FAAがボーイング787の前方圧力隔壁検査を求めるADを発行か―製造工程で品質を作り込むことがここまで不得意なボーイングに驚くばかりだ

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Photo: Ryan Fletcher | Shutterstock


メリカ連邦航空局は、787-8、787-9、787-10各型の機体前部で過度の隙間について検査を義務付ける指令案を発表した。文書は今週発表されたもので、前方の圧力隔壁で見つかった不適合に言及している。


FAAの提案内容は以下の通り。

この措置は、前方圧力隔壁(FPB)の組み立ておよび設置中に、過度の隙間や引き上げを含む複数の不適合が見つかったとの報告を受けて実施される。


耐空性指示書(AD)案は、ボーイング787のFPBに損傷がないか内部および外部で詳細な検査を行い、該当するオンコンディション措置を実施することを要求する。 FAAはまた、このADは 「これらの製品の安全でない状態に対処する」ため必要としている。


FAAによると、今回の指令案では、前方圧力隔壁の組み立てと取り付けの際に複数の不適合が見つかったという。具体的には、同文書は次のように言及している:


「これらの状況は、不十分なクランプアップと製造工程要件への不適合に起因するものである。ファスナーの接合部に共通するY字コードとアタッチアングル間に隙間があるのが見つかり、部品間に異物の破片(FOD)が挟まれたり、穴あけ後の穴周囲にバリが発生する。

 「この状態に対処しなければ、未検出の疲労亀裂が発生し、限界荷重に耐えられない一次構造の弱体化に発展する可能性があり、航空機の構造的完全性に悪影響を及ぼす恐れがある」。

 ボーイングはすでにこれに対応したガイダンスを発表している。

2024年10月、同社は前方圧力隔壁に隙間がないか一度だけ目視点検することを推奨するアラート要件公報を発行した。シアトル・タイムズ紙によると、このガイダンスは、12年または24,000フライトサイクルに1度行われる787の重整備点検を強化したものだという。


写真 ボーイング

 ボーイングの広報担当者は、点検の結果、過度の隙間は発見されなかったとし、今回の指導案に対して次のように述べた:「当社はFAAがこのガイダンスを義務化することを支持しており、就航中の各機は通常運航を続けることができる」。

 FPBに関するこれらの問題は、少なくとも2021年から知られていたため、まったく新しいものではない。当時の計画では、製造後に引き渡されていない787型機の不具合に対処してから、就航中のドリームライナーに修正を適用する必要があるかどうかを判断することになっていた。


写真 Michael Doran I Simple Flying

 皮肉な運命のいたずらであるが、欠陥のために納入されなかった122機のドリームライナーをボーイングが手直しする長いプログラムを完了しわずか数週間後に、今週のニュースが飛び込んできた。 FAAは、このADが米国で登録された135機に影響し、米国の運航会社にかかる費用は1機あたり約850ドル、合計で114,750ドルになると見積もっている。


 FAAが提案した指令は、運航会社は2024年10月5日付けのボーイングのAlert Requirements Bulletinの達成指示に従い、該当するすべての措置を取るべきであると述べている。この文書では、ボーイングが承認し、FAAが認可した場合、許容可能な安全レベルを提供する代替遵守方法(AMOC)を認めている。

 FAAはこの耐空性指令の発行を提案し、2025年4月28日までに検討のための意見を提出するよう関係者に呼びかけている。意見には、この提案に関するあらゆる関連データ、意見、主張を含めることができる。  FAAによると、最も有用となるコメントは、提案の特定部分に言及し、推奨される変更理由を説明し、裏付けデータを含めることである。

 事業上の機密情報やその他の特定情報を除き、FAAは寄せられたすべてのコメントを、提供された個人情報を含め、変更することなくregulations.govに掲載する。 FAAは、締切日までに受領したすべてのコメントを検討し、コメントに基き提案を修正する場合がある。■


FAA To Require Inspections Of Boeing 787 Forward-Pressure Bulkheads

By 

Michael Doran

https://simpleflying.com/faa-require-boeing-787-forward-pressure-bulkhead-inspections/


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