Photo: ATR
ATRは、新しい42-600S STOL型で、最大市場のアジア太平洋地域で新しい市場の開拓をめざす
ターボプロップ市場のリーダーとして、フランスに拠点を置くATR(エアバスとレオナルドの合弁事業)は、成長市場で新しい機会を一貫して探している。アジア太平洋地域は、老朽機材、厳しい高温高度の環境、遠隔地を結ぶ必要性などがあり、ATR機に適した市場だ。
ATRがこの地域に有望と見る機種に、開発中のATR 42-600Sがある。同社によると、同機は短距離離着陸(STOL)ターボプロップで2025年に就航する。5月にフランスのトゥールーズ・フランカザール空港(LFBF)から2時間15分のフライトで初飛行に成功した。その後、2023年の認証フェーズに移行できるよう、各種地上試験や飛行試験を行っている。アジア太平洋地域では、多様な旧式STOL型航空機の入れ替えが必要で、ATRセールスディレクターのMavis Tohにとってチャンスとなる。
STOLフライトテストは順調に進行中
The Edge Malaysiaのインタビューに応じたTohは、ATRの焦点はオペレーターがパンデミック前水準まで運行を回復させることにあり、STOL航空機に多くの機会があると見ていると述べている。
「当社の市場調査によれば、世界約500の空港で滑走路の長さが800メートルから1000メートルの間にあることが分かっています。私たちは、ATR42-600Sでこのセグメントに参入する機会があると見ています」。
ATR42-600Sは、既存のATRが1050mの滑走路を必要とするのに対し、800mという短滑走路に着陸できる。40〜50席と座席数が多いため、リージョナル航空会社が好む19席のDHC6-400Twin-Otterなどの代替機となる。マレーシアでは、42-600Sがあれば、サバやサラワク、ティオマンなど離島への地方航空路線にも対応できるという。
この地域でATRを最も多く運航しているのは、マレーシア・アビエーション・グループの子会社、ファイアフライ、MASwings、バティック・エアで、このうちch-aviation.comによると、ファイアフライは9機のATR 72-500を、MASwingsは10機の72-500を、そしてバティック・エアは10機の42-600を運航している。72-500は12年から14年前の機体で、プラット&ホイットニーの127XTエンジンを搭載した新世代のATRに置き換える時期が来ていると、Tohは言う。新型P&Wエンジンは、メンテナンスコストを20%削減し、燃料効率を3%向上させ、今年中にすべてのATRに標準装備となる。
アジア太平洋地域はATRの最大市場
アジア太平洋地域(中国を除く)は、ATRにとって世界最大の市場であり、約500機が納入されている。ATRの航空機の約40%が必要不可欠な路線で運航中で、パンデミック中も運行し続けていた、とトーは言う。
「世界的には、パンデミック前の約80%の水準まで回復しています。アジア太平洋地域では、フィリピンから急速に回復中ですが、ニュージーランドとインドがリードしています」。
ATRは、2022年から2041年の市場予測で、アジア太平洋地域では2041年までにターボプロップ975機が必要となり、中国で280機が必要になるとしている。世界全体では2,450機が必要との予測があり、今後納入する半分強がアジア太平洋地域と中国向けになることを意味する。ATRがこの地域に期待するのも不思議ではない。■
ATR Eyes Asia-Pacific STOL Opportunities
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