Synhelion
太陽光からジェット燃料を作る技術の実用化が見えてきた。SWISSが太陽熱合成燃料を使う初のエアラインとなる
スイスのクリーンエナジー新興企業シンセリオンSynhelion https://synhelion.com/ は、再生可能エナジー源としての太陽から持続可能な航空燃料(SAF)の製造技術を開発した。同社は太陽熱合成ガスを工業規模で製造し、2023年にカーボンニュートラルなジェット燃料を製造すると8月18日に発表した。
太陽から燃料を作成する
パワー・トゥ・リキッド燃料は、航空機の脱炭素化で最も有望かつエキサイティングな方法の一つだ。しかし、この燃料製造には膨大なエナジーが必要で、「電力」は再生可能でなければならない。だが少なくとも数十億年、再生可能なエナジー源の太陽がある。持続可能な輸送を実現するため、太陽の波に乗りたいと考えている企業のひとつが、シンセリオンだ。
シンセリオンは、2010年にチューリッヒで太陽熱合成ガスの製造に初めて成功した。以来12年、同社は技術のスケールアップで重要なマイルストーンに到達した。太陽熱を利用して合成ガスを製造し、それを標準的な工業プロセスで使用し、ジェットエンジンに適合するケロシンなどの液体燃料を合成する。この燃料は、製造に使われた炭素だけを燃やすため、CO2の循環型ループが形成される。
シンセリオンの最高技術責任者フィリップ・グッドPhilipp Goodは、今回の成果について次のようにコメントしている。
「ソーラー合成ガス製造に成功したことで、太陽光を燃料に変える夢が、産業応用として実現します。当社の技術をスケールアップする最後の大きな技術的マイルストーンが達成され、カーボンニュートラルなジェット燃料の工業生産への道が開かれました」。
シンセリオンは、現在、世界初の産業規模の太陽電池燃料プラントを、ドイツのユーリッヒに建設中。同プラントは、ドイツ連邦経済・気候変動対策省(BMWK)が資金提供するSolarFuelsプロジェクトの一環だ。ルフトハンザ・グループの航空会社SWISSは、同社のソーラーケロシンを使用する最初の航空会社として、契約を締結ずみだ。
DLRと連携
合成ガスは、水素と一酸化炭素の混合ガス。シンセリオンの合成ガスは、エナジー・環境技術のリーディングカンパニー、ウッドWoodが供給する独自の改質反応器で製造される。ドイツ航空宇宙センター(DLR)所有の多焦点ソーラータワーに設置されたシンセリオン開発のソーラーレシーバーに、ミラーフィールドで太陽光を集中させる。シンセリオンによると、同プラントは液体太陽燃料を年間約15万リットル生産できるという。
シンセリオンは、ドイツで初の産業用航空燃料製造施設を計画している一方で、2025年にスペインで商業生産を開始する予定だ。■
Synhelion Reaches Industrial Scale Milestone For Jet Fuel From Sunlight
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