ボーイングが737MAX のエンジン防氷問題に取り組む中、米連邦航空局(FAA)は787の防氷システムに関連するリスクに対処する措置を講じると発表した。
2月16日に発表されたFAA案で着目しているのは、787エンジンの防氷システムからの熱風でエンジンインレットのオーバーヒートにつながるシール欠落だ。
ボーイングが昨年、運航会社宛のメモでこの問題を取り上げたことを受けて提案されたもので、航空会社に対し、787に熱による損傷がないか検査し、必要に応じ部品交換を義務付ける。最終決定となれば、米国籍のすべての787(787-8、787-9、787-10合計110機)に適用される。
「FAAは、オーバーホール中にインレット後部コンパートメント内の[エンジン防氷]ダクト周辺の複数のインレットに損傷が見つかったとの報告を受けた。「調査の結果、内側ダクトと外側ダクトの間、および外側ダクトと後部コンパートメントの間のシールが欠けていることが判明した」。
シールの欠落により、エンジン防氷システムからの空気が「後部コンパートメントに漏れ、吸気口部品が高温にさらされる」ことが可能になった、と提案書にある。「この状態に対処しないと、[エンジン防氷]ダクト周辺の損傷を引き起こし、構造強度の低下やインレット離脱につながる可能性がある」。
ボーイングは昨年9月、運航会社へ注意喚起を通達しており、一部の787に熱による損傷がないか点検し、必要に応じてシールを交換し、エンジンインレットを修理または交換するよう求めている。
今回のFAA案では、ボーイング通達に記載された手順を運行会社が完了することを求めている。しかし、ボーイング通達は一部の787にのみ適用されていたが、FAAは「787-8、787-9、787-10型機のすべて」を網羅しようとしているという。
FAAはこの動きを、現在進行中の調査が完了するまでの「暫定措置」と呼んでいる。
ボーイングのコメントは得られていない。
同社とFAAは、737マックスのエンジン凍結防止に関する懸念への対応に追われている。
昨年、FAAは耐空性指令を出し、航空会社に対し、「実際に氷結しているか、または氷結が予想される状況」でない限り、マックスの防氷システムを使用しないようパイロットに指示するよう求めた。乾燥した空気中で5分以上使用すると、「エンジンインレットカウルの温度が設計限界を超える」可能性があり、エンジンインレットインナーバレルの故障につながる、とFAAは述べている。
また同社は昨年、FAAに対し、認証取得中の737MAX7について、耐空性規則一部を一時的に免除するよう要請している。この免除が承認されれば、耐氷システムの問題で当初は基準を満たしていなかったにもかかわらず、規制当局はMAX7を認証することができる。
議員やパイロット組合の批判を受け、ボーイングは1月に免除申請を取り消した。その代わりに、1年以内に完了する見込みの技術的修正に取り組んでいる。
2月15日、FlightGlobalは737MAX関連で別のエンジン防氷システム問題を報告した。この問題はスタンバイ電源システム制御ユニットの故障が防氷システムを作動不能にするリスクに関連するものである。
ボーイングは2022年11月の顧客向け速報でこの問題に対処した。FAAはこの問題の修正を義務付ける意向だ。■
FAA proposal targets 787 anti-ice system overheating risk | News | Flight Global
By Jon Hemmerdinger17 February 2024
0 件のコメント:
コメントを投稿