ボーイング777-Xと747-8を比較する----悩ましい選択;一方は高性能をうたいいながら就航が遅れ、他方は生産終了ずみで入手は困難になりつつある

 


ボーイング777Xとボーイング747 - どちらがベストか?

2機には共通点と相違点がある。



概要

 ボーイング777Xは、燃費効率とキャパシティを備え、高需要路線向けの次世代航空機と考えられている。

 ボーイング747は乗客数が多く航続距離も長いが、777Xは貨物容量と燃費効率で上回る。

 777Xの運航コストは、新しいテクノロジーと大型エンジンにより747よりも低く、航空会社にとって長期的な投資に適している。

 かつては世界中の航空会社にとって頼みの綱であったボーイング747型機も、生産ラインは閉鎖され、旅客機として運航中の機体も残り少なくなり、中古市場に出回る機体はさらに少なくなっている。次の "ジャンボジェット "を探す航空会社に777Xはうってつけかもしれない。

 ボーイングでマーケティング担当副社長のランディ・ティンセスによれば、777Xは未来の航空機だという。Business Insiderで、ティンセスは次のように語っている:「航空業界にとって未来の大型機はボーイング777-9Xになる。747やA380より遠くまで飛ぶ。ボーイング777Xは双発の大容量機で、燃費がよく、ロンドンとニューヨークのような首都を結ぶ高需要路線に最適でエアバスA350と直接競合し、747とライバルのA380の両方を置き換えるに値する」。 

 しかし、納得していない航空会社もある。ルフトハンザドイツ航空は、777よりも747を選択し、大きな航空機が提供するプレミアムスペースが有益であると主張している。ルフトハンザ・グループのカーステン・シュポアCEOは次のように述べている:

「ルフトハンザほど多くのプレミアムシートを販売している航空会社は世界にはありません。他の航空会社が(ボーイング)777型機を使用する路線で747-8型機を使用するのはそのためです」。

 しかし、今日の航空会社にとって本当に良いのはどちら旅客機なのか探ってみよう。


2機をどう比較すべきか?

それぞれのジェット機の商業的収益性に焦点を当てる。あなたが新しい航空会社を立ち上げるか、ナショナル・フラッグ・キャリアで働くかを想像してほしい。747が大切にしてきた航空遺産など、クールな面もあるかもしれないが、収益性に直結しない。

 さらに、777Xは真新しく、747はもう生産されていない。技術の差は、燃費などに大きく表れるだろう。とはいえ、一部の大手航空会社は現在でもボーイング747を飛ばし続けており、777Xの発注は行っていない。

 ここでは主にボーイング777-9とボーイング747-8Iを比較する。現在、777Xファミリーは360機以上発注があり、747-8Iは合計48機が納入され、現在運航されている。


777Xと747の比較



Boeing 777X-9

Boeing 747-8

Cockpit crew

Two

Two

Seating, 3-class

349 (8F + 49J + 292Y)

410 in 3-class

Exit Limit (Total possible passengers in one class)

475

605

Length

251 ft 9 in (76.7 m)

250 ft 2 in / 76.3 m

Wingspan

235 ft 5 in (71.8 m), 212 ft 9 in (64.8 m) folded

224 ft 7 in / 68.4 m

Wing area

5,025 sq ft (466.8 m2)

554 m2 (5,960 sq ft), sweep 37.5°, 8.45 AR

Tail height

64 ft 7 in (19.7 m)

63 ft 6 in / 19.4 m

Cabin width

19.6 ft (5.96 m)

20 ft (6.1 m)

Maximum cargo capacity

8,131 cu ft (230.2 m3)

6,225 cu ft (176 m3)

Maximum takeoff weight

775,000 lb (351,534 kg)

987,000 lb / 447,700 kg

Maximum landing weight

587,000 lb (266,000 kg)

485,300 lb / 220,128 kg

Fuel capacity

52,300 US gal / 197,977 L

63,034 US gal / 238,610 L

Range

7,525 nmi / 13,940 km

8,000 nmi (15,000 km)

Engine

2 x General Electric GE9X-105B1A

4 x GEnx-2B67

Thrust

105,000 lbf (470 kN)

66,500 lbf (296 kN)



乗客数: 後継機としては意外なことに、ボーイング777Xはどのコンフィギュレーションでも747ほど多くの乗客を乗せることができない。この2機の縦横のサイズはほぼ同じであるにもかかわらず、である。従って、ボーイング747が本領を発揮するようだ。⇒勝者 747

貨物容量: 777Xは747よりも多くの貨物を輸送し、リードしている。⇒勝者 777X

燃料容量: 747-8は777Xより多くの燃料を搭載し、航続距離が伸びている。⇒勝者747

航続距離: 747の航続距離は777-9より約1000km長い。しかし、小型の777-8が747よりも航続距離が長いことが特筆に値する。⇒勝者 747

燃費と運航コスト:777-9のエンジンは2基で、747-8のエンジンは4基だ。747は元々、(時代遅れのETOPS制限の結果)水上長距離路線を飛行できるよう設計されたため、777Xのエンジン1基の半分の出力のエンジンしか搭載できない。しかし、747の燃料消費量は同じなのだろうか?残念ながら、ボーイング747は777Xより重く、さらにエンジンは2基ではなく4基だ。運航コストがはるかに高くなるのは明らかだ。しかし、どれくらい高くなるのか?航空専門家であるタイ・ジョセフが、この問題についてもう少し明確にしてくれる。

 ボーイング747-8I/Fは、32,000フィートで時速929kmの場合、1時間あたり8.83トン、約10,114Lを消費する。ボーイングによると、総運用コストは1時間あたり13,450ドル、1席あたり28.80ドルに近いという。

 ボーイングによると、通常の条件下では、777-200LRの運航コストは1時間あたり約9,750ドル、777-300ERの運航コストは1時間あたり10,250ドルである。2クラス構成の場合、-200LRは1席あたり32.39ドル/時間、-300ERは1席あたり27.12ドル/時間となる。その約60%は燃料費だけである。

 当然ながら、777Xには新技術、複合材、大型エンジンが組み込まれており、燃料価格の上昇を想定して設計されている。そして、ジェット燃料価格が高騰し続ければ、747-8に対する777Xの節約効果はさらに顕著になるだろう。


固定費:冒頭で述べた議論に戻るが、我々が航空会社で、この2機でどちらを選ぶ場面を想像してみよう。その場合、コストはいくらになるだろうか?

 現在、777-9型機は4億4,220万ドルで市場に出回っているが、を複数購入する航空会社は一括割引を受けられる可能性が高い。ボーイングによると、747-8Iは約4億2000万ドルだが、このジェット機の本当の価値は、現在の所有者がこの機体をいくらで売りたいかということだ。

 ボーイングが2025年に航空機の納入を開始するという目標を達成したとしても、納入に何年もかかるであろう777-9の発注に賭けるか、中古市場で747-8Iを探すか。当然のことながら、どちらの選択肢も特に魅力的なものではない⇒勝者 引き分け


結論

777-9を何に使うかによる。777-9は747の後継機として設計されているため、少し面白くなる。

 一方では、747はより多くの人を輸送でき、より遠くまで飛行でき、機内スペースも広い。もしあなたが燃料費に無頓着で、信頼できる航空機を必要とするラグジュアリーキャリアであれば、747を選ぶべきだろう。しかし、残された課題は、生産終了した航空機をどのように入手するかということだ。

 ボーイングを信頼し、長い納期を恐れないのであれば、777-9が最適であることは間違いない。多くの人にとって、777-9の節約効果は、特に今日の高い運航コストとインフレの時代を考慮すると、より良い選択となる。燃料価格高騰の時代に入り、4基エンジンの世界は商業的に成り立たなくなってきている。

 しかし、777Xの生産が遅れているため、一部の航空会社に不利な状況となっている。大容量のボーイング・ワイドボディ機として、大部分の航空会社にとって、簡単な選択肢のない時代が到来している。■


Boeing 777X Vs Boeing 747 - Which Plane Is Best?

BY

SIMPLE FLYING STAFF

AND

ALEXANDER MITCHELL


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