アラスカ機乗客による提訴に対し、ボーイングが苦しい立場に。責任は回避するものの、NTSBの疑問に有効な反証ができない様子。

 NTSB Investigates Alaska Airlines Flight 1282 After Section Of Plane Blew Off During Flight

NTSB Investigates Alaska Airlines Flight 1282 After Section Of Plane Blew Off During Flight

PORTLAND, OREGON - JANUARY 7: In this National Transportation Safety Board (NTSB) handout, plastic ... [+]GETTY IMAGES



アラスカエアラインズ1282便の乗客による訴訟に対し、ボーイングは、引き渡し後に関係者複数が航空機を取り扱っているため、いかなる負傷に対して責任を負わないと主張している


ーイングの主張は、NTSBの予備報告書にある調査官の所見と矛盾する。ボーイングがアラスカエアラインズに航空機を引き渡した後の各種整備作業を調査した結果、ドアプラグはどの段階でも取り外されていなかったことが判明した。

 アラスカ機の事故は現在、司法省の犯罪捜査の対象となっている。

 エルナ・ベリーらがボーイングおよびアラスカ航空を相手取ってワシントン連邦地方裁判所に起こした訴訟に対するボーイングの第5回弁明では、次のように述べている:「原告がボーイングによって設計、製造、組み立て、検査、試験、販売された製品によって負傷した場合、それらの製品はボーイング以外の人物および/または団体によって、後に設置、取り外し、交換、変更、改造、後付け、修理、オーバーホール、再製造、不適切な保守、または誤用された、 そのような設置、撤去、交換、変更、改造、後付け、オーバーホール、修理、再製造、不適切なメンテナンス、または誤用は、本訴訟で主張されている事象およびその結果として申し立てられた損害(もしあれば)の原因となったか、またはその一因となった」。 

 しかし、NTSBは今回の事故に関する予備報告書の中で、「製造/ヒューマン・パフォーマンス・グループは、事故機がボーイングの工場を出てから事故が発生するまでの完全記録を調査した結果、ボーイング施設を出発した後に左MEDプラグが開けられた証拠は見つからなかった 」と述べている。

 NTSBが調査した関係者のうち、調査員はオクラホマシティーにあるAARの整備施設を訪れ、技術者が納入後の航空機にWi-FiとPCSアンテナを取り付けたことを確認した。設置に関する書類を確認し、AARの品質保証および安全管理システムのプロセスを調査した。また、技術者が遵守したプロセスを確認するため、Wi-Fiの改修作業にも立ち会った。

 AAR担当者は調査官に対し、約60機のアラスカ航空737-9にWi-Fiアンテナの改修を行ったが、今回の事故に巻き込まれた航空機を含め、出口ドアプラグを取り外したり、開けたりしたことは一度もなかったと述べた。


ボーイング社内での重要な修理について未だ回答なし


NTSBのジェニファー・ホーメンディ委員長は、ドアプラグが取り外された際、航空機がまだボーイング施設内にあった間に行われた重要な修理に関する情報が不足していることに不満を表明した。

 この修理では、機体の引き渡し前にボーイング施設でドアプラグの開閉を行なった。ボーイングは、記録が見つからないことを認めている。連邦航空局(FAA)の大規模監査と専門家審査委員会は、ボーイングの品質および安全管理慣行の適用にコンプライアンス違反とギャップがあると発見した。

 NTSBは修理に携わった作業員へのインタビューを試みており、ボーイングに対象者を確認するよう求めている。ホーメンディ委員長は上院委員会で、これはまだ実現しておらず、調査の妨げになっていると述べた。また、ホーメンディは委員会への手紙の中で、修理が行なわれた場所の監視カメラの映像が消されていたことも明らかにした。NTSBは、この出来事について情報を持っている人は誰でも名乗り出るよう求め、報復の可能性から個人を保護することを約束した。


ボーイングは欠陥を説明せず技術的事実を認める


ボーイングは訴訟対応で、NTSB予備報告書の技術的事実を認めたが、エッジフレーム・リベット修理中に作業員がドア・プラグを取り外し、再び取り付けた際に何が起きたかについては言及しなかった。

 この出来事の後、ドアプラグの上方への動きを阻止する4本のボルトが、調査団が集めた証拠写真から消えている。

 ボーイングは、「NTSB予備報告書によると、ボーイングから入手した写真資料に、左側MEDプラグが、目に見える3箇所に保持金具(ボルト)がない状態で閉じられた証拠があるのを認めている」と、同社は訴訟への回答で述べた。

 ボーイングはまた、CEOのデーブ・カルフーンがインタビューの中で、「当社は自らのミスを認めることを第一に考えている」と述べたことを認めた。ボーイングは、「CNBCのインタビューでのカルフーン発言がすべてを語る」と書いている。


アラスカ、ボーイング両社とも責任を否定


NBCニュースが報じたが、ボーイングとアラスカエアラインズは訴訟に対する防御で真っ向から対立し、それぞれが相手方または第三者に責任がある可能性を示唆した。

 アラスカ航空はこの訴訟に対し、ドアプラグ破裂による負傷は「アラスカ航空がコントロールできない個人または団体の過失によるものである」と反論した。その代わりに航空会社は、「ボーイング社および/または非当事者のスピリット・エアロシステムズ」を指摘した。

 集団訴訟の乗客の代理人であるダニエル・ローレンス弁護士は、NBCニュースに対する両社の回答に「失望した」とし、次のように付け加えた。「ほとんどの国民は、数分後にドアプラグが外れていたら乗客全員が死亡していたはずの危険なドアプラグのついた航空機を空に飛ばしたと信じており、証拠もそれを明確に裏付けていると思われる」。


シートベルトで救われた27列目の乗客が新たな訴訟を起こす


両社は1282便の乗客から、事故による怪我や外傷を負ったとする別々の訴訟を起こされている。

 新たな訴訟は、ボーイング、スピリット・アエロシステムズ、アラスカエアラインズを相手取り、3月14日木曜日にキング郡高等裁判所に提出された。

 ドアプラグが吹き飛んだとき、27列目の窓側、ドアプラグのすぐ前に座っていたクオン・トランは、シートベルトが本人の命を救ったと主張している。吹き飛んだ後の急激な減圧で、トランと近くに座っていた乗客が引きずり込まれた。

 ウィスナー・バウム法律事務所は、この件に関しする報道資料の中で、「吸引力によって本人の靴と靴下がすぐに引きちぎられた」と主張している。「機体がポートランド上空16,000フィートを上昇する間、本人は身体が座席から浮き上がるのを感じ、足が開口部に向かって引っ張られた。トランの足は激しく揺さぶられ、前の座席の構造物に引っかかって怪我をした」。

 トランは、アラスカ機の事件で「身体的・心理的外傷」を負ったと訴訟を起こした乗客7名の一人である。■


Boeing Points To Third Parties On 737-9 Blowout, Despite NTSB Findings

Marisa GarciaSenior Contributor

Mar 15, 2024,07:44am EDT

https://www.forbes.com/sites/marisagarcia/2024/03/15/boeing-points-to-third-parties-on-737-9-blowout-despite-ntsb-findings/?ss=aerospace-defense&sh=6e4235de40a6


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