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ロシア副首相は、CR929プロジェクトがロシアに望ましい方向に進んでいないと公言し、ロシア撤退の可能性を示唆した。
ロシアの軍事・航空産業を統括するユーリ・ボリソフYuri Borisov副首相は、CR929プログラムへのロシアの関与が減少していると述べた。6月29日開催されたフォーラム「Engineers of the Future」の本会議で発言した。
CR929-600は、中国の民間航空機メーカーCOMACとロシアのUnited Aircraft Corporation(UAC)の合弁会社、CRAIC(上海)が開発中の長距離型280席ワイドボディ双発ジェット旅客機だ。
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CR929-600は長距離型280席のワイドボディ機としてCRAICが開発中 Photo: UAC
フォーラムで、ボリソフ副首相はこう述べた。「中国とこのプロジェクトに取り組んでいるが、原則として我々に都合良い方向に進んでいない。中国は産業大国になるにつれ、我が国向けサービスには興味を示さなくななっている」。
「我々には設計局があり、TsAGI(中央空気流体力学研究所)は豊富な経験を積んでいる。しかし、中国のニーズは我々より多い。我々の参加度合いはどんどん減っている」。ロシア国営通信TASSによると、副首相はさらに、「このプロジェクトから離れるかどうか、予測したくはないが、これが現実だ」と説明した。
矛盾する発言
しかし、わずか2カ月前の5月5日、張漢輝Zhang Hanhui駐ロシア中国大使はタス通信とのインタビューで、両国はCR929プロジェクトの重要問題で合意していると述べた。張大使は次のように指摘した。「CR929ワイドボディ長距離機は、両国の重要な共同プロジェクトの1つである。双方の当事者は、研究開発完了に伴う投資、設計、分業など重要課題について、コンセンサスに達している。共同研究・開発は円滑かつ持続的に進行している」。
中国の駐ロシア大使は5月、ロシアと中国がCR929の共同プロジェクトで合意したと述べた。 Photo: Simple Flying
別のロシア高官であるデニス・マントロフDenis Manturov貿易産業大臣の、2週間前に、このプロジェクトで欧米の部品に依存しないよう設計し直していると発言している。
マントロフは次のように述べた。
「CR929は進行中だが、新しい事態を考慮し、協力で制約があるため、西側メーカーの関与と中国のパートナーの前提条件が不可能となっているので、ロシアと中国のメーカーだけでアプローチを再構築する必要があります」。
ロシアが短期間で立場を変えた理由を示す情報は得られていない。
CR929プログラムでは、2019年以降、ほとんど進展がない。Simple Flying
協力の一方で語られざる不一致
ロシアと中国は、2012年にワイドボディ機の共同開発で大筋合意した。そしてCOMACとUACは2016年にMOUを締結し、習近平とプーチンという両国首脳が立ち会った。
当初、ロシアはCR929を、ソ連時代に設計されたロシアの四発ジェット長距離ワイドボディ旅客機「イリューシンIL-96」をベースに開発することを望んでいた。老朽化したIL-96に代わる新しいワイドボディ機が必要だからだ。しかし、中国はこの案に強く反対している。エアバスA330やボーイング787のような双発のワイドボディ機を提案し、エアバス、ボーイングの二強に挑戦しようとしたいというのだ。
ロシアはCR929が旧型化したIL-96の代替機となるよう望んでいた。 Photo: E233renmei via Wikimedia
また、2014年以降、ロシアはCR929がエンジンやその他の重要システムを含め、ロシアと中国のサプライヤーにのみ厳密に依存するよう望んできた。しかし、中国は初期のY-10プログラムから学び、プロジェクトの商業的成功を確保するために、国際的な航空産業への参加と協力が必要と主張している。
協力の初期段階には、両者が相互に必要とする要素がある。中国はロシアの全体設計、機体構造、空力設計の経験を必要とし、これを西側諸国から得るのは非常に困難である。一方、ロシアは、ワイドボディ機開発計画に不可欠な中国の設備投資を必要としている。しかし、ARJ21やC919の開発が進み、一方でロシアが国際社会で孤立するにつれ、中国は協力のメリットを失い、負債を抱えるようになった。やがて、協力関係のバランスは崩れ始めた。■
Time For A Change? Russia Considers Withdrawing From CR929 Project
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オリジナル読者の声(抜粋)
エイビオニクスやエンジンなどの非欧米製部品?そんなのイランにしか通用しないだろ。市場規模が小さすぎる。ロシア航空産業の影響力は低下している。中国はロシアに影響されたレトロジェットで袋叩きにされるのは嫌だろう。
これは中国がロシアを追い出した臭いがする、世界がロシア製の含有率の高い飛行機を認証せず、大量に買わないことを恐れているからだ。と言うだけなのだが...。本当の理由は出てこないのでしょうかね😉。
これは、中国がロシアの技術に頼らず、中国の技術が西側の技術の多くを代替できると主張し(中国はこのプロジェクトの最大の資金提供者です)、ロシアが出し抜かれたと感じていると読み取れますね。何年も前からパートナーシップはぎくしゃくしていましたからね。
おそらく、PRCはロシアの技術ではなく、西側技術を欲しがっているのだろう。
そうですね、ロシアは工業的に自給自足する必要があるので、西側の情報にかなり依存するこのような共同プロジェクトに水を差すのは確かです。
中国でさえ、プーチンのロシアを脇に追いやるようになった。ロシアはウクライナへの侵攻以来、大きな負債となった。制裁で西側の貢献は取り除かれた。中国は成功するためにそれを必要としている。中国は確かに過剰な野心家だが、プーチンと違って善良な一般的センスを捨てていない。
最初から絶望的だった。 中国がソ連の複合材技術を必要としており、自国の利益のためプログラムをコントロールしたいと考えている(自分たちで解決できないので誰かから盗むいつものやり方)。
中国にはソ連の複合材料技術は必要ない。 エアバス、ボーイング、ロッキードマーチンなどから簡単に盗める。 型式認証についてはどうか? FAAとの取引は終了しているはずです。 EASAはCOMACを競争相手として見ているので、少し難しいかもしれない。
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