2023年9月30日土曜日

シンガポール・チャンギのT2の拡張が完了し、供用開始。年間利用者数を9千万人に拡大。

 

Singapore Changi Airport Fully Reopens Expanded T2

BY

MICHAEL DORAN

PUBLISHED 2 DAYS AGO

Photo: Changi Airport Group



シンガポール・チャンギ空港T2を拡張し全面再開

シンガポール・チャンギ空港はターミナル2をフルリニューアルオープンし、空港全体の年間旅客数を9,000万人に拡大した。

写真 チャンギ空港グループ

  • シンガポール・チャンギ空港のターミナル2は、3年半にわたる拡張工事を終え、年間利用客数が500万人増加した

  • 同空港は、新しい飲食店小売店、子どもの遊び場など自然をイメージした落ち着いた癒しの雰囲気づくりに力を注いだ

  • 自動化されたチェックイン・キオスク、手荷物預け入れ機、自動手荷物預かり所で効率性を高め、旅行体験の向上に重要な役割を果たしている。

ンガポール・チャンギ空港は、パンデミックに見舞われた時期にもかかわらず、改修工事、新しい空港技術、ターミナルの拡張工事を進めてきた。昨日、同空港はターミナル2北ウィングの営業を再開し、全体の年間旅客数を9,000万人に増加させたと発表した。

シンガポール・チャンギ空港(チャンギ)第2ターミナル(T2)は、3年半にわたるエンジニアリング作業と拡張工事を経て、現在フル稼働し、年間旅客数は500万人増の2,800万人に達した。T2南ウィングは2022年5月に到着用、10月に出発用が再オープンした。

落ち着いた癒しの空間

チャンギ・ジュエルということばにふさわしく、T2のデザインコンセプトは自然からインスピレーションを得て、旅客と訪問者の双方に静寂とリラクゼーション感覚を育む、落ち着いた癒しの雰囲気を作り出すことを目指した。チャンギ空港はまた、公共エリアとトランジットエリアにエキサイティングな新しい飲食店舗が登場し国内外のブランドが新たに加わった。

トランジットエリアには、床から天井までエプロンが一望できるグルメガーデンがある。食事が済んだら、ショッピングや小さなお子様を楽しませる2ベアーズの隠れ家などオプションが用意されている。

今回の拡張で、T2に15,500平方メートルが追加され、出発ホールには共通利用のFAST(Fast and Seamless Travel)ゾーンができた。このゾーンには自動チェックイン機と手荷物預け入れ機が設置され、出国審査場も拡張され、出国審査レーンが増えた。T2チャンギで初の出国・入国審査に自動化されたスペシャル・アシスタンス・レーンを導入したターミナルとなった。

自動化はシームレスな旅の鍵

入国審査を素早く通過することは歓迎されるが、到着手続きの中で最も苦痛を伴うのはバゲージ・カルーセルでの長い待ち時間だ。同空港では、ワイドボディ機多数に対応できるよう、手荷物ベルト2本を長くし、システムもアップグレードした。初期の手荷物保管システムは完全自動化され、手荷物2,400個が保管可能になり、生産性が大幅に向上した。

昨年5月以来、T2はエア・インディア、エア・インディア・エクスプレス、エア・マカオ、エチオピア航空、ファイアフライ、ルフトハンザ、マレーシア航空、ロイヤル・ブルネイ航空、四川航空、シンガポール航空、スイス・インターナショナル・エアラインズ、ユナイテッドエアラインズ含む12社の870万人以上の旅客を輸送してきた。

昨日、ルフトハンザ、スイス、シンガポール航空の東南アジア、バングラデシュ、スリランカ線がT2の北ウイングから運航を開始した。10月には、エア・ジャパン、全日空、エティハド航空、インディゴ航空、シンガポール航空のモルディブおよびネパール便もT2に移転し、16社が同ターミナルから運航することになる。シンガポール航空のファーストクラスチェックインレセプションとSATSプレミアチェックインラウンジもT2にオープンした。■

Michael Doran

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Journalist - A professional aviation journalist writing across the industry spectrum. Michael uses his MBA and corporate business experience to go behind the obvious in search of the real story. A strong network of senior aviation contacts mixed with a boyhood passion for airplanes helps him share


2023年9月29日金曜日

デルタが返上した羽田のスロットをユナイテッドが申請

 


ユナイテッドエアラインズは、競合するデルタエアラインズが羽田空港の発着枠を先週放棄したことを受け、アメリカと東京を結ぶ便で発着枠の追加を申請した。


シカゴを拠点とするユナイテッドは9月25日、ヒューストンのハブ空港と羽田を結ぶデイリー運航便と、太平洋のグアム島と羽田を結ぶ週5便の運航便を導入したいと発表した。


ユナイテッドは、「未使用発着枠をユナイテッドに提供することで、使用率が低い羽田発着枠を最大かつ最良の形で活用されることになる」と述べている。


「今回の獲得により、ユナイテッドの主要ハブであり、東京へのフライト需要が全米最大級であるヒューストンと、ユナイテッド初のグアム-羽田便のデイリー運航が実現し、グアム発着便を利用する観光客やビジネス客の旅行機会が増加します」とユナイテッド航空は補足している。


先週、デルタは米国運輸省(DOT)に対しオレゴン州ポートランドからのデイリー運航を開始しないと申請し、羽田への就航権を取り消した。


ユナイテッドはDOTに提出した書類の中で、「デルタ航空がポートランド-羽田便を就航させる意思がないことは数週間前から、いや数ヶ月前からわかっていたことであり、運輸省や消費者のためにその意思を明らかにする機会は何度もあったにもかかわらず、その代わりに運輸省の期限近くまでスロットペアを保持することを選んだのは残念だ」と述べている。


アトランタに本社を置くデルタは5月上旬、COVID19のパンデミック後の「根本的に変化した」需要環境を理由に、米国と東京羽田を結ぶ便の発着枠規制を緩和するよう米国政府に要請していた。


デルタは5月1日、アメリカのどの空港からでも羽田就航できる「発着枠を2つまで使用できる」権限をアメリカ航空会社に与えるよう、米運輸省に要請したという。現在、DOTはアメリカの航空会社が羽田に就航しなければならない都市を指定している。


DOTは6月にこの要求を却下し、「航空会社が自らの裁量で異なる米国のゲートウェイを選択できるようにすることは、他の競合する申請者よりも既存の航空会社やゲートウェイを選択したDOTの根拠を覆すものであり、旅行者や海運関係者の利益のために行われたDOTの公益決定を台無しにするものである」と述べた。


ユナイテッドのこの動きは、太平洋横断便のさらなる拡大である。ユナイテッドは7月、太平洋を横断するフライトの需要が急増する中、10月からアメリカ西海岸とアジアを結ぶ新フライトを導入すると発表した。新規就航便にサンフランシスコ-マニラ、サンフランシスコ-台北、ロサンゼルス-東京成田各路線の増便が含まれる。


ユナイテッド航空は10月17日に第3四半期決算を発表する。

United Airlines applies for Tokyo Haneda slots vacated by Delta | News | Flight Global


By Pilar Wolfsteller26 September 2023


2023年9月23日土曜日

デルタ、来年は過去最大の大西洋横断夏期スケジュールを計画中

 


Photo: Ryken Martin/Shutterstock



デルタ航空は記録的な今年の夏を終え、そのまま勢いを維持する


  ルタエアラインズは2024年夏を過去最大の大西洋横断スケジュールで運航する。

 JFK空港からナポリ、シャノン、ミュンヘンへの新路線を含め、ニューヨークとアトランタの両方から大西洋横断路線を拡大する。

 西海岸からデルタ航空をご利用のお客様は、ロサンゼルス-オークランド間の通年フライトの延長や、シドニーへのオプションの追加を享受できる。

 同社はパンデミック後の回復から脱却し、驚異的な成長を続けており、2024年夏に過去最大の大西洋横断スケジュールを運航すると本日発表した。


来年も記録的な夏になる

アトランタを拠点とする同社は、来年の夏、大洋をあらゆる角度からカバーする。ニューヨークJFK空港からは、同社初のJFK-ナポリ直行便を含め、ヨーロッパ、アフリカ、中東の29都市に週260便近く就航する。イタリア行きボーイング767-300ERの運航は5月23日に開始される。

 同日、デルタ航空はJFK空港とアイルランドのシャノン空港間の運航を再開する。この便は4年ぶりに復活し、最近発表されたミネアポリス・セントポール発ダブリン行きや他のアイルランド行き路線を完成させる。

 JFK空港から導入されるもうひとつの路線は、週3便のミュンヘン便。767-400ERで4月9日から10月24日まで運航される。その他、バルセロナ線が週7便から14便に倍増されるなど、注目すべき拡大がある。

 デルタ航空が大西洋横断路線を強化するのはニューヨークだけではない。アトランタのハブ空港から、ヨーロッパ、アフリカ、中東の21都市へ週180便近くを運航する。

 スイス路線は、5月31日から9月8日の間、767-300ERで運航し、5月31日にスタートする。また、アトランタからパリおよびベニスへの増便も予定されている。

 デトロイト発着便も増便され、パリへの週7便が倍増する。さらに、ケフラヴィーク行きが週1便増便され、週5便となる。

 ヨーロッパへの接続性を高める努力にもかかわらず、デルタ航空はデュッセルドルフ便を撤退させた。最終便は10月26日に出発する。この動きにより、デュッセルドルフはアメリカからのフライトがなくなることになる。空いたリソースは、大西洋路線に再配備される。


太平洋路線の動き

西海岸から太平洋を経由するデルタ航空の乗客にも、多くの楽しみがある。まず、デルタ航空は、今年10月28日就航するロサンゼルス-オークランド線のエアバスA350-900便のデイリー運航を通年化すると発表した。

 冬季はデイリー、4月から10月までの夏季は週3便となる。ロサンゼルス-シドニー線は今年12月に1日2便に増便される。

 デルタ航空は、ロサンゼルス上海浦東線の通年運行を3月31日に再開する。週4便で、デトロイトとシアトルから上海への冬季便に続く運航となる。

 デルタ航空はロサンゼルスからロンドン、パリ、東京、シドニーなど合計13の国際都市に就航している。これらのフライトは、全体的な大洋横断戦略の不可欠な部分を形成している。


来年夏スケジュールの予想

大西洋横断路線で、航空業界の次の章はエキサイティングな時期だ。デルタはすでにこの夏、過去最大規模の大西洋路線網の運航を開始したが、今後も東回り路線のサービス拡大に意欲的だ。

 大西洋横断の可能性を見出しているのは同社だけではない。ジェットブルーも可能性を認識しており、昨日、ボストン=アムステルダム線にA321LR便を就航させた。

 この路線は、先月のニューヨーク-アムステルダム線就航に続くものである。ジェットブルーはわずか数年で大西洋横断の分野で大きく成長したが、ヨーロッパ就航は2021年夏に始まったばかりだ。デルタもボストン便の運航を強化し、アテネ便を来夏の週4便からデイリーに増便する。

 デルタ航空は太平洋地域にも進出している。さらに、過去最大規模のラテンアメリカとカリブ海の冬期スケジュールも充実させている。このように、レガシーキャリアにとって今年は忙しい年となる。来年の今頃には、さらなる拡大が期待できるだろう。


デルタエアラインズ

IATA/ICAOコード DL/DAL

航空会社の種類 フルサービスキャリア

ハブ空港 ボストン・ローガン国際空港、デトロイト・メトロポリタン・ウェイン郡空港、ハーツフィールド・ジャクソン・アトランタ国際空港、ロサンゼルス国際空港、ミネアポリス・セントポール国際空港、ニューヨークJFK空港、ラガーディア空港、ソルトレイクシティ国際空港、シアトル・タコマ国際空港

設立年 1929

アライアンス スカイチーム

CEO:エド・バスティアン エド・バスティアン

国名 アメリカ合衆国


Delta Air Lines Eyes Largest Ever Transatlantic Summer Schedule Next Year

BY

SUMIT SINGH


2023年9月18日月曜日

BWB新設計による新型機を民生用にも採用させ、調達コスト引き下げを期待する米空軍

 

Rendering of the blended-wing body prototype aircraft. COURTESY JETZERO



民間航空会社に新型ハイブリッド機の採用を期待する米空軍


米運輸司令部は、主翼胴体一体型BWBは、既存の空港から飛んでも、より効率的な提供することができると述べている。


 翼胴体一体型BWB機は、短距離滑走路から、長距離飛行でき、米軍に利益をもたらす可能性がある。しかし、この飛行機が既存の空港と互換性があることを確認することが、民間航空会社に賛同してもらうための鍵であると、月曜日に空軍将官が語った。

 民間航空会社がこのような新しい、根本的に異なる外観の飛行機を購入すれば、軍のコストを下げることになる。

 米運輸司令部のトップ、ジャクリーン・ヴァン・オヴォスト大将は、月曜日に開催された航空宇宙軍協会の年次航空・宇宙・サイバー会議で次のように語った。

 BWB機は、胴体が翼の一部として機能するハイブリッド航空機。空軍は先月、新興企業のジェットゼロJETZEROに、早ければ2027年に飛行するBWB機プロトタイプ製造の契約を結んだ。この新型機により、より短い滑走路から離陸してもより長い距離の飛行が可能になると期待されている。

 ヴァン・オヴォスト大将は、「航空エンジニアとして効率性の観点から、可能性が本当にあると思う。「もし、折りたたみ式主翼になれば、新しい空港を作る必要がなくなり、より多くの場所で使うことができる。

 ジェットゼロのBWBプロトタイプは、エアバスのさまざまな機種で使用中のプラット&ホイットニーのターボファンエンジンを搭載する。

 プラット・アンド・ホイットニーの軍用エンジン社長であるジル・アルバテリは、月曜日のブリーフィングでプロトタイプについて、「我々は、どのような市販の活動エンジンが必要とされるレベルのスラスターとパワーを提供できるのか、過去も含めて真剣に検討中」と語った。■


Military hopes commercial airlines adopt new hybrid plane design - Defense One

BY MARCUS WEISGERBER


2023年9月16日土曜日

空港の保安手続きを圧倒的に短縮化するシステムの開発が進行中。旅行者、保安係官双方のストレスは減りそうだが、高費用負担がのしかかりそうだ。

空港のセキュリティ通過を30秒にする新技術

Forbesの記事からのご紹介です


Through Airport Security In 30 Seconds? That’s The Goal Of This New Technology

ILLUSTRATION BY MONASH UNIVERSITY



時間を節約し、ストレスを最小限に抑える自動保安手続きシステムをオーストラリアのMicro-Xが開発中だ。


Micro-Xは、空港のチェックポイントをスーパーマーケットのセルフレジのように再設計しようとしている。計画通り機能すれば、同社のプロセスは時間短縮だけでなく、乗客や運輸保安局TSAのストレスを軽減させる。とはいえ、いろいろな欠点(武器の検知テストでの性能の低さ、旅行者を混乱させ不快にさせることなど)で非難を浴びているTSAを考えれば、この新装置だけでは批評家を満足させられないかもしれない。さらに値段も高い。


Micro-Xの最高科学責任者(CFO)兼米国事業責任者であるブライアン・ゴンザレスによれば、同社が目標とするセルフ・スクリーニング・システムのコストは、最新型の従来型セキュリティ・レーンの約2倍だという。TSAは今年、機内持ち込み手荷物の検査用CTスキャナ約1,200台に13億ドルを支払う。国土安全保障省DHSの技術開発プログラム "Screening at Speed "のマネージャーとしてプロジェクトを監督するジョン・フォーチュンによれば、Micro-Xシステムに関しては、最終的に乗客一人当たりで「競争力のある」コストになると期待されている。


フォーチュンは『フォーブス』誌に、同社のデザインは「型にはまらない」と語る。「検問所のあり方を根底から揺るがすものです」。


その仕組みはこうだ。IDチェックを受けた後、旅行者は大人2人が入れる広さのブースが並んだエリアに入る。スクリーンに映し出されたアバターが、市場に出回っているものの4分の1の大きさのCTスキャナーのキャビネットに手荷物を入れるよう指示する。このスキャナーはX線で3D画像を作成し、機械学習アルゴリズムを搭載したソフトウェアが禁止対象物品を自動的に分析する。一方、カメラシステムと電磁ボディスキャナーが旅行者を検査し、ポケットから何かを出し忘れたり、何かを隠しているような場合にはアバターが注意を促す。


TSA職員は、システムが不審物を検知した場合や、旅行者が助けを必要とする場合にのみ介入する。


Micro-Xは、CTスキャナーが旅行者のキャリーバッグに不審物を検出した場合、TSA職員がブースの外側にあるスキャナーのドアを開けて中身を検査できるスクリーニングポッドを設計している。


2020年から2022年にかけ、DHSはMicro-Xのコンセプト開発と初期プロトタイプの納入に490万ドルを拠出した。DHSは7月、同社に最大1,400万ドル相当の契約を延長し、6つのスクリーニング・ブースを12ヶ月ないし18ヶ月以内に建設させる。


空港の保安当局は、特に9.11以降、旅行者の利便性と安全確保を天秤にかけ、微妙なバランスを保ってきた。より多くの旅行者が飛行機を利用し、その仕事はますます難しくなっている。空の旅はパンデミックの低迷から立ち直り、夏の旅行シーズンに空港の保安検査場を通過した人数は過去最高の2億6400万人で、これは2019年の同時期より200万人多い。もし旅客の増加率がパンデミック以前の軌道(毎年約4%)に戻れば、大きな課題となる、とフォーチュンは言う。「ある時点で、進化する脅威だけでなく、システムを通過し続ける旅行者の人数にも追いつけなくなるでしょう」と彼は言う。


Micro-Xによれば、改修されたチェックポイントは、乗客が平均60秒、最短でも30秒で保安検査を完了できるようにすることで、人の往来を活発にできると約束している。同社のデザインは、現在の単一ラインレーンと同じスペースに8つのスクリーニングブースを備える。これにより、乗客がぐずったりアラームが鳴っても、旅行者は残りのブースを通過することができる。


より速い未来へ

DHSの目標は、セルフサービス・システムで1レーンあたり1時間あたり乗客400人を処理できるようにすることで、係官の介入が必要なのは5%未満だ。マイクロXでは、1レーンで1時間に500人という、より高い処理数が出せると考えている。TSAは現在のパフォーマンスに関する統計を開示しないが、ゴンザレスの理解では、1時間あたり500人という数字は、せいぜい1時間あたり300人であるプリチェック・レーンをはるかに上回るという。混雑した標準レーンだと、1時間に150人しか処理できていない、とゴンザレスは言う。


ゴンザレスによれば、1レーンに配置するTSA職員は現在の11人から7人に減らせるという。画像分析アルゴリズムの精度が十分に高まれば、3人程度まで減らせそうだ、とゴンザレスは言う。


このシステムは係官のストレスを軽減する。緊張しがちな身体検査やバッグ検査に時間を割くよりも、乗客の手助けに時間を割くことができる。また、検知アルゴリズムでフラグが立ったバッグの画像を遠隔で検査する時間も確保できる。


このプロセスは、交通量の少ない小規模空港で特に役立つだろう。Micro-Xポッド1つで、必要な容量をすべてまかなうことができる。


さらに新技術を売り込む企業も

DHSは、オランダのヴァンダーランデが主導するプロジェクトにも資金を提供している。同社のチェックポイントでは、従来型CT装置とローデ・シュワルツのボディ・スキャナーを組み合わせ、スキャナーが何か検知したらポケットを確認するよう乗客に合図するバーチャル・アシスタントを装備している。


ヴァンダーランデのプロジェクトはマイクロXより先進的だ。DHSはこの春にテストを行い、年末までにはラスベガスのハリー・リード国際空港のプリチェック・レーンで試験運用を開始したいとする。旅行者が並んで荷物をコンベアに乗せる3つのステーションがあるなど、乗客の流れを加速させる機能もあるが、Micro-Xが開発中のシステムほどプロセスを加速させる可能性はない、とフォーチュンは言う。


フォーチュンは、新技術には未証明の事項がたくさんあると警告する。


マイクロXは、CTスキャナーと同じ技術を応用した軽量で移動可能な医療用X線装置を商品化している。標準的なX線装置の仕組みは、20世紀初頭の開発当時とほとんど変わっていない。昔ながらの電球に似た真空管の中でフィラメントを加熱し、電子の流れが発生し、それが高密度の金属で急速に減速されるとX線が発生する。マイクロエックスは、ノースカロライナ大学チャペルヒル校の研究者が最初に開発した、カーボンナノチューブに電界を印加して電子の流れを発生させる技術を完成させた。その利点は、X線管の大きさが標準的なものの約4分の1、重さが10分の1であることだ。また、タイミングや投与量をより正確に電子制御できる、と同社は言う。


Micro-X社の手荷物用CTスキャナーのクローズアップ。


セルフスクリーニング・セキュリティ・プロジェクトの成功は、小規模企業の同社にとって大きな未来を意味するかもしれない。Micro-Xの6月30日に終了した会計年度の売上高は970万ドルだった。オーストラリア証券取引所での時価総額はわずか3500万ドルで、ゴンザレスによれば、システムを市場に投入するには外部からの投資や提携が必要だという。


このプロジェクトはまた、ミュンヘンに本社を置くVoxel Radarが、同社の次世代ミリ波ボディ・スキャナーが、ブース内で移動中の旅行者の正確な画像を撮影し、携行品に関する迅速なフィードバックを提供できるという主張を実現するかにもかかっている。現在のミリ波スキャナーでは、旅行者は腕を伸ばした状態でじっと立っている必要がある。


もう一つの鍵は、両方のタイプのスキャナーが作成する画像を正確に解釈する検出アルゴリズムを作成できるかどうかである。


コンピューター・ビジョン

画像解析アルゴリズムは、預け入れ荷物の爆発物を検出するために、すでにCTスキャナーで使用されている。TSAはフォーブスの取材に対し、預け入れ手荷物の75%から80%は人の手を介さずクリアされていると語っている。しかし、機内持ち込み手荷物はもっと厄介だ。銃やナイフなど、より多様な持ち込み禁止品をチェックする必要があるからだ。


1990年代後半にロンドン・ヒースロー空港の警備を担当した手荷物検査の専門家、ノーマン・シャンクスは、アルゴリズムが銃の向きに応じてその形状を検知したり、銃がバラバラに分解されていたり、その破片が異なるバッグに分かれていたりすることを認識したりするのは難しい、と言う。「すべての禁止物品の画像認識ができるようになったとは確信していません」と彼は言う。「いずれはできるようになるでしょうが、まだそこまでには至っていません」。


Micro-Xプロジェクトが想定している保安人員の削減を達成するためには、高精度で、誤作動率が低いことが必須だが、人間が検知アルゴリズムに競争を挑むことは明らかではない。2017年のテストでは、DHS調査官は少なくとも70%の確率で、模擬武器や爆発物をTSAチェックを通過させ密輸することができた。


それでもシャンクスによれば、人員削減にはリスクが伴う。つまり、旅行者の不審な行動に気づく可能性のある係官の数が減るということだ。「技術者たちは、テクノロジーがすべて解決してくれると言いたがるが、そうではない」とシャンクスは言う。また、「行動検知や観察技術といったソフトスキル」も必要だ。


もうひとつの疑問は、自動化された指示によって、乗客が手助けなしに新システムを使いこなせるようになるかどうかだ。航空セキュリティ・コンサルタントでメトロポリタン州立大学デンバー校の教授でもあるジェフリー・プライスは、「この業界の秘密のひとつ」と呼ぶ。


「その都度、何をすべきかを指示しなければ、旅行者は立ち尽くし、混乱してしまう」。


究極の目標は、チェックポイントを廃止し、乗客が歩きながら継続的にスキャンされるようにすることだ。DHSはそれを可能にする技術を開発するため、パシフィック・ノースウエスト国立研究所の研究に資金を提供している。


フォーチュンによれば、この夢のプロトタイプが2、3年先に実現するかもしれないという。■


Through Airport Security In 30 Seconds? That’s The Goal Of This New Technology

Sep 13, 2023,06:30am EDT

By Jeremy Bogaisky, Forbes Staff

https://www.forbes.com/sites/jeremybogaisky/2023/09/13/through-airport-security-in-30-seconds-thats-the-goal-of-this-new-technology/?ss=aerospace-defense&sh=7deed7c93d41


2023年9月9日土曜日

ボーイング777-Xと747-8を比較する----悩ましい選択;一方は高性能をうたいいながら就航が遅れ、他方は生産終了ずみで入手は困難になりつつある

 


ボーイング777Xとボーイング747 - どちらがベストか?

2機には共通点と相違点がある。



概要

 ボーイング777Xは、燃費効率とキャパシティを備え、高需要路線向けの次世代航空機と考えられている。

 ボーイング747は乗客数が多く航続距離も長いが、777Xは貨物容量と燃費効率で上回る。

 777Xの運航コストは、新しいテクノロジーと大型エンジンにより747よりも低く、航空会社にとって長期的な投資に適している。

 かつては世界中の航空会社にとって頼みの綱であったボーイング747型機も、生産ラインは閉鎖され、旅客機として運航中の機体も残り少なくなり、中古市場に出回る機体はさらに少なくなっている。次の "ジャンボジェット "を探す航空会社に777Xはうってつけかもしれない。

 ボーイングでマーケティング担当副社長のランディ・ティンセスによれば、777Xは未来の航空機だという。Business Insiderで、ティンセスは次のように語っている:「航空業界にとって未来の大型機はボーイング777-9Xになる。747やA380より遠くまで飛ぶ。ボーイング777Xは双発の大容量機で、燃費がよく、ロンドンとニューヨークのような首都を結ぶ高需要路線に最適でエアバスA350と直接競合し、747とライバルのA380の両方を置き換えるに値する」。 

 しかし、納得していない航空会社もある。ルフトハンザドイツ航空は、777よりも747を選択し、大きな航空機が提供するプレミアムスペースが有益であると主張している。ルフトハンザ・グループのカーステン・シュポアCEOは次のように述べている:

「ルフトハンザほど多くのプレミアムシートを販売している航空会社は世界にはありません。他の航空会社が(ボーイング)777型機を使用する路線で747-8型機を使用するのはそのためです」。

 しかし、今日の航空会社にとって本当に良いのはどちら旅客機なのか探ってみよう。


2機をどう比較すべきか?

それぞれのジェット機の商業的収益性に焦点を当てる。あなたが新しい航空会社を立ち上げるか、ナショナル・フラッグ・キャリアで働くかを想像してほしい。747が大切にしてきた航空遺産など、クールな面もあるかもしれないが、収益性に直結しない。

 さらに、777Xは真新しく、747はもう生産されていない。技術の差は、燃費などに大きく表れるだろう。とはいえ、一部の大手航空会社は現在でもボーイング747を飛ばし続けており、777Xの発注は行っていない。

 ここでは主にボーイング777-9とボーイング747-8Iを比較する。現在、777Xファミリーは360機以上発注があり、747-8Iは合計48機が納入され、現在運航されている。


777Xと747の比較



Boeing 777X-9

Boeing 747-8

Cockpit crew

Two

Two

Seating, 3-class

349 (8F + 49J + 292Y)

410 in 3-class

Exit Limit (Total possible passengers in one class)

475

605

Length

251 ft 9 in (76.7 m)

250 ft 2 in / 76.3 m

Wingspan

235 ft 5 in (71.8 m), 212 ft 9 in (64.8 m) folded

224 ft 7 in / 68.4 m

Wing area

5,025 sq ft (466.8 m2)

554 m2 (5,960 sq ft), sweep 37.5°, 8.45 AR

Tail height

64 ft 7 in (19.7 m)

63 ft 6 in / 19.4 m

Cabin width

19.6 ft (5.96 m)

20 ft (6.1 m)

Maximum cargo capacity

8,131 cu ft (230.2 m3)

6,225 cu ft (176 m3)

Maximum takeoff weight

775,000 lb (351,534 kg)

987,000 lb / 447,700 kg

Maximum landing weight

587,000 lb (266,000 kg)

485,300 lb / 220,128 kg

Fuel capacity

52,300 US gal / 197,977 L

63,034 US gal / 238,610 L

Range

7,525 nmi / 13,940 km

8,000 nmi (15,000 km)

Engine

2 x General Electric GE9X-105B1A

4 x GEnx-2B67

Thrust

105,000 lbf (470 kN)

66,500 lbf (296 kN)



乗客数: 後継機としては意外なことに、ボーイング777Xはどのコンフィギュレーションでも747ほど多くの乗客を乗せることができない。この2機の縦横のサイズはほぼ同じであるにもかかわらず、である。従って、ボーイング747が本領を発揮するようだ。⇒勝者 747

貨物容量: 777Xは747よりも多くの貨物を輸送し、リードしている。⇒勝者 777X

燃料容量: 747-8は777Xより多くの燃料を搭載し、航続距離が伸びている。⇒勝者747

航続距離: 747の航続距離は777-9より約1000km長い。しかし、小型の777-8が747よりも航続距離が長いことが特筆に値する。⇒勝者 747

燃費と運航コスト:777-9のエンジンは2基で、747-8のエンジンは4基だ。747は元々、(時代遅れのETOPS制限の結果)水上長距離路線を飛行できるよう設計されたため、777Xのエンジン1基の半分の出力のエンジンしか搭載できない。しかし、747の燃料消費量は同じなのだろうか?残念ながら、ボーイング747は777Xより重く、さらにエンジンは2基ではなく4基だ。運航コストがはるかに高くなるのは明らかだ。しかし、どれくらい高くなるのか?航空専門家であるタイ・ジョセフが、この問題についてもう少し明確にしてくれる。

 ボーイング747-8I/Fは、32,000フィートで時速929kmの場合、1時間あたり8.83トン、約10,114Lを消費する。ボーイングによると、総運用コストは1時間あたり13,450ドル、1席あたり28.80ドルに近いという。

 ボーイングによると、通常の条件下では、777-200LRの運航コストは1時間あたり約9,750ドル、777-300ERの運航コストは1時間あたり10,250ドルである。2クラス構成の場合、-200LRは1席あたり32.39ドル/時間、-300ERは1席あたり27.12ドル/時間となる。その約60%は燃料費だけである。

 当然ながら、777Xには新技術、複合材、大型エンジンが組み込まれており、燃料価格の上昇を想定して設計されている。そして、ジェット燃料価格が高騰し続ければ、747-8に対する777Xの節約効果はさらに顕著になるだろう。


固定費:冒頭で述べた議論に戻るが、我々が航空会社で、この2機でどちらを選ぶ場面を想像してみよう。その場合、コストはいくらになるだろうか?

 現在、777-9型機は4億4,220万ドルで市場に出回っているが、を複数購入する航空会社は一括割引を受けられる可能性が高い。ボーイングによると、747-8Iは約4億2000万ドルだが、このジェット機の本当の価値は、現在の所有者がこの機体をいくらで売りたいかということだ。

 ボーイングが2025年に航空機の納入を開始するという目標を達成したとしても、納入に何年もかかるであろう777-9の発注に賭けるか、中古市場で747-8Iを探すか。当然のことながら、どちらの選択肢も特に魅力的なものではない⇒勝者 引き分け


結論

777-9を何に使うかによる。777-9は747の後継機として設計されているため、少し面白くなる。

 一方では、747はより多くの人を輸送でき、より遠くまで飛行でき、機内スペースも広い。もしあなたが燃料費に無頓着で、信頼できる航空機を必要とするラグジュアリーキャリアであれば、747を選ぶべきだろう。しかし、残された課題は、生産終了した航空機をどのように入手するかということだ。

 ボーイングを信頼し、長い納期を恐れないのであれば、777-9が最適であることは間違いない。多くの人にとって、777-9の節約効果は、特に今日の高い運航コストとインフレの時代を考慮すると、より良い選択となる。燃料価格高騰の時代に入り、4基エンジンの世界は商業的に成り立たなくなってきている。

 しかし、777Xの生産が遅れているため、一部の航空会社に不利な状況となっている。大容量のボーイング・ワイドボディ機として、大部分の航空会社にとって、簡単な選択肢のない時代が到来している。■


Boeing 777X Vs Boeing 747 - Which Plane Is Best?

BY

SIMPLE FLYING STAFF

AND

ALEXANDER MITCHELL


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