ポストコロナのエアライン業界でアライアンス、コードシェアがてっとり早い路線網拡張の手段として認識されている

 


Credit: Emirates Airline


わずか数年前までは、グローバルアライアンスについて価値や規模が大きくなりすぎたとの皮肉が聞こえていた。資本提携リスクを疑問視する声もあり、アライアンス内の争いや分裂が目立っていた。

パンデミックで状況は一変し、ほとんどすべてのエアラインが提携を更新、深化、または開始し、意外な場所でも行われている。1月中旬、カタールエアウェイズエア・セルビアと大規模コードシェアを行うと発表した。

もうひとつのパートナーシップにも驚かされた。エミレーツエアラインユナイテッドエアラインズは2022年に戦略的パートナーシップを開始し、両社のリーチを大幅に拡大しましたが、一時は考えられなかった事態だ。エミレーツはエア・カナダともコードシェアを開始し、エア・カナダやユナイテッド航空と同じスターアライアンスのルフトハンザも、次は同社と握手するのではないかとの見方も出てきている。

パンデミックで生まれた要因が、この提携強化の動きを後押ししているようだ。第一に、国境の行き来が再開され、COVID関連の規制が解除されると、航空旅行需要が高まり、急増する。第二に、これもパンデミックに関連し、退職者や離職者に代わる航空会社のスタッフの雇用と訓練が、旅行需要の急増に対し遅れをとっていること。第三に、グローバルな製造サプライチェーンの問題やボーイングの場合は規制の問題から機材納入が遅れており、新規製造航空機が当初の予定通り、あるいは航空会社が望むようなスピードで供給されていないことである。

こうして高い需要とリソースの制限が重なった結果、多くのエアラインが、ネットワークを思うように拡大できないため、パートナーシップで比較的簡単かつ低コストで成長を続けることができると判断するようになっているわけだ。

多くの点で、コードシェア、あるいはもう少し強力なパートナーシップは、ネットワークを拡張する最も安価な方法と言えるかもしれない。また、独占禁止法上の免責を求めないのであれば、最速のルートにもなる。

米国内では、戦略的パートナーシップは、成長戦略で重要な手段となっている。例えば、アメリカンエアラインズアラスカエアラインズの西海岸における提携で、アラスカのコードがアメリカンのロサンゼルス-シドニー線に導入された。アラスカの乗客は、以前は不可能だった1つの旅程でオーストラリアに飛べる。また、アラスカは、乗客サービス向上のため長距離路線用ワイドボディを購入する必要は不要だった。アメリカンにとっては、特に小規模な路線で、自前の航空機を投入することなく、米国太平洋岸北西部に深く到達するできる。

LCC

LCCは、国際ネットワークの大幅拡張で、パートナーシップ・ゲームも行っている。カナダ西部のネットワークに重点を置きカルガリー拠点に回帰したウェストジェットは、日本航空大韓航空などアジア系航空会社とパートナーシップを締結した。そのおかげで、JALの東京成田-バンクーバー線、大韓航空のソウル-トロント線にコードが載るようになった。さらに、KLMオランダ航空とのコードシェア契約により、ウェストジェットはカルガリー-アムステルダム間のフライトを提供し、ヨーロッパ最大のゲートウェイを経由して利用客に乗り継儀サービスを提供している。同社は、ボーイング787型機をカナダ路線に投入したまま、ネットワークを拡大させた。

アラスカ航空が2021年にワンワールドに加盟したことも、航空会社がグローバルアライアンスネットワークを活用する方法における興味深い変化だった。通常、各アライアンスには、ある国の航空会社1社だけが加盟する。ワンワールドでは現在、アメリカンとアラスカが加盟しているだけでなく、両社は西海岸の提携でさらに絆を深めている。領土を守ることより、相互のネットワークメリットを優先し、活用するケースだ。

一方でアメリカン航空は、ジェットブルーとノースイーストアライアンス(NEA)を結んでいる。基本的には、ニューヨークとボストンから提携し、それに合わせてスケジュールを組むことができる。今年、NEAの一環で、1日約700便が運航される。提携は、トランプ前政権下で米運輸省が承認したが、現政権では司法省が反競争的行為の可能性を理由に航空会社を法廷に提訴し、異議を申し立てている。司法判断は今年初頭に下される予定だが、きわめて重要な市場でNEAが消費者にもたらしたさらなる競争と利益のみを強調しというのが業界の共通認識だ。

パートナーシップ、コードシェア、アライアンスによって、より多くの人々が、世界のどこにでも、より簡単に行くことができるようになっている。そして、エアライン各社は、これらが比較的単純でありながら、非常に効果的なネットワーク拡大のツールであることに気づいている。■

Analysis: Why Airlines Are Pursuing More Codeshares And Alliances | Aviation Week Network

Karen Walker January 24, 2023

Karen Walker

Karen Walker is Air Transport World Editor-in-Chief and Aviation Week Network Group Air Transport Editor-in-Chief. She joined ATW in 2011 and oversees the editorial content and direction of ATW, Routes and Aviation Week Group air transport content.


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