2022年7月28日木曜日

ジェットブルーがスピリットを吸収合併し、全米第5位のエアラインとなり、レガシー各社に挑戦する。

 


ェットブルーは、スピリットエアラインズフロンティアエアラインズとの契約解消を発表した木曜日、両社取締役会で承認された最終的な合併契約に基き、スピリットを買収する。スピリット買収をめぐって、ジェットブルーとフロンティアが対立していたが、38億ドルの買収案件は、スピリットがジェットブルー提示の1株当たり33.50ドルから34.15ドルの現金を受け入れて完了する(締結のタイミングによる)。

ジェットブルーは、両社統合が完了すれば、年間6億ドルから7億ドルの正味相乗効果が得られると見込んでる。また、統合後の年間売上高は約119億ドルを予想している。

ジェットブルーのCEOロビン・ヘイズRobin Hayesは、「戦略的成長を加速させる今回の魅力的な合併を実現し、ジェットブルー独自の低運賃と優れたサービスの融合を、より多くの顧客とより多くの路線で実現できることに興奮しています」と述べた。「合併は、ネットワークの多様化と拡大、乗務員雇用と新たな可能性の拡大、そして利益ある成長の基盤の拡大を実現するエキサイティングな機会です」。

合併により、米国第5位の航空会社が誕生し、458機の現有機材と300機以上のエアバスA220およびA320neoファミリーのナローボディ機発注となる。

スピリットのCEOテッド・クリスティーTed Christieは、「今回の合意でJetBlueと一体となり、米国の主要航空会社に対し最も魅力的な低運賃の挑戦者を生み出すことができ、大変うれしく思っています」と述べ、「JetBlueと協力し取引を完了させることを楽しみにしています」と語った。

今回の買収は、スピリットがジェットブルーの最初の競合買収提案を拒否し約3カ月後に実現した。当時、同社は、買収提案は株主にとって「受け入れがたいレベルのクロージングリスク」と述べていた。5月16日、ジェットブルーは、スピリット株主に対し、スピリットとフロンティアの合併に反対する投票を促す「Vote No」委任状を提出したと発表し、敵対的買収の開始を示唆していた。

スピリットは、ジェットブルーの提示額が明らかに割高であるにもかかわらず、昨年のノースイースト・アライアンス(NEA)合意で同社を提訴した司法省(DOJ)との戦いが続いていることから、この取引はかなりの反トラスト法監視に直面する可能性があったと述べている。司法省によれば、ニューヨークとボストンにおける航空会社2社の統合をもたらし、同省が重要と呼ぶ両都市における競争を排除し、他場所でアメリカン航空と競争するジェットブルーのインセンティブを低下させるとした。

こうした懸念に対処すべく、ジェットブルーはスピリットのNEA空港で保有資産を売却し、他の超低価格航空会社へ割り当てを可能にすると約束した。規制当局が反トラスト法上を理由に合意案を承認しない場合、ジェットブルーはスピリットに7000万ドルの逆破棄金を支払う。 

両社は規制当局の手続きを終え、遅くとも2024年前半には取引を完了させる。

ヘイズは、「当社は、米国航空業界における競争の欠如とビッグ4の継続的な支配に対する解決策となれると独自に確信しています」とも述べた。「ジェットブルーの成長が加速し、より多くの場所でレガシー航空会社と直接対決し、運賃を下げ、すべての人向けのサービスを向上させます。スピリットと合わせても、ジェットブルーはビッグ4よりずっと小規模ですが、より多くの路線と場所で実績あるジェットブルー効果を発揮できるよう、より良い体制を整えていきます」と語った。

Spirit Airlines Agrees To Merge with JetBlue | Air Transport News

by Gregory Polek

 - July 28, 2022, 7:10 AM


2022年7月27日水曜日

中国規制当局が航空便運行を徐々に緩和の方向。北京から始める。国内国外のエアラインに吉報になるか。

 


中国の航空規制当局は国際商業便運航を今月から順次再開すると発表した。



中国は、アジア太平洋地域の中で最も重要な市場の一つだ。同国は世界で最も厳しいパンデミックボーダー体制を敷き続けている。ようやくパンデミックから脱却したことを意味するのか、徐々に再開され始めようとしている。そして、北京では2年超ぶりに国際定期便運航が再開された。


北京から順次開放

コロナウイルスの発生後、中国民用航空局(CAAC)は2020年初頭に北京への国際線直行便の到着を禁止した。北京行き乗客は、事前に承認された都市のいずれかに着陸し、検疫を受けてから首都に向かう必要があった。北京に行く手間もさることながら、中国にさまざまな検疫規則があるため、中国国内の移動も困難だった。

 結局、中国は世界から孤立し、中国渡航を希望する人は、様々な条件と混乱の長いリストに直面せざるをえなくなった。国際線は週1便に制限され、国内線も制限された。また、入国者の中からCOVID陽性者が検出された場合、搭乗者数の制限や、国家権限でフライトが完全停止される可能性もあった。

 こうした規制が中国に与えた劇的な効果を強調するように、今年7月26日時点の中国発着国際線は100便未満で、2019年同日の2,883便から大きく減少した。


中国の航空会社における国際線再開の準備は十二分に整ってきた。


 とはいえ、国内市場が大きいため、中国の航空市場は当初こそ早く回復した。しかし、政府のゼロCOVID政策により、オミクロン変種をきっかけに徹底的ロックダウンが行われ、回復に影響を及ぼした。4月の国内線の1日の総運航便数は約2,000〜3,000便で、前年同月の4分の1以下となった。しかし、主要ハブ空港の再開に伴い、8,000便超まで回復してきた。

 一方、中国はいつまでも閉鎖的で国内線だけに頼っているわけにはいかないと考え、CAACは今月初め、国際商業航空を徐々に再開すると発表した。北京を皮切りに、特定国との交渉で、増便を目指すという。


航空各社は運行再開へ準備中

国内航空会社の動き

北京が世界に開かれたことで、中国の航空会社は国際路線網の再開に胸を躍らせているはずだ。エアチャイナは、北京-パリ直行便や人気の高い北京-ドバイ線など、アジアやヨーロッパへの国際路線を再開する予定である。

 一方、厦門航空は、国際路線を再開し、徐々に便数を増やす意向を表明した。中国東方航空は、週130便以上の国際線を運航する意向で、大規模な国際線カムバックを計画している。海南航空は北京からベオグラードへのフライトを再開し、北京モスクワ線、北京東京線などを新設する予定である。

上海航空は、シンガポールへ線を再開するなど、週20便以上の国際線を運航する。


外資系航空会社

中国の航空会社と同じように、外国の航空会社も北京へのフライトを計画するのに忙しくしている。全日本空輸は、東京成田-北京便を毎週月曜日に運航再開した。その後、成田-北京線を再開して往復便としてから、木曜日を含むように増便する予定である。

 また、エールフランスは、パリ-北京線を週1便で再開し、両首都間の接続を強化する。エティハドは、2020年3月23日のアブダビ-北京線就航に続き、アブダビから毎週水曜日、ボーイング787-9ドリームライナーによる定期便で北京線再開の準備が整っている。


結論

 アジア太平洋地域の国際線旅客数は、残念ながらまだ大流行前のレベルをはるかに下回っているが、力強い改善が見られるようになり、北京の再開は適切なタイミングで行われる。中国起点の旅客が加われば、地域の回復が加速するのは間違いない。そして、中国がさらに開国を進めれば、今年末には、この地域が大流行前の水準に近づく可能性すらある。■


China Reopens Beijing For International Flights

BY

CHARLOTTE SEET

PUBLISHED 17 HOURS AGO


ファーンボロ航空ショー総括。ボーイング、エアバス、勝ったのはどっち?

 


両社とも手ぶらでは帰らなかったが、頂点に立ったのはどちらだったのだろうか?


4年ぶりに開催されたファーンボロ航空ショーが一段落し、ショーの後によくある質問、「ボーイングとエアバスの戦いでは、今回はどちらが勝ったのか」を振り返ってみた。



ボーイングの勝利


ボーイングにとって間違いなく素晴らしいファーンボロー・エアショーとなった。ボーイングは、民間機192機を確定受注し、さらにアゼルバイジャンエアラインズから787-8ワイドボディー4機のMoUを獲得した。ボーイングは7月の受注・納入実績を発表していないが、発表されれば、2022年の確定受注数は67%増の478機となる。

注目すべきは、737 MAXファミリーへの信頼の強さだ。 ファーンボロ航空ショーでのボーイングの受注の95%はMAXで、認証未完了の737 MAX 10だけで3分の2を占めた(ショー初日にデルタエアラインズから大型発注があったことが大きな要因)。



 しかし、MAX 8でもカタールANAが契約を固め、強力な777パートナーズが30機発注を確定させたことで、良い展示となった。777パートナーズの契約は、超低価格市場で人気を集め始めるライアンエアー向けに作られた高密度バージョンMAX 8-200が含まれる点で注目された。

 この投資家は、現在カナダのFlairとオーストラリアのBonzaの2社を所有しているが、指数関数的に成長しており、今後数年間でさらに多くのMAXを購入する可能性がある。


MAX10はボーイングの主役だった。写真:Tom Boon トム・ブーン|シンプルフライング


 イベントで活躍したのはMAXだけではない。5機の確定契約とアゼルバイジャン航空のMoU4機、合計9機のドリームライナーが契約された。ボーイング工場からは同ワイドボディが納入は再開されておらず、新型ワイドボディ市場は不況の兆しを見せているにもかかわらず、である。

 旅客機以外では、767-300 BCFを4機、737-800 BCFを3機追加販売し、ANAから2機の旅客機777-9を新型貨物機777-8に機種変更する案件を受注した。その他、MRO、ソフトウェア、サービスなど様々な契約が結ばれ、ボーイングは航空ショーで大忙しだった。



しかし、エアバスが勝った?


 エアバスは、ファーンボロでは静かな時間を過ごしていた。デルタがA220-300を20機追加発注し、A220のシェアを拡大した一方で、LATAMがA321neoを17機追加発注したのが唯一の実績だ。イージージェットの株主がA320neoファミリーを56機追加すると承認したことでオーダーブックが強化されたが、これはファーンボロ航空ショーより前に発表されたため、航空ショーでの注文とは言えない。


LATAMは今回の発注で最大12機のエアバスA321XLRを取得する。


エアバスは、多くの時間をプレス対象のグリーンクレデンシャルの誇示に費やした。ブルーコンドルのようなプロジェクトは、水素エンジンの排気ガスからデータを収集し、CFMオープンローター技術の発表は、非常に興味深いブリーフィングとなった。しかし、エアバスはファーンボロ航空ショーでボーイングから煙たがられているように見える。

 現実的に考えてみよう。エアバスは、ライバルを大きく引き離したまま航空ショーに臨んだ。ボーイングの受注286件に対し、エアバスは6月末までに442件の受注を獲得し、リードしている。エアショーの受注を加えれば、ボーイングが優位に立つが、差はあまりない。


ボーイングはショーに勝ったが、エアバスに対するリードは短期間であるかもしれない


 イージージェット契約が6月の数字に含まれていることを考慮すれば、エアバスはショーの数字を含め、わずか29機の航空機を追加することになる。ボーイングは196機追加し、エアバスの471機に対し482機を追加する。この11機のリードは、実に短命に終わりそうだ。

 まず、ドイツのレジャー航空会社コンドルのファーンボロ後の発注を考えてみよう。コンドルが何機購入し、何機リースするかは明らかではないが、エアバスのオーダーブックにA320neoが追加される。この契約が7月の数字に含まれるだけ確固としたものかは、まだわからない。

 そしてもちろん、ファーンボロ航空ショーの直前にエアバスが中国の各航空会社から獲得した巨大な注文292機がある。各契約が年内に確定すれば、2022年の総受注量でボーイングが大きく後退する。■


Boeing Vs Airbus: Who Won The Farnborough Airshow?

BY

JOANNA BAILEY

https://simpleflying.com/farnborough-2022-boeing-versus-airbus/



2022年7月23日土曜日

民間機にもBWBが登場する日がくるか。米国防総省主導の新型給油輸送機開発では民生応用も視野に。航空技術の革新の起爆剤になるか注目だ。

 民間航空で革新的な技術がなかなか登場していないのは現状のモデルで利益をどこまで最大化できるかに必死になっているためです。そのため、今でも機体はチューブに主翼をつけるという点では全然進歩がありません。やはり革新的な技術は軍用途にしか期待できないのでしょうか。しかし、今回の米空軍は軍民両用を最初からうたっており、近い将来のエアポートに現れる機体形状が大幅に変わる可能性もゼロではありません。(ターミナル1.2共通記事)



Air Force Wants Blended Wing-Body Aircraft Demonstrator Flying By 2026

Boeing

 

国防総省は、将来のタンカーや輸送機向けに、BWBへ再び注目している。

 

 

国防総省は、2026年までのフルサイズ実証機を製造・飛行を視野に、混合翼機(Blended Wing Body, BWB)の設計案を求めている。同省は、設計コンセプトから始め、高効率性の実現に焦点を当てる。同プロジェクトは、将来の空中給油機や輸送機に影響を与える可能性があり、米空軍は過去にステルスタイプ含むBWB設計を検討していた。

 今回の情報提供要請(RFI)は、米軍が新しい民生技術を迅速に利用できるよう設立された国防革新ユニット Defense Innovation Unitのウェブサイトに掲載されている。RFIは、民間企業にデジタル設計概念(CoD)の提供を求めている。「ボーイング767やエアバスA330含む民間・軍用機より最低30%空気力学的効率が高い先進的な航空機構成」の実物大プロトタイプにつながるものとある。

 

 

昨年、エネルギー・施設・環境担当の空軍次官補(SAF/IE)が発表した、2種類の混合翼機コンセプトを示すインフォグラフィック。新RFIで実寸大実証機として同登場する可能性がある。U.S. Air Force

 

 

上記旅客機2機種は、KC-46AペガサスとA330多用途タンカー輸送機(MRTT)の原型で、とくに前者は空軍のKC-Xタンカー要件で後者に勝ったことが注目すべき点だ。しかし、KC-46は問題や遅延が相次ぎ、運用に限界があるため、A330 MRTTが後続のタンカー購入の候補に残っている。

 このことは、DIUが研究対象とするBWB機が、KC-46よりもはるかに高度な航空機、おそらくステルス特性を持つ航空機が想定の将来型KC-Zタンカーとして検討される可能性を示唆しているのか。

 

 

ロッキード・マーチン社によるハイブリッド翼KC-Zコンセプトの模型。Lockheed Martin. Joseph Trevithick

 

KC-Yは、空軍が計画するKC-46の購入終了とKC-Zの間の「ギャップを埋める」タンカーとなる。KC-46を追加購入するか、ロッキード・マーチンがLMXTとして売り込み中のA330 MRTTへ変更することがある。

 今年4月、空軍参謀長チャールズ・Q・ブラウン・ジュニア大将は、KC-46がKC-Yの選択肢になる可能性を示唆した。フランク・ケンドール空軍長官が、KC-YとKC-Xの両方について「競争の可能性は下がった」と発言したわずか1カ月後だった。

 

 

 

2021年2月22日、メリーランド州アンドリュース統合基地での空中給油運用調査で、KC-46Aペガサスとの接続準備をする米空軍参謀長チャールズ・Q・ブラウン・Jr.大将。U.S. Air Force photo by Tech. Sgt. Chris Drzazgowski

 

Air Force Magazine取材に対し、空軍研究本部(AFRL)の広報担当者は、新しいDIU RFIは「KC-Yプログラムと無関係」と確認したが、KC-Zと関係があるかについては明言を避けた。

 RFIでは、BWBの空力構成と「2030年のエンジン技術の予測」を組み合わせ、期待通りの効率化が達成されると想定し、「現行技術から少なくとも60%のミッション燃料消費の削減」を実現するとしている。この点で、同プロジェクトは、高レベルの効率を実現する(そして短距離離陸能力を提供する)エキゾチックな推進システムの可能性を探求してきた、これまでの取り組みを思い起こさせるものがある。ガスタービンを使い電動ファンのアレイに電力供給するAFRLの分散型推進コンセプトがあった。

 

 

AFRLの分散型推進コンセプトの模型 Courtesy Guy Norris

 

こうした利点により、現在稼働中の貨物機やタンカーと比較し、航続距離、滞空時間、積み下ろし能力を大幅に向上させるはずだ。特にタンカーについては、アジア太平洋地域シナリオを想定し、遠大な距離で燃料補給する能力が重要な指標となり、高効率の BWB設計が優位性を発揮するだろう。

 

 

2021年2月1日、グアムのアンダーセン空軍基地に着陸するアイオワ州空軍第185空中給油隊所属の米空軍KC-135ストラトタンカー。KC-135はアジア太平洋地域で活動する航空機への空中給油支援に重要な役割を担っている。U.S. Air Force photo by Airman Kaitlyn Preston

 

効率改善は、化石燃料への依存度を減らす国防総省の大きな目標に合致する。「国防総省は石油ベースエナジーの最大の連邦政府消費者で、全体消費の77パーセントを占めている」とRFIは述べている。「大半は、世界規模の作戦を支援する航空機の燃料に起因する」。

 国防総省の燃料依存と、米軍を脆弱にする可能性について懸念が高まっており、将来の作戦と有事はアジア太平洋地域に集中する可能性が高いとの予想にも重なる。同戦域は距離が長く、長距離の出撃の要求が高まる一方、燃料ロジスティックスの要求とサプライチェーンでリスクが増大する。高効率の輸送機やタンカーは、これに対処する手段となる。

 一方、効率的な輸送機技術の実証プログラムも進行中です。昨年8月に発表されたNASA契約では、ボーイング、レイセオン・テクノロジーズジェネラル・エレクトリックブレンド・ウィング・エアクラフトROHRの各社が「Future Subsonic Demonstrator Risk Reduction Activities」プログラムを支援している。これは、持続可能性、環境、騒音低減、効率、コストなど厳しい目標を満たす亜音速輸送機(BWBコンセプトも含む)の技術を特定するのを目的とするものだ。

 全体として、BWB設計の効率と持続可能性での高い優先順位は、今回のRFIが、通常この種の募集で出てくるAFRLや空軍ライフサイクル管理センター(AFLCMC)ではなく、空軍運用エナジー室Air Force Operational Energy Officeが主催している事実にも反映されている。

 

 

 

風洞でのX-48混合翼機2%モデルの空力試験。U.S. Air Force

 

 

空力効率を大幅に向上させるだけでなく、「システム統合と将来のアップグレードを可能にする」モジュラー・オープン・システム・アプローチ(MOSA)を取り入れた設計が求められている。タンカー任務に適応することを指しているのかもしれないが、将来的に他のミッションも引き受ける計画の可能性もある。

 設計では、「各種ミッションに特化したシステムの組み込み」を考慮する必要があり、電子戦コンポーネントとJADC2(Joint All Domain Command & Control)アーキテクチャの想定システムという2例が挙げられている。KC-135を通信ハブとする現在の計画や、ブラウン大将の過去発言に沿ったもので、将来のタンカーが「さらなる自己防衛」能力と通信ノードの役割を果たす装置となるよう望んでいると同大将は述べている。

 

 

 

2021年8月7日、ユタ州空軍がコリンズ・エアロスペースと共同で、ユタ州ソルトレイクシティのローランド・R・ライト空軍州兵基地において、JADC2(統合全領域指揮統制)およびABMS(先進戦闘管理)を支援する先進通信、ミッションコンピューティング、センサー技術のデモンストレーションをKC-135で成功させた。 U.S. Air National Guard photo by Tech. Sergeant Danny Whitlock

 

新RFIはタンカーの役割に言及していないが、AFLCMCが先月開始した先進空中給油システム(AAR FoS)プログラムと類似点が多数ある。

 AAR FoSのRFIでは、無人航空機への給油を最適化し、電子戦プラットフォームとしても機能する未来型タンカーを想定している。

 Defense Innovation Unitの公募がエキゾチックなBWBデザインを核とするのに対し、AAR FoSでは進化的なアプローチとし、まず現行タンカー群(KC-46A、KC-135R/T)に新機能を追加し、その後「新型タンカーの全体要件を策定する 」。

 各 RFI は異なるが、重複もあり、最終的には各要素を組み合わせた新世代タンカーや輸送機が生まれると考えられている。

 

 

 

ロッキード・マーティンのBWB軍用輸送機コンセプトの特徴を示すインフォグラフィック。NASA

 

 RFIでは、現在の設計コンセプトに沿い、企業が「デジタルエンジニアリングツールとプロセス」を使用し、設計、開発、テスト、検証、妥当性確認、および後続のプロトタイプ構築、実飛行、および生産の可能性があるシステムの認証を行うと定めている。フルスケール実証機は、2026年までに飛行する予想だ。

 意外なことに、RFIはステルス性や低観測性に言及していない。しかし、全翼機形状のBWBは、従来機と比較して、低観測性の設計コンセプトに近くなる。同時に、この種の設計は、貨物や燃料の運搬の内部空間で利点を提供する。

 

 

初期のブレンデッドウイングボディデザインがNASAのN3-Xコンセプトだった。翼を機体にシームレスに溶け込ませ、空力的で、燃料消費、騒音、排出ガスの削減をめざした。NASA

 

また、空軍のKC-Zでは、低観測性を縮小するか、あるいは完全に削除している可能性もある。ブラウン大将は今年初め、次世代航空優勢(NGAD)戦闘航空システムには「必要な場所に行ける航続距離がある」と述べ、危険な場所に同行するステルス「護衛」タンカーの必要性は減ると指摘していた。

 また、空軍が目的別に設計された無人機での能動的防衛を真剣に検討し始めたため、将来のタンカー(または輸送機)にステルス性を組み込む優先度が低くなった可能性もある。

 タンカーなど、脆弱な高価値資産航空機(HVAA)の近接護衛を行うミサイル搭載無人機に関する研究や提案はいくつかあり、AAR FoS プログラムでは特に「オフボード自律協調プラットフォーム」を想定している。こうした無人機は、戦闘機含む各種航空機を護衛し、電子攻撃や敵防空網の抑制、情報・監視・偵察(ISR)などの任務もこなすことが期待される。

 しかし、BWBは低視認性であり、貨物機やタンカーとして以外に特殊作戦部隊の輸送も検討されたことがある。

 また、今回のRFIには実物大試作機製作の可能性が含まれているが、ボーイングX-48プログラムでサブスケール実証機をテストしており、2007年に初飛行させていた。

 将来のタンカーの基礎となるBWB設計の実用性について、The War Zoneは、退役空軍軍人で、C-135ファミリーについて幅広く執筆しているロバート S ホプキンス3世 Robert S Hopkins IIIに話を聞いた。

 ホプキンスは、BWBタンカー開発には重大な問題があると指摘している。まず、ブームとレシーバーの比率だ。これはタンカー全体のサイズに依存する。大型機用の中央ブームと、戦闘機サイズのレシーバー用の機外ブームの合計3台のブームを、長い翼幅に沿わせる。「AIを使えば簡単だろう」((ホプキンス)。

 そして、タンカーの機数は永遠の課題だ。空軍がタンカーと輸送機の「スプリット・デューティー」を行うBWBを100機購入したとしても、現在のタンカー不足を十分に解消できない。「タンカー需要は現在、460本のブーム(MPRSポッドは別)で満たされているため、タンカー購入総計は同じかそれ以上にする必要がある」とホプキンスは指摘する。

 空軍の将来のタンカー要件はこれまでも詳しく議論されており、KC-YとZの各要件が想定されたが、空軍が大型貨物輸送機、C-5M ギャラクシーとC-17A グローブマスターIIIの各後継機をどこまで検討し始めているかは明らかではない。

 

 

2021年9月14日、横田基地のフライトラインで、カリフォーニア州トラビス空軍基地第60航空機動飛行隊所属のC-5Mスーパーギャラクシー。Yasuo Osakabe

 

冷戦時代のC-5は、空軍最大の機体で、非常に大きく重い貨物を輸送する比類ない能力を実現している。C-5Mは、エンジン改良を含む大幅性能改修で、2040年代まで運用される。2040年代以降は、ギャラクシー代替機として、容量が大きく効率的なBWBタイプが考えられる。

 2015年に生産終了し、最後の1機が輸出された主力輸送機C-17については、空軍は耐用年数を延長するか決定していない。同機は、機械化部隊を含む戦闘部隊を戦闘地域まで長距離迅速移動させる上で第一選択肢で、平和維持活動や人道支援ミッションの輸送にも優れる。

 

 

2013年9月12日、カリフォーニア州ロングビーチで行われた米空軍向けC-17納入20周年を祝う式典で、フライトラインに置かれる米空軍最後のC-17AグローブマスターIII(P-223)。U.S. Air Force photo/ Senior Airman Dennis Sloan

 

空軍がC-17の大規模近代化を断念した場合、活動する空域が今後ますます厳しくなることを考慮し、ステルス性の高いBWBエアリフターが後継として検討されるかもしれない。

 RFIはBWBで軍事的用途のほかに、二重用途の商業化計画にも言及しており、潜在的な商業的用途が考慮される。長距離飛行、効率、大量貨物を輸送する能力を併せ持つ航空機は、貨物や旅客の民間輸送に利用できそうだ。以前から、大手企業はBWBと全翼機の潜在的な利点に注目している。

 

 

エアバスは、将来の旅客機開発を目的として、2020年にBWBスケールモデルの技術実証機「MAVERIC(Model Aircraft for Validation and Experimentation of Robust Innovative Controls)」を公開した。Airbus

 

BWB航空機が軍用および民生双方に適用できる利点を多数提供するのは明らかだ。RFIへの回答は8月2日期限となっており、空軍が将来の混合翼航空機に期待する任務や、近代化計画にどこまで適合するかが順次明らかになる期待がある。■

 

 

Air Force Wants Blended Wing-Body Aircraft Demonstrator Flying By 2026

BYTHOMAS NEWDICKJUL 22, 2022 

6:58 PM

THE WAR ZONE

 




ファーンボロ航空ショー:エンブラエルE190のP2F貨物機転用プログラムのローンチカスタマーにアフリカのアストラルが登場

 

Photo: Embraer


ンブラエルがE-Jet P2Fプログラムを開始しわずか数カ月で、アフリカのアストラル・エイビエーションがE190Fのローンチカスタマーとして浮上した。

 5月、世界最大のリージョナル航空機リース会社ノルディック・エイビエーション・キャピタル(NAC)は、エンブラエルとE190F/E195F機の転換枠10機で合意した。NAC保有のE190/E195の機体を使用し、2024年からP2F(Passenger-to-Freight)コンバージョンの納入を開始する。ケニアに拠点を置くアストラル・エイビエーションは、貨物航空ライセンスを持ち、ナイロビのジョモ・ケニヤッタ国際空港(NBO)から定期便と臨時チャーター便を組み合わせ運航している。


3月に発表されたエンブラエルのE190およびE195の旅客機から貨物機へのコンバージョンプログラムでアストラル・エイビエーションがローンチカスタマーになった。Photo: Embraer.


アストラル・エイビエーションの創業者兼CEOサンジーブ・ガディアは、エンブラエルE190Fを同社のアフリカ域内の貨物ネットワークで運航すれば、「変化をもたらす」追加機材になると述べている。アストラルエイビエーションは貨物機8機を保有しており、ch-aviation.comのデータでは、ボーイングB727が2機、B747F(ウェットリース)2機、B767F1機、マクドネルダグラスDC-9 1機、フォッカーF27 2機だ。機体サイズが異なるため、アストラルの積載量は、フォッカーF27の5トンからB747Fの110トンまでとなっている。ナイロビ、ヨハネスブルグ、ドバイ、ベルギーのリエージュ空港をハブ空港として、アフリカ、ヨーロッパ、中東、アジアの50都市に就航している。

 エンブラエルは3月にE-Jet P2Fプログラムを発表し、貨物機市場におけるATR 72とエアバスおよびボーイングのナローボディ機のペイロードギャップをターゲットにしている。エンブラエルは、今後20年間でP2F E-Jetコンバージョンの需要として700機を見込み、旧型E-Jetの貸主や運航会社にとって機体を貨物機として拡張するビジネスチャンスになる。もちろん、これはエクスプレス・eコマース市場を開拓すると同時に、エンブラエルにとっては、燃費のよい新世代のE2ジェットを拡販する新たなチャンスとなる。

 E190 P2Fの航続距離は2,300海里、積載量は23,600ポンド(10,700kg)、となる予定です。エンブラエルのサービス&サポート部門の社長兼CEOジョハン・ボルデJohann Bordaisは、P2Fプログラムへの反応は「信じられないほど素晴らしい」と述べている。NACはまず2機を発注し、「E-jetファミリーにまた新たなオペレーターを迎えることができ、とてもうれしく思う」と述べている。

 NACは2機のE190をAstralに発注する一方で、新世代のE190 E2ジェットに置き換えるプログラムにも着手している。NACの社長兼CEOノーマン・リューNorman C.T. Liuは、NACが地域航空のリーダーであり続けること、そしてライフサイクルの資産管理能力の構築を目指していると述べている。

「E-Jet貨物機転換プログラムのローンチ貸主として、アフリカでサービスを提供する大手貨物輸送会社アストラル・エイビエーションに2機のE190Fを配置する覚書を締結したことを嬉しく思います」。

 NACは、4月に連邦破産法第11条手続きを終えて以来、多忙を極めている。アストラル・エイビエーションとの契約以外に、LOTポーランド航空向けエンブラエルE175/E195を7機、アフリカのエアリンクにE195を3機など、15機を発注した。また、7月にはオリンピック航空にATR 72-600を4機、スコットランドのローガンエアにATR 72-500F貨物機を1機発注している。NACは、エアバスA220、ATR 42/72、デハビランドDash 8、エンブラエルE-Jetなど、約390機を所有および発注している。NACは、約45カ国、70社以上の顧客と取引がある。■


Africa's Astral Aviation Launch Operator For Embraer's E190F Freighter

BY

MICHAEL DORAN

https://simpleflying.com/africas-astral-aviation-launch-operator-embraers-e190f-freighter/





ご存知でしたか?空港で紛失した手荷物を購入できます(SimpleFlying)―鉄道遺失物販売と規模がちがいます。ロストバゲージが日本では少ないのならこのビジネスは成り立ちませんね

  Gemini. 空 港を利用して旅行し、荷物の大規模な移動を目の当たりにすると、「紛失した荷物はどうなるのか」という疑問が生じませんか。この疑問は2023年の記事で扱いましたが、SITAのような企業や彼らのWorldTracerサービスが、乗客と荷物を自動的に再会させるために...