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世界最長の直行便は19時間20分(Simply Flying)
信じがたいことだが、シンガポール航空が世界最長直行旅客便の運航者の座を失った。その座を奪ったのは、あまり話題に上らない中国系航空会社厦門航空(Xiamen Air)だ。同社のニューヨーク・JFK発福州行き便のブロックタイムは19時間20分。この路線自体は新規ではない(2017年から2020年まで運航され、2024年に再開)が、ブロックタイムがこれほど長くなったのは初めてと思われる。
両空港間の最短距離(大圏距離)は片道6,752海里(12,505km)と確かに長いが、この驚異的な所要時間の真因はロシア領空を回避するためだ。
11月/12月時点の世界最長の直行路線
掲載路線の最大ブロック時間(離陸準備完了から着陸準備完了まで)は18時間10分から19時間20分である。こうした記事の問題点は、読者が他の直行路線の所要時間と誤解する可能性があることだ。実際、多くの路線で相当な時間がかかる。
カンタス航空は、世界第3位の旅客数を誇るダラス空港からメルボルンへの直行便(17時間40分)など、超長距離直行便を複数運航している。その他にもパース~ロンドン・ヒースロー(17時間40分)、JFK~オークランド(17時間40分)、パース~パリ・シャルル・ド・ゴール(17時間35分)などがある。
ユナイテッド航空はサンフランシスコ~シンガポール(17時間40分)、ヒューストン~シドニー(17時間35分)、シンガポール航空はロサンゼルス~チャンギ(17時間50分)、サンフランシスコ~チャンギ(17時間30分)などを運航している。エア・インディアも該当する便があったが、現在はサンフランシスコ発の便が途中コルカタを経由してバンガロール・デリーに向かうため対象外となる。
厦門航空 JFK発福州行き
クレジット: Flightradar24
この超長距離路線は特異なケースだ。厦門航空は米国行き・帰りのルートでロシア領空を通過しないため、ブロックタイムは必然的に通常より大幅に長くなる。また、大圏距離の差でより長い中国東方航空のJFK→広州路線などと比べても、有意に長い。
厦門航空がロシアを回避する一方、中国国際航空、中国東方航空、中国南方航空はロシア経由でより短く速いルートを利用している。キャセイパシフィック航空も米国/カナダ路線でロシア上空を飛行する場合がある。そのため、同社の所要時間は必然的に厦門航空より短くなる。例えばキャセイのJFK→香港便は最大16時間25分、中国南方航空の広州便は最大16時間20分である。厦門航空の所要時間は明らかに突出している。
ビッグアップルと福州間の市場規模は大きい。多くの中国移民が中国福州地域出身であるためだ。NYCには「リトル福州」さえ存在する。2025年7月までの12ヶ月間の予約データによると、両都市間を往復した旅客数は16万人だった。これはJFK-広州線(98,000人)やJFK-北京線(140,000人)を大きく上回るが、JFK-上海線(195,000人)には及ばない。JFK-福州線はキャセイパシフィック航空にとって米国最大の経由地市場だった。
1回乗り継ぎで最長の路線は?
直行便から乗り継ぎ便へ移ろう。12月4日、中国東方航空が上海浦東からオークランド経由でブエノスアイレスへ就航する。クリスマスと南半球のピークシーズンに間に合うように開始される。777-300ERで週3便運航されるこの乗り継ぎ便の最大所要時間は29時間となる。
この最大所要時間はアルゼンチンから中国へ戻るニュージーランド経由便に適用される。さらに悪いことに、ブエノスアイレス発の便は深夜2時という過酷な時間帯に出発する。乗客は翌日の18時にようやく中国に到着することになる。■
The World's New Longest Nonstop Flight Is 19 Hours 20 Minutes
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