国際航空運送協会(IATA)のウィリー・ウォルシュWillie Walsh事務局長は、航空業界はこれまでの予測より1年早く、2023年にパンデミック前水準に戻る可能性がでてきたとの見方を示した。サウジアラビアで開催されたイベントでコメントした。
ロシアと中国の苦境は需要回復を止めていない
ウォルシュ事務局長はイベントで、航空業界は2年間にわたる旅行需要の増加と高い予約率を享受し続けていると述べた。同事務局長は、ロシアのウクライナ侵攻や中国での厳しい規制の影響にもかかわらず、回復が予想以上に底堅いと述べた。
プーチンのウクライナ侵攻を受け、多数国がロシア渡航を禁止したため、ロシア発着の国際航空便はほぼ消滅した。一方、中国でのCOVID-19の厳しい措置が、アジア太平洋地域全体の回復の足かせとなっている。
リヤド会議でのウォルシュ発言を、ロイターはこう伝えた。
「予約状況は非常に好調です。話を聞いた各航空会社のCEOは、年末の旅行需要が好調なだけでなく、年内も引き続き需要が堅調と見ています」。
「回復が堅調な事実から目をそらすべきではないと思いますし、回復基調は、今年後半から2023年にまで勢いを増していくと見ています」。
2021年、旅行者合計数は2019年の47%だった。IATAは当初、2022年に83%、2023年に94%、2024年に103%、2025年に111%に改善すると予測していた。
雲行きが怪しい
旅行需要の回復は、パンデミックで財政が破綻した航空会社には朗報だが、航空会社多数が存続に苦しんでいるのが現状だ。多くの航空会社が大量のスタッフを解雇したため、現在は労働問題が回復を妨げている。
本日、英国の格安航空会社イージージェットが、乗務員の必要数を減らすため、同社のエアバスA319ジェット機約半数から最後列座席を取り外すと報じられた。The Air Navigation Order 2016によると、乗客50人につき1人の乗務員が必要とされる。イージージェットは156席のうち6席を撤去することで、通常4名の乗務員での運航を、3名ので運航できるようになる。ブリティッシュ・エアウェイズなどは、混乱を最小限に抑えるため、一部のフライトをキャンセルしている。
しかし、航空業界の回復を脅かすのは、スタッフ問題だけではない。ウォルシュ事務局長によれば、ジェット燃料費の高騰は、運賃価格を10%程度引き上げている。IATAによると、ジェット燃料は2016年に1バレルあたり40ドルだったが、5月に175ドル以上に値上がりしている。
燃料費上昇への備えが優れている地域もある。ヨーロッパでは、多くのグループ(ルフトハンザ、IAG、エールフランスKLM)が、燃料の約60%をヘッジしていた。これに対し、米国の大手航空会社3社、アメリカン、ユナイテッド、デルタは、市場価格の変動に脆弱で、足並みが乱れている。■
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PUBLISHED 2 DAYS AGO
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