5月のアジア太平洋航空旅客利用数は急増したものの、中国市場は依然閉鎖状態

 

Photo: Vincenzo Pace I Simple Flying


ジア太平洋地域の航空輸送量は増加中とはいえ、COVID前の25%以下で、週当たり輸送量は900万席減少している。

 パンデミック以前のアジア太平洋地域は、商業航空で世界で最も急速に成長中の地域だった。中国は例外だが、国境移動で規制が大幅に緩和された今、この地域で国際旅行は急速に勢いを増している。

 アジア太平洋航空協会(AAPA)は、アジア太平洋地域に拠点を置く国際定期航空会社の業界団体。マレーシアのクアラルンプールに本部を置き、航空会社40社のトラフィックデータを集計している。エアインディアチャイナエアライン中国南方航空、キャセイパシフィック航空、カンタス航空シンガポール航空アシアナ航空日本航空が加入している。



アジア太平洋地域は成長中だが、追加の余地は大きい

アシアナ航空は韓国を拠点とし、AAPAに加盟している。Photo: Vincenzo Pace | Simple Flying



AAPAが昨日発表した数字によると、5月の国際線旅客数は前月の5倍だった。4月の130万人に対し、5月は733万人がアジア太平洋地域の国際定期便で移動した。5月の伸びは非常に心強いが、2019年5月の実績3040万人と比較すれば見劣りする。

 今年1月から5月までの期間、同地域で2190万人が国際線を利用し、昨年の590万人を大きく上回った。2019年の同期間は1億5510万人で、2018年の1億4790万人を5%上回った。2018年にアジア太平洋地域で移動した国際線旅客数は3億5660万人で、2020年は7000万人、昨年は1670万人だった。

 この数字について、AAPA事務局長サバス・メノンSubhas Menonは本日、Simple Flyingに以下語った。

 「検疫や検査が不要の完全開放地域は、高い成長率を示しています。中華圏は閉鎖的なままで、日本と韓国は暫定的に開放しているものの、韓国では出国前と到着後の検査が今も必要です。シンガポールは国際市場だけあって、制限がないため、力強く伸びています。ASEANの国内市場は絶好調ですが、閉鎖的なところは国内市場でも軟調です」。

 ASEAN東南アジア諸国連合は、東南アジアの政治・経済連合でブルネイ、カンボジア、インドネシア、ミャンマー、ラオス、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム6カ国が加盟している。COVIDの影響で、アジア太平洋地域のすべてとは言わないまでも、ほとんどの国が国境を固く閉ざし、長く厳しいロックダウンに耐えた。国際航空便はストップし、国内航空便も大幅に制限された。しかし、アジア太平洋地域では、規制が急速になくなっており、需要が回復しつつある。

 特に、燃料費の高騰、人件費の増加、メンテナンス費用の増加など、コスト抑制が重要だとメノンは言う。コスト増は、航空会社の債務負担を重くしているだけでなく、財政を弱体化させるおそれがある。また、「航空輸送システムの生態系が需要急増に対応するため努力しているため、各航空会社は経営上の制約の増大に直面している」という。


キャパシティ不足は中国と日本が多い

日本航空は、国境移動が完全再開され、国際線の座席が埋まり始めることを切望している。 Photo: Vincenzo Pace | Simple Flying


今週、スケジュール分析会社OAGが2022年6月27日のキャパシティレポートを発表し、世界の航空会社のキャパシティは9990万席となった。OAGはアジア太平洋を北東、東南、南アジアに加え、南西太平洋の4地域に分類している。この4つを合わせたアジア太平洋は、キャパシティが3300万席弱となり、世界最大の地域となっている。2019年の同週のアジア太平洋の座席キャパシティは4220万席で、今週のキャパシティより3割近く多かった。

 日中韓の国境規制が終わり、乗客がパンデミック前水準を超える可能性は高い。今週は、全世界で約1660万席分の欠航があり、半分以上がアジア太平洋地域だった。今のキャンセルや空港の混乱ぶりを見ると、1700万席が全部埋まったらどうなるのだろうかと思わざるをえない。■


Asia Rebounds Strongly In May With China Traffic Still To Come

Asia Rebounds Strongly In May With China Traffic Still To Come

BY

MICHAEL DORAN

PUBLISHED 56 MINUTES AGO


Michael Doran (158 Articles Published)

Journalist - A professional aviation journalist writing across the industry spectrum. Michael uses his MBA and corporate business experience to go behind the obvious in search of the real story. A strong network of senior aviation contacts mixed with a boyhood passion for airplanes helps him share engaging content with fellow devotees. Based in Melbourne, Australia.

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