ブーム・スーパーソニックがXB-1デモ機の初飛行に成功、超音速商業飛行の復活が近づいてきた

 ブーム社には確か日本航空も出資しているはずですが、記事には出ていませんね。Simple Flying記事からのご紹介です。初飛行であり、超音速飛行はこれからですので、早とちりは不要ですが、ともかく関係者の努力を褒め称えたいと思います。


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Photo: Boom Aerospace


  • XB-1は初飛行で試験目標を達成し、超音速旅客機復活に向け重要な一歩を踏み出した

  • 安全で効率的な超音速旅客機の製造方法を学ぶ上で、XB-1の重要性をショールCEOが強調している

  • ブーム・スーパーソニックは、超音速旅客機の革命を目指し、オーバーチュア以上の大型機も視野に入れている


ーム・スーパーソニックのXB-1は、本日(2024年3月22日)初飛行を行った。ブーム・スーパーソニックにとってXB-1は、コンコルド以来の超音速旅客機となるオーバーチュアの製造にむけた小型試験機だ。


初飛行は控えめな目標を達成した。

 ブーム・スーパーソニックによると、登録番号N990XBのXB-1は、初飛行で「すべての試験目的」を達成した。初飛行は、海抜7,120フィート、最高速度238ノット(時速274マイル)で行われた。XB-1の初飛行は、X-1が音速の壁を破り、X-15が高度と速度の記録を目指してテスト飛行し、SR-71ブラックバードのテスト飛行と同じ空域、カリフォルニア州のモハーベ航空宇宙港で行われた。

 XB-1はブームのチーフ・テストパイロット、ビル・"ドク"・シューメーカーにより飛行され、テストパイロットのトリスタン・"ゼペット"・ブランデンブルグがT-38の追跡機を操縦した。シューメーカーは元米海軍パイロットで、この歴史的偉業について次のように語った、

 「XB-1チームの全員がこの偉業を誇りに感じているはず。献身的で才能あるプロフェッショナル多数とこの旅を共有できたことは光栄でした。このマイルストーン達成で得た経験は、ブームの超音速旅行復活にとってかけがえのないものとなるでしょう」。

 ブームのブレイク・ショール Blake Scholl CEOはこう付け加えた、「本日、XB-1は、1947年にベルX-1が初めて音の壁を破ったのと同じ神聖な空域で飛行しました。2014年にブームを設立して以来、この飛行を心待ちにしていました。世界中の乗客に超音速旅行を届けるという私たちの道において、これまでで最も重要なマイルストーンとなります」。

 しかし、ショールにとってXB-1とは、X-1、X-15、SR-71と同じ歴史的な空域を共有するだけではない。XB-1の重要性を次のように語っている。

 「私がXB-1について考える方法は、想像してみることです。当社はまったく新しい会社です。そして、我々がパート25として最初に作るのは、安全性が重要視される40万ポンドの超音速旅客機です......。私自身はとても楽観的ですが、それがうまくいくとは自分でも思っていません。だから、私たちはこの機体を作り、あらたな発見をし、民間用の超音速飛行機、それも人間が操縦できるほど安全な飛行機を作るために本当に必要なことを発見するために、学ぶのです」。

 ショールはさらに、XB-1はブーム・スーパーソニックが新しい米国の旅客機メーカーとして超音速機の製造方法を学ぶためだけでなく、次のように説明した。、「超音速ジェット機をどのように設計し最適化するか、航空力学から推進力、システム統合に至るまで、技術的な教訓を得ることができます」。


XB-1の試験内容

ブームによれば、XB-1がテスト内容は以下の通りだ:

拡張現実ビジョンシステム: 機首に取り付けらた2台のカメラは、姿勢と飛行経路を示すデジタル表示で補強され、高解像度のパイロット・ディスプレイに表示され、優れた滑走路視界を可能にする。このシステムにより、可動式機首の重量や複雑さを伴わずに空力効率が向上させることができる。


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Photo: Boom Supersonic


デジタルで最適化された空気力学:数値流体力学シミュレーションを用い、XB-1のデザインを検討した。その結果、離着陸時の安全で安定した動作と超音速での効率性を両立させる最適な設計が実現した。

炭素繊維複合材:XB-1はほぼ全てが炭素繊維複合材料で作られており、強度と軽さを兼ね備えた構造で高度な空力設計を実現している。

超音速インテーク: XB-1のエンジン・インテークは、超音速の空気を亜音速まで減速させ、運動エネルギーを効率的に圧力エネルギーに変換する。


安全を重視する価値観の創造

 XB-1では安全文化safety cultureの構築も狙いだ。ショールCEOは、XB-1の開発と会社の戦略的目標の両方にとって、安全文化の構築がいかに重要であるかを本誌に語った。結局のところ、同社は人間が搭乗できる安全な航空機の製造を目指しており、テストは遠隔操縦車両(別名ドローン)で実施することも可能だった。ショールCEOはこう語っている、

 「私たちは安全文化を一から築き上げたいと思いました。そして、飛行機プログラムの運営方法も学びたかったのです」。

 ショールはブーム・スーパーソニックを、問題をオープンに議論でき解決される組織にしたいと考えている。毎日、安全面や品質面での懸念がないかどうかをチェックすることから組織はスタートする。

 さらに、ショールCEOはボーイングの安全文化に関するトラブルから学び、「世界トップクラス」の安全文化を持ちながら、結局はそれを壊してしまうことがあることを反面教師にしている。安全文化が壊れると「再構築が本当に難しい」。ショールの場合

「数十年単位で考えているのなら、100年後もここにいたいと思って起業するのなら、正しいことをすることは他のどんなビジネス目標とも矛盾しなくなる。すべてが一致している」。


XB-1の先に究極の目標

ショールはまた、ブーム・スーパーソニックがオーバーチュア製造以外にも目標を持っていることを本誌に語った。オーバーチュアはアメリカン航空やユナイテッド航空などから130機の注文と予約注文を受けているが、オーバーチュア・ツーの計画もある。

A render of the Boom Overture flying above the clouds.

Photo: Boom Supersonic


 ブームはより大型のオーバーチュアを作りたいと考えている。なぜか?ショールは本誌にこう述べている:「距離を超えた人間同士のつながりは重要です。より多くを可能にするために、私たちは今よりも速く、より手頃な価格で、より便利で、より持続可能な飛行ができるのです。超音速旅客機による空の旅を復活させるだけでなく、かつてないほど大規模に復活させ、最終的にはすべての乗客が長距離を移動する際の主要な交通手段にします。これが、ブーム・スーパーソニックが存在する理由です。単に復活させるだけでなく、超音速輸送の平等主義を生み出すのです」。


 ショールはまた、ブーム・スーパーソニックが米空軍と提携して超音速輸送機を開発し、世界的な混乱のリスクを減らせることを本誌に伝えた。ショールは、ブーム・スーパーソニックは現時点ではBoom製品が兵器プラットフォームになることには興味がないと述べた。


結論

XB-1が飛行試験を開始した今、オーバーチュア・ワンの初飛行までに多くの飛行が待ち受けている。この作業には、多くのエンジニアリングと弾力的な安全文化が必要となる。しかし、その第一歩となる初飛行は、本日2024年3月22日、ブーム・スーパーソニックで実施された。■


Boom Supersonic Completes First Flight With XB-1 Demonstrator

BY

JOE KUNZLER

PUBLISHED 6 HOURS AGO

Boom Supersonic XB-1 prototype has a first flight. Read on to see what XB-1 is testing and some thoughts from CEO Blake Scholl on the future of Boom.



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