動員令はロシア航空業界も巻き込み、航空会社、空港職員へしわ寄せが押し寄せている

 

ロシアのパイロット多数は、軍事訓練を受けている。Photo: Getty Images


動員令発表の翌日から、ロシア航空会社・空港の職員多数に通知が届いている

ーチン大統領による部分的動員令を受け、ロシアの航空会社や空の職員も徴兵通知を受け取り始めている。今回の展開について詳しく見ていく。


航空会社社員へ徴兵通知が届く

プーチン大統領がロシア軍予備役の一部動員を命じたことを受け、フラッグ・キャリアアエロフロートを含む航空会社少なくとも5社とロシア国内の10空港の職員多数に徴兵通知が送付された。

 航空会社や航空関係者は、動員令発表の翌日に通知を受け取ったとされる。ロシアでは、民間航空会社パイロットの大半が、軍の飛行学校で訓練を受けた予備役か、兵役を終えた二等兵だ。

 航空管制官連邦労働組合は、航空管制官多数が通知を受け取っていると発表した。同組織は、ミハイル・ミシュティンMikhail Mishustin首相に個人的免除を求める手紙を出したという。

 ショイグ国防相は2日、予備役約30万人が招集され、対象は戦闘経験を有する特殊技能の持ち主と明らかにした。


従業員の半数以上が召集される可能性

ロシア紙コメルサントによると、アエロフロート・グループの関係者は、ポベダ航空Pobeda Airlinesロシヤ航空Rossiya Airlinesなど、グループ3社も含め、従業員の約半数が徴兵される可能性があると明らかにした。

 該当航空会社の関係者は、職員の50-80%程度が徴兵される可能性があると推定している。アエロフロートでは、従業員の専門分野のリストを作成するためチームを立ち上げた。


徴兵免除を巡る混乱

その他の航空会社や空港では、徴兵免除対象と思われる社員リスト作成をすでにはじめているところもある。しかし、航空会社の弁護士は免除リストをどこに送ればいいのかわからず、手続きにかなりの混乱があるようだ。

 これまでのところ、航空会社は運輸省、国防省、あるいは地方当局それぞれにリストを送付している。また、航空会社は各地域でスタッフを雇っているため、どの軍の登録・入隊事務所に連絡すればよいのかも不明だ。

 数カ月にわたる経済制裁ですでに悲惨な状態のロシア航空業界にとって、主要スタッフの徴兵は航空会社をさらに脅かすことになりかねない。航空会社は国防省に対し、重要スタッフに免除資格を与えるよう要請を出すとみられている。

 コメルサント紙によると

「最大の懸念は、乗務員以外に、技術専門職、IT専門職、販売部門の従業員も動員される可能性があること」だという。

 コメルサントは、航空会社で重要人員が数人徴兵されるだけでも業務に支障をきたす可能性があると説明しており、「航空技術職とIT専門職は非常に特殊な職業であり、希少な存在で制裁開始後に価値が高まった」 と報道している。■


Staff Of Aeroflot & Other Russian Airlines Receive Conscription Notices

BY LUKE BODELL

Photo: Getty Images


Luke Bodell (662 Articles Published)

Journalist - With 10 years of experience as a travel writer and aviation analyst, Luke has worked with industry-leaders including Skyscanner, KLM and HotelsCombined throughout his career. As a passionate traveler based across the Middle East and East Asia, Luke offers strong insights into the travel and aviation industry.


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