超音速旅客機の再開へ期待が集まる中、同分野のリーディングカンパニーが乗客を感動させることになるのか。
Photo: Boom Supersonic
新しく登場する超音速旅客機は、コンコルドと比較にさらされる。しかし、コンコルドの初飛行から50年の歳月が流れており、乗客の飛行体験にも改善を期待したいところだ。
コンコルドは、乗客にとって快適とはいえなかった。座席は狭く、窓は小さく、高騒音だった。同機の運航会社は、シェフの食事やビンテージシャンパンなど、機内サービスで快適さの欠如を補っていた。
CNNのリチャード・クエストが語るように、妥協はあったが全体として爽快な体験だった。
「コンコルドは狭く、100席ほどしかなかった。オフィスチェアやバケットシートのような座席で、窓はとても小さかった。だが笑みがこぼれない乗客はいなかったはずだ」。
コンコルドの客室 Photo: dschwen via Wikimedia
しかし、そこに妥協のない新顔が現れた。ブーム・スーパーソニックBoom Supersonicが近々発表する旅客機オーヴァチュアOvertureは、最初から最後まで素晴らしい乗客体験の提供を目標としている。このコンセプトを実現するため、Boomは自社内で開発に取り組んでいる。
インテリアを自社開発
エアバスやボーイングが、エアバス・エアスペース仕様のような独自インテリアを提供しているが、通常、客室デザインの専門家とのパートナーシップで開発している。航空会社は、客室の備品や色、素材、仕上げについて最終的な決定権を有する。
ブームの顧客も、オーヴァチュアのインテリアソリューションのカスタマイズを要求することは間違いないが、Boomによるキャビンスペースへの革新的な取り組みは止まらない。Simple Flyingは、同社の創設者兼CEOブレイク・ショールBlake Schollに、オーヴァチュアでの旅行体験がどこまで魅力的になるのかインタビューした。
「当社の目標は、まったく新しい乗客体験を提供し、機内に入ったときよりも降りたときに気分がよくなるようにすることです。OEM他社と異なり、当社では乗客体験の開発に社内投資しており、信じられないほど有能なデザインチームが取り組んでいます」。
100%SAFで飛行するオーヴァチュアでカーボンニュートラルの飛行が実現する。Photo: Boom Supersonic
オーヴァチュアの路線就航は七年先の予定だが、ブームは客室内意匠で複数案を準備している。
ライフラットシートは不要
オーバーチュアの高速飛行で、長距離路線ビジネスクラスの典型的なアメニティの多くが不要になる。大西洋横断便のビジネスクラスでは通常、シートがフルフラットになり、乗客は睡眠をとることができる。しかし、オーバーチュアはロンドンからニューヨークまでの所要時間を3時間30分に短縮すると約束しており、ベッド提供の優先順位は低くなる。
しかし、だからといって乗客が機内で何か特別なものを手に入れられないというわけではない。ショールが説明してくれた。
「座席は広く快適です。窓も大きく、6万フィート上空から見る地上や青空は格別です。全座席に大きなパーソナル・デバイス・エンターテインメント・スクリーンが設置されます。さらに、まだお話しできないのですが、新しい乗客体験の機能がいくつかつく予定です」。
ブームは大型窓をオーヴァチュアにつけ、乗客を感動させようとしているPhoto: Boom Supersonic
その機能は不明だ。窓の上のヘッドアップディスプレイで下界を覗いたり、超高速WiFiで機内接続したりと、なんでもありになりそうだ。いずれにせよ、技術中心のブームの姿勢と飽くなき情熱からすれば、おそらく壮大なものになるのだろう。
同機についてわかっていること
同社は内装の仕様を示すレンダリングを多数発表している。全長205フィート(62.5メートル)の機体に、65人から88人の乗客が搭乗する。同サイズのコンコルド(203フィート/62m)が92人から128人の乗客を乗せたのと比べると、かなり少ない。
全席ビジネス仕様の1-1レイアウトは、快適さとプライバシー、パーソナルスペースを提供する。写真 Boom Supersonic
コンコルドは、2-2レイアウトで、座席も決してゆったりとはしていないなど、機内に豪華さはなかった。これに対し、オーバーチュアでは、プライバシー、通路への直接アクセス、食事や仕事のための十分なスペースなど、上級乗客の求める条件をすべて満たすオールビジネスクラスの1-1レイアウトを謳っている。
窓の大きさは、間違いなく驚きを与えるだろう。現行のドリームライナーの窓は、27.2×46.7cm(10.7×18.4インチ)と、民間機では最大だ。Boom社は、大きさを正確に特定していませんが、レンダリング画像は、これよりもかなり大きくなることを示唆している。ドリームライナーの大型窓は、カーボンコンポジット構造で実現されており、オーバーチュアもこれを採用する。
乗客は広い空間と作業スペースを手に入れることができる。写真 Boom Supersonic
画像から、40インチピッチのビジネスクラスレベルの足元スペース、モダンな素材、広々としたトレイテーブルがわかる。全体として、かなり印象的なデザインに見えるが、ブームがどのように実現するのか、世界中が注目するはずだ。ショールはこう言っている。
「乗客がもっと長く乗っていたいと思えるものを作れと、チームに言い続けています」。
東京-シアトル間は4時間半、パリ-モントリオール間は3時間45分と、機内で快適な時間を長く過ごすことはない。しかし、それこそが超音速旅客輸送USPであり、手頃なチケット価格が約束されている以上、将来はより多くの人が楽しめることになるかもしれない。
As Luxurious As Concorde? The Boom Supersonic Overture Passenger Experience
Source: CNN
About The Author
Joanna Bailey (2703 Articles Published)
Managing Editor - Joanna has worked in publishing for more than a decade and is fast becoming a go-to source for commercial aviation analysis. Providing commentary for outlets including the BBC, CNBC, Reuters Thomson and others, she works closely with IATA, AviaDev and various airlines and suppliers to get the inside track on the global marketplace.
コメント
コメントを投稿