2022年9月2日金曜日

アジア太平洋がトップの座を降りた。21年の旅客トラフィックは北米が一位。COVIDの影響が抜けない中、APACが再び首位に戻るのはいつになるのか。

 

Photo: Vincenzo Pace | Simple Flying

 

アジア太平洋のシェアは2020年世界旅客数の40%から2021年に27%へ低下し、トップの座を北米に奪われた

 

 

ータ・インテリジェンスと分析を専門とするCiriumが2021年航空旅客数ランキングを発表した。ランキングで米国の航空会社が旅客輸送量の上位4枠を占め、2021年に北米が輸送量の最大地域だったことが示されている。ランキングは、航空会社600社以上から得たCiriumトラフィックリターンに基づく。

 

世界全体の旅客輸送量は2019年に47億人とピークに達したが、2020年に60%以上急落した。2021年は29%増の23.5億人だったが、それでもパンデミック前の2019年の半分に過ぎない。RPK(Revenue Passenger Kilometers)で測ると、崩壊は鮮明で、2021年は2019年のわずか43%水準にとどまっている。RPKは、航空機に搭乗した有償乗客の数に、航空機の移動距離を掛けて算出される。

 

中国南方航空がアジア太平洋地域でトップ

中国南方航空は、Ciriumの2021年旅客輸送量ランキングで、アジア太平洋地域の航空会社で最高位にランクされた。写真 Vincenzo Pace I Simple Flying(ヴィンチェンツォ・パーチェ・アイ・シンプル・フライング

 

RPKを基準にすると、アメリカンエアラインズが2億3747万人でトップ、デルタエアラインズ(1億9531万人)、ユナイテッドエアラインズ(1億7850万人)、サウスウエストエアラインズ(1億6660万人)の順だった。トップ10に入った米国の航空会社はこの四社だけで、他の6社はライアンエアー中国南方航空エミレーツカタール航空中国東方航空トルコ航空だった(順番に)。旅客数では、アメリカンが再び1位となったものの、格安航空会社が目立つ。残りのトップ10は、サウスウエスト、デルタ、ライアンエアー、ユナイテッド、中国南方航空、中国東方、IndiGo、トルコ航空であった。

 

2020年はすべての地域で大きく落ち込んだが、2021年の旅客数が2020年に比べ減少したのはアジア太平洋地域だけだった。2019年、中国が主に牽引するアジア太平洋(APAC)は、RPKで世界のトラフィックの34%を占め、航空で世界の中心地となった。2020年は中国の国内旅行が強い需要を維持し、APACの世界シェアは40%に引き上がり、ヨーロッパ(25%)と北米(22%)を大きく引き離した。しかし、2021年に状況が変わり、北米が30%、APACと欧州が27%となった。

 

APACの凋落は、香港、韓国、日本を含む北アジアのうち中国で厳しいロックダウンが適用された時点にまでさかのぼる。最も壮絶な例がキャセイパシフィックで、ロックダウンで、世界で最も忙しい空港の1つだった香港空港がゴーストタウンに変貌し、2019年の16位から2021年の150位に転落した。中国のビッグ3、中国東方航空、中国南方航空、中国国際航空は2021年に順位をキープしたが、中国のロックダウン政策で、2022年にはおそらく変わるだろう。

 

 

タイがトップ200から脱落

タイエアウェイズは、旅客数上位200社から転落した。写真 タイ国際航空

 

2021年の本格的な回復の不在は日本にも表れており、全日空日本航空は2021年も2019年水準から75%ダウンしている。韓国の航空会社、コリアンエアアシアナエアラインズはもっとひどく、昨年は2019年比で90%近くも下がった。東南アジアでは、タイエアウェイズマレーシアンエアラインズが200位以内から脱落し、LCCのエアアジアは2019年の44位から178位に留まった。APACではインドのIndiGoが2019年の26位から2021年に10位に上昇し、稀に見る勝者となった

 

オーストラリアでは、カンタスが77位(44位から)で最高位で、ジェットスターが90位(64位から)、ヴァージン・オーストラリアが92位(60位から)と続いた。エアニュージーランドは117位で、2019年の55位から下がったが、これもロックダウン・ポリシーが厳しい国の例だ。

 

APACは王座を失ったが、中国、香港、日本、韓国が世界の航空界に再登場すれば、立ち直るはずだ。厳格なロックダウンにもかかわらず、APACの航空会社は上位50位のうち13社を埋めており、IndiGo、エアインディアシンガポールエアラインズが含まれている。■

 

Asia-Pacific Airlines Down But On The Way Back To Better Times

BY

MICHAEL DORAN

 

 

Michael Doran (282 Articles Published)

Journalist - A professional aviation journalist writing across the industry spectrum. Michael uses his MBA and corporate business experience to go behind the obvious in search of the real story. A strong network of senior aviation contacts mixed with a boyhood passion for airplanes helps him share engaging content with fellow devotees. Based in Melbourne, Australia.

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