2022年2月28日月曜日

ロシア制裁措置でエアライン運航にも大きな影響が。アラスカなど途中給油地点を使う長距離路線が復活する?

クライナ侵攻の勃発で空域封鎖が生まれているが、利用客、エアライン双方にどんな影響が出ているのだろうか。


ここ数日で厳しい制裁措置がロシアに発効となった。すべてウクライナ侵攻がきっかけで、ロシアのエアライン各社も制裁対象となっており、ロシアも航路を変更したり、運行停止を迫られている。


Flights from Europe to East Asia must fly over Russia to remain economically viable. Photo: GCMap




ウクライナでの戦闘が4日目に入り、西側各国は経済制裁を強化してきた。空域閉鎖もここに含まれ、英国EUはともにロシア系エアラインによる上空通過飛行、領有部への侵入を禁止した。ロシアも同様の措置を英国に適用し、EU系各社へも数日内に同じ措置をとるだろう。双方の路線運行が大きく縮小している。



ヨーロッパ系各社は痛みをすでに感じている。東京、ソウル、北京、上海、香港といった東アジア主要地点への接続がむずかしくなってしまった。また運行停止を発表したエアラインもある。ロシアの国土の大きさを考えると、アジア路線で同国上空を飛べなくなれば大きく迂回せざるを得ない。


フィンエアは今回の飛行禁止措置でアジア路線の運行を停止すると発表した。各地へのノンストップ便を中心に大規模なネットワークを構築してきた同社には大きな損失だ。ヴァージン・アトランティックもロシア措置を受け運休した路線がある。ブリティッシュ・エアウェイズは飛行ルート変更で対応する。だが、各地での乗り継ぎの便利性が大きく損なわれる。


制裁の影響は双方に出る


制裁の影響は一方にのみあらわれるわけではない。ロシア系エアライン各社が乗り入れ禁止で大きな損失を受ける。アエロフロートはヨーロッパ線全便を運行停止し、短距離国際路線でもルート変更を迫られている。北米路線でも影響が出ており、カナダや北欧更にグリーンランドへのアクセスができなくなったため、今後も運行を続ければ飛行時間が余分にかかる。西側への移動が難しくなるが、これこそ経済制裁のねらいだ。


冷戦時代を思い出す向きがある。当時のソ連領空は飛行できなかったため、複雑な路線が生まれ、途中着陸でアジア方面に飛んだ。また同じ状況になるのだろうか。


米国も追随するのか


空域封鎖の決定では米国が最大の影響力を行使している。欧州各国に追随する決定となれば、エアライン各社はアラスカや西海岸経由での東アジア路線運行となる。1980年代から見れば今日の機材の航続距離は伸びているが、太平洋路線をノンストップで運行可能な機材は限られる。当面は欧州の利用客は東に飛ぶさいは移動時間の延長を覚悟すべきだ。エアライン側はロシアのウクライナ侵攻の副産物の動向に懸念しているはずだ。■


How Airspace Closures Will Impact International Airlines

BY PRANJAL PANDE


2022年2月27日日曜日

アエロフロートの糊入れ禁止措置などウクライナ侵攻の影響でヨーロッパ各社の運行に出ている影響。

 


クライナがロシアの侵攻を受ける中、ヨーロッパ各地のフライト運行に影響が出ている。


2月26日土曜日、KLMはウクライナ情勢を受けて、ロシアに向け飛行中だった2便を出発地に戻させた。KLM903(モスクワ行き)とKLM1395(セントピーターズ行き)の2便で、このうち、903便はモスクワ・シェレメーチエヴォ国際空港似最終アプローチ中だったが、オランダに戻る指示が入った。1395もエストニア上空で復航指示を受けた。


これを記事にしたフィナンシャル・タイムズでは「EU制裁措置によりロシア向け航空機部品の搬入が禁止され、エアライン用部品もこの適用を受けるため」とある。EUは厳しい制裁措置を導入している。


Simple FlyingはKLMに問い合わせ中で、同社回答を入手次第公表する。


ロシア、ウクライナ向け運行を停止したその他国


英国もアエロフロート機全便の乗り入れを禁止した。同社はモスクワ=ロンドン・ヒースロー線を毎日運行しているが、全便運行を停止した。


BBCによればエストニア、ラトビア、スロべニア、ルーマニアの各国が2月26日よりロシア線一部を運行禁止措置としている。ロシアもブルガリア、ポーランド、チェコ共和国の運行禁止を受け、各国便を乗り入れ禁止とした。


SU2030便はモスクワからブタペストに向かっていたが一部国の領空通過ができなくなり引き返しを迫られた。


2月25日にはデルタがアエロフロートとのコードシェアを停止し、同社は以下声明文を発表した。


「当社はモスクワ・シェレメーチエヴォ国際空港発着のアエロフロート運航便のコードシェア、ロサンジェルス及びニューヨークJFK発着のデルタ運航便のコードシェアを停止した。今回の措置で影響を受ける利用客には宿泊を提供する」


KLMにウクライナは痛い記憶


KLMがロシア-ウクライナ間紛争に関連して登場するのは今回が初めてではない。同社はキエフ発着便も運行していた。さらにエールフランスもウクライナ路線を運行停止した。


さらに2014年にはKLMはマレーシアエアラインズとのコードシェアでMH17を運行、同便はロシア支援を受けた分離主義者によりウクライナ上空で撃墜された。


エア・インディアが自国民避難用特別便多数を運行


その他ウクライナに自国民避難の特別便を送ったエアラインが多数ある。ただし、米国はこの措置をとらない。中でもエアインディアが目立つ。同社は近隣国へ特別便を飛ばし、自国民の退避にあたらせた。26日土曜日に同社機材がブカレストを離陸し、219名をインドへ移送した。


ロシア軍がアントノフ空港を占拠


ロシア軍はウクライナのアントノフ空港を占拠した。同地のAn-225について報道が錯綜したが、アントノフ社パイロットは同機は無事とSimple Flyingに述べている。


ロシア軍はウクライナの主要空港数カ所を占拠している。


ウクライナのフラッグキャリアたるウクライナ国際航空は全便の運行を数日前から取りやめており、同国領空の閉鎖措置に呼応している。■



2 KLM Flights En Route To Russia Return To Amsterdam


BY JAMIE MOORE

PUBLISHED 7 HOURS AGO


2022年2月23日水曜日

オーストラリアが2月21日より入国制限を緩和。観光客の利用増に期待感。

 

ーストラリアがワクチン接種済み渡航者に国境を再開放した。ただし、到着客には一部ルールがそのまま残る。

 オーストラリアは2月21日よりワクチン完全接種済みに限り、入国制限を撤廃し同日だけで到着便50以上が対象となった。ただし、入国制限措置前には毎日国際線300便超が運航されていた。ただ、オーストラリアのエアライン産業と各空港はこの新措置を前向きにとらえ、数カ月で事態は以前の状況に近づけたいとしている。

 二年にわたり国境を封鎖してきたが、国政選挙が近づいており、スコット・モリソン首相は有権者の寛容な態度を期待し、先週末こんな発言をしていた。



「もう待たなくてもよい。世界で120万人もののひとびとが入国査証を待っており、入国してくる。24時間以内に56便が我が国に到着する。今後到着便数は増える」


 ただ120万人は公認COVID-19ワクチンを二回接種しないと入国は許されない。ブースター接種は必要としない。渡航客はPCR検査あるいは抗原検査を出発前に済ませる必要がある。オーストラリア各州等でも到着後に検査を実施する。ただし、14日の自主隔離を自己負担でホテルで過ごすよりましだろう。

 最新のオーストラリア入国ルールはavailable hereを参照のこと。オーストラリア各州等で独自のルールを設けることができるが、おおかたこれまで2年に渡る検査体制、隔離措置に辟易する利用者の不満が高まっていることから穏便な連邦政府措置に準拠すると見られる。ただし西オーストラリア州は別で、3月3日以降に入国を緩和する。


お金を落とす観光客に期待


オーストラリアには2019年実績で10百万人の観光客が入国していた。上位国は中国、ニュージーランド、南朝鮮、日本、シンガポール、英国、米国だった。そのうち、最上位の中国、ニュージーランドからの訪問客は自国内で海外渡航制限がまだ残るため、今回の措置の対象とならない。

 年間10百万人という規模は世界で見れば大きくないが、一旦入国すれば長期滞在の傾向があり、その他各地の観光客より落とす金が高くなりがちだ。10百万人が支払った金額は435億米ドルになっていた。エアラインでも オーストラリアの長距離路線を配慮し高額運賃を設定しており、恩恵が生まれていた。

カンタスは今週だけで14千名の利用を見込む。2月21日に同社CEOアラン・ジョイスは「オーストラリア政府による発表からオーストラリア旅行の再開を歓迎する向きが多いことがわかり、当社でも英米両国からの予約は好調です。南アフリカやカナダがそれに次ぐ勢いです」と述べた。


主要空港の動向

メルボルン空港でも2月21日に国際線到着芽数便あり、シンガポール、プーケット、オークランド、デリー、ドバイ、ロンドン、東京とあった。国境封鎖前の同空港では毎月100万名が利用していたが、2021年9月には1万名程度に落ち込んでいた。

 「国際線各社は入国規制緩和に前向きな反応で、メルボルン便は再開、増加の動きが活発になってきた」(メルボルン空港航空部長ローリー・アーガス)

 ブリスベーン空港には同日6便が到着し、1500名が入国した。国境封鎖前の一日15千名と比べれば遥かに少ない。同空港では来月にかけ国際線便数が25%増えると見ているが、COVID-19前の状況に戻るには3-5年かかると見ている。

 「苦しい24ヶ月を経て、ブリスベーン空港はやっと関係先とともに観光客利用の復活に前向きに進み、クイーンズランド州を世界に再びつなぐ日が視野に入ってきた」(同空港)

 シドニー空港にも同日国際線到着便が着陸した。カンタスのA380がQF12便としてロサンジェルスから到着した。オーストラリアで利用客が最多の同空港が同日到着の便の半数近くをさばいた。■


Australia Reopens To The World: What You Should Know

BY ANDREW CURRAN

PUBLISHED 1 DAY AGO


2022年2月22日火曜日

ウクライナへの定期便運航が全面停止に近づく。海上交通妨害も合わせ、ロシアは武力侵攻なくともウクライナ弱体化を狙う。

 

キエフ、ボルィースピリ国際空港に到着したルフトハンザ機。November 2021. IGOR GOLOVNIOV/SOPA IMAGES/LIGHTROCKET VIA GETTY IMAGES

 

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部隊を侵攻させなくても、ロシアはウクライナへの狙いを実現できる

 

 

識を消した兵員輸送トラックをウクライナ東部に移動する以前からロシアによるウクライナを世界から孤立させる作戦は始まっていた。

 

 

2月21日にルフトハンザスイスエアラインズ両社がウクライナ首都キエフへの定期便運行を取りやめ、ルフトハンザはオデッサ便も運行停止した。エールフランスSASもキエフ便運行を停止した。ウクライナへ飛ぶエアラインはわずかになっている。同国空域は高リスクとの認識で、エアライン側にウクライナを世界につなぐ状態を維持する義務はない。

 

通常ならフランクフルトからキエフへの移動手段は選択に迷うほどだ。だが、今は、ワルシャワで乗り継ぎが必要となる。LOTポーリッシュエアラインズがウクライナ首都キエフ、黒海沿岸のオデッサに運行を継続する数少ないエアラインの一角だ。キエフのボルィースピリ国際空港Borispyl International Airportの到着便案内はごくわずかになっている。LOT、ライアンエア、ウクライナのウクライナ国際航空UIAウィンドローズエイビエーションFlexFlightエアセルビアくらいだ。一方で同じキエフのシコースキ国際空港ではWizzairと国内線運行数社しか残っていない。

 

ルフトハンザグループ(ルフトハンザ、スイス)同様に大抵のエアラインはキエフ、オデッサ両路線の運行は危険と判断している。さらにポーランド国境に近いリヴィウ線も高リスク路線とされている。リアルタイムで航空輸送の状況がわかるFlightradar24でウクライナの孤立ぶりは明らかだ。隣接するポーランド、ルーマニア、ハンガリーは活発で、ドイツやフランスは言うまでもない。これに対しウクライナ上空は閑散としている。同国空域を通過するエアラインも皆無に近い。

 

だがルフトハンザグループ発表にはソーシャルメディアで怒りの声が殺到した。「ロシア線の運行を止めろ」など。だが、ソーシャルメディア利用の皆様、エアライン側の事情をご理解ください。ウクライナ路線の運行停止は制裁措置ではない。ウクライナ空域の飛行が危険と判断されているためにすぎない。マレーシアエアラインズ17便がウクライナ東部で撃墜された8年前の記憶は強く残っている。各社も有事を意識し、機体や乗客への危害発生を恐れている。地上空中問わず、いったん人命喪失となれば収益が落ち、風評での損失は計算できないほどになる。

 

エールフランスやルフトハンザ同様の判断をしているエアラインは多数ある。各国政府も多くが自国民にウクライナから退避を推奨しており、エアライン各社のビジネスが成立しなくなってきた。とはいえ、最小限の需要がある限りエアラインは運行を維持する。着陸スロット権の維持が必要だからだ。COVIDによる最悪状況でも、乗客皆無の「ゴーストフライト」を運行するエアラインが大部分だった。

 

だがキエフやオデッサ発着便を完全停止したり、リヴィウ運行も同じ扱いとするエアラインが多数生まれている。「ウクライナ空域は完全回避し全便をウクライナ国境に近づけない」とあるヨーロッパ大手エアライン幹部が筆者に語っている。大手航空コンサルタント企業はウクライナ国内空港すべてを高リスクに区分したと通知あした。自社の機材、乗務員、利用客をこのような状況で運行できると判断するエアラインがあるだろうか。

 

それでも運行する会社も数日以内に運行停止するだろう。保険会社はウクライナ空域の安全に神経質になっており、2月初めにUIAの国内線が補償対象外となった。今後大規模侵攻が現実となれば、すべての保険が24時間以内に補償対象外にされる。

 

エアラインによる運行停止はウクライナ孤立政策の一環にすぎない。ロシアはアゾフ海や黒海沿岸ウクライナ港湾の利用を危険にしており、ウクライナ向け海上輸送を麻痺させている。投資機関や国際金融市場はウクライナの信用度を下げた。

 

ウクライナ政府からエアライン側に財務保証を与えて保険料金高騰に対応すると発言があるが、現実はそのとおりには行かない。エアライン側には危険国への運行を継続する義務が存在しないし、海運会社にも危険水域経由で貨物輸送を続ける義務もない。ロシアが部隊を侵攻させなくてもウクライナの弱体化は不可避だ。隣国を痛めつけようと考える国がロシア以外には存在しないと考えるのではあまりにも非現実的すぎる。■

 

Russia Is Choking Off Air Travel to Ukraine - Defense One

BY ELISABETH BRAW

SENIOR FELLOW, AEI

FEBRUARY 22, 2022 01:07 PM ET


2022年2月18日金曜日

ウクライナ危機で航空業界にどんな影響が出ているか。本格交戦となればアジア地区にもリスクが波及する。

 


2月15日のFlightRadar24ではエアライン運行状況でウクライナ上空飛行を回避しているのがわかる。 (Image: FlightRadar24)



クライナや周辺での航空輸送の混乱は今のところ軽微だが、ロシア侵攻の脅威が依然大きいため、航空会社やビジネス航空機の運航会社は、運航安全の確保に懸命になっている。国際民間航空機関(ICAO)のような多国間機関がないまま、リスク管理の方程式は複雑で変化が激しく、各企業は自国政府発表の勧告を主に参考にしている状況だ。



今週初めには、ウクライナ国際航空Ukrainian International Airlinesスカイアップ航空SkyUp Airlinesなど現地航空会社向けの保険取扱いが停止された。リース会社が機材を安全な場所に移動するなど、航空会社にも決断が迫られるケースもあった。木曜日には、スペインのブエリング Vueling が、ウクライナ路線を停止した。これに続いて、KLMオランダ航空エミレイツが2月14日から運航停止し、ノルウェー航空が同国上空飛行を停止すると決定した。


航空輸送業界では、航空会社や保険会社向けガイダンス以外に、オープンソース情報にも注目し、直面する運航リスクの完全評価を目指している。リアルタイムでの状況理解は困難だ。そこで、Osprey Flight Solutionsのような専門家集団が、クライアントのため全体像の把握を目指す。人工知能と機械学習を利用し、空域と地上の状況の体系的リスク評価を提供している。


オスプレイのチーフ・インテリジェンス・オフィサー、マシュー・ボリーMatthew Borieによれば、「飛ぶか飛ばないか」という一択判断の必要はないという。例えば、ルフトハンザオーストリア航空、スイスの各社は、ウクライナ国内空港で夜間駐機を止め、迅速なターンアラウンドでリスク軽減をしている。


ロシアとウクライナ、NATO加盟国のにらみ合いが今のところは冷戦状態にとどまっているとはいえ、安全運行を脅かす暴力の脅威は非常に現実的なものだ。戦闘機パイロットに防空システム対処方法を訓練した経験を持つ元米空軍将校のボリーは係争中の東部国境だけでなく、ウクライナ北部ベラルーシとの国境沿いや2014年にロシアが併合したクリミア地方にロシアが配備したS400およびS300ミサイルシステムの脅威を指摘する。射程200~400kmの各ミサイルが、ウクライナや近隣空域を通過する各機に潜在脅威を与えている。


「過去20年に地対空ミサイルで撃墜された3機はウクライナと関係があり、いずれも誤認されていた」とボリーは述べた。言及したのは、マレーシア航空MH17便の撃墜事件(ロシア支援を受けた民兵によるものとされる)、2020年1月にイラン防空部隊がウクライナ国際航空752便を墜落させた事件、2001年にウクライナ軍が黒海上でシベリア航空機を撃墜した事件のことだ。


ボリーは、ロシア軍とウクライナ軍間で戦闘が発生すれば、「双方が電子戦用ジャマーやスプーフィング技術で偽ターゲットを作り出すだろう。ロシアのレーダーが電磁波ジャマーを受ければ航空機を誤認する可能性が高くなる」とボリーは注意を促した。2014年初頭のクリミア侵攻以来、ウクライナ東部空域が危険なままで、航空会社多数がコストのかかる迂回経路を選んでいるが、同地帯は完全回避するよう求められている。


ロシアと衝突となれば、黒海、バルト海、ノルウェー海の上空や、ブルガリア、トルコ、ルーマニア、ポーランド、リトアニア、ラトビア、エストニアなど近隣諸国の空域でも脅威がエスカレートする可能性がある。ボリーによれば、ロシア軍とNATO軍が哨戒飛行を強化すれば、民間旅客機が迎撃される可能性が現れる。


昨年8月、アフガニスタンをタリバンが制圧した際の混乱した光景が、ウクライナで展開される可能性を予見させるとオスプレイは分析している。「アフガニスタン軍がタリバンに降伏し、カブール空港の航空管制官や警備スタッフが逃げ出し、サービスが急速に低下した」という。「米軍が引き継ぐまで、離発着できなかった」。それ以来、ICAOは、有事における業務調整が実施可能になった。


ウクライナ周辺で航空機が危険にさらされる可能性に加え、政治・経済面の制裁の影響も考えられる。「ロシアへの飛行が禁止されれば、ヨーロッパ-アジア路線が中断され、航空機部品などでサプライチェーンがロシアの航空会社に大きな障害となる可能性がある」とボリーは予測する。■


Russia-Ukraine Standoff Poses Real Dangers to Aviation | Air Transport News

by Charles Alcock

 - February 17, 2022, 7:28 AM


2022年2月17日木曜日

ヴァージン・ギャラクティックが宇宙旅行航空券の販売を開始。45万ドルで90分の旅。スペースライナーの誕生か。

 


ヴァージン・ギャラクティックのVSSユニティで宇宙へ飛ぶ搭乗券売出しが2月16日から始まる。値段は450千ドル(51.8百万円)だ。

Photo: Virgin Galactic


裕層が宇宙をめざし競争するとお思いになるかもしれないが、大気圏外への旅行が手に届く範囲になる事態が来そうだ。「航空宇宙旅行会社」となるヴァージン・ギャラクティックは搭乗券の販売開始を本日発表した。



同社によれば一般層にも購入の機会を設け、「将来のアストロノートの一員になる貴重なメンバーシップ」が手に入るという。価格は450千ドルだ。同社CEOマイケル・コルグレイジエMichael Colglazierは以下声明文を発表した。


「ヴァージン・ギャラクティックでは宇宙はすぐそこに来ていると見ています。最初のお客様1000名を載せ、商用サービスを今年末に開始します。これをもとに定期便さらに機材を拡充していきます」


打上げはスペースポート・アメリカから、事前訓練あり


宇宙飛行は90分程度となる。ヴァージンキャラクティックでは「特別打ち上げ」「マッハ3加速」で宇宙に移動するとある。飛行中に無重力体験もあり、宇宙船を回転させ、乗客にはVSSユニティの17箇所の窓から地球の姿も目にできるという。


打上地点はニューメキシコ州ホルナダ・デル・ムエルト Jornada del Muerto砂漠にできたスペースポート・アメリカとし、事前に宇宙飛行専用の訓練を数日間行う。訓練は「世界に通用するアメニティ各種」を伴い、利用客は招待客の同行が可能で、富豪有名人のスペースキャンプとなる。


ヴァージン・ギャラクティックの「アストロノート」に加わるためにはほぼ50万ドルちかくかかづが、前金として15万ドルを支払って席を確保する。それだけの負担が可能なら同社ウェブサイトで申し込み手続きが可能だ。


ヴァージン・ギャラクティック社のウェブサイトは触れていないが、遊び半分の子供(あるいはうるさい報道記者)ではないこと確認した上で、審査を進めるのだろう。


Photo: Virgin Galactic


新ロゴで商用宇宙飛行開始を祝う


チケット販売開始とあわせヴァージン・ギャラクティック社はロゴを一新した。新しい「ブランド・アイデンティティ」は、宇宙船VSSユニティがモチーフ。商業・消費者事業担当社長兼最高事業責任者のブレア・リッチBlair Richは、商業事業の成長を支えるために、効果的な販売プロセスを開発したと述べ、こう付け加えた。


「グローバル規模の民間スペースラインには、象徴的で時代を超えたブランドが必要です。当社のブランドは、ダイナミックな顧客サービスを表し、独自の経験、スタイル、サービスをもの語る重要なものです」


Virgin Galactic Opening Space Ticket Sales To The Public

BY LINNEA AHLGREN

February 15, 2022


2022年2月11日金曜日

インドが入国時の制限を大幅緩和したのは朗報。(が、条件をよく読む必要があります)

 


次回インド入国時に検査も隔離も不要となっている(はず)。


Photo: Getty



ミクロン変種が勢いを失い、各国政府は国境を超えた移動の制限撤廃に向かっている。先週はヨーロッパでワクチンの完全摂取者に隔離措置を撤廃する前向きな姿勢が見えた。今度はインド政府が入国時の各種制限を撤廃し、また一歩正常に近づく姿勢を示している。




現行のルールではインド入国に際し乗客全員が出発72時間以内の陰性検査記録を求められる。更に「リスクあり」各国からの到着客は別途検査を空港で行い、その後7日間の自宅隔離期間をした後に、8日目に再度検査を行う。


インド健康家庭福祉省の新ガイドラインでは、国際線到着客への出国前陰性証明は不要となる。さらに「リスクあり」国リストは廃止し、到着時の検査も不要となった。とはいえ、到着時に2%を無作為でサンプル採取の協力を空港で求める。


7日間の隔離義務扱いにかわり、インド入国後14日間の「自己記録」を求める。インド渡航に先立ち、インド政府のAir Suvidhaオンラインポータルで自己申告が必要で、個人情報の詳細を求め、乗客に陽性感染者がその後見つかった場合の追跡連絡用に活用する。


新しい措置で利用客はインド入国が楽になる。新措置の発効は2月14日インド標準時の00:01 以降となる。


新措置は航空業界にとって歓迎すべき内容だが、一つ問題が残る。「ワクチン接種を予定通り完全に終えた」場合に限りの例外措置となっていることだ。言い換えれば、承認済みコロナウィルスワクチンの接種を2回終えているものを指す。ここにややこしい問題がある。


インドは各国のワクチン接種済み証明を承認していない。またインドの証明書も各国で承認を受けていない。このため、インド政府が認める証明書はインドが相互認証している国のものに限られるか、インド政府が隔離措置は不要と認める国のものに限られる。この証明書承認扱いはUSA、UK、オーストラリア、カナダ、カタール、サウジアラビアなど82カ国に及ぶリストとなっている。


他方でインドの民間航空当局、民間航空総局 (DGCA)は国際民間航空の定期運行禁止措置を2月28日まで延長しており、インドがバブル協定を結んだ25カ国には運行を許可している。■


India Scraps Quarantine And Testing Rules For The Vaccinated


BY DEVANSH MEHTA

PUBLISHED 4 HOURS AGO

Planning on travelling to India soon? Chances are you may not have to take a test or even undergo a government mandated quarantine.



2022年2月7日月曜日

ヨーロッパに渡航制限を緩和する動きが現れてきた。日本とは温度差が大きいとはいえ、経済を回すため必要な措置ではないでしょうか。

 

Photo: Vincenzo Pace - Simple Flying



渡航制限を緩和する国がヨーロッパで次々と現れており、希望が見えてきた。


ーロッパで「通常」といってよい状態に戻る兆しが出てきた。ただし、ワクチン接種済みの乗客が対象だ。ここまで至るまで、試行錯誤があり、突然の方針発表で厳格化する措置前の駆け込み、巨額をつぎ込んだ各種テストがあった。


ブースター接種後の乗客は隔離免除(オランダ)


2月9日よりハイリスク地域からオランダに入国する場合は到着後の隔離が不要となる。ただし、7日前までにブースター接種済みであることが条件だ。対象地域には米国、カナダ、南アフリカ、イスラエル、オーストラリア、英国が含まれる。


こうした国からの入国者は入国時に証明書を提示し、自己申告の必要がある。他方でブースター接種がまだの乗客は例外措置とする理由がない限り、10日間の隔離措置を受ける。




英国は来週から国境を開放


エアライン側から大きな圧力を1月末から受けた英国政府もワクチン接種済み乗客全員の入国を認めることにした。ワクチン接種済み乗客には2月11日よりテストを免除する。ただし、国内移動先は申告の必要がある。一方で、ワクチン接種していない乗客は出国前のテスト結果を提示した上で、入国後のPCRテストが義務付けられる。


英保健相サジッド・ジャヴィッド宛の書簡でブリティッシュエアウェイズライアンエア他各社のCEOは今後発生する大規模感染事例の対象方針を明確に説明するよう求めている。


各社CEOはさらに政府による国境封鎖措置および運行停止措置の自粛を求めているとブルームバーグが伝えている。英国の国際線出発客は2019年比で71%減っており、検査と自主隔離の要求に嫌気がさしたためといわれる。


スカンジナビアへの渡航が楽になった


ヨーロッパでも特に厳しい入国制限を課してきたノルウェー政府も抜本的緩和に踏み切った。先週より、ワクチン完全接種済み乗客には三日間の隔離措置を免除しており、到着時検査も不要となった。一方で米国民は陰性結果を示すだけでよく、ワクチン接種証明やCDC発行のワクチンカードはノルウェーでは効力がない。


だが、2月1日より同国当局はもう一歩先の措置に移行した。渡航制限ではウィルス拡散に効果がないため、ノルウェーは入国時の検査義務を中止した。


デンマークもコロナ関連の検査全般を中止した。こちらも2月1日以来、ワクチン接種済みあるいは病状が回復した乗客には検査を免除している。オミクロン種は同国でも見つかっているが、同国政府は前週にCOVID-19はもはや「社会全体に影響を与える疾病」ではないと宣言している。この判断が正しいのを祈るばかりだが、ここ二年は終わりのない状況を我々は見せられてきた。■


Europe Is Starting To Reopen after Omicron

BY LINNEA AHLGREN

A glimmer of light on the horizon as European countries begin dropping travel restrictions one by one.


2022年2月4日金曜日

エアラインがパンデミック後の新常態に今回得た教訓を活用すれば大きな成功が待ち構えている。

Forbesの記事ですが、世界ではパンデミックは終息に向かいつつあり、今からその後を視野に入れた対応・変革が必要と考えていることがわかります。翻って我が国は未だに「感染者」数に一喜一憂する事態。長期戦略が売りだった日本はどこにいったのでしょうか。エアライン経営陣には先を見越した企画立案が必要ですね。

 

パンデミックでエアライン業界は多くを学んだ。これを好機につなげるか。GETTY

 

Covidパンデミックで社会経済が大きく変わった。活況を呈する業種もある。ビデオ宅配、遠隔会議、住宅改装などだ。旅行業界の中でもエアライン部門、クルーズ客船部門は逆境にある。パンデミックで需要が大幅減少し、その後観光需要は回復したが、ビジネス需要は2019年の最高レベルに遠く及ばないままだ。

米系エアライン各社にとってパンデミックはチャンスとなり、以前通りにならないとしても、パンデミック後の世界に対応できる。動きつつある世界に米大手エアライン各社は以下4つの方面で適応できるはずだ。

乗客サービスを技術で向上させる


エアラインでは大量の技術を利用している。すべて人的資源を大量投入する前提だ。乗客が空港に到着すれば、不規則な事態がよく発生する。エアライン側はデータを集めるが、データ活用に人的資源並みの資金を投入していない。乗客ほぼ全員がスマートフォンを携帯しており、ボーディンパス以上の機能を発揮でき、必要な処理も可能だ。空港到着からボーディングまでの工程から人的労力投入を省くことこそエアラインの目指す効率化と乗客向けサービスを両立させるゴールとなる。

昨年夏と長期休暇の繁忙期にエアライン各社は人員を絞っての対応がどれだけ大変か骨身にしみたはずだ。省人化戦略を各社が模索すれば、利用客に新鮮な感動を与えつつ処理時間を短縮できる。乗客が自分の荷物を管理し、書類を扱い、利用便変更を短時間ですませ、生体識別でボーディングできれば、シームレスかつ快適な体験が可能となる。米当局がこの方針を採択するとは思えないし、エアラインもスマートフォンを携帯しない乗客対応で少数人員で対応する必要が生まれる。だが、乗客の大半は人員を集中投入しないパンデミック後のやり方に適応するはずだ。

ビデオ遠隔会議を恐れるな。とりこめ。

ひげそり刃ではジレットが一世紀超にわたりトップ企業だ。同社は使い捨て刃を固定ハンドルに付ける製品を最初に紹介し、利用者はハンドルは安価だが交換刃が高いことを知っている。Bicが使い捨て刃とハンドルを一体化し、安価で販売開始すると、ジレットはプレミアム部門でシェアを守れたはずだ。結局ジレットはあらゆる部門でトップの座を守ることとした。結果として今も同社はあらゆるひげそり製品を販売している。


エアライン業界への教訓は遠隔会議サービスのZoomやマイクロソフトTeamsの急速な人気はパンデミックだからこそ可能だったと見ることだ。企業はエアラインを利用した出張がなくても望む効果が得られると学んでしまった。エアラインCEOはヒトとヒトのふれあいが重要であり、社用出張が最終的に復活するとしながらも、遠隔会議で出張需要を部分的に奪われると心配している。企業向け調査が裏付けで、エアライン利用を完全廃止することはないものの、遠隔会議をうまく活用すれば総経費が浮くことがわかったと企業が回答している。

ビジネス需要に多く依存するエアラインがこの現実を受け入れるときが来た。遠隔会議との共存を図るべきだ。上得意客がZoom通話でポイントをためる、一部は対面、その他は遠隔で一緒に会議するサービスをエアラインがお膳立てできる。エアラインの存在意義が旅行需要の解決ならば、移動そのものは実態でも仮想でもよい。両方で成功すればよい。エアラインはパンデミック前を上回る需要とともに利用客の信頼をかちとることができる。

安全手続きに生物学技術を導入する


エアラインは安全の維持方法を体得している。空の旅が自動車よりずっと安全なことは広く知られており、自動車事故で毎日世界合計3,500名もの人命が奪われている。エアライン業界では安全確保のため安全管理システム(SMS)を導入している。リスクを把握し、対象部分を集中管理する方法だ。エアラインはこれにより自社内工程を向上し、リスクを減らし、安全度を引き上げる。エアライン各社はこの技術を使いこなし、優秀企業では社内の価値観にこの考え方を埋めこんでいる。

ただし、この安全への取り組みには乗客の生物学的安全度は考慮されていない。つまり、機内感染の可能性だ。各社の体験はSMSに反映できる。安全の定義を広げ、伝染病も対象とすることだ。エアラインは新たな安全の定義の導入に最適な業界であり、事態の把握追跡ができ、パンデミック前よりはるかに高い安全を実現できる。

日常業務に柔軟性を埋め込め


パンデミックでエアライン各社は柔軟性の意味を学んだ。需要が急速に変化したことで、各社は運行予定が立たなくなり、需要に対応できなくなった。ユナイテッドエアラインズは需要予測を一時とりやめたほどで、かわりに変化に対応した迅速行動の専門チームを編成した。たしかにこのほうが現実に対応でき、同社の運航便キャンセルは他社より低くなった。ビジネス需要の回復でも読めない状況が続いており、ウィルス変異種が登場する中で、柔軟度を保つことが現在のエアラインビジネスモデルで意味を有する。

乗務員のやりくり、機材運行、空港勤務社員、そのほかで効果を発揮する。次回の労働契約改定時に経営側の要求事項が変わる可能性がある。乗客向け対応方針でも事態の変動が加速化しているため対応が必要だ。実需に対応した機材運用は困難な課題で、これまで機能していた運行計画の技法は今は有効でない。現在の状況が長く続くか不明だが、以前の状況に戻るとの期待も現実的ではない。であれば、柔軟性を日常の運行計画に発揮するのがパンデミック後の常識でもっとも効率の良くなる。


ヒトは変化に身構え、思考停止する業界もある。今回のパンデミックの教訓を活用し、エアラインの提供する商品を進化させ、消費者にもっと寄り添う優れた水準にすることこそ賢い戦略だ。このためエアライン業界は先取りの姿勢で業務形態を新しい現実に対応できるよう変えていく必要がある。■

How US Airlines Can Change To Meet Post-Pandemic Realities

Feb 1, 2022,12:13pm EST|476 views

Ben BaldanzaContributor


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