2023年6月30日金曜日

デルタの羽田スロット柔軟運用要望を米運輸省が却下


Airbus

Source: viper zero/Shutterstock.com


米運輸省、デルタの羽田枠緩和要求を却下

国運輸省(DOT)は、羽田空港への出発地選択の柔軟運用に関するデルタエアラインズによる要求を却下した。

 6月30日に発表された申請書で、DOTは「すべての米国-羽田線スロット保有者に対して、現在割り当てられている米国-羽田線スロットペアのうち2ペアまで、任意の米国のゲートウェイから羽田に就航する柔軟性を与えるべきとのデルタ航空による申し立てを却下する」とした。

 アトランタを拠点とするデルタは5月上旬、「根本的に変化した」需要環境を理由に、米国-羽田便の発着枠規則を緩和するよう米国政府に要請していた。

 デルタは、米国発路線の需要想定は、コロナ以降の時代には「もはや有効ではない」とし、「キャパシティを実需に合わせ再評価し、改良する必要がある」と主張していた。

 これに対しDOTは、「航空会社が自らの裁量で別の米国ゲートウェイを選択できるようにすることは、他の競合する申請者よりも既存の航空会社やゲートウェイを選択したDOTの根拠を覆すものであり、旅行者や海運関係者の利益のために行われたDOTの公益決定を損なう」と述べている。

 デルタはアメリカの各都市から東京の羽田に就航する権限を求めていた。

 これに対し、デルタは「DOT決定を見直し、次のステップを検討している」と述べている。

 今年初め、DOTは、中国、香港、日本向け航空需要が低迷したままであることから、これらの路線に就航する航空会社の発着枠の緩和策を延長した。この救済措置で各社はスロット割り当てを失うリスクを負うことなく、一時的に未使用のままにしておくことが可能となった。

 デルタはDOTに対し、コロナ後の需要低迷を理由に羽田発着枠の制限緩和を求めていた。具体的には、デルタは米国航空会社に対し、米国のどの空港からでも「羽田に就航するため発着枠を最大2つ使用する」権限を認めるよう要請する、と5月1日提出の書類は述べている。現在、DOTは米航空会社で羽田に就航できる都市を指定している。

 世界的なパンデミックにより、デルは米国と日本の首都を結ぶ便の「競争環境は著しく変化した」と主張している。当時、アメリカの同業他社であるアメリカンエアラインズハワイアンエアラインズは、デルタが要求した柔軟性を支持していたが、ユナイテッドエアラインズは激しく反対した。

 「一時的あるいは限定的であっても、航空会社が選択したアメリカのゲートウェイを羽田に変更することを許可することが、公共の利益に最も資するとは...我々は考えていない」とDOTは言う。デルタは出発地の提案とともに、新しい発着枠の要求を提出を迫られている。■


US DOT slaps down Delta request for Haneda slot relief | News | Flight Global

By Pilar Wolfsteller1 July 2023


2023年6月24日土曜日

キャセイが2019年以来初の黒字を計上できる見込み。日本路線が好調でトラフィックは回復へ。

 


ャセイパシフィックグループは、営業成績が「力強い回復」を見せ、2023年上半期は2019年以来初の黒字を計上する見通しだ。



同グループは、メインラインのキャセイとローコスト部門のHKエクスプレスで構成され、キャッシュフローが改善し続けていることから、2023年はキャッシュジェネレイティブな営業を行っていると付け加えた。

 キャセイパシフィック航空は2019年に政情不安の影響を受け、1年後には香港のハブ空港を全面閉鎖させたCovid-19大流行の影響を受けた。

 今年の香港は海外旅行者への「Covid感染ゼロ」制限をほぼ緩和したことで、キャセイがネットワークを再構築できるようになった。

 キャセイのコマーシャル&カスタマー・チーフ、ラヴィニア・ラウは、今年半期の利益幅を明らかにしなかったが、2019年上半期の純利益は13億5000万香港ドル(1億7200万ドル)だった。

 この見通しは、航空会社がトラフィック回復に「順調な進展」を見ていることによる。5月のキャセイの旅客数は140万人を超え、4月と比較し2.6%増加した。

 日本およびタイへの旅行需要が好調であったこと、また中国本土発着のトランジットトラフィックも好調であったことをラウは指摘している。

 また、ラウは以下付け加えた: 「夏のピークシーズンは、学期終了後に香港に戻る学生による後押しが期待できそうです」。

 貨物については、同月の市場取扱量は「ほぼ横ばいだった」とラウは言う。それでも、香港が厳しい貨物乗務員の検疫措置を課していた2022年と比較すれば、貨物輸送量は73%増加した。■


Cathay forecasts first half-yearly profit since 2019 | News | Flight Global

By Alfred Chua24 June 2023


宇宙開発 インドがアルテミス協定に調印。中国に対抗し、米国主導の宇宙開発は月、火星、小惑星帯に及び、将来の宇宙資源採掘も想定している。

 


Official State Visit Of Indian Prime Minister Modi To The U.S.

2023年6月22日、ワシントンDCのホワイトハウスの執務室で会談するジョー・バイデン米大統領(右)とインドのナレンドラ・モディ首相。(写真:Anna Moneymaker/Getty Images)



インドがアルテミス協定に調印、中国との宇宙開発競争で米国との関係強化か 


インドによるアルテミス協定遵守は、中国の民間・軍事宇宙活動の拡大と、国際舞台でのソフト・パワーとしての宇宙利用への対抗を支援するために同盟国を結集しようとする米国の努力を後押しするものである。



ワシントン -月、火星、潜在的に鉱物資源の豊富な小惑星の探査と開発のための規範を設定するアルテミス協定Artemis Accordsに インドが署名した。

 「インドが協定署名することは、協定とアルテミス計画にとって変革の瞬間である」と、協定の交渉の多くを担当した元NASA職員のマイク・ゴールドはブレイキング・ディフェンスに語った。

 今回の署名は、インドのナレンドラ・モディ首相とジョー・バイデン米大統領が本日午後の記者会見で正式発表した。この協定は、水曜日に始まったモディによる初のワシントン公式訪問で結ばれた協定の一部だ。

 「アルテミス協定への参加が決定したことで、両国は宇宙協力で大きな飛躍を遂げた。インドとアメリカのパートナーシップにとって、空さえも限界ではない」とモディは語った。

 モディはバイデンと今朝会談し、明日は国家宇宙会議の議長を務めるカマラ・ハリス副大統領と、軍事宇宙活動に関する国際行動規範の確立をバイデン政権が主導するアントニー・ブリンケン国務長官との昼食会に出席する。

 特に、ニューデリーがこの協定を遵守することは、中国による民間および軍事宇宙活動の拡大や、国際舞台でのソフト・パワーの手段としての宇宙利用に対抗するため、同盟国を結集させたいアメリカの努力を後押しするものだと、政府関係者や専門家は述べている。インドは長い間、中国を地政学上の重要なライバルとみなしてきた。例えば、2007年には米国、オーストラリア、日本とともに、通称「四極安全保障対話(Quad)」に参加した。

 インドがアルテミス協定に署名したことは、「クアドのようなプラットフォームの中でインドができることを前進させるものです。以前のクアド声明では、クアドパートナーは宇宙空間のための世界的なルールの面で互いに協力するとしていましたが、これはインドがクアド声明で署名した立場を具体的に行動に移したものです」と、ニューデリーにあるオブザーバー・リサーチャー財団の安全保障・戦略・技術センターのラジェスワリ・ピライ・ラジャゴパラン所長は電子メールで説明した。

 セキュアワールド財団のワシントン事務所長であるビクトリア・サムソンは、この動きは「中国ではなく、アメリカの月へのアプローチへの一歩であり、意義深い」と述べた。「宇宙は長く、ソフトパワーのアウトリーチとして利用されてきたが、率直に言って、中国は最近その点で優れている。アルテミス協定は、アメリカによるソフトパワーの働きかけの一形態でもある」。

 インドも中国同様に宇宙での実力とパワーの強化を急いでおり、軍備を増強し、野心的な民間探査計画を打ち出している。インドは対衛星ミサイルの実験を行った国の小さなクラブに属しており、2019年にプリブティ弾道ミサイルの改良版で試験衛星を破壊したミッション・シャクリットで、アメリカ、ロシア、中国に加わった。

 「インドはすでに月と火星の探査を進めている。したがって、インドが協定の原則にコミットすることは、全人類が享受できる宇宙における平和で透明性のある協力的な未来というアルテミスのビジョンの達成に向けた重要な前進だ」とゴールは述べた。

 ニューデリーは長い間、アメリカやロシアとの宇宙政策上の強い結びつきを避け軍民双方の宇宙開発努力で独立性を堅持していることで有名だった。

 「これは大変な進展だ!インドは長い間、自らを地政学的なライバル関係に対する重要な対抗軸と見なしてきた」(サムソン)。

 さらに、インドは国際宇宙政策を具体化する自発的な協定を警戒し、代わりに世界の宇宙活動を管理する国際法の制定を支持している。例えば、ニューデリーは長年、ジュネーブ軍縮会議で、宇宙の兵器化を防ぐため法的拘束力のある条約を交渉するよう主張してきた。

 インドのタクシャシラ研究所のアナリストで、防衛・宇宙技術・政策を研究するプラナフ・サティヤナートは、「アルテミス協定への署名は、インドが国際宇宙条約や交渉を管理してきた方法と一線を画すものであり、実に大きな意味を持つ」とツイートした。「インドは、民間および軍事関連の宇宙活動の両方について、法的拘束力のある文書を明確に好んでいる」。

 インドがこの協定に署名し27カ国目となったが、米国政府関係者は、各国が軌道上の不動産(月の周辺を含む二重星雲空間)や、将来的には水や戦略的鉱物などの資源へのアクセスをめぐって奔走する中で、宇宙における将来の紛争の可能性を減らすワシントンの包括的戦略における重要な要素であると考えている。

 エクアドルは水曜日、同国大使館での調印式で、同協定に署名した。

 「インドとエクアドルは共に、アルテミス協定の幅広さを示している。アルテミス協定は、世界の多様性と、平和のうちに星へ果敢に向かう決意を燃料としている」とゴールドは語った。■



India signs Artemis Accords, tightening ties with US in space race with China: Sources - Breaking Defense

By   THERESA HITCHENS

on June 22, 2023 at 12:39 PM


2023年6月23日金曜日

2023パリ航空ショー エアバス821機受注、ボーイング356機受注

 気あるキックスタートで始まった待望の第54回パリ・エアショーが落ち着きを取り戻し始めた。航空機製造の巨大企業エアバスとボーイングは、大量の受注を獲得した。しかし、より多くの受注を勝ち取ったのはどちらなのだろうか?

エアバスにとってのパリ・エアショー

初日は出足が鈍い中、フラッグ・キャリアのエアモーリシャスがA350-900を3機追加発注しエアバスが優位に立った。その直後、サウジアラビアの格安航空会社flynasがエアバスA320neoファミリー30機の発注を確定させた。


エアバスの初日を締めくくったのは、インドの格安航空会社インディゴで、A320ファミリー500機の記録的発注を行い、史上最大の航空機発注となった。2日目には、フィリピンエアラインズがA350-1000を9機発注し、エア・インディアは2月の趣意書250機の購入契約に署名した。

その後、カンタス航空がA220-300を9機追加発注し、2日目を終えた。3日目はエアバスにとって静かなになったが、航空機リース大手のアボロンが20機のA330neoの追加発注に調印し、2026年に納入が開始される見込みとなった。TAAGアンゴラ航空は、リース会社3社と9機のA220のリース契約を締結した。

4日目の受注がなかったため、今年のパリ・エアショーをエアバスは821機の需要で終えた。内訳は以下の通り:

Aircraft Family

Quantity

Customer

Airbus A220

9

Qantas

Airbus A320

740

flynas IndiGo Air India

Airbus A330neo

20

Avolon

Airbus A350

52

Air Mauritius Philippine Airlines Air India

Total

821



ボーイングに吉だったのか凶だったのか?

エアバスがパリ・エアショーで大量受注を記録したのは明らかだが、ライバルのボーイングはどうだったのか?ヨーロッパのライバルに比べ、ボーイングは初日を静かに通過し、2日目にチャイナエアラインズから787-9ドリームライナー8機の初受注を記録したときだけ動きがあった。航空機リース会社のアボロンも、737 MAX 8を40機発注し、昼前にハットトリックを達成した。

2日目には、エア・アルジェリーが737 MAX 9を8機発注したほか、737 BCFを2機発注で合意した。エア・インディアは、2月に意向表明書に署名した220機の購入契約に署名し、南アジアにおけるボーイングの最重要な発注となった。この発注には、70機のオプションも含まれる。

3日目には、フラッグ・キャリアであるルクスエアが737 MAX 7を4機発注し、欧州における同型機のローンチ・カスタマーとなった。また、インドの格安航空会社で新興企業のアカサ・エアも737 MAXを4機追加発注し、ボーイングの業績を押し上げた。

これで、ボーイングの受注は356機となった。内訳は以下の通り:

Aircraft Family

Quantity

Customer

Boeing 737 BCF

2

Avolon

Boeing 737 MAX

296

Avolon Air Algerie Air India Luxair Akasa Air

Boeing 777X

10

Air India

Boeing 787

8

China Airlines

Total

316



そして勝者は...

エアバスの800機以上の航空機受注とボーイングの400機未満の受注を比較すれば、第54回パリ・エアショーではエアバスが栄冠を手にしたことは明らかである。同時に、両メーカーともインドの航空会社から同様に好調な受注を獲得し、南アジア市場の人気と強さの高まりを再確認させた。

また、大きな差があったとはいえ、航空ショー期間中世界市場において、両社が好調なビジネスを確保したことは心強い。全体として、今年の航空ショーはかなり盛り上がったが、次回の2025年まが我慢比べだ!■

Boeing Vs Airbus: Who Won The Paris Air Show?



2023年6月17日土曜日

アジア太平洋のエアラインが路線再開、追加に動き始めた。その中で気になる日本人の旅券所有率の低下。

エバーエアウェイズの動きが日本のアウトバウンド市場の課題を示唆しているものの、アジア太平洋地域の航空会社は、ネットワークで国際都市を追加している。



 カンタスエアウェイズは、ニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港への運航を再開し、コロナウイルス流行前のロサンゼルス経由に加えオークランド経由での運航を開始した。


Qantas 787-9

出典 カンタス航空


 同路線はボーイング787-9型機で週3便運航し、10月からは週4便に増便する。

 「国際線の再開以来、ニューヨークは、ロサンゼルスやダラスに到着するカンタスのフライトから提携航空会社に乗り継ぐお客様にとって最も人気のある目的地になっており、ニューヨーク便の販売開始以来、非常に強い需要があったことは驚くことではありません」と、カンタスCEOのアラン・ジョイスは語ります。

 中国東方航空は、ボーイング777-300ERによる上海-パリ直行便を1日1便に増便した。

同社によると、国内および国際線の航空旅行は回復している。夏のピークシーズンを迎え、中国東方航空は日本、韓国、東南アジア、ヨーロッパ、オセアニアへの国際線ネットワークを強化する。

 中国東方航空と同じ広州に拠点を置く中国南方航空は、ウルムチからパキスタンの首都イスラマバードへの既存路線に加え、西部の都市ウルムチとラホールを結ぶ週3便運航を開始した。

 台湾の航空会社も国際的なネットワークに目を向けました。チャイナエアラインは、フランクフルト、アムステルダム、ロンドン、ウィーン、ローマを含むヨーロッパのネットワークに加え、エアバスA350-900で台北-プラハ線を7月18日から開設する。


EVA JTB Pact

出典 エバー

エバー、日本のJTBと提携し、台湾を観光地としてアピール


 エバーは、台湾の日本における観光地としてのプロモーションに関する覚書を日本の旅行会社JTBと締結した。

 JTBによれば、台湾を訪れる日本人観光客数はコロナウイルスのパンデミック前の3分の1程度の水準にとどまっている。また、円安や世界的なインフレの影響もあり、日本人の旅行者の足が遠のいている。

 JTBは、パスポートを保有する日本人は2022年に17.1%と、2019年の23.8%から減少していると見ている。

 全日空は、東京成田-パース線を週3便で10月29日に再開すると発表した。また、夏の間、シンガポール便は、東京成田からのデイリーが追加され、毎日4回になる。

 韓国の格安航空会社T'Wayは、6月11日に737 Max 8でソウル・仁川-ビシュケク線を開設した。この新サービスは週3回運航される。

 東南アジアでは、インドネシア・エアアジアがジャカルタ-クチン線を週3便で運航開始した。一方、エアアジアの長距離・格安航空会社であるエアアジアX(AAX)は、クアラルンプール-アムリトサル線に週4便の就航を発表し、ニューデリーに続くインド2路線目となった。アムリトサル線は9月3日運航を開始する。

「同路線は南アジアにおけるAAXのポジションを強化する一環です。「こ手頃な運賃で中距離路線を強化するだけでなく、ビジネス全体の成長にも寄与するものと期待しています」と同社は述べている。

 インドの航空会社Vistaraも国際線ネットワークを強化し、同じスターアライアンスメンバーのルフトハンザとのコードシェア協定を拡大した。この協定でヴィスタラはルフトハンザが運航するヨーロッパ12都市(主に主要都市)でコードシェアを行う。■


North Asian carriers add international routes; Qantas returns to New York | News | Flight Global


By Greg Waldron16 June 2023

 

2023年6月16日金曜日

NASA=ボーイングのトラス主翼実証機にX-66Aの呼称がついた。伝統のXプレーンの最新版だ。

 The X-66A is the X-plane specifically aimed at helping the United States achieve the goal of net-zero greenhouse gas emissions by 2050.

X-66Aは、米国が2050年までに温室効果ガス排出量を正味ゼロにする目標を達成するため特別に作られたX-planeです。X-66Aの製造でボーイングはNASAと共同でMD-90を改造し、胴体を短縮し、主翼とエンジンを交換する。実証機は、細長い主翼の下にエンジンを搭載し、空力トラスで支える。ボーイングがNASAの持続可能な飛行実証機プロジェクトに提出したこのデザインは、「Transonic Truss-Braced Wing」と呼ばれています。クレジット NASA


NASAとボーイングはNASAのサステイナブル・フライト・デモンストレーター・プロジェクトで製造した航空機にアメリカ空軍がX-66Aの制式名をつけたと6月12日発表した。



 この新型X-planeは、世界中の航空会社の主力機である単通路機で、より持続可能な新世代の可能性を示すのが目的。NASAとの協力により、ボーイングは、斜め支柱で安定させた超長い薄い翼を持つフルスケール実証機を製造、試験、飛行させる予定で、「Transonic Truss-Braced Wing」のコンセプトとして知られる。

 「NASAの活動は星だけでなく、空にも向けられています」。NASAのビル・ネルソン長官は、「サステイナブル・フライト・デモンストレーターは、航空学と気候学両分野で世界をリードするNASAの取り組みです」と述べている。「X-66Aは、航空機が環境にもっと優しく、よりクリーンで、より静かとなる新時代の航空を実現する一助となり、空を飛ぶ人々とアメリカ産業界に新しい可能性を生み出すでしょう」。

 X-66Aは、ホワイトハウスの「米国航空気候行動計画」が明示した、米国が航空温室効果ガス排出量をネットゼロにする目標を達成するため最初のX-planeとなる。

 NASA航空研究ミッション本部副本部長のボブ・ピアースは、サンディエゴで開催された米国航空宇宙学会航空フォーラムで、「2050年までに航空排出量をゼロにする目標を達成するには、X-66Aのような革新的な航空機コンセプトが必要です」と述べ、同機の正式名称を発表した。「この実験機で、航空業界が必要とする省エネ、排出削減技術を実証する高い目標を掲げています」。

 NASAとボーイングは、今年初めにNASAがサステイナブル・フライト・デモンストレーター・プロジェクトの採択を発表した直後から、X-planeの指定を求めていた。空軍は、画期的な実験用航空機を目指した開発プログラムにX-planeのステータスを与えている。一部の例外を除き、Xプレーンは、他の航空機の設計に採用できる設計や技術をテストすることを目的としており、生産用プロトタイプとして機能することはありません。

 ボーイングの最高技術責任者であるトッド・シトロンは、「X-66Aは、航空業界を大きく変えた画期的な設計を検証するため使用される実験機の長いラインの次になることを意味するので、我々はこの指定を非常に誇りに思います」と述べている。「設計、建設、飛行試験の結果により、私たちは飛行の未来を形成し、航空宇宙の脱炭素化に貢献する機会を得ることになります」と述べた。

 X-66Aについて、空軍は、推進システム、材料、システムアーキテクチャにおける他の進歩と組み合わせることで、現在の最高クラスの航空機との比較で、最大30%の燃料消費量削減と排出量削減を実現する遷音速トラスブレース翼構成の技術を検証する航空機に正式名称を提供した。

 単通路機は使用頻度の高さから世界の航空排出量の約半分を占めている。こうした航空機をよりサステナブルにする設計や技術を生み出すことは、排出量に大きな影響を与える可能性がある。

 NASAのXプレーンの歴史は、1940年代に前身のNACA(National Advisory Committee for Aeronautics)が空軍、海軍と共同で実験機プログラムを立ち上げたことに始まった。X-66Aは、NASAの長い歴史の中で最新のXプレーンです。さらに、カリフォーニア州エドワーズにあるNASAのアームストロング飛行研究センターがX-planesに技術的専門知識とサポートを提供してきた。

 サステイナブルフライトデモンストレーターでは、NASAはボーイングとの間で、7年間で4億2,500万ドルを投資し、ボーイングとパートナーが残りの資金(約7億2,500万ドルと推定)を提供するFunded Space Act Agreementを締結した。NASAも技術的な専門知識と施設を提供する。

 サステイナブル・フライト・デモンストレーター・プロジェクトは、NASAの統合航空システム・プログラムで、新しいサステイナブル航空技術の開発に重点を置くNASAのサステイナブル・フライト・ナショナル・パートナーシップの主要要素となる。

 サステイナブルフライト・デモンストレーターの詳細については、以下を参照されたい:


https://go.nasa.gov/3X4t9MD


Next Generation Experimental Aircraft Becomes NASA’s Newest X-Plane

Jun 13, 2023

RELEASE 23-068


2023年6月15日木曜日

ナローボディを大西洋路線に投入したいとする新興企業フライ・アトランティックに勝算はあるのか。

 Fly Atlantic

Credit: Fly Atlantic


興企業フライ・アトランティックFly Atlanticは、2025年にエアバスA321LRまたはボーイング737-8で運航を開始し、ベルファスト国際空港を拠点に北米と欧州の都市への就航をねらっている。

キプロスの航空会社Tus Airwaysの前CEOアンドリュー・パインAndrew Pyneが設立した。Tusの前にパインはアイスランドの航空会社WOW air、キプロスの航空会社Cobalt AirVietJet Air、ロシアの航空会社AvianovaViva Macau Airlinesで上級職を歴任している。

WOWでの経験を生かし、パインはベルファストを北米・ヨーロッパを結ぶ長距離ナローボディ便の接続ハブにしようとしている。2019年に破綻したWOWと異なり、フライ・アトランティックは低コスト本拠地から単一機種の長距離ナローボディタイプを運航するとパインは述べている。

フライ・アトランティックは、独自の航空事業者証明書(AOC)で飛行し、ベルファストから北米3都市、欧州3都市の計6都市に就航する。当初の機材は長距離型ナローボディ6機とし、1日1便の乗り継ぎ便を運航し、1日の利用時間は16〜17時間に達するのが目標だ。

このプロジェクトに詳しい関係者は、フライ・アトランティックが当初、ハンブルク、リヨン、トゥールーズなど、大西洋横断の直行便がない西ヨーロッパ都市を狙うことを示唆した。米国での最初の目的地は、中西部のシカゴか、南部のノースカロライナ州シャーロットになりそうだ。

フライ・アトランティックは、5年以内に機材を20機に増やし、北米の15地点(うち約3分の1はカナダ)とヨーロッパの20~25地点に就航させたいとする。それまでに、フライ・アトランティックは、毎日2~3便の乗り継ぎ便で、年間500万人の乗客を運ぶことを目指す。

同社はA321LRと737-8双方を評価中だ。A321LRは16/182席、小型のMAXは12/150席となる。パインはAviation Daily誌に、機種について「かなり不可知論的」と語った。「両方の航空機は、我々が想定する時間枠で利用可能だ」と彼は言った。最終選択は、フライ・アトランティックが手続きを進める準備ができたときに利用可能なリース先によって決まる。

当面はアンカー投資家の発掘にパインは注力する。少なくとも1つの利害関係者と「真剣な話し合い」が進行中であると述べている。また、他の航空会社とのフィーダー・パートナーシップを構築する協議も進行中だ。AOC手続きはまだ始まっておらず、完了まで約12ヶ月かかると予想される。

フライ・アトランティック航空のチームは、副CEO/CFOに元ヴァージン航空のマーカス・マニング、最高商業責任者に元WOW航空のスノリ・エガーツソン、業務責任者にカンタス航空、アビアノヴァ、コバルトで活躍したガイ・マクレンの3人で構成される。

Altair Advisoryの社長パトリック・エドモンドPatrick Edmondは、フライ・アトランティックのプロジェクトを振り返り、「現状を打破しようとする新規参入企業を見るのは常に良いこと」と述べている。

しかし、エドモンドは、大西洋横断市場はすでに競争が激しく、新規参入企業にとって厳しい市場であると指摘している。アイスランデアは長年にわたり、ケフラヴィーク経由のワンストップ・ナローボディ便を提供してきた。最近では、エアリンガスがA321LRを使用した長距離ナローボディ便に進出し、ダブリンの米国事前審査施設という利点もあります。そして、アイスランドのLCC、PLAYは、アイスランド経由で同様のモデルを提供している。

パインは、フライ・アトランティックが、エアリンガス、PLAY、長距離LCCのノーズアトランティックなど強力な競争相手と、世界で最も熱い競争のある航空輸送市場の1つに参入することを認めた。しかし、彼は2年以内に黒字化できると信じている。■

Long-Haul Narrowbody Startup Fly Atlantic Eyes 2025 Launch | Aviation Week Network

Victoria Moores June 13, 2023


Victoria Moores

Victoria Moores joined Air Transport World as our London-based European Editor/Bureau Chief on 18 June 2012. Victoria has nearly 20 years’ aviation industry experience, spanning airline ground operations, analytical, journalism and communications roles.


ご存知でしたか?空港で紛失した手荷物を購入できます(SimpleFlying)―鉄道遺失物販売と規模がちがいます。ロストバゲージが日本では少ないのならこのビジネスは成り立ちませんね

  Gemini. 空 港を利用して旅行し、荷物の大規模な移動を目の当たりにすると、「紛失した荷物はどうなるのか」という疑問が生じませんか。この疑問は2023年の記事で扱いましたが、SITAのような企業や彼らのWorldTracerサービスが、乗客と荷物を自動的に再会させるために...