Source: SkyWest Airlines
ケープエア Cape Air、コミューテアCommutAir、スカイウエストエアラインズSkyWest Airlinesなど全米のリージョナル航空各社は、パイロット不足の影響を一番深刻に受けている。
航空需要急増に対応し、米国の大手航空会社がリージョナル航空会社の機長を「ストリップマイニング」していると、コミューテアのCEOロック・ヘフラーRock Hoeflerは9月20日、ワシントンDCの年次リージョナル航空会社協会(RAA)リーダー会議でFlightGlobalに語った。
エンブラエルERJ-145でユナイテッドエアラインズ向けフライトを運航するコミューテアー(本社クリーブランド)やその他リージョナル各社にとって、機長不足の解消が大きな問題になっている。
「各社の状況は全く同じです」(ヘフラー)。
会議では各社幹部から、収益や米国内の各地域でのサービス提供能力の観点で、リージョナル航空会社がパンデミックによる低迷から完全に立ち直るには10年かかるとの声が出た。
スカイウエストCEOのチップ・チャイルズChip Childsは、「5年か10年先には、非常に良い回復になりそうだ」と言う。「しかし、業界は、おそらくまったく別の姿になっていると思う... 今と別の収益モデルにする必要があるかもしれません」 。
路線削減、縮小
米リージョナル航空業界で急激な縮小が進んでいる。3月、ユタ州セントジョージに拠点を置くスカイウエスト(アラスカ航空、デルタ航空、ユナイテッド航空と契約)は、パイロット不足を理由に小都市29地点へのフライトを取りやめた。
また、今春、ユナイテッドはリージョナルネットワークで数十路線を削減した。へフラーは、コミューテアがパイロットを何人の雇う予定か明言を避けたが、同社にパイロットが不足していることは認めている。
「当社はユナイテッド専属で飛んでいるので、ユナイテッドが資産をどこに割り振るか次第で厳しい選択をしなければならない」とへフラーは言う。「104機あるのに、64機しか飛ばせないというのは、明らかにプレッシャーだ」。
ケープコッドを拠点とするリージョナル航空会社のケープエアも同様で、長年サービスを提供してきたカリブ海の4地点への運行を最近減らしたと、CEOのリンダ・マーカムLinda MarkhamはFlightGlobalに語っている。また、イリノイ州クインシーとアイオワ州バーリントンへの運航を取りやめる申請をしている。
「現在もこの地域に飛んでいるが、スケジュールを縮小している」とし、「バーリントンは当社に残ってほしいと思っており、パイロットの採用や訓練で画期的な方法を見つけようと一緒に仕事したいと言ってきている」。
ケープエアは最近、ケープコッドとナンタケット島を結ぶ重要路線でも減便した。2019年夏、同社のセスナ402はこの路線を毎日最大で12回シャトルしていた。昨夏、ケープエアは同ルートを毎日1~3回飛行していた。
Source: FlightGlobal.
2020年2月27日、ボストン・ローガン空港にて、ケープエアのTecnam P2012 Traveller。同社は同型を2機保有。
リモートワーク革命による「脱都市化」で、小規模都市へのフライト需要が高いにもかかわらず、便数が減少していると、へフラーは言う。
モンタナ州のボーズマンなどでは運賃が上昇している。「生活が楽なところだからで、そこから勤務すればいい」。
プレッシャー
業界全体の現象だが、コミューテアの副操縦士多数でも、機長昇進を辞退する傾向がある。理由にいくつか要因が考えられるとへフラーは言う。
昇進を試み失敗すれば、パイロット履歴書に傷がつく。副操縦士多数は、大手航空会社を視野に入れているかもしれない。言うまでもなく副操縦士給与はかつてないほど良くなっている。
コミューテアの副操縦士は、最新契約では時給72ドルから。機長は時給100ドルからとなっている。
「機長になる経済的利益を求めず、むしろ半年か1年待って、大手採用を望んでいるかもしれない」(へフラー)。
パイロットの給与が高いことも、リージョナル航空に圧迫要因の一つだ。チャイルズは、スカイウエストが「賃金について神経質になっている」と認めたが、業界の多くで、賃金が維持できなくなるかもしれないと述べている。
コミューテアは、パンデミックからの回復に苦労しているが、へフラーによると、同社は「オミクロンの本当に厳しい部分」から立ち直れたという。
同社は、今後はERJ-145をこれ以上駐機させておくつもりはない。へフラーは、来年夏までに「機長問題のプレッシャーを少し軽減」できると期待している。■
By Howard Hardee, Washington, DC24 September 2022
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