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歴史的な合意により、ICAO加盟193カ国すべてが、航空の持続可能な未来に向け支援を誓約した
国際民間航空機関(ICAO)は、第41回総会の閉幕に伴い、2050年までに炭素排出量を正味ゼロにする長期航空目標(LTAG)への支持を誓った。
発表は、2015年の歴史的なパリ協定後の数年にわたる計画・準備の後、7月に国連機関が目標の枠組みを策定したことを受けたもの。
新展開
2021年10月に国際航空運送協会(IATA)が採択したLTAGで、サステナビリティは総会の主要な焦点となっている。しかし、ICAOによる支援は、持続可能な航空をバックアップするため各国政府に変化が必要だと強調している。
これは、2010年の第37回総会で設定された、2020年からカーボンニュートラルな成長を実現し、2050年まで燃料効率を毎年2%向上させるとしていたICAOのこれまでの気候目標から大きく前進したものとなった。
ICAO理事会のサルバトーレ・シャッキターノ議長Council President Salvatore Sciacchitanoは、「航空輸送の脱炭素化に向けた新しい長期目標を、業界団体による同様のコミットメントに続き各国が採択することは、排出ガスのない動力飛行を最終的に実現するため今後数十年で加速していくグリーンイノベーションと実施の勢いに大きく貢献するだろう」と述べた。
ICAOのフアン・カルロス・サラザール事務局長Secretary General Juan Carlos Salazarは、「各国はこのイベントで、地球の将来の持続可能性と、住民にサービスを提供し結びつける航空輸送システムにとって極めて重要なテーマについて、非常に重要な外交的進展を達成した」と付け加えている。
全加盟国がこの目標を受け入れているが、ICAOは拘束力を持たず、各国は誓約を守り、排出量を管理することが求められる。
ネットゼロの達成
近年、航空業界で炭素排出量ゼロが話題となっており、航空会社や国が汚染レベル抑制のための様々な目標を掲げ、IACOへ圧力が高まっていた。
国際クリーン輸送協議会(ICCT)の調査によると、航空業界は現在、化石燃料使用による世界の排出量の約2.4%に寄与している。
ネットゼロエミッションの達成には、革新的な技術の開発と導入、持続可能な航空燃料(SAF)へのさらなる投資など、CO2削減方法が必要となる。
SAFは航空会社で関心が急上昇しており、2016年は年間わずか500便の使用だったが、2021年には約45万便に拡大する。IATAのガイダンスでは、2050年までに排出量ゼロを達成するために必要な排出量削減の約65%でSAFが貢献できると試算している。
2025年には年間約100万便のフライトで持続可能な航空燃料が使用されると予想され、2016年にはわずか500便であった。Photo: Tom Boon | Simple Flying
SAFは、廃油、油脂、非食糧作物、合成材料から製造される。その持続可能性は、森林劣化や食料、水の供給に影響を与えない原料を使用して生まれる。
生物起源原料のライフサイクルを通して、炭素の排出は植物を通して再吸収され、航空機からの排出を最大80%削減できる。
一方、CATF(Clean Air Task Force)は、SAFの大規模生産は非食用作物の需要を増加させ、農家は現在の農地を拡大する必要があるとし、生物起源燃料の持続可能性に異論を唱えている。CATFは、持続可能燃料で予測される世界的な需要を満たすため、さらなる研究と資金調達が必要であると指摘しています。
IATAは、国際的な政策がさらに包括的になるまで(おそらく2030年代)、進歩は期待できないが、2050年までに航空業界で使用される化石燃料ほぼすべてをSAFに置き換えることは可能と考えている、としている。
CORSIAの変更点
ICAO加盟国は、最初の見直しを行った国際航空カーボンオフセット・削減スキーム(CORSIA)支援を含め、排出削減対策に向けた資金と投資の重要性を強調しました。
現在、「パイロット段階」のCORSIAには、加盟118ヶ国が2023年1月からの参加を表明しており、各国の制約を尊重しつつ、カーボンオフセットの国際目標で調和を目的としている。CORSIAは、初期段階においてプログラムに志願した加盟国間の国際線にのみ適用される。
CORSIAは中期的カーボンニュートラル目標に向けて、2021年から2035年の間に毎年1億6400万トンのCO2をオフセットし、合計25億トンを支援する効果が期待されている。
2024年以降、CORSIAの基準成長率は、2019年から2020年の平均値と対照的に、2019年の炭素排出レベルの85%に引き上げられ、2030年からは現在の開発状況に基づき修正された割合がオフセット要件計算に使用される。
"空虚な目標"
一般的な支持にもかかわらず、ICAOの誓約は、より野心的な目標を望む団体やメンバーの批判を受けており、ヨーロッパ数カ国はガーディアン紙に妥協案とまで表現している。
中国、ロシア、エリトリアではネットゼロ目標への反対が目立つ。中国は、2020年からのカーボンニュートラル成長は途上国に悪影響を与えると懸念し、途上国がこの目標を達成するために資金、技術、能力の援助を提供する国際的義務が先進国にあると付け加えた。
ロシアは、持続可能航空燃料の普及は非現実的で費用がかかるとし、ネットゼロ目標に反対した3カ国のうちの1つだ、Photo: Getty Images.
ロシアも同様の見解を示し、SAFの生産量増加の実現可能性や価格低減への影響で不確実性を指摘し、ICAOのLTAGに向けてさらなる検討を提案した。
ブリュッセルに拠点を置くNGO、Transport and Environmentは、ICAOがどのように目標を達成するのかと疑問を呈し、今回の結果を「空虚」で「期待はずれ」だと非難している。
同団体は、2030年までに排出量の3分の1以下しか対処できず、重大な汚染者の中国、ロシア、ブラジル、インドがCORSIAに不参加だと指摘している。CORSIAの85%ベースラインは、国際排出量の22%でのみ取り組めるように設定されており、オフセットが低すぎて、業界の脱炭素化のインセンティブにならない。
「これは航空業界のパリ協定ではありません。拘束力のない目標で、航空業界をゼロにするようなふりをするのはやめるべき」と、同団体の航空部長ジョー・ダルデンヌJo Dardenneは強調する。
「もし各国や産業界がこの意欲的な目標に真剣に取り組んでいるのであれば、EUをいじめて、出発便からの排出量に最終的な価格をつける計画をやめさせるべきだ。EUは、SAFの義務化と出発便の価格設定を進めるために、空約束をこれ以上待つべきではない」と述べた。
ICAO Commits To Net-Zero Emissions By 2025
BY
https://simpleflying.com/icao-net-zero-2025/
Molly Russell (187 Articles Published)
Journalist - With a degree in journalism, Molly joins the team with an interest in aviation's history, and its impact on politics, society, and culture. Molly has experience as a digital correspondent with Sky News. Based in Surrey, United Kingdom
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