2022年8月5日金曜日

60日連続飛行を目指す、無人高高度電動UASゼファーは現在も飛行中。無線中継ノードなどの用途が期待される。

 Army’s Zephyr Drone Is Still Aloft After 50 Days

無人航空機の世界記録を数週間前に更新したゼファーは今も飛行中で、記録を倍増させそうだ

陸軍のゼファーZephyrS超長距離無人航空機実験機は、6月に初めて記録更新の任務をはじめ、現在もアリゾナ砂漠の上空を飛行中で、少なくともあと1週間飛行を続けると思われる。

ゼファー成層圏UASは6月15日にユマ試験場(YPG)を離陸し、当初は30日間飛行を予定していた。オンラインの飛行追跡サイトでは、同機の飛行パターンが、YPGに隣接するアリゾナ州コファ国立野生生物保護区の上空で「50」をたどり、飛行日数がその日数を過ぎていた。

 

2022年8月4日、50日経過したゼファーの飛行経路。 ADS-B Exchange

エアバスが製造したゼファーSは、75フィートの翼の上面をソーラーパネルで覆い、太陽光を動力源としている。総重量は約165ポンドで、日中にバッテリーを充電した、夜間飛行用の電力を供給する。ゼファーは、このミッションでUASの連続飛行記録(26日間)を樹立し、現在はその約2倍を記録している。アリゾナ州からメキシコ湾上空をベリーズまで飛行するテストも実施した。

 

ゼファーは6万フィートでの巡航が可能。 Airbus

ゼファーSは、一般的に使用される飛行高度よりも高い成層圏を飛行する設計だ。RQ-4グローバル・ホークと同じく、主に6万フィート付近をうろつく。その高さであれば問題なく飛行できますが、乱流の多い対流圏(地球上空約35,000フィートまで)では、明らかに機体にリスクが生まれる。

「ゼファーは成層圏超長時間飛行のため特別に設計されましたが、ご推察の通り、成層圏の気象条件は対流圏と大きく異なります」とウィンクラーは言う。「試作機なので、飛行時間や着陸のタイミングの決定には非常に慎重なアプローチをとっています」。

成層圏では、ゼファーSは陸軍に多くの実用的な用途を実現する。エアバスによれば、電気光学/赤外線およびハイパースペクトルカメラ、受動周波数および合成開口画像機能を持つレーダー、その他の空中早期警戒装置、光検出および測距(Lidar)レーザー画像システム、自動識別システム(AIS)トランスポンダーを含む多くの装備品を搭載する。擬似衛星や高空飛行のセルタワーの役割を果たす通信中継ペイロードも、GPSが使えない環境でのナビゲーションと同様に、このシステムで注目される重要機能だ。陸軍は、搭載されているペイロードを明らかにしていない。

 

ゼファーは太陽電池を搭載し、先端から75フィートの翼で空を飛ぶ。Airbus

ゼファーSは、蓄電能力、バッテリーの寿命、ソーラーパネルの効率、所定場所に留まる能力などを検証するために、現在の飛行を計画した。ゼファーSは、国際空域での初飛行、水上での初飛行、衛星通信制御による最長連続飛行、市販ペイロードを搭載しての発射点からの最遠距離飛行など、初記録数点を達成している。

APNT/宇宙CFTのディレクターであるマイケル・モンテレオンMichael Monteleoneは、「超長時間耐久性のある無人プラットフォームは、陸軍の多層アーキテクチャの一部として、重要な軍事能力と信頼性の向上を提供する可能性があります」と述べている。 「近年、高高度プラットフォームの進歩には目覚しいものがあります。今回の実験では、各種ペイロードを実証し、成層圏運用の軍事的有用性を十分に検討し、ディープセンシング、長距離標的、弾力性のある通信の分野を近代化することによって、知識を構築できます」。

 

ゼファー自重は約165ポンド。 Airbus

ゼファーの2回目の飛行は「今後数週間のうちに」太平洋上空で予定されているが、機体が現在空中にあるため、飛行スケジュールが先送りになるかは不明だ。この飛行は、60日間上空に留まることができるかどうかを試すために予定されていたもので、この時点で不要になるかもしれない。2回目の飛行は、陸軍未来コマンドArmy Futures Commandが開発した試作ペイロードを戦闘司令部数個分にわたり実証し、高高度運用の必要要件を引き続き知らせるだったと、陸軍は述べている。

一定の重量以内であれば、基本的にどんなペイロードでも搭載でき、低コストで非常に長時間上空に滞在できるUASは、厳しい環境下で移動する陸軍にとって重要な能力となるはずだ。衛星打ち上げる費用や複雑さが不要で、高空を飛ぶゼファーは情報を収集し、敵の位置を監視し、前方展開した部隊、艦艇、航空機、司令部を遠距離で結ぶ通信ノードとして機能できる。

低速無防備の無人機は、敵の戦闘機や防空システムの格好の餌食になるが、ゼファーや同様の超軽量・超高性能の無人航空機は、様々な形やサイズのシステムを何層にも重ねて、比較的安価に多層構造の戦場通信基盤を構築する方法となる。とはいえ、どこまで程度検出可能なのかさえ明らかではない。

今回の実験で示された耐久性は、中国の拡張主義に対抗して米軍がプレゼンスを高める予想の広大な太平洋での作戦に最適だ。しかし、実際にはどこでも使える。持続的な情報、監視、偵察、すなわちISRは、戦闘指揮官がしばしば望むトップリストである。Defense DailyのMatthew Beinartが最近報じたように、広大なアフリカ大陸を監視するためには、長時間稼働する監視システムが必要となる。ゼファーのようなUASは、その要求に応えることができそうだ。■

 

Army's Zephyr Drone Is Still Aloft After 50 Days | The Drive

BYDAN PARSONSAUG 5, 2022 5:23 PM

THE WAR ZONE


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