エアラインがパンデミック後の新常態に今回得た教訓を活用すれば大きな成功が待ち構えている。

Forbesの記事ですが、世界ではパンデミックは終息に向かいつつあり、今からその後を視野に入れた対応・変革が必要と考えていることがわかります。翻って我が国は未だに「感染者」数に一喜一憂する事態。長期戦略が売りだった日本はどこにいったのでしょうか。エアライン経営陣には先を見越した企画立案が必要ですね。

 

パンデミックでエアライン業界は多くを学んだ。これを好機につなげるか。GETTY

 

Covidパンデミックで社会経済が大きく変わった。活況を呈する業種もある。ビデオ宅配、遠隔会議、住宅改装などだ。旅行業界の中でもエアライン部門、クルーズ客船部門は逆境にある。パンデミックで需要が大幅減少し、その後観光需要は回復したが、ビジネス需要は2019年の最高レベルに遠く及ばないままだ。

米系エアライン各社にとってパンデミックはチャンスとなり、以前通りにならないとしても、パンデミック後の世界に対応できる。動きつつある世界に米大手エアライン各社は以下4つの方面で適応できるはずだ。

乗客サービスを技術で向上させる


エアラインでは大量の技術を利用している。すべて人的資源を大量投入する前提だ。乗客が空港に到着すれば、不規則な事態がよく発生する。エアライン側はデータを集めるが、データ活用に人的資源並みの資金を投入していない。乗客ほぼ全員がスマートフォンを携帯しており、ボーディンパス以上の機能を発揮でき、必要な処理も可能だ。空港到着からボーディングまでの工程から人的労力投入を省くことこそエアラインの目指す効率化と乗客向けサービスを両立させるゴールとなる。

昨年夏と長期休暇の繁忙期にエアライン各社は人員を絞っての対応がどれだけ大変か骨身にしみたはずだ。省人化戦略を各社が模索すれば、利用客に新鮮な感動を与えつつ処理時間を短縮できる。乗客が自分の荷物を管理し、書類を扱い、利用便変更を短時間ですませ、生体識別でボーディングできれば、シームレスかつ快適な体験が可能となる。米当局がこの方針を採択するとは思えないし、エアラインもスマートフォンを携帯しない乗客対応で少数人員で対応する必要が生まれる。だが、乗客の大半は人員を集中投入しないパンデミック後のやり方に適応するはずだ。

ビデオ遠隔会議を恐れるな。とりこめ。

ひげそり刃ではジレットが一世紀超にわたりトップ企業だ。同社は使い捨て刃を固定ハンドルに付ける製品を最初に紹介し、利用者はハンドルは安価だが交換刃が高いことを知っている。Bicが使い捨て刃とハンドルを一体化し、安価で販売開始すると、ジレットはプレミアム部門でシェアを守れたはずだ。結局ジレットはあらゆる部門でトップの座を守ることとした。結果として今も同社はあらゆるひげそり製品を販売している。


エアライン業界への教訓は遠隔会議サービスのZoomやマイクロソフトTeamsの急速な人気はパンデミックだからこそ可能だったと見ることだ。企業はエアラインを利用した出張がなくても望む効果が得られると学んでしまった。エアラインCEOはヒトとヒトのふれあいが重要であり、社用出張が最終的に復活するとしながらも、遠隔会議で出張需要を部分的に奪われると心配している。企業向け調査が裏付けで、エアライン利用を完全廃止することはないものの、遠隔会議をうまく活用すれば総経費が浮くことがわかったと企業が回答している。

ビジネス需要に多く依存するエアラインがこの現実を受け入れるときが来た。遠隔会議との共存を図るべきだ。上得意客がZoom通話でポイントをためる、一部は対面、その他は遠隔で一緒に会議するサービスをエアラインがお膳立てできる。エアラインの存在意義が旅行需要の解決ならば、移動そのものは実態でも仮想でもよい。両方で成功すればよい。エアラインはパンデミック前を上回る需要とともに利用客の信頼をかちとることができる。

安全手続きに生物学技術を導入する


エアラインは安全の維持方法を体得している。空の旅が自動車よりずっと安全なことは広く知られており、自動車事故で毎日世界合計3,500名もの人命が奪われている。エアライン業界では安全確保のため安全管理システム(SMS)を導入している。リスクを把握し、対象部分を集中管理する方法だ。エアラインはこれにより自社内工程を向上し、リスクを減らし、安全度を引き上げる。エアライン各社はこの技術を使いこなし、優秀企業では社内の価値観にこの考え方を埋めこんでいる。

ただし、この安全への取り組みには乗客の生物学的安全度は考慮されていない。つまり、機内感染の可能性だ。各社の体験はSMSに反映できる。安全の定義を広げ、伝染病も対象とすることだ。エアラインは新たな安全の定義の導入に最適な業界であり、事態の把握追跡ができ、パンデミック前よりはるかに高い安全を実現できる。

日常業務に柔軟性を埋め込め


パンデミックでエアライン各社は柔軟性の意味を学んだ。需要が急速に変化したことで、各社は運行予定が立たなくなり、需要に対応できなくなった。ユナイテッドエアラインズは需要予測を一時とりやめたほどで、かわりに変化に対応した迅速行動の専門チームを編成した。たしかにこのほうが現実に対応でき、同社の運航便キャンセルは他社より低くなった。ビジネス需要の回復でも読めない状況が続いており、ウィルス変異種が登場する中で、柔軟度を保つことが現在のエアラインビジネスモデルで意味を有する。

乗務員のやりくり、機材運行、空港勤務社員、そのほかで効果を発揮する。次回の労働契約改定時に経営側の要求事項が変わる可能性がある。乗客向け対応方針でも事態の変動が加速化しているため対応が必要だ。実需に対応した機材運用は困難な課題で、これまで機能していた運行計画の技法は今は有効でない。現在の状況が長く続くか不明だが、以前の状況に戻るとの期待も現実的ではない。であれば、柔軟性を日常の運行計画に発揮するのがパンデミック後の常識でもっとも効率の良くなる。


ヒトは変化に身構え、思考停止する業界もある。今回のパンデミックの教訓を活用し、エアラインの提供する商品を進化させ、消費者にもっと寄り添う優れた水準にすることこそ賢い戦略だ。このためエアライン業界は先取りの姿勢で業務形態を新しい現実に対応できるよう変えていく必要がある。■

How US Airlines Can Change To Meet Post-Pandemic Realities

Feb 1, 2022,12:13pm EST|476 views

Ben BaldanzaContributor


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