オウムアムアの正体が解明される日がきそう。謎の恒星間天体はもっとあるのか。宇宙空間での研究が進むことに期待。




オウムアムアのような星間天体について太陽系突入速度から、どの星から来たのか、その組成が解明できる、と新たな研究が示唆している。



れまで天文学者が太陽系内で確認した恒星間天体(ISO)は、オウムアムア'Oumuamua

と2I/ボリソフ 2I/Borisovの2つだけである。オウムアムアに彗星の尾がなく、ボリソフは典型的な彗星のように見える。

 この新しい研究を行ない、7月初旬にイギリスの国立天文学会で発表したイギリスのオックスフォード大学大学院生マシュー・ホプキンズは、「しかし、彼らの母星である惑星系の性質は、この2つの彗星に刻み込まれている」と語った。

 ホプキンスはSpace.com取材に対し、「彼らは他の星からやってきたので、その星の性質と相関があるはずです」と語った。

 ISOはこれまで2つしか発見していないが、何千ものISOが常時太陽系を通過していると予想されている。しかし、そのほとんど、あるいはすべてのISOは、木星サイズの惑星、あるいはフライバイ星との遭遇で星間空間に放出される前に、他の恒星の周囲で彗星として誕生した可能性が高い。

 「我々の太陽系では、木星(と海王星)がオールトの雲に押し込んだ彗星1個につき10個が完全に放出され、オールトの雲には1兆個の天体があります」とホプキンスは言う。計算すると、ISOが「天の川銀河で最も多い天体である」との結論に達するのは簡単だ。


移動する恒星間天体ISO

それぞれの星は銀河系内をそれぞれのペースで移動しており、移動グループを形成している。

 太陽のような最も重い元素を持つ星は、銀河系の「薄い円盤」と呼ばれる、約400光年の厚さの渦巻きの中の平面にある。その周囲を取り囲む「厚い円盤」は、銀河系の平面から1,000光年の高さまで伸び、重元素の少ない古い星がほとんどを占めている。

 それぞれの円盤に属する星の集団は、速度分布が異なる。太陽から放出される恒星は、親星と同じような速度を持つため、同じ移動集団にくっつく傾向があるが、これらの移動集団は常に太陽の通り道を横切る。

 ホプキンスは言う、「太陽は基本的に太陽にぶつかるのです」。つまり、ISOは「太陽頂点」からやってくる。

 「オウムアムアは太陽頂点に非常に近かった。ボリソフは少し離れていたが、それでも太陽頂点にかなり近い」。

 この方向から来るということは、南半球の空にいる間に、最も検出しやすい太陽に最接近することを意味する。ヴェラ・ルービン天文台では、新しいISO数百個を発見することを期待している。


低速のISOは水分が少ない

ISOの太陽に対する相対速度が低ければ低いほど、太陽系内部に落下する可能性が高くなる。ISOの相対速度は親星の相対速度と関係しており、その親星が重い元素の多い薄い円盤の出身か、重い元素の少ない厚い円盤の出身かで大きく異なる。

 「私の結果は、ISOの速度が組成と相関していることを示しています」。

 (太陽より相対的に)速度の遅いISOは薄い円盤から来たと予想され、星とそれに付随する惑星系は、より重い元素を含むガスと塵から形成される。惑星や彗星を形成するガスや塵の円盤に重い元素が多ければ多いほど、ISO内の水の割合は少なくなる。炭素は(鉄、マグネシウム、ケイ素、硫黄と同様に)、一度に2つずつ、すべての自由な酸素原子を抜き取り、二酸化炭素分子を形成するのが得意だからだ。水は残った酸素原子からしか形成されないため、これらの円盤内で形成されるISOは一般的に水の割合が低い。

 「太陽との相対速度が低かったので、おそらく重い元素を多く含む薄い円盤状の星から来たのでしょう」とホプキンスは言う。水や他の揮発性元素を他の方法で失った可能性もある。例えば、星間空間を旅する間に宇宙線にやられたのかもしれないし、放出される前に親星に接近しすぎたのかもしれない。

 一方、ボリソフは、尾のスペクトル観測に基づけば水の含有量は中間の範囲にあった。

 現在ISOは2つしかないため、多くの結論を出すのは難しい。しかし、ヴェラ・ルービン天文台が2020年代後半に稼動開始すれば、ISO何百ものが発見されるはずで、どこから来て、どのような化学的性質を持っているのかの全体像を明らかにするだろう。

 「もし太陽と同じように太陽系内を移動するISOに偏りがあれば、薄い円盤からより多くのISOが発見されるでしょう」とホプキンスは言う。

 「ボリソフよりオウムアムアに近い天体が多数見つかるかもしれません」。この予想が正しいかどうかは、時間が経たないとわからない。■


Where did the interstellar object 'Oumuamua come from? Its speed could tell us | Space


By Keith Cooper 


Keith Cooper is a freelance science journalist and editor in the United Kingdom, and has a degree in physics and astrophysics from the University of Manchester. He's the author of "The Contact Paradox: Challenging Our Assumptions in the Search for Extraterrestrial Intelligence" (Bloomsbury Sigma, 2020) and has written articles on astronomy, space, physics and astrobiology for a multitude of magazines and websites.

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