国際宇宙ステーションの想像図 - 現在、衝突の危機にさらされている... [+]ゲッティイメージズ
国際宇宙ステーションは、宇宙へ進出する人類の運命の象徴であり、NASAが計画している南極海への墜落から救われなければならない、と全米宇宙協会の理事が述べている。
国際宇宙ステーション(ISS)は、世界的な技術社会の頂点であるだけでなく、「宇宙外交」の勝利の象徴でもある。すなわち、大陸を越えた宇宙飛行大国の画期的な成果を融合したもので、未来の市民のために保存すべきです、と宇宙協会の共同代表で、宇宙文明創造を主要な使命とするマドゥ・タンガヴェルMadhu Thangaveluは述べている。
自由世界の理想の象徴であり、理想郷の未来創造へ向けた異文化間の探求の場である国際宇宙ステーションは、より高い軌道に聖域として設置されるべきであると、南カリフォルニア大学で未来型宇宙建築スタジオを主宰するタンガヴェル教授はインタビューで語った。
推進
タンガヴェルは、6月に発表されたNASAの計画に大きなショックを受けた世界中の宇宙学者の1人にすぎない。その計画とは、1000億ドルを投じて建造された国際宇宙ステーションを、2030年頃に南極の遠洋に衝突させて爆発させるという、最後の特攻飛行に送り出すというものだ。
彼は、NASAによる「墜落・燃焼」計画を、ISSを遠い未来まで保護するための戦略として、かつて欧州宇宙機関(ESA)とNASAが提唱した対抗策に置き換えることを支持していると述べている。
国際宇宙ステーション(ISS)が地球上空400キロメートルで組み立てられていた当時、ESAの事務局長であったジャン=ジャック・ドルダンと、米国での同僚マイケル・グリフィン前NASA長官は共同して、ISSを人類の創造性の優れた象徴として保存するよう、ISSのパートナー5カ国すべてに呼びかけている。
ドルダンはインタビューで、国際宇宙ステーションは海に沈めるのではなく、これから生まれる天体物理学者や宇宙飛行士、宇宙ファンへの贈り物として、上方に推進させるべきだと私に語った。
NASAはスペースXに、ISSを深海に導く暗殺宇宙船の設計を依頼しているが、宇宙開発を担う2機関のリーダーが、同じスペースXのブースターをISSの救助に使用し、より高い高度で新たな生命を与えることができると述べている。
スペースX-ISS飛行を復活ミッションに変えることは、「米国が有人宇宙飛行のリーダーであり続け、その卓越性を維持し、宇宙における種としての遺産の保存のような新たな領域を開拓したいと願うのであれば、正しいことである」と、NASAの先進概念研究所の元研究員であり、フランスに拠点を置く国際宇宙大学の学者でもあるタンガヴェルは述べている。
「ISSは多くの点でユニークな施設だと思います。科学や工学はさておき、地上の敵対国同士でさえも、今日まで平和的な国際協力の道を開いてきました。
「ISSは自由の象徴です。そして、これほどまでに強力な国際協力体制がとられた施設はかつてありませんでした。」
「NASAは、欧州、ロシア、日本、カナダの各宇宙機関と提携し、ISSに関する政府間協定を書き換えることで、宇宙ステーションの運命を再構築すべきです」。
アメリカのスペースシャトル「ディスカバリー」は、上空400キロメートルで建設中のISSを支援するために派遣された。... [+]ゲッティイメージズ
「ISSには、国家政策や外交に関連する歴史的、象徴的な意義が依然として存在します」と彼は言う。そして、その象徴性は、別の軌道面でび第二の人生を通じて輝き続けるでしょう。
タンガヴェル教授は、次世代のためISSを守ろうという動きに参加している、先進的な宇宙学者やニュースペースのリーダーたちの拡大する集団の一員だ。
国際宇宙ステーションの神話的な誕生と宇宙での生活について、世界屈指の語り部である人物は、時が来るのを待っている無数の探検家たちのために、ISSを保存すべきだと訴えている。NASAの元チーフ・ヒストリアンであるロジャー・ラウニスは、宇宙時代の英雄的象徴としての役割を認識し、ステーションを軌道上の避難場所に移動させるべきだと述べている。そうすれば、壮大な宇宙冒険を新たな時代に広げることができるだろう。
「セーブ・アワー・ステーション(SOS)」運動の旗手であるリック・タムリンソンは、国際宇宙ステーション(ISS)を守るため連邦議会議員に働きかける一方、かつてのISS宇宙飛行士に救出作戦への参加を呼びかけるなど、訴えかけを行っている。タムリンソンは、ベンチャーキャピタル企業スペースファンドを通じて、地球低軌道でISSに代わる予定の独立型宇宙ステーションに投資している。また、宇宙前哨基地を守るために、ニュースペース部門全体にわたって支援者を募っている。
一方、宇宙ステーションや月面基地、その他の地球外前哨基地の概念設計者であるタンガヴェル教授は、国際宇宙ステーションは、彼が構想する国際宇宙人工物博物館で完璧な中心となると述べている。この博物館は、地球と月のラグランジュ・ポイントL1を周回する、宇宙開発の進歩を象徴する空に浮かぶ幻想的な要塞となる。
この初の天体博物館複合施設に関するセンセーショナルなマスタープランにおいて、タンガヴェルは、地球への落下の危機に瀕しているハッブル宇宙望遠鏡もいつの日か救出することを目指しており、地球初のテクノ文明の隆盛を物語る航空宇宙工学および設計の傑作とともに、その望遠鏡を保護するつもりである。
NASAが委託したSpaceXのブースターは、ISSを「パーキング軌道」に運ぶことができるが、ISSの太陽電池アレイで動く、まだ完成していない電気スラスタが最終的には、ISSを遠く離れたラグランジュL1目的地まで加速させることができるだろう、と彼は言う。
「中国はすでに、高度な電気推進を使用して、天宮軌道ステーションを維持しています。私たちは、ISSを飛行させ続けるために、同様の技術を使用すべきです。
「電気推進ははるかに効率的で、ISSに必要とされる、より穏やかな推力を継続的に発生させることができます。ISSを通常の化学スラスタで少し加速させれば、まさに私たちが求めているものとなります」。
将来の高度な電気推進システムによって推進されるISSが飛行中 [+]Madhu Thangavelu氏によるISS飛行中のレンダリング画像、Madhu Thangavelu氏提供
「ISSには、まだまだ長い耐用年数があると思います」と彼は付け加える。NASAが2030年にISSの廃止を決定した場合、ISSの運用管理をスペースXに引き継ぐ案も検討されるかもしれない。スペースXは、宇宙ステーションを「宇宙観光スポット」として数年間再開し、その後ISSを博物館に転換する可能性もある。
ISSの廃棄計画を概説した最初の「ISS移行報告書」の中で、NASAは、2031年までに軌道上の実験施設の運用コストを13億ドル節約できると予測し、浮いた予算を月面ミッションの拡大に充てることができると発表した。
しかし、NASAのために、その何倍もの額を節約できる包括的な宇宙飛行戦略を考案したと、タンガヴェルは言う。NASAは、月軌道上の宇宙ステーション「ゲートウェイ」の建設計画を放棄すべきである。この計画は、月のクレーターが形成された太古の昔からほとんど進歩していない宇宙飛行士の着陸計画を推進する上で、ほとんど役立たない余計なプロジェクトだという。
構想中の4つのモジュールからなるゲートウェイは、NASA主導の北米、日本、欧州による月の南極付近への着陸計画に不必要な複雑さと費用を追加するものであり、2020年代に予定されている月面歩行ミッションに悪影響を及ぼさじ廃止できる、と彼は言う。
ゲートウェイ構想を放棄すれば、NASAとパートナーは、月の極域周辺の溶岩洞や「永遠の光の頂」の探査に焦点を絞り、同時に、人類初の月面居住地の候補地を地図化することができると、彼は付け加えた。
「月の溶岩洞は、過酷な宇宙環境や月面環境から自然に守られた、恒久的な居住地を建設する理想的な場所でしょう」と、月の新しい文明の第一波となる聖域をロボットで建設することについて、幅広く執筆しているタンガヴェルは述べている。
新世紀で初となる月面着陸の際には、アルテミス計画の宇宙飛行士たちは、NASAがスペースXに飛行を依頼した巨大な次世代型宇宙船で降り立つことになる。スペースXの超大型宇宙船カプセルは、1100立方メートルの加圧された居住空間を備え、国際宇宙ステーション(ISS)の居住スペースとほぼ同等の広さがある。この宇宙船は月軌道上で、素晴らしい観測所としても利用できる可能性がある。
SpaceXのスターシップ超大型カプセルの初期プロトタイプ。. [+]AFP via Getty Images
一方、宇宙建築家のタンガヴェルは、再生された国際宇宙ステーションと、その幽玄な新しい家である国際宇宙人工物博物館の中心部について、彼の拡大し続けるビジョンを、2025年半ばに発表予定の宇宙に関する大著『The Moon: Resources, Future Development and Settlement』第3版で精巧に描いていると述べている。
同書では国際宇宙ステーションが今後数世紀にわたって地球と月のラグランジュ・ポイントの最初の軌道を巡る様子が、緻密に描かれている。国際宇宙ステーションは、おそらく天の川銀河で最も新しい宇宙進出文明となる人類の進歩を象徴する灯台として輝くことだろう。■
Saving The ISS By Transforming It Into A Fantastical Floating Museum
Kevin Holden PlattContributor
Kevin Holden Platt writes on space defense, SpaceX, ISS, Space War I
Nov 9, 2024,01:21pm EST
Updated Nov 9, 2024, 04:21pm EST
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