BWB旅客機実現を目指すナティラスが資金調達に成功
― 全翼機に次ぎ効率が優れるBWBが民間航空に受け入れられるか、保守的なビジネスモデルが障壁になりそうです
Aviation Week
グラハム・ワーウィック
2026年2月13日
新興企業ナティラスNatilusは、200席級BWB旅客機「ホライゾン・エボ」の設計を2階建て構造に変更した。
クレジット:ナティラス
米スタートアップ企業のナティラスNatilusは、ドレイパー・アソシエイツが主導したシリーズA資金調達ラウンド2800万ドルを完了し、エアバスA320neoおよびボーイング737 MAXの競合機として計画中の200席の胴体主翼一体型(BWB)旅客機「ホライゾン・エボ」Horizon Evoの設計を発表した。
カリフォーニア州サンディエゴに本拠を置くナティラスは、この資金で小型BWBリージョナル貨物機「コナ」 Konaのフルスケール試作機を完成させ、今後24ヶ月以内に初飛行する見込みだと述べた。
コナはホライゾン・エボの前身機となる。ナティラスは5月、コナの米国製造拠点選定プロセスを開始した。同社によれば、決定は今後3~6か月以内に予定されており、計画中の施設は年間60機の生産能力を持つ。
ナティラスは、新たな資金によりホライゾン・エボへの追加投資も可能となり、2030年代初頭の就航を目指すとしている。同社によれば、150~250席のBWB旅客機は、航空会社とFAAからのフィードバックを受け、設計変更し、デュアルデッキ構成にした。
ナティラスは、上層デッキに旅客、下層デッキに貨物を配置するデュアルデッキ構造により、旅客体験、避難安全性、ターンアラウンド時間が向上すると説明している。上層デッキはシングルクラスレイアウトで最大250席を収容可能で、通路3本と窓を備える。
同社は2025年12月にインドのLCCスパイスジェットと提携した。
「航空会社での実証データが、2階構造の実用性・避難経路の認証可能性・ターンアラウンド時間に関する設計改良を推進し、商用認証への明確な道筋を示した」と共同創業者兼CEOのアレクセイ・マチューシェフは語る。
ナティラスによれば、ホライゾン・エボはジェットゼロが計画中の単層250席のBWB旅客機Z4と異なり、二重構造により非常口経路へのアクセスが改善され、乗客用頭上収納スペースが増加し、客室全体に窓側座席が配置されるという。
同社によれば、改訂設計は既存の旅客・貨物地上インフラとの互換性を維持しつつ、下層デッキに標準型LD3-45貨物コンテナ12基を搭載可能とする。
翼幅118フィートのホライゾン・エボは、高度35,000フィートでマッハ0.78超の巡航速度、航続距離3,500海里を実現する。JetZeroが40,000ポンド推力のプラット・アンド・ホイットニーPW2000ターボファンエンジンへ移行したのに対し、ナティラスは23,000ポンド推力のCFMインターナショナルLeapまたはプラットPW1500エンジンによる推進を計画しており、これは現行の200席級旅客機と比べ大幅な燃料節約を実現する見込みだ。
ドレイパーが主導するナティラスのシリーズAラウンドには、宇宙・ロボティクス・人工知能分野の投資家であるタイプワン・ベンチャーズとザ・ベテランズ・ファンド、物流プラットフォームのフレックスポートが参加した。新規投資家として、元ボーイングCEOのデニス・ミューレンバーグ率いるニュー・ビスタ・キャピタル、ソーマ・キャピタル、リキッド2VC、VUベンチャーパートナーズ、ウェーブFXも参加した。
2016年設立のナティラスは当初、従来機比で燃料消費量を30%削減、運用コストを50%低減する大型BWB貨物機シリーズの開発を計画している。貨物航空会社アメリフライト、ノリロアビエーション、フレックスポートと事前発注契約を締結した。計画機材のうち、現在開発中の機種は双発ターボプロップ機でオプションで有人操縦となる「コナ」のみである。
ドレイパー・アソシエイツの創設パートナー、ティム・ドレイパーは声明で「航空市場は新規航空機メーカーの参入に最適な時期にある」と述べた。ミューレンバーグは今後20年間で4万機の航空機納入需要が見込まれると指摘し、「ホライゾン・エボは、その解決策の最先端をいく極めて魅力的な変革的設計になると確信している」と語った。
ナティラスより5年遅れて設立されたジェットゼロは、BWBに豊富な経験を持つチームによって運営され、より多くの資金調達に成功している。カリフォーニア州ロングビーチに拠点を置く同社は1月に1億7500万ドルのシリーズBラウンドを発表し、総資金調達額とコミットメントは10億ドルを超えた。一方、別のBWBスタートアップであるアウトバウンド・エアロスペースは資金調達に失敗し、昨年12月に事業停止した。■
グラハム・ワーウィック
グラハムはアビエーション・ウィーク誌の技術分野を統括し、航空宇宙産業全体のエンジニアリングと技術に焦点を当てている。特に航空・宇宙・防衛分野において戦略的に重要な技術の特定に注力している。
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