トラス構造の新型主翼を備えたNASA=ボーイングの実験機にX-66Aの名称がついた。



NASAとボーイングはNASAのサステイナブル・フライト・デモンストレーター・プロジェクトで製造した航空機にアメリカ空軍がX-66Aの制式名をつけたと6月12日発表した。



新型X-planeは、世界中の航空会社の主力機である単通路機で、より持続可能な新世代の可能性を示すのが目的。NASAとの協力により、ボーイングは、斜め支柱で安定させた超長い薄い翼を持つフルスケール実証機を製造、試験、飛行させる予定で、「Transonic Truss-Braced Wing」のコンセプトとして知られる。

 「NASAの活動は星だけでなく、空にも向けられています」。NASAのビル・ネルソン長官は、「サステイナブル・フライト・デモンストレーターは、航空学と気候学両分野で世界をリードするNASAの取り組みです」と述べている。「X-66Aは、航空機が環境にもっと優しく、よりクリーンで、より静かとなる新時代の航空を実現する一助となり、空を飛ぶ人々とアメリカ産業界に新しい可能性を生み出すでしょう」。

 X-66Aは、ホワイトハウスの「米国航空気候行動計画」が明示した、米国が航空温室効果ガス排出量をネットゼロにする目標を達成するため最初のX-planeとなる。

 NASA航空研究ミッション本部副本部長のボブ・ピアースは、サンディエゴで開催された米国航空宇宙学会航空フォーラムで、「2050年までに航空排出量をゼロにする目標を達成するには、X-66Aのような革新的な航空機コンセプトが必要です」と述べ、同機の正式名称を発表した。「この実験機で、航空業界が必要とする省エネ、排出削減技術を実証する高い目標を掲げています」。

 NASAとボーイングは、今年初めにNASAがサステイナブル・フライト・デモンストレーター・プロジェクトの採択を発表した直後から、X-planeの指定を求めていた。空軍は、画期的な実験用航空機を目指した開発プログラムにX-planeのステータスを与えている。一部の例外を除き、Xプレーンは、他の航空機の設計に採用できる設計や技術をテストすることを目的としており、生産用プロトタイプとして機能することはありません。

 ボーイングの最高技術責任者であるトッド・シトロンは、「X-66Aは、航空業界を大きく変えた画期的な設計を検証するため使用される実験機の長いラインの次になることを意味するので、我々はこの指定を非常に誇りに思います」と述べている。「設計、建設、飛行試験の結果により、私たちは飛行の未来を形成し、航空宇宙の脱炭素化に貢献する機会を得ることになります」と述べた。

 X-66Aについて、空軍は、推進システム、材料、システムアーキテクチャにおける他の進歩と組み合わせることで、現在の最高クラスの航空機との比較で、最大30%の燃料消費量削減と排出量削減を実現する遷音速トラスブレース翼構成の技術を検証する航空機に正式名称を提供した。

 単通路機は使用頻度の高さから世界の航空排出量の約半分を占めている。こうした航空機をよりサステナブルにする設計や技術を生み出すことは、排出量に大きな影響を与える可能性がある。

 NASAのXプレーンの歴史は、1940年代に前身のNACA (National Advisory Committee for Aeronautics)が空軍、海軍と共同で実験機プログラムを立ち上げたことに始まった。X-66Aは、NASAの長い歴史の中で最新のXプレーンだ。さらに、カリフォーニア州エドワーズにあるNASAのアームストロング飛行研究センターがX-planesに技術的専門知識とサポートを提供してきた。

 サステイナブルフライトデモンストレーターでは、NASAはボーイングとの間で、7年間で4億2,500万ドルを投資し、ボーイングとパートナーが残りの資金(約7億2,500万ドルと推定)を提供するFunded Space Act Agreementを締結した。NASAも技術的な専門知識と施設を提供する。

 サステイナブル・フライト・デモンストレーター・プロジェクトは、NASAの統合航空システム・プログラムで、新しいサステイナブル航空技術の開発に重点を置くNASAのサステイナブル・フライト・ナショナル・パートナーシップの主要要素となる。

 サステイナブルフライト・デモンストレーターの詳細については、以下を参照されたい:Sustainable Flight Demonstrator Project | NASA


Next Generation Experimental Aircraft Becomes NASA’s Newest X-Plane

Jun 13, 2023

RELEASE 23-068


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