2022年1月11日火曜日

北朝鮮ミサイル発射が原因か、FAAが米西部で全機運航一時停止を命令していた(2022年1月11日)

 




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MICHAEL H—GETTY IMAGES

 

 

西海岸、ハワイを中心に民間機に地上待機を命じた奇妙で説明のないままの措置は1月10日の北朝鮮弾道ミサイル発射直後だった。

 

邦航空局が昨日2:30 PM PSTごろ米国西部からハワイにかけて全航空機に地上待機を命じた件についてやっと公式発表が出てきた。措置があったと確認できたものの、未回答の点が多く、特に最重要な点、つまりそもそもこの決定を下した理由とは何だったのかが不明のままだ。

 

 

連邦航空局(FAA)は命令発出後20時間以上の本日、声明を発表した。The War ZoneはFAAに質問を送っていたが、いまだ回答がない。

 

FAA声明文で今回の事態に関する部分は以下の通りだ。

 

安全策としてFAAは一時的に西海岸沿いの一部空港で出発便を止めたた。月曜日夜のことだ。15分後に完全運航を再開した。FAAは予防安全策を定期的に行っている。事態が落ち着き次第今回の措置を検分する。

 

この声明文に興味をそそられる点がある。まず、航空管制記録は公開されており、地上待機となったパイロットとの交信でこの措置は西海岸限定ではなかったことがわかる。ハワイ州ホノルルでも同様の指示が出ていた。

 

アリゾナ州ユマに向け飛行中だったパイロットがThe War Zoneに語ってくれた。ユマは西海岸から150マイル内陸部にある。緊急通報は「全国規模の地上待機」とされていた。ここからこの措置は出発便のみが対象ではなかったのがわかる。その他の航空管制音声記録では直ちに着陸を命じられた機があったことがわかる。

 

FAA声明には「安全予防策」は何のためだったのか言及がない。バーバンク(カリフォーニア州)の鉱区管制官が音声記録で不特定の「国家安全脅威」に言及しているのがわかる。

 

地上待機命令は北朝鮮ミサイル発射と関連があったとの報道が出ている。FAA指示が出た時間とほぼ一致する。確かに全く無関係とも言い切れない。ロシアのミサイル演習でドイツの米空軍中心基地のラムステイン航空基地に向かう弾道ミサイルが2020年に探知されたことがある。こうしたミサイルが米本土はもちろんハワイや太平洋の米領に向かう可能性はある。

 

そこで米戦略軍(STRATCOM)に本日早朝に照会したところ、今回のミサイル発射が米国あるいは各地の米領土に対し脅威と認定されたのかについて広報係は肯定も否定もせず、FAAに聞いてほしいと回答してきた。米カナダが共同運営する北米防空司令部 (NORAD) からは北朝鮮ミサイルに関し警告は出していないとの回答で、同日にCNNが報じた内容を否定していた。CNNからはNORAD関係者の談として北朝鮮ミサイル発射は米国への脅威ではないと即座に判定されたと伝えている。

 

FAAが対応を迫られる脅威は枚挙にいとまがない。中には本当の脅威もあるが実はそうではないものもある。2021年1月にニューヨーク地区の航空管制官が脅威対象となる無線交信を傍受していたが、信ぴょう性が低いものだったと判明した。「水曜日に連邦議事堂に一機激突させる。ソレイマニの復習だ」とのデジタル音声記録があったといわれ、実際に1月3日に米軍がイランのカセム・ソレイマニ将軍を殺害していた。

 

とはいえ、STRATCOMからFAAにどんな情報が流れたのか不明だし、北朝鮮のミサイル発射試験で何らかの脅威情報が伝えられたのかも不明だ。このため、NORADから警告は出していない、今回のミサイルが脅威対象にはならなかったとの発言がある中で今回の措置が取られたことに興味を覚える。

 

その他の脅威について報道があり、真実かどうかはともかく、FAAの一部がコンピュータハッキングされた、単純な間違いだったとかの説も可能性はあるが、いずれも北朝鮮ミサイル発射と無関係だ。現時点では判断しかねる。

 

FAA声明文の内容が極めて限られたもので、大規模事態特有の情報の不在が感じられる。全体像に触れていないだけでなく、今回の措置とした理由にも触れていない。照会中の各機関から回答が入り、事態が解明されれば当日の状況がすべてわかるのだが。

 

本件については情報を入手次第、続報をお伝えすることとする。■

 

FAA's Statement On Mysterious Air Traffic Halt Leaves More Questions Than Answers

 

BY JOSEPH TREVITHICK JANUARY 11, 2022



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