パンデミックからの実需回復に対応できない航空業界の課題は魅力的な技術の実用化であり、人材をもっと大切にすることだ
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Baggage blues
パンデミックの打撃を受け、閑散としたターミナル、台無しになった旅行計画、駐機中の機材の列、休止中の生産ライン、望まれない眠りから目覚める際に業界が直面するはずの膨大な課題リストをあらかじめ考えようとする人は皆無に近かった。
すべてがCovid-19からの回復の結果ではない。ウクライナ危機でチタンなど原材料不足が深刻化している。半導体の主産地台湾を中国が封鎖するとの観測もあり、神経をとがらせている。
世界有数のハブ空港ロンドン・ヒースローは、1日10万人の出国者数制限を10月末まで延長した。昨年は旅行制限のため、空港経営が傾いたのに、今はビジネスが立ち行かなくなっている。
一方、最大手エンジンメーカーを含む航空宇宙企業は、部品調達が間に合わず、納期を逃すと警告している。ここでもまた、需要不足ではなく、サプライチェーンの供給不足で航空宇宙産業は停滞している。
なぜ、このような事態に陥ったのか。もはや、Covid-19のせいとは言えない状況だ。中国のような例外を除けば、ほとんどの国が2022年初頭まで空の旅を妨げるルールを解除し、ほとんどの人が再び自由に空を飛べるようになっている。少なくとも理論上は。
カギは人手不足だ。2020年第2四半期に収益が減少し、コスト削減のために従業員の解雇や一時解雇を急いだ企業は、元従業員の多くが元の職場に戻ってきていないのに気づいている。
代わりになる新しい人材を見つけるのは簡単ではない。手荷物運搬係や機械オペレーター、パイロットや設計エンジニアの育成には時間がかかる。また、セキュリティ・クリアランス取得が必要な場合も多い。航空分野や航空宇宙工学のキャリアには、以前の魅力はない。
航空業界は、この件から教訓を2つ学ばねばならない。どちらも当面の問題を解決することはできないが、少なくとも将来同じようなシナリオが起こるのを阻止する方向に向かうはずである。
ひとつは、技術の限界を押し広げ、長距離の移動を可能にし、人類の幸福の総和に貢献するという点で他の追随を許さない航空宇宙・航空産業で、若い人々を惹きつけ、キャリアを積むことを決意させる努力がもっと必要だ。
もうひとつは、自動化が進んでいるにもかかわらず、ほとんどすべてのビジネスにおいて、人材が重要資産であることに変わりはないということだ。多くの従業員は、会社への忠誠心や自らの職業に誇りをもっている。激動の時代に経験豊富な従業員を切り捨てることに熱心な企業は、ダウンサイジングよりもアップサイジングの方がはるかに難しいことにすぐに気がつくはずだ。■
Why aviation sector is struggling to scale up after pandemic woes | Opinion | Flight Global
20 August 2022
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