリー

  • ニューアーク-ヒースロー:毎日6便、10月27日より毎日7便に増便

  • ニューアーク-マラケシュ:10月24日より週3便の新路線。

  • ニューアーク-ミュンヘン:5月2日~5月22日はデイリー、7月23日からはデイリーとなる。

  • ニューアーク-ナポリ:5月22日まではデイリー運航、その後9月24日までダブルデイリー、10月25日のシーズン終了までデイリー運航。

  • ニューアーク-ニース:10月25日のシーズン終了までデイリー運航。

  • ニューアーク-パリCDG:デイリー

  • ニューアーク-チューリッヒ:デイリー

  • ワシントン・ダレス-ジュネーブ:5月1日まで毎日、その後別機材に変更、10月26日からデイリー

  • ワシントン・ダレス-ヒースロー 5月2日のみ、10月26日よりダブルデイリー

  • ワシントン・ダレス-チューリッヒ:10月26日より毎日運航


Only 167 Seats: This Is Where United Airlines Flies Its High Premium Boeing 767s

BY

JAMES PEARSON


2024年3月23日土曜日

米新興エアラインニュー・パシフィック(ノーザン・パシフィック改め)はチャーター運行中心へ方針転換。太平洋横断路線開設で日本乗り入れの夢は後退。

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Source: New Pacific Airlines


米新興航空会社ニュー・パシフィック、定期便運行からチャーター便に軸足を移す 

太平洋横断路線開設で日本乗り入れの夢は?


国の新興航空会社ニュー・パシフィックエアラインズは、定期旅客便で苦戦を強いられていることから、チャーター便中心の運行に切り替える。

 3月22日、同社の最高経営責任者(CEO)ロブ・マッキニーはFlightGlobal取材に対し、「ルールその1は、ビジネスにとどまることだ。そして今、我々は(チャーター便を)最も手近な果実と見なし、短期的にはチャーター便市場に全力を注ぐ」と述べた。

 アラスカ州アンカレッジを拠点とするニュー・パシフィックエアラインズ(旧ノーザン・パシフィックエアラインズ)は、2023年7月の就航以来、定期旅客便とチャーター便を運航してきた。

 しかし、3機ある旧式ボーイング757型機は、チャーター便に使用する一方、定期便運航は現在のロサンゼルス、ナッシュビル、リノのネットワーク以上に拡大することはないだろう。

 マッキニーは、同社が存続するためには、「機敏に動き、軸足を移す」必要があると言う。「収益性を最大化し、成長し続け、機材を増やし続けるため、定期便よりチャーター便に重点を置くことになるだろう」。

 そのため、同社は、フロリダを拠点とし、スポーツチームやコンサート来場者、政府機関向けにチャーター便を運航するエレベート・エイビエーション・グループと契約を結んだ。エレベートは、この契約を通じてチャーター契約をニュー・パシフィックに回す。

 「この関係の結果、いくつかのメジャーなスポーツチームが関わることになると思います」とマッキニーは言う。過去には、エレベートは大統領選挙キャンペーンにも関わった。

 マッキニーは、同社の長期的なビジョンに変わりはないと主張している。アンカレッジを中継地として、アメリカ西海岸からアジア市場に太平洋横断便を就航させることだ。同社はこれまで、ロサンゼルス郊外のオンタリオ国際空港から757便を運航してきた。

 1月、ニュー・パシフィックは、航空管制の問題や滑走路閉鎖に関連した地上での遅延が続いたため、ラスベガス便を減便した。

 「ナッシュビルは非常に好調で、リノもそう遠くありません」とマッキニーは言う。「ラスベガスの業績は問題なく、むしろサービスの問題で、数時間に及ぶ地上待機が恒常化していました」。

 チャーター便運航が成功し、ニュー・パシフィックの機材が増加し始めたら、「定期便の就航地候補を厳しく検討する」とマッキニーは言う。

 ニュー・パシフィックは、757の追加入手を視野に入れており、エアバスA321XLRによる長距離路線にも長期的な関心を持っているが、今のところは757のメンテナンスとパイロット訓練に全力を注いでいる。

 「A321XLRは、アンカレッジから日本、そしてアンカレッジから東海岸への移動に必要なステージ長を持つ唯一のナローボディであるため、当社の太平洋横断モデルに最適な機体です」とマッキニーは言う。「他社が757から撤退しており、757型機は入手可能であり、新造機よりも手頃な価格です」。

 マッキニーは、757がオンタリオからリノやラスベガスへの短距離フライトでは理想的なプラットフォームではないことを認めている。しかし彼は、いずれはこの機種で長距離便を就航させたいと考えている。

 アメリカで新しい航空会社を立ち上げることの難しさについてマッキニーは、このビジネスには高いコストと低い利幅がつきものだと言う。「サービスの存在を知ってもらう必要があり、それに時間がかかる。認知されるまで空席だらけの飛行機を飛ばすのは大変なことです」。■


Start-up carrier New Pacific pivots to charters as scheduled service lags | Interview | Flight Global

By Howard Hardee23 March 2024



 

2024年3月22日金曜日

ブーム・スーパーソニックがXB-1デモ機の初飛行に成功、超音速商業飛行の復活が近づいてきた

 ブーム社には確か日本航空も出資しているはずですが、記事には出ていませんね。Simple Flying記事からのご紹介です。初飛行であり、超音速飛行はこれからですので、早とちりは不要ですが、ともかく関係者の努力を褒め称えたいと思います。


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Photo: Boom Aerospace


  • XB-1は初飛行で試験目標を達成し、超音速旅客機復活に向け重要な一歩を踏み出した

  • 安全で効率的な超音速旅客機の製造方法を学ぶ上で、XB-1の重要性をショールCEOが強調している

  • ブーム・スーパーソニックは、超音速旅客機の革命を目指し、オーバーチュア以上の大型機も視野に入れている


ーム・スーパーソニックのXB-1は、本日(2024年3月22日)初飛行を行った。ブーム・スーパーソニックにとってXB-1は、コンコルド以来の超音速旅客機となるオーバーチュアの製造にむけた小型試験機だ。


初飛行は控えめな目標を達成した。

 ブーム・スーパーソニックによると、登録番号N990XBのXB-1は、初飛行で「すべての試験目的」を達成した。初飛行は、海抜7,120フィート、最高速度238ノット(時速274マイル)で行われた。XB-1の初飛行は、X-1が音速の壁を破り、X-15が高度と速度の記録を目指してテスト飛行し、SR-71ブラックバードのテスト飛行と同じ空域、カリフォルニア州のモハーベ航空宇宙港で行われた。

 XB-1はブームのチーフ・テストパイロット、ビル・"ドク"・シューメーカーにより飛行され、テストパイロットのトリスタン・"ゼペット"・ブランデンブルグがT-38の追跡機を操縦した。シューメーカーは元米海軍パイロットで、この歴史的偉業について次のように語った、

 「XB-1チームの全員がこの偉業を誇りに感じているはず。献身的で才能あるプロフェッショナル多数とこの旅を共有できたことは光栄でした。このマイルストーン達成で得た経験は、ブームの超音速旅行復活にとってかけがえのないものとなるでしょう」。

 ブームのブレイク・ショール Blake Scholl CEOはこう付け加えた、「本日、XB-1は、1947年にベルX-1が初めて音の壁を破ったのと同じ神聖な空域で飛行しました。2014年にブームを設立して以来、この飛行を心待ちにしていました。世界中の乗客に超音速旅行を届けるという私たちの道において、これまでで最も重要なマイルストーンとなります」。

 しかし、ショールにとってXB-1とは、X-1、X-15、SR-71と同じ歴史的な空域を共有するだけではない。XB-1の重要性を次のように語っている。

 「私がXB-1について考える方法は、想像してみることです。当社はまったく新しい会社です。そして、我々がパート25として最初に作るのは、安全性が重要視される40万ポンドの超音速旅客機です......。私自身はとても楽観的ですが、それがうまくいくとは自分でも思っていません。だから、私たちはこの機体を作り、あらたな発見をし、民間用の超音速飛行機、それも人間が操縦できるほど安全な飛行機を作るために本当に必要なことを発見するために、学ぶのです」。

 ショールはさらに、XB-1はブーム・スーパーソニックが新しい米国の旅客機メーカーとして超音速機の製造方法を学ぶためだけでなく、次のように説明した。、「超音速ジェット機をどのように設計し最適化するか、航空力学から推進力、システム統合に至るまで、技術的な教訓を得ることができます」。


XB-1の試験内容

ブームによれば、XB-1がテスト内容は以下の通りだ:

拡張現実ビジョンシステム: 機首に取り付けらた2台のカメラは、姿勢と飛行経路を示すデジタル表示で補強され、高解像度のパイロット・ディスプレイに表示され、優れた滑走路視界を可能にする。このシステムにより、可動式機首の重量や複雑さを伴わずに空力効率が向上させることができる。


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Photo: Boom Supersonic


デジタルで最適化された空気力学:数値流体力学シミュレーションを用い、XB-1のデザインを検討した。その結果、離着陸時の安全で安定した動作と超音速での効率性を両立させる最適な設計が実現した。

炭素繊維複合材:XB-1はほぼ全てが炭素繊維複合材料で作られており、強度と軽さを兼ね備えた構造で高度な空力設計を実現している。

超音速インテーク: XB-1のエンジン・インテークは、超音速の空気を亜音速まで減速させ、運動エネルギーを効率的に圧力エネルギーに変換する。


安全を重視する価値観の創造

 XB-1では安全文化safety cultureの構築も狙いだ。ショールCEOは、XB-1の開発と会社の戦略的目標の両方にとって、安全文化の構築がいかに重要であるかを本誌に語った。結局のところ、同社は人間が搭乗できる安全な航空機の製造を目指しており、テストは遠隔操縦車両(別名ドローン)で実施することも可能だった。ショールCEOはこう語っている、

 「私たちは安全文化を一から築き上げたいと思いました。そして、飛行機プログラムの運営方法も学びたかったのです」。

 ショールはブーム・スーパーソニックを、問題をオープンに議論でき解決される組織にしたいと考えている。毎日、安全面や品質面での懸念がないかどうかをチェックすることから組織はスタートする。

 さらに、ショールCEOはボーイングの安全文化に関するトラブルから学び、「世界トップクラス」の安全文化を持ちながら、結局はそれを壊してしまうことがあることを反面教師にしている。安全文化が壊れると「再構築が本当に難しい」。ショールの場合

「数十年単位で考えているのなら、100年後もここにいたいと思って起業するのなら、正しいことをすることは他のどんなビジネス目標とも矛盾しなくなる。すべてが一致している」。


XB-1の先に究極の目標

ショールはまた、ブーム・スーパーソニックがオーバーチュア製造以外にも目標を持っていることを本誌に語った。オーバーチュアはアメリカン航空やユナイテッド航空などから130機の注文と予約注文を受けているが、オーバーチュア・ツーの計画もある。

A render of the Boom Overture flying above the clouds.

Photo: Boom Supersonic


 ブームはより大型のオーバーチュアを作りたいと考えている。なぜか?ショールは本誌にこう述べている:「距離を超えた人間同士のつながりは重要です。より多くを可能にするために、私たちは今よりも速く、より手頃な価格で、より便利で、より持続可能な飛行ができるのです。超音速旅客機による空の旅を復活させるだけでなく、かつてないほど大規模に復活させ、最終的にはすべての乗客が長距離を移動する際の主要な交通手段にします。これが、ブーム・スーパーソニックが存在する理由です。単に復活させるだけでなく、超音速輸送の平等主義を生み出すのです」。


 ショールはまた、ブーム・スーパーソニックが米空軍と提携して超音速輸送機を開発し、世界的な混乱のリスクを減らせることを本誌に伝えた。ショールは、ブーム・スーパーソニックは現時点ではBoom製品が兵器プラットフォームになることには興味がないと述べた。


結論

XB-1が飛行試験を開始した今、オーバーチュア・ワンの初飛行までに多くの飛行が待ち受けている。この作業には、多くのエンジニアリングと弾力的な安全文化が必要となる。しかし、その第一歩となる初飛行は、本日2024年3月22日、ブーム・スーパーソニックで実施された。■


Boom Supersonic Completes First Flight With XB-1 Demonstrator

BY

JOE KUNZLER

PUBLISHED 6 HOURS AGO

Boom Supersonic XB-1 prototype has a first flight. Read on to see what XB-1 is testing and some thoughts from CEO Blake Scholl on the future of Boom.



アラスカ機乗客による提訴に対し、ボーイングが苦しい立場に。責任は回避するものの、NTSBの疑問に有効な反証ができない様子。

 NTSB Investigates Alaska Airlines Flight 1282 After Section Of Plane Blew Off During Flight

NTSB Investigates Alaska Airlines Flight 1282 After Section Of Plane Blew Off During Flight

PORTLAND, OREGON - JANUARY 7: In this National Transportation Safety Board (NTSB) handout, plastic ... [+]GETTY IMAGES



アラスカエアラインズ1282便の乗客による訴訟に対し、ボーイングは、引き渡し後に関係者複数が航空機を取り扱っているため、いかなる負傷に対して責任を負わないと主張している


ーイングの主張は、NTSBの予備報告書にある調査官の所見と矛盾する。ボーイングがアラスカエアラインズに航空機を引き渡した後の各種整備作業を調査した結果、ドアプラグはどの段階でも取り外されていなかったことが判明した。

 アラスカ機の事故は現在、司法省の犯罪捜査の対象となっている。

 エルナ・ベリーらがボーイングおよびアラスカ航空を相手取ってワシントン連邦地方裁判所に起こした訴訟に対するボーイングの第5回弁明では、次のように述べている:「原告がボーイングによって設計、製造、組み立て、検査、試験、販売された製品によって負傷した場合、それらの製品はボーイング以外の人物および/または団体によって、後に設置、取り外し、交換、変更、改造、後付け、修理、オーバーホール、再製造、不適切な保守、または誤用された、 そのような設置、撤去、交換、変更、改造、後付け、オーバーホール、修理、再製造、不適切なメンテナンス、または誤用は、本訴訟で主張されている事象およびその結果として申し立てられた損害(もしあれば)の原因となったか、またはその一因となった」。 

 しかし、NTSBは今回の事故に関する予備報告書の中で、「製造/ヒューマン・パフォーマンス・グループは、事故機がボーイングの工場を出てから事故が発生するまでの完全記録を調査した結果、ボーイング施設を出発した後に左MEDプラグが開けられた証拠は見つからなかった 」と述べている。

 NTSBが調査した関係者のうち、調査員はオクラホマシティーにあるAARの整備施設を訪れ、技術者が納入後の航空機にWi-FiとPCSアンテナを取り付けたことを確認した。設置に関する書類を確認し、AARの品質保証および安全管理システムのプロセスを調査した。また、技術者が遵守したプロセスを確認するため、Wi-Fiの改修作業にも立ち会った。

 AAR担当者は調査官に対し、約60機のアラスカ航空737-9にWi-Fiアンテナの改修を行ったが、今回の事故に巻き込まれた航空機を含め、出口ドアプラグを取り外したり、開けたりしたことは一度もなかったと述べた。


ボーイング社内での重要な修理について未だ回答なし


NTSBのジェニファー・ホーメンディ委員長は、ドアプラグが取り外された際、航空機がまだボーイング施設内にあった間に行われた重要な修理に関する情報が不足していることに不満を表明した。

 この修理では、機体の引き渡し前にボーイング施設でドアプラグの開閉を行なった。ボーイングは、記録が見つからないことを認めている。連邦航空局(FAA)の大規模監査と専門家審査委員会は、ボーイングの品質および安全管理慣行の適用にコンプライアンス違反とギャップがあると発見した。

 NTSBは修理に携わった作業員へのインタビューを試みており、ボーイングに対象者を確認するよう求めている。ホーメンディ委員長は上院委員会で、これはまだ実現しておらず、調査の妨げになっていると述べた。また、ホーメンディは委員会への手紙の中で、修理が行なわれた場所の監視カメラの映像が消されていたことも明らかにした。NTSBは、この出来事について情報を持っている人は誰でも名乗り出るよう求め、報復の可能性から個人を保護することを約束した。


ボーイングは欠陥を説明せず技術的事実を認める


ボーイングは訴訟対応で、NTSB予備報告書の技術的事実を認めたが、エッジフレーム・リベット修理中に作業員がドア・プラグを取り外し、再び取り付けた際に何が起きたかについては言及しなかった。

 この出来事の後、ドアプラグの上方への動きを阻止する4本のボルトが、調査団が集めた証拠写真から消えている。

 ボーイングは、「NTSB予備報告書によると、ボーイングから入手した写真資料に、左側MEDプラグが、目に見える3箇所に保持金具(ボルト)がない状態で閉じられた証拠があるのを認めている」と、同社は訴訟への回答で述べた。

 ボーイングはまた、CEOのデーブ・カルフーンがインタビューの中で、「当社は自らのミスを認めることを第一に考えている」と述べたことを認めた。ボーイングは、「CNBCのインタビューでのカルフーン発言がすべてを語る」と書いている。


アラスカ、ボーイング両社とも責任を否定


NBCニュースが報じたが、ボーイングとアラスカエアラインズは訴訟に対する防御で真っ向から対立し、それぞれが相手方または第三者に責任がある可能性を示唆した。

 アラスカ航空はこの訴訟に対し、ドアプラグ破裂による負傷は「アラスカ航空がコントロールできない個人または団体の過失によるものである」と反論した。その代わりに航空会社は、「ボーイング社および/または非当事者のスピリット・エアロシステムズ」を指摘した。

 集団訴訟の乗客の代理人であるダニエル・ローレンス弁護士は、NBCニュースに対する両社の回答に「失望した」とし、次のように付け加えた。「ほとんどの国民は、数分後にドアプラグが外れていたら乗客全員が死亡していたはずの危険なドアプラグのついた航空機を空に飛ばしたと信じており、証拠もそれを明確に裏付けていると思われる」。


シートベルトで救われた27列目の乗客が新たな訴訟を起こす


両社は1282便の乗客から、事故による怪我や外傷を負ったとする別々の訴訟を起こされている。

 新たな訴訟は、ボーイング、スピリット・アエロシステムズ、アラスカエアラインズを相手取り、3月14日木曜日にキング郡高等裁判所に提出された。

 ドアプラグが吹き飛んだとき、27列目の窓側、ドアプラグのすぐ前に座っていたクオン・トランは、シートベルトが本人の命を救ったと主張している。吹き飛んだ後の急激な減圧で、トランと近くに座っていた乗客が引きずり込まれた。

 ウィスナー・バウム法律事務所は、この件に関しする報道資料の中で、「吸引力によって本人の靴と靴下がすぐに引きちぎられた」と主張している。「機体がポートランド上空16,000フィートを上昇する間、本人は身体が座席から浮き上がるのを感じ、足が開口部に向かって引っ張られた。トランの足は激しく揺さぶられ、前の座席の構造物に引っかかって怪我をした」。

 トランは、アラスカ機の事件で「身体的・心理的外傷」を負ったと訴訟を起こした乗客7名の一人である。■


Boeing Points To Third Parties On 737-9 Blowout, Despite NTSB Findings

Marisa GarciaSenior Contributor

Mar 15, 2024,07:44am EDT

https://www.forbes.com/sites/marisagarcia/2024/03/15/boeing-points-to-third-parties-on-737-9-blowout-despite-ntsb-findings/?ss=aerospace-defense&sh=6e4235de40a6


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