ロシア制裁措置でエアライン運航にも大きな影響が。アラスカなど途中給油地点を使う長距離路線が復活する?

クライナ侵攻の勃発で空域封鎖が生まれているが、利用客、エアライン双方にどんな影響が出ているのだろうか。


ここ数日で厳しい制裁措置がロシアに発効となった。すべてウクライナ侵攻がきっかけで、ロシアのエアライン各社も制裁対象となっており、ロシアも航路を変更したり、運行停止を迫られている。


Flights from Europe to East Asia must fly over Russia to remain economically viable. Photo: GCMap




ウクライナでの戦闘が4日目に入り、西側各国は経済制裁を強化してきた。空域閉鎖もここに含まれ、英国EUはともにロシア系エアラインによる上空通過飛行、領有部への侵入を禁止した。ロシアも同様の措置を英国に適用し、EU系各社へも数日内に同じ措置をとるだろう。双方の路線運行が大きく縮小している。



ヨーロッパ系各社は痛みをすでに感じている。東京、ソウル、北京、上海、香港といった東アジア主要地点への接続がむずかしくなってしまった。また運行停止を発表したエアラインもある。ロシアの国土の大きさを考えると、アジア路線で同国上空を飛べなくなれば大きく迂回せざるを得ない。


フィンエアは今回の飛行禁止措置でアジア路線の運行を停止すると発表した。各地へのノンストップ便を中心に大規模なネットワークを構築してきた同社には大きな損失だ。ヴァージン・アトランティックもロシア措置を受け運休した路線がある。ブリティッシュ・エアウェイズは飛行ルート変更で対応する。だが、各地での乗り継ぎの便利性が大きく損なわれる。


制裁の影響は双方に出る


制裁の影響は一方にのみあらわれるわけではない。ロシア系エアライン各社が乗り入れ禁止で大きな損失を受ける。アエロフロートはヨーロッパ線全便を運行停止し、短距離国際路線でもルート変更を迫られている。北米路線でも影響が出ており、カナダや北欧更にグリーンランドへのアクセスができなくなったため、今後も運行を続ければ飛行時間が余分にかかる。西側への移動が難しくなるが、これこそ経済制裁のねらいだ。


冷戦時代を思い出す向きがある。当時のソ連領空は飛行できなかったため、複雑な路線が生まれ、途中着陸でアジア方面に飛んだ。また同じ状況になるのだろうか。


米国も追随するのか


空域封鎖の決定では米国が最大の影響力を行使している。欧州各国に追随する決定となれば、エアライン各社はアラスカや西海岸経由での東アジア路線運行となる。1980年代から見れば今日の機材の航続距離は伸びているが、太平洋路線をノンストップで運行可能な機材は限られる。当面は欧州の利用客は東に飛ぶさいは移動時間の延長を覚悟すべきだ。エアライン側はロシアのウクライナ侵攻の副産物の動向に懸念しているはずだ。■


How Airspace Closures Will Impact International Airlines

BY PRANJAL PANDE


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